東京の街は色めき出している。
僕は一人、彼女を新宿駅で待つ。
「お待たせっ。」
「いや、全然。僕も今来たところだよ。」
「本当に?よかったー。
新宿なんか普段なかなか来ないからね。どこに行こうか楽しみだよ。
プランは考えてくれてるんだよね?」
「もちろん。バッチリさ。」
バッチリどころじゃない。
今日の日のために、何度脳内でシュミレーションしたことか・・・!
時間をたっぷりかけて、付け入る隙のない完璧なデートプランを考えたのだ!
その分、莫大な費用がかかってしまうことになったが、年に一度の大切な日だ。
ゆうちょで、今日までバイトで貯めたお金を、惜しみなくおろしてきたぞー!
んっ?
んんっ?
1000円しかないっっっっっっつつつつ!!!!!!!
小銭もカードも、他には何もない!!
なんでなんだ!?ちゃんとおろしたのに!
もしかしてあれか、電車で僕のバッグジロジロ見てるおじさんいたけど、あいつに盗られたのか!?
くそっ、どうしよう!!
(帰宅後自宅にて、雑然と散乱する諭吉を発見。おじさん疑ってごめんなさい。)
「どうしたの?早く行こうよ。」
「あっ、そうだね・・・。」
ま、まずいぞ。このままでは・・・。
なんとかして1000円のデートプランを考えなくては!!
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