みなさんは、何が「好き」ですか?
どれくらい「好き」ですか?
そもそも、「好き」って何ですか?
あなたは、この質問にすぐ答えられますか?
この度UmeeTは駒場祭期間中の11/23(金・祝)に、特別対談イベントUmeeT Live!「好きを貫く」を開催しました!
これまで私たちの記事でも取り上げた「好き」を貫いている東大生3人をお呼びして、好きなことを見つける方法や、好きなことをやり続ける秘訣について語っていただきました。
「もう一度振り返りたい!」という方や「当日は用事があって行けなかった!見たかったなあ…」という方のために、
当日の様子を全力でレポートいたしました。ご自分の「好き」なものを思い浮かべつつ、楽しんでお読みいただければ幸いです。
はじめに、ゲストを紹介しましょう。
1人目は、東大に在学しながら5件のホテルをプロデュースされた野望多きホテルプロデューサー、龍崎翔子さん。
2人目は、留年をきっかけにYouTubeチャンネルを開設し、10日でチャンネル登録者数1万人を突破した大注目のYouTuber、もっちゃんさん。
3人目は、人工世界を創造し、さらにはそれを映画化までされた凄腕のクリエーター、中野智宏さん。
司会はUmeeT初代編集長で現在フリーランスファシリテーターをされている、杉山大樹さん。
それでは、対談開始です!
[広告]
まずはじめに、みなさん自己紹介をお願いします。
ホテルプロデューサーをしています。
小5のときに家族でアメリカ横断をしたんですが、そのときに「ホテルってどこに行っても同じに見えて、つまらない」と思ったのがきっかけで、東大に入ってからホテルの経営を始めました。今は日本全国で5つのホテルを経営しています。
『ジャケ買いされるようなホテル』をコンセプトに、ゲストと街や人や文化とを媒介するメディアとしてのホテルを目指しています。
YouTuberです!
もともとYouTubeを見るのが好きだったのですが、2018年3月に留年が決まり、背中を押されてYouTuberになりました。留年を機にプライドがなくなったんで、やりたいことをやろうかなって笑。
最初は会社に勤めながら動画を撮っていたのですが、本気でYouTuberをやりたくて会社を辞めたので、今は本職がYouTuberです。
僕は『人工世界』のクリエーターをしています。
人工世界というのは、架空世界の一種なんですが、ただの架空世界ではなく、文化や地理や民族や歴史や言語まで設定された新しい宇宙のような世界ですね。人工世界は小学5年生の時から作っていて、十数年かけて完成させました。
最近ではそれを題材にした映画を作っています。
誰にでも好きなことってあると思うんですよ。ゲームが好きとか音楽聞くのが好きとか。
でもだからといって、その好きなことを、皆さんほど突き詰められない人がほとんどだと思うんですよね。何が皆さんをそんなにも突き動かすんでしょうか?
実は私は、消費者としてホテルに泊まることが好きなわけではないんですよ。ただ、ホテル経営を始めたのは、『こういうホテルってなんでないんだろう』という問題意識を自分だけが持っていて、自分にしか解決できないと思ったのがきっかけです。
あとは…小学5年生の時からホテルプロデューサーになりたいと考えていて、もうホテル経営と自分は一体化していたというか。最初からホテル以外の選択肢はなかったですね
やろう!と決めたのはノリです(笑)
「好き」を仕事にするのは能力や才能のある人の特権だと思うんですが、私にはまだ能力が足りてないなと思ったので、時間をもっとYouTuberの仕事に割くために会社を辞めて今はYouTuberに専念しています。
なぜ人工世界の創作に突き動かされているのかは自分でもはっきりとはわからないのですが…『自分にしかできないこと』に近い、と考えているからかもしれないです。
今のファンタジーの中で異世界をちゃんと異世界として捉えているものってあまりないのではと思って。例えば異世界という設定なのに当たり前のように日本語が通じたり。笑
それなら自分で作ろうかと考えました。
[広告]
龍崎さんと中野さんは、ホテルや人工世界への問題意識が動く原動力になっているわけですよね。
でも、ホテルに泊まったりファンタジーを読んだとしても、みんながみんな、お二人が感じたような問題意識を持つわけじゃないと思うんですよ。そういった問題意識ってどうやったら得られるんですかね?
