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【本当にカンニングは起こらない?】オンライン形式のテストについて、東大生にアンケート調査してみた

2020.06.18

大学でオンライン授業が行われるようになってからある程度時間が経ちましたが、授業は順調に進んでいますか?

僕は慣れすぎて寝転がる時間を入れなければ授業が受けられない体質になってきていることに危機感を感じはじめました。

なんか座ると腰が痛くなる。

授業には慣れてきた反面、学期末に待ち受ける「テスト」に不安を感じ始めている人も多いかと思います。

それに今回、多くの試験はオンライン。これまでにない様々なトラブルが予想されます。

そこで今回、UmeeTはアンケート調査を行い、「オンライン形式でのテスト」についての情報を集めました。

オンライン授業を受ける予定の学生はもちろん、是非とも大学・教育関係者に見ていただきたいです!(ゆるゆるメディアのUmeeTにとっては珍しい)

そもそもオンラインのテストについて、学生はどのように感じているのでしょうか。

実際にオンラインのテストを受けた学生へ「あなたはオンラインでのテストに満足していますか」という質問をしたところ、このような回答結果が返ってきました。

総回答数55

半数以上の人がオンライン授業に満足していないことが分かります。

オンライン授業には、学生が不満を感じる問題点があるようです。

(それでこそ、この記事を書く意味もあるんですが)

記事を書く意味がありそうで安堵。

それでは、ここから一緒に「実際にどのような形式でテストが行われたか」「そこで発生した問題」「どうすれば問題を解決し、満足のいくオンラインテストを実施できるか」などについて、学生からの意見・情報を見ていきましょう!

テスト形式はGoogleフォームとITC-LMS

実際にオンラインでテストを受けた人からどんな形式でのテストだったのかを聞いたところ、まずそのテスト形式として大きく2種類が挙げられました。

1つ目はGoogleフォーム、そしてもう1つはITC-LMS(東大のLMS)です。

大学に入ってから何度も見たやつ。

まずはGoogleフォームについてですが、具体的なやり方について、以下のような回答がありました。

Googleフォームで選択問題に解答

前期教養1年

Googleフォームで選択肢を選ぶ形式 or 手書きで問題を解いて写真をアップロード

前期教養2年

Googleフォームを使用したものの中でも、選択機能を用いたものと、ファイルアップロード機能を用いたもの(または併用したもの)に大別されました。

Googleフォームのリンクは、Zoomのチャットを用いて提示されることなどがあるようです。

次にITC-LMSについてですが、以下のような回答がありました。

ITC-LMS上での選択肢形式。

学部4年

ITC-LMSに問題のPDFがアップロードされ、授業時間にzoomでパスワードが発表される。その後ミュートオフ、カメラオンの状態でズームを繋いだまま、各自用意したA4用紙に解答を記入。試験時間終了後、写真を撮るなりスキャンするなりした解答用紙のデータをITC-LMSに各自がアップロード。提出済みの学生から各自zoomを退出。持ち込み可。

学部3年

ITC-LMS上でこの期間内に受験してくださいという指示があった。70問ほどの4択選択式問題を60分で解く形式。インターネットや配布されているレジュメ等なんでも参照してよかったが、1問1問参照して解答していくと時間切れになって全部解ききれないくらいの難易度に設定されていた。

