あなたは行動を起こす時、よく考えてから行動しますか?
それともまず行動してからその後に考えますか?
東大生は「考えてから行動する」に一票を投じる人が多いように思います。しかし「東大生は他大生より頭でっかちでフットワークが重い」という批判も耳にしますね。そんな時は「先にしっかり考えればより良い行動を起こせるんじゃないの?」「考えたら基本何でも分かるでしょ!」と反駁したくなるもの。
僕も以前は「先に考えた方が良い」と思っていました。しかし去年、名古屋のものづくりの老舗中小企業で半年間働く経験を通じてその考えが大きく変わりました。時に「考えてから行動する」より「行動してから考える」の方が大事であると。そこで、この記事では「まず行動!」の重要性を大真面目に分析してみます。
改めましてこんにちは。申し遅れましたが東大経済学部4年の水野といいます。去年の3年の冬、就活も終わり単位もほぼ取り切ったし暇だなあ…ということでインターンを探していました。高度成長期の製造業による日本の経済発展に少なからぬ興味を持っていた中、出会ったのが丸八テント商会のインターンでした。
丸八テント商会は名古屋にあるテントの製造・企画・販売を行う従業員10人ちょっとの中小企業です。創業は1951年、65年間テント一筋のものづくりの中小企業です。「テント」とは必ずしもキャンプ用のテントを指すわけではなく、店舗の軒先の庇型テントや産業用テント倉庫などテント生地を用いた様々な製品を指しています。
そんな名古屋の会社に思い切って飛び込む決意をして半年間のインターンは始まりました。お客様からの電話を取り、工場に行き、施工現場へ行き、毎日は忙しく過ぎていきました。
そんな中、会社でよく聞く言葉の中に引っかかる言葉がありました。それは「まずやればええがや」(まずとにかくやってみること)。背後に理由やロジックがない行動はかける労力に釣り合うのだろうか、と腑に落ちないまま日にちは過ぎて行きました。
日々の業務とは別に、幸運にも関わることができたのがインドの市場開拓事業でした。始めてから半年ほど経っていたのですが、話を聞くと「インドでは遮熱テントや水タンクが売れる」らしい。根拠は?
「社長が『インドは暑いから遮熱テントや水タンクが売れるだろう』って言ったから」
…え、それだけ?
僕は社長の言葉を信じて水タンクや遮熱テントをゴリゴリ売るべきか、自分で全てのテント製品をもう一度整理して最も売れそうな製品を再考するか悩み、後者を取りました。「理由の合理性が低くて行動できない」と思ったからです。しかしそこから1ヶ月ほどかけて調査した結果……やはり結論は「遮熱テントと水タンク」に! 気は済みましたが、最初から社長の言葉を信じた方が良かったのか?と思いました。
そうして迎えた去年の夏には実際にインドに出張に行きました。インドでするべきことを頭の中で論理的に整理して臨んだのですが…実際にインドで動くとなかなか上手くいかない。自分が『するべき』と思っていることはなぜするべきなのか同僚やインド人に説明するのに骨が折れるのです。自分の頭の中で複雑怪奇に絡まった理由や理論は周りにピンとは来てもらえないまま、出張は終わりました。
このモヤモヤはどうにも解消することができずに僕の半年間のインターンは幕を閉じました。
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