メリークリスマス!!!
今年も一年に一度の特別な季節がやってきました。クリスマスです。
キラキラと輝くイルミネーションが寒空に彩りを加え、街が幸せに染まるこの季節…例によって暇を持て余しているUmeeT編集部は、本郷キャンパス正門前にいました。
例年クリスマスには過酷な挑戦をしてきたUmeeT編集部。
非リアがヒアリを探したり、
一夜でイルミネーションを回りまくったり、
たった1000円でクリスマスデートをしたり、
なぜか北信越5位のガチプロと競歩対決したり…
さて、今年のクリスマスは、GPSをつけて本郷周辺を歩きまくり、軌跡でお絵かきします。
唐突だと思ったでしょうが、実際唐突なスタートでした。
ノリで提案したら企画会議を通ってしまい、40時間後には正門に集合していたというスピード感。流石はフッ軽を極めた編集部です(暇人とも言う)。
やり方は簡単。GPSの軌跡を記録してくれるアプリを起動させて本郷周辺を歩くだけです。
お絵かきのお題は、クリスマスということでトナカイにしました。
思いつきに始まったこの企画でしたが、「GPSアート」などの名前でランナーなどに人気らしく、様々なコースを紹介する専用サイトもあるほど。サイトを見てみると様々なコースが投稿されており、これならトナカイを描くのも現実的かも。
今回の挑戦はチーム戦。早速、出場チームを紹介します。
メンバー:(写真左から)チロル・わかな
UmeeT編集長と次期編集長(筆者)のコンビ。UmeeT歴はなんと合計6年、数々の過酷な企画を乗り越えてきた我々なら、負けることはありえません。
メンバー:(写真左から)陽気なカモメ・つりびと
若さ溢れる1年生コンビ、ピチピチの新人編集部員ズ。つりびと氏に至っては2日前に加入したばかり。しかしスポ身(編注:東大の体育の授業)のバスケで培われた2人の絆があれば怖いものはありません。
以上2チームでトナカイの絵を描き、芸術点を競います。ルールは以下の通り。
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対戦の様子は、筆者わかなを含むベテランチームの視点をメインに、時々新人チームの視点を交えながらお届けします。
まずは地図を用意してコースの作戦を練ります。
これ、紙の地図があった方がやりやすいよね
ですね。地図…どうしよう
持ってる?
持ってないですね。
だよね()
知識と準備がなさすぎて初っ端で詰みかけたところで、ネットでいいもの発見!
本郷界隈を紹介したサイトにちょうどいい地図が。本郷キャンパス周辺を中心に、東は上野、西は東京ドームあたりまでが描かれています。
この地図あれば勝ち確じゃない?
説ありますね。これは
キャンパス前のコンビニで地図をプリントし、キャンパスに戻って計画を立てます。
ここはチロルさんにお任せします。
早速ベテランチームの圧倒的戦力、編集長の出番です。
普段から圧倒的な画力とデザインセンスを誇り、自作漫画↓を公開したり新歓ビラの作成を手掛けたりしている編集長がいればデザイン面は心配ないでしょう。
これが結構難しい。紙の地図はあっても、そこからトナカイに使えそうなパーツを探し出すのはなかなか至難の技です。特に前足に疾走感を出すためのカーブが難しい…
顔に使えそうな部分を決めてから、胴体を描き進めていきます。
試行錯誤の末、ついに……!
これだ。
地図が完成しました。製作時間約1時間。歩く大変さもそうですが、企画段階もなかなか大変です。それにしても編集長の画力よ!!
その頃、新人チームでは…
新人チームでは「実際に歩く時に使うのはGoogleマップなのだから、最初からそれを使って計画を立てよう」ということでスマホでルートを作成。トナカイの画像をお手本にして考えます。
こいつ(https://ecotopia.earth/article-3164/)をお手本に…
じゃーん。
…あれ?これトナカイ…?
不安が募ります。
苦戦しつつ、何とか完成。読者の皆さんには結果発表までのお楽しみにしましょう。
ともあれ、両チーム共に地図が完成しました。早速正門に集合し、挑戦スタートです!!
