【東大医学部YouTuber】コロナ禍に突如現れた天才・ベテランちにUmeeTが凸ってみた

2021.02.28

君はもう、「ベテランち」を知っているか?

2020年、コロナ禍で混乱する世の中に彗星の如く現れ、瞬く間に人気を博していった東大生YouTuber。その名が「ベテランち」である。

「ベテランち」とは「ベテラン中学生」から来ているらしいのだが、何なのだろう、ふざけたネーミングである。

そんなふざけた名前のYouTuberに、チャンネル登録者が8万人もいるなんて信じられるだろうか。

Twitterで「ベテランち」を検索してみると、どうやら中高生、大学生のみならず、受験生の親や大学の教員(!)まで、そのファン層を広げているらしい。

しかも、実のところこの筆者も、「ベテランち」の新しい動画が投稿されるのを「まだかまだか」と、いつからか待ちわびるイチ視聴者になってしまっている。

もう、世の中どうかしているとしか思えない。

ベテラン中学生とは一体何者なんだ?そして一体何なんだろう、この中毒性は。

そんな疑問に迫るべく、”東大界隈視聴率No.1 YouTuber”(UmeeT調べ)の、ベテラン中学生さんにUmeeTがインタビューをしてみた。

ベテランち
学生証

お名前:ベテラン中学生さん(@_vetechu
所属:東京大学医学部医学科3年、東京大学Q短歌会、雷獣
職業:YouTuber(チャンネル登録者数8.2万人(2021年2月現在))、歌人
経歴:灘中高→1浪→東大理三→1留→東大医学部医学科3年

―本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします〜

逆張りを 極めた先に YouTube

―早速なんですが、ベテランちさんがYouTubeを始めたきっかけについて伺ってもいいですか?

僕って元々、逆張り思考なんです。いわゆる「イカ東」にもなりたくないし、かといって「東大生なのにチャラいぜ」みたいなのもイヤだ、っていう。

ざっくり言うと、ネットばっかり見てて、周りを俯瞰しては「俺は誰とも違う」と思ってる奴、って感じなんですよ(笑)

だから根本的な性格としてはマイナー志向なんです。YouTube以外にも、短歌とか競技クイズとか、今でもやってますし。

―たしかに、動画からそんな感じは伝わってきます(笑)

でも、東大で短歌やクイズをやり、家では本を読み、みたいなそのマイナー根性によって基礎づけられたマウンティング気質みたいなのが、なんか嫌だなっていうのがずっとあって。

―えっ、嫌だったんですか…?

そうですね、ダサいなとは思ってました。だからYouTubeという大衆的なところに興味を持ったのは、ある意味、逆張りの逆張りですね。

ベンチャー企業でインターンとか、YouTubeとか、iPS細胞の研究とか(笑)、そういう「今まで自分がやって来てない、王道っぽい価値観のことやってみたいな」っていうことをなんとなく思ってて。YouTubeが一番楽に始められたので、YouTubeをやってみたという感じです。

(―逆張りを極めた結果、めっちゃ順張りすることになってる…)

まあでも、今みたいな理由ってこじつけというか、無意識の部分の話なので。
もっと直接的な理由は、コロナで暇だったからだと思います。お金も欲しかったですし(笑)

ベテランち

ベテランちがバズるまで epi.1 -心の準備期-

―2020年の5月上旬くらいに、僕が初めてベテランちさんの動画を見たときには、すでに3万人くらい登録者がいたと記憶してるんですが、どういう流れで視聴者が増えていったんですか?

まずYouTubeを始めるにあたって、「どうせやるからにはバズった方がおもろいやろな」みたいな色気はあったと思います。最初からそこを目指さないのはなんか違うなというか。

ただ、僕がバズろうとした場合、どこかで「理三」っていうのを売りにする時が来るわけじゃないですか。でもそれに対する心の準備が出来てなかったんですよね。

―心の準備…ですか?

