こんにちは。駒場祭初日の学術企画
「こじらせ東大生の恋愛相談会」です。
2017年度駒場祭初日の11/24(金)KOMCEE West K303教室において
上岡陽江さん
(依存症回復支援「ダルク女性ハウス」代表)
二村ヒトシさん(AV監督)
國分功一郎さん
(哲学者、高崎経済大学准教授)
綾屋紗月さん
(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)
熊谷晋一郎さん
(東京大学先端科学技術研究センター准教授)
清田隆之さん
(恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表)
森田雄飛さん
(恋バナ収集ユニット「桃山商事」専務)
7名の超豪華ゲスト講師をお招きして
「恋愛」について、さらには「恋愛こじらせ」の先にある「生きづらさ」についてガチで考察しちゃう。
そんな激アツな企画です。
Facebook https://m.facebook.com/kojirase.toudaisei/
twitter https://twitter.com/kojirase_toudai
早速ですが先日、私たちは、登壇されるゲスト講師の1人でおられる
AV監督で、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス)などの著作を執筆された
二村ヒトシさんにインタビューをさせていただきました!
代表作『すべてはモテるためである』は冒頭から
「あなたがモテないのはキモチワルいからでしょう」
というなかなか辛辣な言葉で始まる「モテ本」です。
だけど普通の「モテ本」とは一味違う。
自意識過剰さ、バカさ、臆病さ……
そんな自分のキモチワルさと読者を向き合わせることで、
自分のキモチワルさを乗り越えさせようとする。
モテない男だけじゃない。すでにモテてる男、すべての人を厳しく優しく包み込む。そんな本です。
二村さんにどうしてもお会いして話を伺いたかった……。
ところが蓋を開けてみたら、インタビューではなく、僕の人生相談になっていました…(笑)
たどり着いた結論はいたってシンプルでした。
「答えなんかない。でも、だからこそ自分の頭で、自分の言葉で紡ぎだした答えを、
しかもそれを日々少しずつでもいいから更新しながら、大切に持ち続けること」
例えば、人との距離感に関して、インタビュー中、二村さんはこうおっしゃっていました。
「おれ、すごい自由に話しているように見えるでしょ?
ちがうよ。こんなこと言って、きみが泣きだしたらどうしよう、怒り出したらどうしようって思いながら微調整してるんだよ。
人との距離感って、いまだによくわからないよ。難しいよね。」
そう。二村さんですら答えはまだ出ていない。
その都度その都度、悩みぬき、考え、行動する。
いろいろなものに出会い、それを感じ切り、自分の言葉にする。
そんなことの大切さを痛感し、身をもってそんな体験をしたインタビューでした。
[広告]
それは僕が失恋をしたからです。
いきなり何言ってんだこいつキモイと思った方。
その通り、キモチワルいからフラれたのです。
何か月か前に僕は片思いをしていた女性にフラれました。正直いけると思ってた。だからショックだった。
そんな時、読んだのが『すべてはモテるためである』だった。
読んでみると僕がフラれた理由がそこら中に書いてある。恋愛してる間、自分は何か特別なドラマの主人公か何かだと思っていた。
僕は臆病で、バカで自意識過剰なただのキモチワルい奴だった。
というか恋愛以前に人とコミュニケーションが取れてない。
とりあえず当たり障りなく優しいことを言っておけばいい。そんなのはコミュニケーションでも何でもなかった。発信者の「自分」もいなければ、受信者の「相手」もいない。
もっと相手と「目の前のこの人」とちゃんと向き合いたい。相手を、自分を、人との距離感をちゃんと知りたい。
でもどうやって?
知らなきゃ前に進めない。まともな人間になれない気がする。でもわからない。
こじらせている。
そんなとき、この企画に誘われた。二村さんに会える。それを聞いて企画に入ることを即断した。二村さんにこの悶々とした息苦しさを聞いてほしい。その答えを知りたい。そんな思いでこの企画の運営に参加しました。
そうして迎えた二村さんへのインタビュー当日。なんというか頭の中はもう真っ白。でインタビューの時間を迎えた。
最初に、なぜAV監督になったのか聞こうとした。
ー今回の企画のゲストの中でも、AV監督という職業はなんというか……
ここで、きみが次に何と言うか、けっこう重要よ。
不用意に「特殊な職業ですよね」とか言い出したら、もしかしたら僕は怒って帰っちゃうかもしれませんよ(笑)。
AV 監督って差別されていると思いますか?