一つは自分の感情を観察することが大事だと思って。自分の感情を観察して原因を考えることで、いま自分が問題意識を持っているものや好きなものが見えてくると思うんですよね。
また、それとは別に自分のテンションが上がるものが何かも観察するんですよ。なんで自分いまテンション上がってるんだろう?これの何が自分の何にヒットするんだろう?みたいな。そうすると自分がなんとなく持っている問題意識が見えてくる気がします。
あと、Twitterを情報収集ツールかつマーケティングツールとして利用してますね。自分の頭で考えて問題意識に気づいても、それが消費者の需要に響くかどうかは分からないんで、アイディアをTwitterに投稿してどれくらいバズるか、どれくらい反応が得られるかを見て、商品化するかどうかを決めてますね。
私もTwitterでリストとか作って情報収集してますね。
なるほど。じゃあそうやって、もし仮に何かに対して問題意識を持ったとしても、『よし自分で作ろう』『自分で問題を解決しよう』という思考にはならないだろうと思うんですよ。
実際に自分で作るぞという気持ちになったきっかけは何かありますか?
私は別にその体験をした時からすぐにホテルを作りたいと思っていたわけではないんですよね。実際のきっかけになったのは、小5くらいで本を読んでいて『ホテル経営者』という仕事があるのを知ったときでした。
僕もそんな感じで、後からまた別の形できっかけを得た感じですね。まずはトールキンという作家。トールキンは異世界をちゃんと異世界として描いていて、この人は先輩として見習える人だ、と気づきました。
その次にサンスクリット語という言語に出会ったのがきっかけです。中学の修学旅行の時に京都のお寺に行った時に見つけたこの言語が面白くて、言語学に興味を持つようになり、それが今生かされているという感じです。
必ずしも問題意識を感じてすぐに行動したわけではなく、色んな情報や手がかり・インスピレーションを外の世界から得たことが今に繋がっているわけですね。
[広告]
そういう好きなことに取り組む上で、東大生だからこそ良かったということはありますか?
東大の環境の良さはアドバンテージだと思います。中高にもすごい人はいますが、東大にはその比ではないほどすごい人がたくさんいる。言語学の学科の先輩に話を聞くと、それだけで勉強になったり。
逆にディスアドバンテージだったのは、東大に入るまでの過程の苦しさでした。僕はいわゆる『お勉強』を重視する学校に通っていて、僕がひとり創作をしていたら周りから浮いて苦しかったところはあります。
なんか『東大生だから』っていう外的なイメージに縛られてしまう悪い面も感じる一方で、東大には多様性を認めてくれる、という良い面もあるかなって思っていて。私が「ホテル作る」って言った時も、普通に応援してくれて嬉しかったのを覚えてますね。
お二人に聞きたいんですが、やっぱり東大に入ると、『東大に入ったのなら一流企業に入るべき』みたいな圧力がありますよね。そのような考えに縛られることについてどう思われますか?
私も最初は『ペンションの経営なんて、どうしたの?』とか言われました。
でも、私の癖なんですけど、人の想像するところとは逆のところに行きたいみたいな逆張りマインドが若干あって、『東大生だったら、東大生っぽくないことをしたい』と思ってましたね。
仮にホテルをやっていなかったとしても、普通の就職活動とかはしていない気がする。
僕も就活などはあまり視野に入らなかったところがあります。東大に入ったのは勉強がしたかったからで、なぜ勉強がしたかったのかというと創作のためなんですよ。
今言語学を専攻しているんですけど、純粋に人工世界での言語を作るために言語学を学んでいます。
…すごい。そんな風に自分の好きなことに自分の人生を丸ごとかけられるのって、何かきっかけがあったんですか?
勇気を持って。これをしよう!と能動的に決断した記憶はありません。
僕は人工世界を最初からやろうとしていたわけではなくて、どちらかというと色んな趣味がある方でした。気の向くままに、楽器や絵など、自分が好きなことを、自分を止めずにやってきて気づいたらここにいたという感じで。
正直ホテルを始めた時は結構勇気がいりましたね。経理的な不安もありましたし、東大の楽しく居心地の良い環境を捨てることに抵抗もありました。
なんですけど、2020年に東京オリンピックが開催されることが決まって。ここで乗り遅れたら終わりだと思って、本気でやるならオリンピックに間に合うように在学中にホテル経営に着手すべきだと思ったので、やりました。
中野くんに少し似ていて、わたしもその時その時で自分の好きなことをやるのを仕事にしたいな、といつも思ってました。
「ちょっと興味が沸いたらなんでもやる」こと自体を仕事にしようとした結果、それがYouTuberで。だから、YouTubeっていう手段自体には特にこだわりはなくて、もし動画じゃないメディアができたらそっちに行くかもしれません。
じゃあそういう自分の人生をかけられるものってどうやって見つければいいんですかね?