だって恥ずいじゃないですか、理三をゴリ押ししてスベってたら(笑)

だからまず、「【東大理三生撮影】パソコンの画面」っていうタイトルの、パソコンの画面をスマホで撮っただけの動画をアップして、『東大理三』を使うことに自分を慣らし始めました。それが2019年の4月くらいです。

ベテランちYouTube
パソコンの画面以外にもドライヤーとか左手とかある。今でも見れるよ。

―うわ、勉強に全振りした結果、精神を壊した理三生感がすごい。

これは「みんな東大理三って聞くと喜ぶよね?それを分かった上で皮肉としてやってますよ」っていうポーズなんです。

最初YouTubeを始めたての頃って、仲良い友達とかしか見ない状態が続くわけじゃないですか。その時からいきなり、「灘のときにこういう面白いことがあって〜」とか「僕、東大理三なんですけど全然勉強してなくて〜」っていうのをやるのはちょっとキツいなっていうのがあって。

(―要は照れ隠しってことなんでしょうか?だいぶこじらせてはいるけど…)

そういう動画を上げたりしてた時に、実家に帰って自分の本棚にたまたま母親の遺言状があったんですよ。

―なぜたまたま自分の本棚に遺言状が挟まってるんだ????

それを見て、「あ、母親が、子供の今後を思ってがんばって遺言状書いてるな、可愛いな」と思って、YouTubeに上げてみたくなっちゃったんですね。

―Youtubeに上げてみたくなっちゃった。

それが『【東大理三生撮影】母親の遺言状』っていう動画で(お母さんに怒られて現在は削除済み)、これまで100回再生とかだったのが、謎に少しバズって急に1万回再生とかになったんです。

―おお、たしかに少しバズってますね!

一言も話してない動画しか無い状態で1万回も再生されたので、「あ、置いといたらバズることもあるんだ」って気付いて。それに、母親の遺言状を撮っただけで1万回再生されたっていう事実が自分の中で面白くて、ちょっと本気でYouTubeやってみようかなという気持ちになったんです。

まずここまでが第1章ですね。

ベテランちがバズるまで epi.2 -めきめき成長期-

―遺言状まではバズったと言っても1万回再生ですよね。そこからもっと伸びたきっかけはあったんですか?

それは少し編集を覚え出したあたりからだと思います。動画をカットしたり字幕を入れられるようになりました。確か、『【エピソード】東大理三 入試のおもひで【なつかしい】』とかからだと思います。

ベテランちサムネイル
なんか前衛的だがサムネ画像が付いている

―確かに、サムネ画像もある…!なんかいきなりYouTuberっぽくなってる!!!

編集技術に並行して、この頃から脳内で台本を作れるようになって来てるんですよ。こういうボケで一本動画撮ろうみたいに、ちょっと構成を練ってから撮り始めるみたいな。この頃の動画を観ると、ちょっとずつ成長しているのが感じられると思います。

―おおお…!!というか成長が早くないですか…!?地味に東大理三のスペックを垣間見られる。

今思えば上げてるのは相変わらずクソ動画なんですが、Twitterとかでも反響を感じられるようになってきて、「おっクソ動画が意外に受けてる…?」とYouTubeがどんどん楽しくなってきたのがこの頃ですね。

ベテランちがバズるまで epi.3 -バズ期-

ここまでが黎明期の話で、ここ以降から急にバズり出しました。

―どの動画がきっかけで伸びるようになったとかあるんですか?

はっきりとどの動画がきっかけになったとかはないんですが、センター試験の点数についての動画と、東大を放校になった灘の同級生の動画は伸びるだろうなとは思ってて。それが案の定伸びたので、それをきっかけに他の動画も見られるようになったのかなと思います。

―それってどれくらいの時期なんでしょう?

おそらく2020年の4月下旬〜5月にかけてです。その頃はチャンネル登録者が1日2000人とか伸びてて、4日で1万人増えてました。

―4日で1万人!!すごい…!!でも確かにそのくらいの時期に、突如として僕のYouTubeのページにベテランちさんがおすすめされるようになった気がします。

うまくYouTubeのアルゴリズムに乗った感じですね。

―じゃあその頃はもうイケイケドンドンって感じで?

いや、めちゃくちゃ怯えてました(笑)

―えっ、怯えてたんですか…!?