ーはい……。
でもね、差別してくれていいと思うんだよ。差別されているからこその高収入なんだから。ていうか監督への差別なんて全然たいしたことない。AV女優や、女性のセックスワーカーへの差別はこんなものではない。で、質問はなんだっけ?
ーいわゆるおぼっちゃま育ちだと伺ったのですが、それなのに何故AV監督になられたのですか?
それってさ、生まれつきの金持ちとAV 監督、両方に対する差別だよね(笑)。
人って息をするように差別するよねー。
僕は、親が理解しない仕事をやりたかったんだろうね。あとセックスしてお金をもらいたかった。エロいことがとにかく好きだった。最初は男優になったんです。
でもさ、東大生も差別されているでしょ。
ーはい。されます。僕自身、割と小さいころから塾に入れてもらって…
だから敷かれた道から外れた僕に興味があるんだ?
ーはい。僕は敷かれた道から結局外れきれずに行くのかなって。
いやー、外れるも外れないも、まだ、これからじゃない? 外れようと思えば、いくらでも外れられるよ。
いるよ、東大生でも汁男優やってる子。大企業のサラリーマンで土日だけやってる人とかも。
ーしるだんゆう…。
いま心の声が、うめきとなって洩れたよ(笑)。ごめんね、おれ、きみを煙に巻いているよね。おれにとって怖い質問だから。うまく聞き出してくれないと、駒場祭の打ち合わせして時間が余ったらインタビューって約束だったでしょ、もう残り時間あと5分だし。
ー……ひー。
[広告]
ーあの、その、親の敷いたレールから外れるのって、どうしたらできるんでしょう?
うーん、じゃあ、どうして君にはできないんだろう。君は何になりたいの?
ー弁護士です。親の望み通り、いい事務所に入ってお金稼いでから、好きなことすればいいのかなって。
弁護士って人間関係の仕事だよね。ハッタリとか相手の心を読むとか、裁判に勝つのに必要なんじゃないの? そういうのは、どこで学ぶの?
レール通りに進んでたら、学ぶ機会ないよね?
けっきょく最終的に金持ちになれるのは、いわゆる人間力がある弁護士でしょ。
ーその能力というかコミュニケーションに対する焦燥感みたいなものがあって…
焦燥感って(笑)こいつ大丈夫かよ。いや、でも、あるよねそういうの。焦燥してるだけマシだと思いますよ。
ー自分、人の命とか財産とか預かれんのかって。友達とですら、どうやって信頼関係を築くのかわかってない。そんなんでお客さんから信頼勝ち取るのなんて100%無理だって
でもさ、そういうのが自分には欠けているって思ったから、こういう(『こじらせ東大生の恋愛相談会』のような)活動に入ったんでしょ。
ここで何かを学ぼうって。
だから、なんとかなるんじゃないの?レールの上だけ進んで、あと適当に遊んで要領よくやってる出来のいい奴は、AV監督になんて会いに来ないでしょ?
ーはい。実は、その、あの僕こないだフラれまして…
こいつ聞いてないことまでしゃべりだしたぞ(笑)。いいですよ。聞きましょう。
ーすいません…。
その時友達に渡されたのが
『すべてはモテるためである』でした。
いいから読め、と。読んでみると、自分はあれもできていない。これもだめ。
臆病でバカでキモチワルい奴だって。そんな時にこの企画に誘われ、二村さんが来ると聞いて入りました。
相手と自分とそして相手との関係性を見たコミュニケーションができてない。とりあえず人にやさしくしていればいいと思っていた。
全然ちがうじゃんって。でもどうしたらいいか漠然 としかわからなくて…。
うん。
ーでも、このまま行ったら、弁護士の資格だけある。ザ・つまらない奴になってしまう。
人形がスーツを着て歩いているみたいになってしまう。
大きく言えばどうコミュニケーションをとっていいかわからない・・・
いま、コミュニケーションできているよね。
ーえ?
できてますよ。
ーでも僕、多分、いま相当おどおどしていてキモチワルい…
はい。キモチワルいです。でも、いやな感じはしない。自己開示をしようとしているから。
伝えたいことを、僕にストレートに伝えようとしてくれているから。
失恋の話もね。じゃあ、その話、イベント当日に会場で聞きますよ。
君が、みんなの前で恥をかく覚悟をして来るなら。せっかくだからネタにしよう。
ーありがとうございます。ぜひ相談したいです… !
