突然ですが理系女子学生の皆さん、自分の将来について迷ったり、不安に思ったりすることはありませんか?
女子で理系のキャリアを歩んでいる人が少ないため、ロールモデルを探すのもなかなか難しいと思います。
今回は、そんな学生のために、東大で行われた理系女子交流会の様子を大公開します!
こちらの交流会は、東大の工学部/工学系研究科に所属する学生や教職員で構成される団体「東京大学工学部丁友会」によって企画されたもので、UmeeT編集部が潜入してきました。
交流会では、東京大学の女子学生が、東大理系出身の3名の女性から、進路やキャリアについて伺いました。
どういう軸で将来の進路を決めればいいのか決めるために、なるべくたくさんの情報が欲しいという大学生の皆さんは、ぜひこの記事を読んで選択肢の幅を広げてもらえると嬉しいです。
登壇していただいたのは以下の3名です。
まず、皆さんの現在の仕事について教えてください。
私の仕事はみなさんの想像する通りだと思いますが、教室で学生を教えて、会議に出て、そして残った時間で研究をするというものです。
私は会社で地盤の研究をしてまして、大学の研究室で行うような実験を行うこともあります。
ただ、大学の研究との違いとしては、実際に実施する工事という具体的な目標が身近にあって、それに向けて動いているということが挙げられると思います。
私のやっていることを一言で言うと、自分の会社の経営です。その中の業務は色々とあって、たとえば利益を出すためにビジネスとしてお金を動かしたり、投資家の方から資金調達したり、2人で運営する小さい会社なので、経理などの地道な仕事もおこなっています。
事業としては、「宇宙エンターテインメント」で、人工衛星をアート作品として打ち上げたり、人工衛星のライトショーをしたりする予定です。
皆さんが進学選択でそれぞれの学科を選ばれた理由を教えてください。
だいぶん前のことになりますからね……(笑)
私は高校生のときから数学が好きで、数学や物理を学べるところに行きたいと思っていました。
大学に入ると、計数工学科は「不変・普遍・不偏」という理念を掲げているんですが、これが心にささったんです。これからインターネットが広がっていく時代に、情報の本質を見抜けるようになりたいと思い、計数工学科を選びました。自分が好きな数学を生かして、社会に何か貢献したいという思いですね。
私は静岡県出身なんですが、南海トラフ地震が想定されていることもあって、元々防災に興味があったので、津波やインフラについても学べる社会基盤を選びました。
私はちょっと適当に進学先を選んでて……(笑)
私は昔から宇宙飛行士になりたすぎて、宇宙飛行士の山崎直子さんが東大の航空宇宙学科出身だったので、「私も航空宇宙学科に入れば宇宙飛行士になれるんだ!」と思って東大に入ったんです。
でも航空宇宙学科は底点が高いので、私の点数だと足りず、汎用性が高いところを代わりに選んで、機械工学科に進学しました。
進学選択が自分の将来にどれだけ影響するか分からず、ノリで決めちゃったところがあります(笑)
ただ、結果学ぶことは多かったので、機械工学科を選んでよかったと思っています。
宇宙飛行士になる夢っていうのは……
はい、まだ続いてますよ!
かっこいいですねー!
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進学選択後に、想像とのギャップを感じることはありましたか?
社会基盤は色々やっていて、水とかコンクリートとかハードの研究をしている人もいれば、国際協力とかソフト系の研究をしている人もいます。だから、自分の興味があるもの以外も、色々な授業を受けなきゃいけないというのはギャップでした。だから入ってくる学生も色々な人がいるという印象です。
計数工学科のギャップはですね、数学の基礎を本当にとことん叩き込まれるんです。
3年から4年の間に人生の価値観が形成された気がします。外に出ると、私が計数工学科出身であるということがひしひしとわかるんです。
なんで基礎を叩き込む必要があるのか分からないうちに叩き込まれてしまったのはギャップだったんですが、今思うと学部生のうちにもっとがむしゃらに勉強しておけばよかったなと思います。
ただ何よりも進学先の学科で価値観が構築されると思うので、よくよく考えて選ぶといいと思います。
形成される価値観ってどういう価値観なんですか?