これって一体どこまで伸び続けてしまうんだろう、という怯えですね。
今だったら、これから頑張って登録者10万人、20万人を目指そうかなっていう目標が見えてますけど、バズってた時はこのまま無限人になってしまうんじゃないかっていう恐怖があって(笑)

―無限人www でもたしかに上限が見えないというのは怖いかも知れません。

登録者が10万、20万だったら、10万、20万人分の期待とか公的なコレクトネスとかに合わせたコンテンツを提供すれば良いですけど、「無限人になったらどうすればええねん…!」って思ってました。ただの大学生にそんな重み耐えられませんから(笑)

まあでも、バズるっていうのがどういうことなのかを体感できたのは面白かったです。

そんな感じで現在に至ります。

ベテランち
人気YouTuberの素顔はこんな感じ

修羅の国・灘校

―動画を見てても感じていましたが、こうやってインタビューでお話を聞いてみると、ベテランちさんって話上手くないですか?なんかお笑い芸人の方みたいな感じがします。

いや、それは本当の芸人さんにおこがましいですけど(笑)

まず、自分がちょっと話上手いかもっていうのはYouTubeやってみて気付いたことなんです。高校の友達とかはみんな同じような感じで喋るし。

僕は灘中高出身なんですが、灘ってめちゃくちゃお笑い好きが多くて。僕の代だと、「面白いかどうか」がそのまま学内のヒエラルキーに直結するような感じでした。

そういう、ある意味ストイックな環境で生きているうちに、自分の喋りのスキルも磨かれていたっていう。YouTubeを始めるまでそれに気付いてなかったんですよ。

―まじですか?!頭良くないと入れない上に面白くないといけないなんて、なんて恐ろしい学校なんだ…

今思えば当時は本当におかしくて、灘校時代の友達と会ったりすると、「あの頃と違って大学は自由に喋れて楽だわ」とかみんな言ってますからね…。

他にもお笑いが好きすぎるあまり、帰り道が同じメンバー6人くらいで帰り道に延々と大喜利をやるっていうのを中高6年間やってました。

―ひいいぃ、灘は勉強だけじゃなくお笑いにもストイックなのか…

灘もその代によって雰囲気が違うんですが、僕の学年はふざけているやつが中心になってて、先生には嫌われていたと思います(笑)

僕は小学校の時からうるさい子供だったと思うんですが、東大を放校になった今井って奴もそうですし、往々にしてそういう子供って勉強が出来がちじゃないですか。なので、自分みたいな子供が集まった結果、灘のような雰囲気になるというのはあると思います。

―そんなにお笑いが好きなら、お笑い芸人になろうとかって思ったりしなかったんですか?

実際、お笑い芸人になって結果を残せるんだったら芸人になっても良い、くらいの熱量でお笑いは好きでした。

ただ、東大で芸人になるってことが結構スベってるじゃないですか。東大をゴリ押してもスベってるし、ゴリ押さなくても「東大出身なのに公表しない」っていうそれもスベってる。だから結局は変な感じになっちゃうんで、芸人になろうとは思わないです。

その点YouTubeだと、ほどよく芸人っぽいこともできるし、「おもんない」って言われても「いや僕、所詮はYouTuberなんで…」って逃げることもできますし(笑)そういう部分は楽な感じではあるので、YouTubeという場所を見つけてよかったなとは思います。

ベテランち
ベテランちさんと灘校の正門。ベテランちサブより抜粋

他の東大生YouTuberへ思うこと

―最近東大生でYouTubeをやっている人って結構増えているじゃないですか。その中でもベテランちさんは頭一つ抜けていますが、他の東大生YouTuberに対してどう思っていますか?

僕としては、自分の他にも面白い東大生のチャンネルが増えてくれれば良いなとは思っています。

今、灘高卒のYouTuber界隈が盛り上がっていて、灘の時の友達や後輩がYouTubeをやってますが、彼らのチャンネルから自分のところへの流入もあったりして、やっぱり一つのシーンのように見られた方が相乗効果で伸びやすいというのがあると感じています。なので、東大生YouTuber界隈でも、そういったシーンが形成されれば良いですね。

例えば、阪大の「はなおでんがん」や、「積分サークル」とかは界隈があることで得してる感じですよね。

―シーンですか。音楽とかファッションに限らず、YouTubeにもそういったシーンが重要とは、なかなか興味深いです。

ただ、「さんまの東大方程式」や「東大王」のような、これまでテレビで東大生をピエロにしてきたようなコンテンツを、自分のチャンネルでやっている東大生YouTuberがちょいちょいいますが、あれはあんまり良くないと思いますね。クオリティが低い上に身内が見てもイタいし、外から見てもあんまり面白くないのであんまり伸びないんです。