修士2年

こちらも選択機能とファイルアップロード機能を用いたテストが行われていました。

媒体が違うというだけで、GoogleフォームのテストとITC-LMSの実際のテストの形式が大きく異なることはないようです。

提出するファイルは手書きのものをPDF化するような形式が多いようでしたが、パソコンで回答を入力するケースもありました。

その他、メールでファイルを送信するテストや、GoogleフォームとITC-LMSの両方にファイルを提出し、チェックを行う授業などもありました。

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オンライン形式のテストの3つの問題

では、オンライン授業では実際にどのような問題が起こっているのでしょうか。

オンラインでテストを受けた学生に聞いた、オンラインテストの問題点を見ていきましょう。

こちらは大きく3種類に分けられました。

1つ目は、カンニングが容易に行えること、

2つ目は、インターネット環境の影響を受けること、

3つ目は、タイピング能力によって有利・不利が生まれること

です。

1.カンニングが容易に行える

まず1つ目のカンニングについてですが、これはみなさんも想像できるように、対策を取らなければオンライン形式のテストは不正がし放題になってしまいます。

友人同士で相談するなどの不正を防ぐ方法がなく、真剣に受けている生徒が損をする可能性がある

前期教養1年

カンニングし放題、しない者負けみたいなテストになってしまっている。

前期教養1年

カンニングには、教科書などのテキスト・ネットの情報を参照して行うものと、他の学生などと協力して行うものがありますが、オンラインではこのどちらも簡単に行えてしまいます。

性善説に頼らなければ、やってられません。

孟子大先生を信じるしかない。

ただ、教科書などのテキスト・ネットの情報を参照して行うものについては、初めから持ち込み可の形式にしておくことで、ある程度対策はできるでしょう。(ただこの場合、基本的に記述式の問題になると考えられ、これから紹介するファイルのアップロードやタイピングに手間取るといった、別の問題が発生する恐れがあります。)

一方、他の学生との協力については、オンラインで対策するのはなかなか難しいと思われます。また、語学のテストなど、そもそも記述式での回答が難しいテストのカンニング対策も考える必要がありそうです。

カンニング対策として

カンニング対策に力を入れている授業では、テスト中にZoomのビデオを通しての監視が行われていました。

これでも不正の可能性が全くないわけではないですが、かなりの抑止にはなるはずです。

アンケートの回答者から聞いた中で、最も徹底したカンニング対策を行っていたテストでは、以下のような形式が取られていました。

・学生がZoomで4つの部屋に割り振られる。それぞれの部屋に教員が1人、学生が30人弱いる。

・テスト中はZoomのカメラオン・ミュートオン必須。

・Zoomのビデオ画面は録画され、後日確認される。

めちゃくちゃ徹底してる…

マンパワーが必要なところがネックですが、このような形式をとれば、カンニングは大幅に改善されそうです。

2.インターネット環境の影響を受ける

次にインターネット環境の影響について見ていきます。

フォームに入れない

Googleフォームに入れない人がいる。 フォームになぜか入れないトラブルが毎回誰かしらに起こっているので、複数のリンクを作っておくのが良い。また、小テストの場合は、5回行うなら、点数の高い4回を評価に含める等、入れない人にも配慮する必要がある。

前期教養1年

まず、テストを受けるためのフォームに入ることすらできないという問題が発生しているようです。

これは個人のインターネット環境だけの問題ではなく、おそらく一度に大勢が同一のフォーム、サイトに入ろうとすることによっても引き起こされている可能性があります。

まず、対策として、上に示した回答者の方も答えてくれていますが、テストを複数回に分けるということが考えられます。

これにより、トラブルが発生した際に一発で単位が飛んでしまうという悲劇が発生しません。

実際に発生した、もし一回きりの試験だったら単位が飛んでしまうようなトラブルとして、問題、回答フォームにアクセスできないことのほか、システムエラーで回答が全て飛ぶPDFファイルのアップロードに時間がかかり提出期限を過ぎてしまう(こちらは後述します)というものも挙げられていました。

ヒェッッ。怖すぎる…

寝ている場合ではない。

また、多くの学生が同時に入ることによってサーバー落ちなどが発生しないようにするため、テストの開始時刻をずらすという対応をしているケースもあるようです。管理が煩雑になり別の問題が発生する恐れがありますが、一つの対策でしょう。

ファイルのアップロードに時間がかかる

次に、こちらも多くの人から挙げられていた問題点として、ファイルのアップロードに時間がかかるということがありました。

pdfファイルのアップロードに時間がかかり提出期限を過ぎてしまった。それによって不本意な減点もありえるとのこと。

前期教養1年

ファイルをアップロードするテストには、ファイルをアップロードする時間をテスト時間に含めるものと、含めないものの2種類があるようです。

含めるものの場合、アップロードに時間がかかる人とかからない人の間で差が生じてしまうという問題点が指摘されていました。

またあるテストでは、回答時間がすぎた時点でも多くの学生のファイルが提出されていなかったため、回答時間が延長されたということもあったそうです。これはインターネットトラブルが起きた学生の救済にはなりますが、既にファイルを提出してしまった学生にとっては不公平になります。(回答者はそれが不満だということを伝えていました。)

