みなさんいかがお過ごしですか。UmeeTライターのチロルです。
いきなりですが、僕は歩くのが好きです。
そこでこんな企画を考えました。
”東大赤門から方位磁針だけを使って東西にまっすぐ歩いたら、10時間でどこまで行けるのか”
クレイジーですね。
しかし、こんなクレイジーな企画をある日の夜7時に提案したところ、翌日の朝7時に実現する運びとなりました。
我ながら、さすがの活力です。
ルールはこちら。
とはいえ、僕一人で東西両方に進むようなことはできないので、UmeeTライターの中で最もクレイジーだと名高いヤマト隊員と、手分けして進むことにしました。
僕は東担当、ヤマト隊員は西担当です。
ただ僕とヤマト隊員の2人しか人が集まらなかったので、カメラマンなどもおらず、東と西でそれぞれひとりぼっちで歩くことになりました。
やばそうな香りがしますね。
最悪の事態を避けるため、ルールにもあるようにやばくなったら(というよりやばくなる前に)こまめに休憩をとるということだけは徹底します。
8月12日の朝7時、赤門の前に集合した僕らは、互いの健闘を祈りました。
それでは、10時間耐久・東西へ方位磁針だけを頼りにウォーキング!スタートです!!
西に行ったヤマト隊員の道程はコチラ↓
【7:00】
東は大学構内を突き抜けるところからスタート。
うるさいセミの声に負けないほどの元気で、意気揚々と足を進めます。
【7:13】
すぐに観光地、上野に到着!
こんなに朝が早いにも関わらず人は多く、東京を感じます。
【7:50 】
浅草周辺にやってきました。
雷門の方からは絶妙にずれており、あまり人通りのない橋を渡ります。
僕は、人との繋がりを感じるためにも、1時間に一度道を歩いている方にお願いして、写真を撮ってもらおうと考えました。
橋の前方から現れたのは赤ちゃんを抱えたヒゲのお兄さん(おそらくお父さん)。
撮影をお願いすると笑顔で快諾してくださいました。
赤ちゃんにも癒され、やる気がみなぎりました。
写真を見ていただければ分かる通り、この日の天気は曇り。ぽつぽつ雨が降ることさえあります。
このクレイジーな企画をやるにあたって、正直気温はかなり気がかりだったけど、この天気なら余裕でいけそう!赤ちゃん可愛いし!
【9:02】
スカイツリーを超えてから、ひたすら墨田区、江東区あたりの住宅街を歩いていたのですが、ここに来て急に視界が開けます。
荒川です。
地方育ちの僕にとっては、これが初めての荒川。
きらきらとたゆたう川面は、晴れ晴れとした夏の日を感じさせてくれます。
「あー、大学2年生の夏してるなー。」
そんな青春を感じさせてくれるほどに、荒川は雄大でした。
もう2時間経ってるけど全然きつくないし、この企画、実は楽勝なんじゃないの!?
【9:56】
葛飾区を越え、再び橋を見つけました。
新中川にかかる鹿骨新橋だそうです。
やはりここら辺は川が多い!
とはいえ、地理に疎い僕はあとどれだけ川が待ち構えているのかよく分かりません。
あと一つ何か大きい川があったような・・・。
住宅街を進んでいくうちに、うまく東に進めないことがだんだんストレスになってきました。障害物が多いため、北東とか南東とか、ちょっとずれた方向へ向かうしかないのです。
神経質だと言われればそれまでですが、機械のように東に進むことそれのみを目的としている僕には、その任務が遂行できないことがやや苦痛でした。
そんなとき、大きな公園を発見。
ここを突っ切れば、東に直進できる!
楽しそうにスポーツをする中高生に脇目も振らず、ただ東だけを見据えて歩きます。
そして公園を抜けると・・・
川だー!!
荒川にちょっと感動して以来、川を心待ちにしていた僕は浮き足立ちます。
でもちょっと待て・・・。
あれ・・・。
橋は?
南東の方角にほんのり何か見えるけど、もしかしてあそこまで行かないといけないの?
うだうだ言っても仕方ありません。進みます。
道中の案内板を見てみると、ここは江戸川だそう。あーそうだ!江戸川ね!
そして更に、案内板によるとこの向こう岸は千葉だといいます。川を超えれば東京を出られるのか!俄然やる気が出てきたぞ!
そしていざ、目的の橋が見えてきました。
ん・・・?
高速道路でした。本当にやめてほしい。
しぶしぶもう一本奥の橋に向かう途中、ポニーランドという馬の飼育施設を発見。
健気に走る馬を見ていると、イライラがワクワクに変わってきます。
よしっ、次の橋まで一気に行って、とっとと千葉に入ってやるぞー!!
我ながらテンションの起伏が激しいですが、何しろ一人なので、色々なところで感情を動かしておかないといけません。油断したら簡単に「無」になります。
無心で東に向かい続けるほど恐ろしいことはないです。そうなってしまったら終わりです。
無事、次の橋を見つけました。これはちゃんと渡れそう!
そして
千葉に到着しました。
よーし、これから頑張るぞ!!