話の本質を探してしまうんですよね。たとえば今だとコロナウイルスに関して色々言われていますけど、それらの情報が何を本質としているのか、探してしまうんです。
キャリア選択の上で、自分が大切にしている軸などはありますか?
私が人生の軸にしているのは、「絶対にやりたいことだけをやる」ということです。実際、大学にしても、就職にしても、やりたいことができていると思います。
ただ、将来どんな人生を歩みたいかというのを見つけるのはなかなか難しいと思うので、ぜひインターンに行くなどして、色々なことを体験してから考えてみてください。
私が学部で卒業することを選んだのも、大学3年生のときにインターンに行って色々な仕事を見てきた結果、自分は研究を続けるよりも働く方が向いてそうだなと思ったからです。
榊原さんはファーストキャリアの商社を3月に辞められたということなんですけど、そのきっかけはなんだったんですか?
私の場合は「宇宙」と「エンタメ」の軸があって、将来的にはそこでやりたいという思いがあったんです。でも、何かやろうと思っても、ビジネスの「ビ」の字も分からないので、商社にはビジネスを学ぶために行きました。
こういうふうな組織でこういうふうなロジックで動いているんだなということがなんとなく掴めたので、2年間で商社を辞めて、自分の会社をはじめたという感じです。
私は学部から院に行くときはみんな行くんだからと思って、何も考えてませんでしたね(笑)
ただ、就職のときは私もインターンには行って、色々見てきました。今いる会社は具体的に将来がイメージできたのもあって、「この人たちとなら一緒に働いてもいいかな」と思えたのが一番大きかったです。
私のやりたかった地盤型のことがやれるというのと、それなりに大きい会社なので福利厚生もいいというので、今の会社を選んでよかったなと思っています。
私も色々インターン行ったんですけど、人にあれをやりなさいこれをやりなさいと言われるのが苦手だったんですよね。
さっき榊原さんがいいこと言われましたけど、「自分がやりたいことだけをやる」というのは、私と似てるなと思いましたね。
どうせ考えるなら自分の問題を考えたいなと思いまして、自由に思考したいと思ったので、博士に行ったし、就職もしませんでした。
あと、ここにいるどなたよりも年上で、おそらく倍以上だという立場を踏まえて何か言うとすれば、女性であるということによって、社会のしがらみに縛られなくて済むんじゃないかと思うんですよね。
私の世代と皆さんの世代とではまた違うかもしれないんですけど、女性はさまざまなライフイベントから自由でいられる部分が大きいと思うんです。出産はありますけど、社会的な責任という点で。
だからこそ自分が何をやるのかを考えるのが一番大事なんですよね。ただ、それが非常に難しいんですけど、それはお二人が言われたように、色々な経験をするのが重要だと思います。
皆さんには、日本の女性は自由にできる特権があるんだくらいに思って、やりたいことを好きにやってほしいです。
交流会では、以上のように登壇者にお話しいただいたあと、班に分かれて登壇者の方と直接お話しする時間が設けられました。
座談会では学年別にグループ分けをしていたため、参加者同士が話し込み交流を深める様子が見られました。
学生からは「数学が苦手だが工学部でやっていけるか」、「興味があることが多すぎて、それを絞る方法」、「大学生活におけるタイムマネジメント」、「キャリアにおける女性ならではの壁」、「キャリア選択において周りから何か言われたか、そのときどうしたか」などなど、たくさんの質問が出て、登壇者にご回答いただきました。
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いかがだったでしょうか?会の雰囲気を伝えることができていれば嬉しいです。
東京大学工学部丁友会は、今回含め過去8回にわたって理系女子交流会を開催しています。
進路に迷う女子学生の皆さんは、ぜひ次回以降の交流会に参加してみてください!
東京大学工学部丁友会公式HPはこちら!
最後までお読みくださりありがとうございました!