確かに、回答時間終了後にも回答できてしまうという懸念はありますが、今回アンケートに回答してくれた学生の中では、ファイルをアップロードする時間を含めない形式が望む意見が多く見られました。

3.タイピング能力によって有利・不利が生まれる

次に、タイピング速度の問題があります。

本来紙に書けば良かったものを制限時間以内に入力させるのは生徒のタイピング速度という別のファクターが絡んでしまうので、制限時間を設けるテストであっても紙に書いてスキャンして提出させるべきである

前期教養1年

パソコンのタイピング能力がそこまで高くないため記述式の問題は問題の難易度とは別の難しさがあった

前期教養2年

タイピングという学力とは関係ない点で差がついてしまうことを不満、不安に感じている学生が多くいました。

既に述べたように、オンラインのテストには手書きの回答を写真に撮り、そのファイルをアップロードするというものがあります。

タイピングが苦手な学生のことを考えると、そちらの方法の方が公平になると考えられます。

そのほかの問題点として、

  • 残りの解答時間がはっきり分からない
  • 解答したテストがちゃんと提出できているか確認できない
  • 問題文への書き込みができず、解きにくい

といったものが挙げられていました。

今回、実際にオンラインでのテストを受けた学生だけでなく、まだ受けていない学生にもアンケートを取り、オンラインのテストへの不安について聞きました。

「あなたは今後オンライン授業でテストを受けるにあたって(もしくは受ける可能性があることに対して)何か不安はありますか」という質問についての回答結果は、このようになりました。

総回答数71

7割ほどの学生がオンラインのテストに不安を感じていることが分かります。

不安の具体的な中身として、ここでもやはり、これまで述べてきたカンニングの容易さ、ネット環境によるトラブルなどが挙げられていました。

真面目にやるほど損をするような状況に不満を感じている学生が多いようです。

やはりオンラインでのテストは難しい

最後に、どのような方法でオンラインのテストを行うのが良いかについての意見を聞きました。

その回答のほとんどは、すでに上で述べた問題点の解決策として提示してありますが、その他の意見として、

個人的にはオンライン試験には反対ですが、履修者の多い科目はオンライン試験をやらざるを得ないと思います。その場合、

試験問題は基本的に選択式、または穴埋め方式にすべき

→記述式だとタイピングスキルにより差が生じてしまうため

カンニング対策は試験時間を短く制限することで対応

→勉強している学生は検索する手間がないので時間をかけずに解答できるが、勉強していな学生はいちいち調べることで時間がかかり結果的に全問解答できない。その解答時間の差を利用して差がつくようにする。

前期教養2年

といった提案も見られました。

しかしその一方で、そもそもオンラインでのテスト自体が難しいという声が多く見られました。

確かに、これまで述べてきた解決策は「まだマシなもの」というだけであって、問題を根本的に解決できてはいません。例えば、カンニングを抑止するためのZoomでの監視にしても、パソコンのカメラに映らない位置に何か仕掛けておくなど、いくらでも抜け道はあります。

ポテチの袋に入れることもできます。
出典:DEATH NOTE コミックス3巻より

「大学でオンライン授業を行う際、どのように成績を評価すべきだと思いますか」という質問についての回答結果は、このようになりました。

総回答数71

今回調査した中では、4分の3程度の学生がレポート形式の成績評価を望んでいました

テスト内容などによりやむを得ない場合以外は、できる限りレポートによる評価を行った方が良いかも知れません。

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終わりに

初めてのことばかりで、大学関係者、学生ともに大変なことが続くオンライン授業。(特に教員や事務の方は本当にありがとうございます。)

これまでにはなかった様々な問題の多くは、それに関わる全ての人が考え、協力しなければ、解決することができないと強く感じています。

今回アンケートに回答してくださったみなさんをはじめ、全ての学生が満足できるテスト環境が提供されることを願っています。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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チロル
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