正門でスタートすると同時に、キャンパス内に入りました。まずはトナカイの後脚から描いていきます。
東大生とはいえ、オンライン世代かつまだ2年生の筆者にとっては、本郷キャンパスは未開拓の地。目新しい風景が広がっていて、ちょっとした探検気分です。
あれ、ここ通れる?
開始5分でコース変更。地図上で見ただけでは通り抜けできる道かわからないというのがGPSアートの難しいところです。
10分ほどでキャンパスを抜け、上野方面に歩いていきます。この辺りはまだなんとなく見慣れた風景。
少し進むと湯島天神が!
覗いてみると混雑していて、受験シーズンだと気づかされました。
私も中学受験の前に訪れた湯島天神!なんだか懐かしくなりました。(受験生のみなさん、頑張ってください…!!)
大学のご近所でありながらあまり詳しくない本郷周辺の地理が少しずつわかってきて、楽しみながら歩いていたら30分ほどで上野に到着!
上野ってこんなに近かったんだ、と2人でびっくり。天気がいい日なら余裕で歩ける範囲です。こんな発見も、初めてのコースでウォーキングするからこそ。GPSアートの良さがわかってきました。ちなみに天気はというと、晴れてはいますがめちゃくちゃ寒いです。
GPSの軌跡を確認するといい感じに描けています。好調な滑り出し!
相手チームの様子を探ってみると、あちらも順調とのこと。これは楽しみになってきました。
その頃、新人チームは…
つりびと:
謎のワクワク感と共に歩き出す。
最初はしばらく大通りまっすぐだし、曲がるところも確認済み。案外簡単なのでは?
開始5分でスマホのバッテリーが落ちる。来る前充電したのに?作戦会議の時70%近くあったのに??
スマホが使えないので経路も確認できず、写真も撮れず、ただの歩く要員になってしまった。
スタートと同時に正門を出て歩き出し、ベテランチームと反対側の北西、駒込方面に向かいます。
まさかのバッテリー切れにより戦闘力が急降下した新人チーム、どうなることやら…
上野から御徒町を通り、末広町〜外神田の方面に向かっていきます。
上野・御徒町間のアメ横のあたりは、土曜日ということもあって人がごった返していました。
美味しそうな屋台が並び、無意識に目で追ってしまいますが、ここは立ち寄ることなく通過。3時間のタイムリミットがある以上、序盤でのんびりしてはいられません。
そしてここが第一の難所でした。人が多いと思うように進めず疲れるし、道が狭くてわかりにくいし…
馴染みのある本郷周辺から遠ざかり、未知の地に足を踏み入れつつあったのも一因でした。歩き始めて1時間、寒さが身体にこたえてきました…
1分に1回ペースで「寒〜」と呟きながら歩いていると、どこからか綺麗な歌声が…
駅近くでクリスマスイベントが開かれていました。世間はクリスマスなりけり…(感嘆)
御徒町駅を過ぎたあたりで1時間経過。ここでGPSの軌跡を見てみると…
おおー!!
順調に描き進められています。すごい!
計画段階では上手く描けても、実際に歩いてみたらぐちゃぐちゃになるんじゃ?と思っていたので、あまりの出来にびっくりしました。疲れた身体も少し元気になります。
これ、もしかして3時間の制限余裕じゃない?
ルート作成さえできればあとは余裕ですね!トナカイだけじゃなくそりも描いちゃいますか!
ベテランチーム、調子に乗りはじめました。
ここで描きかけのトナカイの画像を友人に送って「何の絵でしょう」とクイズを出したところ、こんな回答が。
言われてみれば確かにちょっとだけ神奈川県っぽくて笑ってしまいました。
その頃、新人チームは…
カモメ:
あ、ここにもうまそうなパン屋発見。
基本食べ物大好き。
なんか目を描いたらやばそうな予感がしたけど、とりあえず先に進んじゃおう精神。
第一のツノで東洋大学発見。めっちゃ綺麗。
・
つりびと:
とりあえず順調なんだけど、全然形ができないからなんか不安。
住宅街、住宅ばかりであまり楽しくないな…。あと人めっちゃ少ない。
みんな寒いから家にいるんだろうな。こんな寒い日に本当に何をしてるんだろう(笑)
角を描くのが意外とつらい。長いし、同じ道を戻らないといけないの疲れる。
1本目の角を描き終わったあたりで1時間経過。残り2時間で顔と体描かないと。ちょっと焦り始める。
新人チームが進んだコースは住宅が多めの文京区。ごった返すアメ横とは対照的に静まりかえった住宅街に、2人の元気も吸い取られていきます。
人混みを抜けてしばらく歩き、御徒町・秋葉原間の高架下を通り抜けると、絵はトナカイの顔ゾーンに入ります。
さて、ベテランチームのイラストのこだわりポイントはトナカイのシンボルとも言える鼻!「真っ赤なお鼻」を強調するために、敢えて同じコースを2周回ることで二重の線を描きます。
鼻ゾーン。なんの変哲もないビル街ですが、「ここが鼻になるのか」と考えるとワクワクします。少し元気が出ました。
鼻を描き終わり、街は秋葉原に突入しました。メイドカフェのキャッチが多い多い!!