テレビほど自分たちのことを相対化出来ているわけでもないのにフォーマットだけ真似しているケースが多いので、なんとなくズレている感じがすると言うか…。

そもそも自分の動画がバズった理由の一つに、テレビでもてはやされてる東大生ブームに対する「ちょっと違うんじゃない?」っていう感覚があると思っていて。そういう言語化されていないけど、少なからずみんな持ってる「東大王」とかへのカウンター意識のようなものを上手く代弁できたのが大きかったのかなと個人的に分析しています。

―自分が言うのもおこがましいですが、「もっと伸びてもいいのにな」と感じる東大生のYouTubeチャンネルをちらほら見かけます。

これはYouTubeを実際にやってみないと分からないことなんですが、当事者が自分のことを客観視するのって実はめちゃくちゃ難しいんですよ。

そこの部分って本当は言語化されたノウハウがあるんだろうけど、世の中的にはそういうのってセンスで賄われるっていうことになってるじゃないですか。だからそれが数字として表れてしまうYouTubeは残酷だなって思います。

―結構困っている人いると思うので、ベテランちさんがコンサルしてあげたらどうですか?

僕もそんなに偉そうなこと言えた立場でもないですが、DMもらえればYouTubeのコンサルなら全然やります!自分で動画作るのよりはずっと楽なので。お金はもらいますけど(笑)

ベテランち
YouTubeのコンサルやってもらえるそうです(有料)

ベテランちの野望

―今は学業の傍ら、YouTuberとして活躍されてますが、今後はそのまま医学部を出て医者になってという感じですか?

その辺はなんとも言えないんですけど……。
ちょっと話は逸れますが、小学校の時にふと「このままいったら医者になって死ぬな」って思ったことがあって。

その時10歳とかで、「今人生の8分の1終わってるけど、このままいったら医者になって死ぬだけだな」って思ったんです。そのときから、「自分って何がしたくて生きてんのかな」ということを常に考えるようになりました。

―10歳でそんな仙人みたいな境地に?!自分なんかカブトムシとダンゴムシのことしか考えてなかった気がするんですが…

「自分は何がしたいんだろう」って考えたときに、「無駄なことしたいな」って思って。

―無駄なこと、ですか?

社会的意義があることって、結局自分がやらなくても他の優秀な誰かがやってくれるんじゃないか、と思ってしまうところがあって。だから、誰でもできることやって人生終わったら嫌だなっていうのが根底にあるのかな…。まあ、それによってクイズとか短歌とか、変にサブカルチャー志向になっちゃったっていうのはあるんですが。

―具体的にこういうのがやりたい!っていうのはあるんですか?

一個一個目の前のことで精一杯なので、特には思いつかないんですけど……。短期的なことだと、ファンの方が直接見に来れるようなイベントをやりたいとか、短歌の本を作りたいとか、そういうのはあります。

それと長期的な野望があるとするなら、小さい既得権益に食い込んでみたいです。具体的にはPOPEYEの巻末エッセイの連載とか……(笑)

良い感じの既得権益を持ってる、POPEYEさんみたいなおしゃれメディアが、「私らこんなに既得権益持ってるメディアなのに、バンドマンやアーティストじゃなくてYouTuberに原稿頼んじゃうの、どう?」みたいな感じで僕に依頼する……みたいな(笑)そこでYouTubeのことなんかを小癪な感じで紹介して、ちょっとしたお金をもらって……っていう。

―おお、なんかやっているイメージ湧きます!

その路線でいうと、最終的な野望はオールナイトニッポンで番組を持つことですかね(笑)

ベテランち

さいごに

実際にベテランちさんにインタビューをしてみて、動画の中でどんなにくだらないことを語っていても時折感じる、知性や思考の奥行きのようなものが本物であるということを身をもって感じました。

ベテランちさんの魅力は、その知性と憎めないキャラクター、そして耳に心地よいトークです。

勉強や仕事で疲れた時、ベテランちさんの動画をどれでもいいので観てみて下さい。

彼はいつでもクスッと笑わせてくれますし、そんなに肩肘張って頑張りすぎなくてもいいかな、と思わせてくれると思います。

ベテランちさんの灘校時代の同級生へのインタビュー記事はこちら↓

この記事を書いた人
ヤマト
UmeeT3年。主に財務・企画担当ですが、フォトグラファーもやってます。
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