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【13:12】
お久しぶりです。
千葉に入ってから、休まずせっせと足を進めてきましたが、もう無理そうです。
一旦休ませてください。
東京では、江戸川橋を渡るのに苦戦したりしましたが、今思えば、あれは苦難でもなんでもありませんでした。ただのハプニングです。
真の苦難は、千葉にありました。
千葉に入ってすぐ、住宅街に入りました。
そして今まで、ずっと住宅街でした。
船橋市に入ってからが特に地獄です。
曇りだったはずの天気が晴れ始め、江戸川あたりから不穏な気配があった股関節が痛み始めました。
何を思ったか、水分補給にとミックスジュースを購入してしまったのも大失敗でした。口の中が甘ったるすぎてイライライライラしています。
暑い、痛い、甘いの三重苦です。
途中、船橋市役所まで200mという看板を発見しました。
ふなっしーの市の市役所ということもあって興味を持ちましたが、方角のせいで見ることは叶いませんでした。
方角の制約はこういうところに悪影響を与えます。近くに何か面白そうなものがあっても、行けないのです。地図を見れないので、大半は気付くことすらできません。
結果、なんの変哲も無い道をひたすら歩き続けることになりました。
平凡な道に面白みを見出す感受性など、とうの昔に欠如しています。
果たして、僕はなんのためにこんなことをしているのでしょうか・・・?
【13:56】
半ば絶望しながら歩いている僕の前方に、4、50代ほどのご夫婦が歩いています。
1時間に一回、恒例の写真撮影お願いタイム(全ての写真を載せてはいませんが、ちゃんと毎時間撮っていたのです。)が迫っていることもあり、写真撮影のお願いをしました。
今まで撮影していただいた方には恥ずかしくて言ってこなかったのですが、ひたすら歩き続けて羞恥心が失われてきていたこともあり、ここで初めて「赤門からひたすら東に歩き続けている」という企画をお二人に伝えました。
するとお二人から一言。
「頑張ってください。」
この一言に本当に救われました。
完全に「無」になってしまっていた僕の道中に、一筋の光が射したようでした。
よし、進むしかないんだ。やってやるぞ!
やっぱり無理そうです。
【15:25】
この企画、きついのは目標がないこと。
「東に向かって歩く」それ自体が目的であるために、ただ足を進めるほかないのです。
更に恐ろしいことに、僕には千葉県の地理に関しての知識が全くと言っていいほどありません。しばらく前に「習志野市」に入りましたが、それが一体どの辺であるのか、どれくらい広いのかもよく分からないのです。
とりあえず何かしら目的を持とうと、習志野市からの脱出を目標に掲げます。
実籾駅というところにつきました。
「みもみえき」と読むようです。
どこなのかは全く分かりませんが、なんとなく雰囲気がいいです。
安らぐ〜。
日が少しずつ落ち始めているということもあり、気持ちのいい夏の景色を感じることができました。疲れた心が休まります。このときばかりは、普通なら絶対に行くことがないような場所に連れてきてくれたこの企画を、ありがたく思いました。
【16:26】
住宅街を、ただひたすら歩きます。
涼しくなってきて、辛さのピークは越えたような気がします。
しかし地名がはっきりと分かるものがなく、習志野市から出たのかどうかはよく分かりません。
そんなとき、前方に小学校が。
「千葉市立」ってことは、これは千葉市ってことでいいよな・・・?
習志野から出たぞ〜!
目的をすり替えてここまで歩き続けてきましたが、残り時間あと30分。
9時間30分の茨の道を乗り越えた僕には、瞬きするほどの時間です。
行くぞー!!
そして、
【17:00】
10時間終了!
最終的に到達したのは、千葉県立柏井高等学校というところでした。
こんな企画でもなかったら、絶対に来ることはなかっただろうな・・・。
部活帰りでしょうか、きらめく笑顔で下校する高校生たちを見てなんとも言えない幸せな気持ちになりました。
「東京大学の赤門って分かる?僕、今日一人でそこから歩いてここまで来たんだよ!」
高校生たちにそう言って喜びを分かち合いたい衝動に駆られましたが、間違いなくヤバいやつになるし、それで最悪、先生とか呼ばれちゃったら困るので踏みとどまりました。
というより、今の気持ちを分かり合えるのは彼しかしない!
僕はヤマト隊員に電話をかけました。
「想像以上にきつかったね!」
「いや、本当しんどかったっす!お昼の暑さとか地獄でした。」
やっぱり、彼は分かってる!!!
10時間の孤独を終えた僕は、人と会話できることのありがたみを感じました。
通話を終え、スマホをカバンにしまうと、代わりにいざ心が苦しくなったときのためにと携帯していたにも関わらず、心以上に身体が苦しかったため結局出番のなかった谷川俊太郎さんの詩集「二十億光年の孤独」を取り出しました。
その中の一節を眺めます。
万有引力とは/ひき合う孤独の力である/宇宙はひずんでいる/それ故みんなはもとめ合う
人のありがたみが分かった10時間でした。
孤独な戦いを終えた二人の対談です。二人は一体どんなことを語るのか…!?
まずは、この企画どうだった?
率直に夏にやる企画じゃないと思いましたね。若干生命の危険を感じましたし…笑
最初は曇りでいい感じだったんだけどね
あとはせめて二人一組とかでやりたかったですね…笑
目的地もなく孤独に歩くってなかなかしんどかったです
歩いているのがどこなのかよく分からないというのも辛い原因の一つかな。笑
でも普段なら行かないような場所に行けたのは少し楽しかったかも。
あとチロルさんと自分の記事で、ずっと続く真っ直ぐな道が出現したり、体に異変が起き始めるタイミングがほぼ同じで笑いました。笑
お昼がやっぱダメだよね。夏にやる企画じゃなかったよ、本当に。笑
ですね笑
もっと企画を練ってからやった方が良かったとは思うんですが、勢いでチャレンジしないと誰もやらないですよね。難しい…笑
今回の企画で何か自分的に得たことってある?笑
うーん、今回10時間かけて40km歩いたわけですが、やっぱり車って画期的な発明なんだなと心から思いましたね…笑
チロルさんはどうですか?
僕は話のネタができたことかな。笑
西に行ったヤマト隊員の道程はコチラ↓