そしてついに、今日の最難関であり最重要、ツノゾーンへの突入が近づいてきました。ここでミスをすればトナカイはたちまち犬のようになってしまうはず。慎重な歩みが求められます、が…
あれ、道合ってる?
…あれ?今いるのこの道ですよね?
いや、こっちだよ!え、こっちだよね?
戻りましょう!こっちから来たから、えっと、こっちに進めばいいのかな…?あ、違った!
雲行きが怪しくなってきました。
ん?これさ、1本間違えてない?
…本当だ…
なんとここにきて、道を1本間違える痛恨のミス!絵で見るとトナカイの頭が少し大きくなっただけですが、その後の対応が難関。東京の道は整った碁盤目状になっているわけではないので、元のルートをそのまま平行移動することができないのです。
しかも絵はよりによってツノに差し掛かろうとしているところ!複雑なルートです。寒空の下、2人必死に考えます。
…私めちゃくちゃ方向音痴なんですよね。
いや、実は僕もなんだよね。
…え?
開始から1時間30分、絶望のクリスマス。
その頃、新人チームは…
カモメ:
待って坂道多すぎん?!
だんだんと見えてくる疲れ、そして寒い。
そう、今日は真冬日。
つりびとは足にホッカイロを入れているせいでポカポカの反面、カイロが重りと化してきている。
日頃の運動サボりペアなので体力に限界を感じ始める。
だんだん口数が減る2人。
顔をかいたところ、目がやばいことが判明。
ただ疲れすぎてどうでも良くなる2人。とりま早くゴールしたい。
・
つりびと:
後楽園を向こうに見つけてちょっと嬉しくなる。でもテンションは上がらない。テンション上げるには疲れすぎた…。
話してるとまあまあ楽しく歩ける。これ一人だったら空しいだろうなあ。赤門から10時間チャレンジのすごさを実感。
坂道の多さにそろそろ疲れが出てくる頃。新人チームは目を描いたようですが、軌跡やいかに…
その頃、複雑怪奇なツノゾーンに突入したベテランチーム。
これ…ツノめっちゃ大変じゃないですか?
めちゃくちゃむずいね…
時間は半分を過ぎましたが、コースはまだまだ残っています。時間が厳しくなってきて、口数も少なくなってきました。無言でツノを描き進めていきます。
街は秋葉原〜神田〜湯島、何の面白みもないただのマンション街。寒い。寒すぎる。あと疲れた。お腹空いた。
疲労と空腹に耐えかね、「次コンビニの前通りかかったら食料補給します」と宣言してから早20分、一向にコンビニが現れてくれません。
寒々しい風景が続きます。今なら人の多かったアメ横も恋しい…
GPSアプリを付けっぱなしにしていたために筆者のスマホの充電が危うくなり、デジタルの地図が見られなくなったことで、紙の地図が読めない超絶方向音痴の筆者にはできることがなくなりました。編集長に着いていきます…
そして2時間が経過しようとした時——。
ピコン!
え????
なんと、新人チーム、ここでゴールイン。私たち、まだツノ描いてるけど大丈夫そ??
しかし新人チームからのLINEには「足が5本」との文字が。相当ミスってない…?これは…制限時間さえ守れれば勝てるのでは!?
2時間経過。軌跡はこんな感じ!