こうしてインタビューは、もはやインタビューではなく僕の人生相談として終わってしま った。
[広告]
感想を、一言で言います。
「体の半分が持ってかれた」ような気持だった。
だけど、少しだけ、本当に少しだけ。コミュニケーションがわかったかもしれない。自己開示しようとすること。
気持ちをまっすぐに伝えようとすること。
その怖さ。その難しさ。それがどれだけ時間がかかるのか(あと5分だよって言われてから1時間も話を聞いてもらってしまった)。
そして、それを誰かが受け取ってくれた時の少しだけ胸のつっかえがとれたような気持ち。
「このまま弁護士になってどうすんの、お前」なんて言ってくれた人なんていただろうか。
そして僕が本当に伝えたいこと、聞きたいことにたどり着くまで、インタビューの時間を大幅にオーバーしても待ってくださった。
二村さんは本当に厳しく優しい方だと思った。
だけど。
まだまだ分からないことだらけだ。
どうしたら相手のことをちゃんと見ていることになるのか。
相手と自分の関係性ってどうしたら見えるんだろう。
それから、人との距離感も本当に難しい。
二村さんですら、まだわからないとおっしゃっていた。僕になんかわかるはずがない。
でも。
それでも少しでも知りたい。わかるようになりたい。そうして少しでも人ときちんと関係したい。たとえほんのすこしずつでも。素直にそう思った。もしかしたらもう手遅れかもしれない。
もしかしたら取り返しがつかないくらいキモチワルい人間になっていて、モテることはおろか人と向き合うこと、それすらできずに一生を終えるかもしれない。
でも。
そんなのは絶対に嫌だ。
だから。
僕たちは考え続けるしかない。
でも考えるって本当に難しい。
考えているつもりでも、何も考えられていないことって多い。
例えば、二村さんのおっしゃる通り、「人って息をするように差別をする」
これも何も考えられていないことの表れかもしれません。
それでもやっぱり考え続けるしかないのかもしれません。
その都度その都度、相手を、自分を、関係性を、見つめ
その時々の感情を素直に感じきる。
そうやって、自分という人間について、自分の言葉で紡ぎだしていく。
何が好きなのか。いつどんな気持ちになるのか。
その先に、「普通」の人生から外れることがある。かもしれません。
それとも「普通」に生きる道を選ぶ。かもしれません。
でもきっと、どちらの道を選んでも納得できる。
そう、感じました。
[広告]
皆さんは感じたことありませんか?
うまく言えないけど、
自分は臆病でバカで自意識過剰なキモチワルい奴なんじゃないかって不安。
「コミュ障」
という言葉に象徴されるコミュニケーション能力への焦燥感。
もっと人と向き合いたい。僕はこの企画に入って強く感じました。
その不安を、焦りを、疑問を、息の詰まるような苦しさを、(そしてもしかしたら失恋の話を、)
11/24(金)の駒場祭で、二村さんに、先生方にぶつけます。
そのためにこの企画に入ったのだから。僕の体の半分を取り返しに(残り半分も持っていかれる気がしますが)行きます。
僕と似た気持ちを抱いているなら、きっとヒントがこの企画にはあります。
全然そんな風に思ったことのない人も、冷やかしでもいい。
絶対に面白い会に、僕にも皆さんにも何か得られるもののある会に、します。
だから
11/24(金)
東京大学駒場キャンパス
KOMCEE West3階 K303 教室
「こじらせ東大生の恋愛相談会」
に来てください。
二村ヒトシさんはじめ、本当に豪華なゲストがいらっしゃいます。
10時~12時までは上岡陽江さん、綾屋紗月さん、熊谷晋一郎先生による
「ジェンダー」についての座談会
13時~14:30頃まで、二村ヒトシさん、國分功一郎先生、熊谷晋一郎先生、清田隆之さんによる
「セクシュアリティ」や「キモチよさ」についての座談会
14:45~17:00前まで、「こじらせ東大生」が
二村ヒトシさん、國分功一郎先生、桃山商事の、清田隆之さん、森田雄飛さんに
公開で「恋愛相談」を行います!
その後、18時までは、質疑応答や、ゲストの方々によるフリートークなどを行う予定です。
お待ちしています。長文失礼いたしました。
企画公式HP https://utkojirase.wordpress.com/
※二村さんのプロフィールについては以下のリンクもご参照ください。