自分が好きなものって、全部なんらかの関連があると思うんですよね。
中野さんは絵や音楽も好きだと言ってますけど、絵も音楽も人工世界創作も『自分なりの世界を作る』という共通点があって、中野さんはそれを見出せたから、今自分の人生をかけて人工世界を創ってるんじゃないかと思います。もっちゃんも同じ。
自分が好きなことを分析して軸を見つけ出せば、自分の人生を何に使いたいのか見えてくるんじゃないかと思いますね。
[広告]
さっきもっちゃんは、その時その時でやりたいこともやるって言ってましたけど、やっぱ将来のビジョンも大事じゃないですか。そのバランスってどう調整してますか?
私は将来のことは全く考えずに、今を生きています(笑)
将来どうなるかは全く分からないんですが、気持ちの変化や世の中の変化の中で、その時々で自分がやりたいことをやろうと考えています。
やったことを極めなきゃいけないわけではないと思っていて、気軽に手をつけて、たとえ途中でやめてもいいからその時やりたいことをやった方がいいかなって思いますね。
僕は逆に『将来』のことを考えている部分が大きいですね。創作をするにあたって、何をゴールにするかは常に考えています。
僕の場合は映画を作ることが最終的な目標で、そこに向かって今は小説も書いています。
私も割と将来志向なところがあります。
これまでのホテル界は似たり寄ったりで膠着した状態だったので、これから先多様性が増えるきっかけとなるようなホテルを作っていきたいと思ってます。
でもその一方で、例えばプールやサウナ付きのホテルとか、今自分が面白そうだなと思うことも随所に組み込んでいくっていうイメージですかね。
じゃあやりたいことが多すぎたら?
お金を稼げるものからやったほうがいいんじゃないか、って結構思うんですよね。
お金が発生するってことは、自分がやっていることが価値として社会に認められているということだと思うので、やりたいことが多くてどれから手をつけようか迷った時は、自分がやっているものの中で価値として社会に認められることからやるのが大事だと思います
確かに好きなことやるって言っても、お金って絶対いりますよね。残りのお二人はお金についてはどう思いますか?
僕の場合は創作1本でいくのは流石に厳しいので、言語学の研究職に就いて学んだことを活かしつつ、創作を続けていければいいなあって思ってます。
なんかYouTuberってお金に苦労してそうってイメージをよく持たれるんですけど、実はYouTuberって広告費以外にも、例えば企業の広報動画のコンサルを担当したりすれば意外とお金になるので、YouTube1本で食べて行くことは意外と可能です。
今の日本で食いっぱぐれることはないと思うと気が楽になりますよ!笑
お金の不安以外にも、好きなことがあっても勇気がなくて踏み出せないという人も大勢いると思うんですが、自分を奮い立たせたい時ってどうしてますか?
私は、どうしても感情を奮い起こしたいときはアツい漫画とか読んで自分を奮い立たせてますね。
僕は将来の自分の像を妄想するのが大事だと思いますね。自分は将来映画を作って、その世界のゲームなどを作りたい…という妄想をしていました。
そう考えているうちに、勇気のあるなしとかいう次元を超えて、純粋にやりたいからやるという次元に到達できると思います。
私も本当にそう思ってて、あらゆる人間って『自分が想像できる範囲のことは全部実現できる』と思うんですよね。具体的に、なるべく大きくイメージすることが大事だと思います。
あと、ぶっちゃけ勇気とか自信とかって全部感情じゃないですか。そういう感情に振り回されるのってリスキーだと思っていて。
私は実現可能性とかリスクを全部言葉にして洗い出して、それらを数値的に徹底的に分析してから意思決定をするようにしてますね。そうやって考えると意外とリスクとかそこまでなかったりするんですよね。
漠然とした不安が一番の敵だと思いますね。
[広告]
対談イベント「UmeeT Live!『好き』を貫く」はいかがだったでしょうか?このイベントをきっかけに、みなさんに「自分のやりたいことをやってみよう!」と思っていただけたのなら幸いです。それでは、またみなさんにお会いできる日をUmeeT編集部一同、心よりお待ちしています!!
そしてなんと今回の講演の動画を、全編、無料で、見ることができます。
このワンクリックが、あなたの人生を少し変えるかも?
龍崎さん・もっちゃんさん・中野さんの言葉を聞きたい!という方はこちらから!