残り1時間、凍える体に鞭打って、本郷で待つ新人チームの元へ向かいます。寒い。
その頃、新人チームは…
カモメ:
足に入り、ゴールが見えて嬉しいが、足の付け根の部分が全て坂道の上なので、4回坂道を行ったり来たりする必要が。
疲れるわ。
東大の赤いレンガが見えてテンション爆上がり。いぇーーーいついたああああああああ
・
つりびと:
これまでの2時間を振り返ってみる。疲れたし構想通りに描けなかったし、GPSアートやってる人すごくね?
これはこれで面白かったけど、二度とGPSアートやらないだろうなあ。2日前まで、まさかやるとは思ってなかったし。(筆者注:彼女は2日前に編集部に加入したてです)
無事フィニッシュ。本郷にたどり着けたからオールオッケー。達成感がすごい!(完成度はもう知らない)
一足先にゴールイン。図書館で暖を取って待ちます。
新人チームの早すぎるゴールの知らせを受け、「これは勝ち確」と喜んだのも束の間、相手チームがゴールした今、たった2人で歩き続ける孤独感が大きくなってきました。あと、なんと言ってもひたすらに寒い。カイロ持ってくればよかった。
それでも、着実にトナカイとわかる形になってきている軌跡に励まされます。
編集長の天才的な地図解読能力に任せて歩き続けるうち、ついに…!
本郷に帰ってきました!!!
知らない街、それも静かで寂しい街をひたすらに歩いてきた身には実家のような温かさが染み渡ります。本郷で授業なんぞ受けたことはなく、この道だってオープンキャンパスの時に通った以来な気がしますが、それでもここが第二のふるさとであるかのような錯覚に陥ります。圧倒的な安心感。
無言が続いていたベテランチームにも会話が戻り始めます。あとはトナカイの後脚を描き終えるのみ。
ここ、いつも本郷行く時に使ってる道だ〜、いつもの道でもひづめの部分って思いながら通ると楽しいね
なんて言いながら歩みを進めます。やっぱり馴染みのある場所を改めて歩くのがGPSアートの一番楽しいところかもしれません。知らない土地を探検する楽しさもわかるけど……暖かい日なら楽しいかもしれませんね。
赤門を通り過ぎ、
そして、ついに、
合計走行距離は11km、タイムは2時間48分。タイムリミット10分前の理想的なゴールでした。それにしても11km…本当にお疲れ様でした!!
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お待たせしました。各チームのGPSアート発表のお時間です!!
お互いの完成物を見せ合います。
……え???
目を失敗したんですよ!しかもなぜか脚が5本できちゃって
でもなんか…GPSアート以前のルート計画段階で差がついていた感じがしますね。
というわけで…審査員不在ですが、ベテランチームの勝利でよろしいでしょうか?
負けました。
我々ベテランチーム、勝利!!
編集長の圧倒的画力と地図解読力のもと、圧勝となりました。やっぱり赤門から方位磁針だけで10時間歩き続けたり、クリスマスデートで1000円を握り締めて新宿の街を歩き続けたりした経験が生きてるのかもしれません。
私も去年の競歩大会の経験が少なからず生きているだろうし…やっぱり、勝因はUmeeTでの経験値かも。新人チームのこれからに期待です。
本当にお疲れ様でした。
この企画を提案した当初は、「こんなこと本当にできるの?」という不安もありました。しかしこうして改めて両チームのトナカイを見てみると、細かいところのミスこそあれ、意外としっかり絵になっているものです。
確かに歩いている最中は辛かったですが、でも道中ではたびたび、「ここって歩いて行けるんだ!」といった驚きや、こんな企画がなければ知らなかったようなスポットとの出会いがありました。
コロナ禍で鈍った身体をリフレッシュするため、ウォーキングを始める人も増えていますが、GPSアートの魅力は、そうして楽しみながら歩けること、そしてなんと言っても、その頑張りが成果物として残り、絵が完成した暁には大きな達成感が得られることだと思います。
年末年始にだらけがちなあなたも、GPSアートで楽しく体を動かしてみては?(※ただし防寒対策は入念に!!!)
GPSアートなんて二度とやるもんか!!!
寒い中、過酷な企画にお付き合いくださった編集部のチロルさん、カモメさん、つりびとさん、本当にありがとうございました!!
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