日本一頭のいい東大の中で一番頭のいい人って誰なの?
もちろん頭の良さにも種類があって、一概に括ることはできませんが、みなさんのうち、多くは彼のことを頭に思い浮かべるのではないでしょうか。
東大医学部の異端児・水上颯。
東大王など、多くのテレビ番組にも出演されている水上さんは、天才東大生の代名詞となっています。
今回、そんな 水上さんにUmeeT編集部が初取材。
取材をすると、テレビで観ているだけでは想像もつかなかった一面が見えてきました。
ー取材は2019年5月24日に行いました。
こんにちはー。
──うわっ!!!!本物だ!!!!頭良さそう・・・(バイアス)。
早速なんですが、単刀直入に聞きます。なんでそんな頭いいんですか。
ええ・・・(笑)。
──クイズ番組で重箱の隅をつつくような問題まで、間髪入れず答えられているじゃないですか。その知識量はどこからくるのかな、と。
クイズでしたら、やはり普段から周りのことに対するアンテナをはるようにはしていますね。
──どんなものから知識を得るんですか?
テレビ、新聞、本などメディアが多いです。クイズに関して言えば、競技クイズ(クイズの実力を競う試合)用の問題集も役に立っていますね。あと、生活していて気になったことは、すぐ調べて情報を入れます。
──なるほど。それでも、あの尋常ではない知識量は理解ができないですよ。
例えば、水上さんって理系じゃないですか。だから、世界史の知識とかは学校で直接教わったのではなく、独学で仕入れたのだと思うんですけど、それはどうやって身につけたんですか。
高校で世界史を学んでいる高校生は、心底水上さんに聞いてみたいと思ってるはずです。
んー、クイズと受験勉強はまた違うと思うんですけど、クイズは音声情報が大事なので用語集を読んだりしますね。文字で覚えるものと画像で覚えるものは違うので。
──用語集だけだと体系が分からなくないですか。
確かにその点で用語集は不向きですね。教科書を読むこともあるんですけど、そこにおいては文系でちゃんとやってきた人には勝てないと感じることがあります。
──水上さんでも勝てないと思うことあるんだ・・・。
ありますよ!!ともかく、僕はどう生活してきたか、生き方の全てを問われるのがクイズだと思ってます。
だから、昔はどんな問題にも答えなきゃいけないなって思ってたんですけど、今は自分の得意なもの、自分の生きてきた中で答えられるものを答えられればいいという感情になっています。
無理にクイズの勉強をするのではなく、今までの努力をクイズに生かすというスタンスなので、楽しくやれています。
──それであのクイズの実力なんだから、常人にはやっぱり真似できない・・・。
でも確かに、水上さんは勉強勉強って感じでなく、小説などの本を読まれたりとか、娯楽に適度に時間を使っている印象があります。
医学の勉強もあって、昔ほどは読めていないんですが、1ヶ月で14、15冊くらいは読むようにはしてますね。
──一冊どれくらいの時間で読むんですか?
小説は一冊4、50分くらいです。
──早っ!!
漫画だと一冊5分くらいで読んじゃいます。
──それ楽しんで読めてます?作品に入り込めますか?
入り込めますよ!!
──今まで水上さんのクイズ勉強法を聞いて、それほど特別なことをしている印象はなかったんですけど、この圧倒的な情報の吸収速度の速さが実力の秘訣の一つではありそうですね。
速読法とか勉強したわけではないけど、昔から本読んでたら早くなっちゃって。ちゃんと1行1行読んでるんですけどね。
ただ、文字を読んでいてもそれが音として頭の中で流れることはありませんね。文字情報と音声情報はそれぞれ別に処理しています。頭の中で音読は絶対にしないです。
──ええ・・・。僕、がっつり音声再生されちゃってる・・・。なんなら、それでも理解できなくて同じ箇所なんども再生しちゃってる・・・。
あと、娯楽といえばゲームもお好きですよね。
やりますね。スマブラとかもやってますし。
今はポケモンGOやってます。
──あっ!!インタビュー中にちょこちょこスマホ触ってるなあ、と思ってたら、この人ポケモン捕まえてた!!
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──水上さんは今医学部に所属されてて、医師を目指されてると思うんですけど、クイズと医師の結びつきって強くないですよね。
はい。強くないですね。
──尋常じゃないクイズの実力があるんだから、将来そういった関係の道に進もうと思ったことはないんですか?
僕の中では、クイズは趣味で、本業として医師をやりたい、って感じです。
そもそも今、クイズで稼げるかなんでとても怪しいですよね。一応クイズ作家という職業はありますが、日本に10人ほどしかいないんです。
魅力がないわけではないんですが、昔から医師を志望していた身なので医師として活動していきたいですね。
──そもそもどうして医師を目指されたんですか?
両親が医師だったので、その影響が強いです。医師の働き方というのが一番自分に身近で、人を助ける職業が自分の中で理想だなと思っていたので、最初から医師という将来の目標が自分の中に漠然としてありました。
──他の進路は無数あったと思うんですけど、迷ったりはしなかったんですか。
迷いはなかったです。
人を助けるにも色々あって、例えば文系の社会学とかだと、社会の仕組みを変えて、それこそ医学の仕組みも変えて、一対多で人を救うことができると思うんです。トップダウンで世界を変えるというのも非常に意味のある学問だと思います。
でも、僕はストレートに人を助ける医師という職業に魅力を感じたんです。
──直接人を助けることができる職業、かっこいいですね。
でも水上さんがそれを魅力に感じておられるというのはなんだか意外でした。
失礼ながら、水上さんくらい能力を持っちゃうと、唯我独尊、孤立無縁に生きていこうとするのかな、と思っちゃってて・・・(笑)。
昔は僕も人は一人で生きて一人で死ぬと思ってたんですけどね(笑)。僕も変わったんです。
──医師としてどういった働き方をしたいと考えていますか。
これは難しいですね。まだ決めかねています。
一つは神経内科とか、精神科とか、人間の心の部分に精通する医師となる道を考えていますね。
もともと、僕は人がどう考えて行動するかということに興味があったんです。精神科は哲学的で文学的な理論が多いところで、それも魅力ですね。
人の頭って人間の中で解明が進んでいない部分だと思うんです。そういった、未知の領域って心ひかれませんか?東大生はもちろん、多くの方に共感していただけると思うんですけど。
──正解があるクイズに趣味として取り組まれている一方で、見えない部分を探すのも好きなんですね。
実は本業としては教科書に残るような仕事をしたくて。
別にすごい発見をしなくてもいいけど、教科書の1行分くらいだけの業績を残して、自分の後に続いてくれる人への最初の一歩になりたいな、と思っています。だから今まで解明できていない分野に行こうというのはありますね。
──素晴らしすぎて何も言えない。
ただ、実際にどの道に行こうかはやはり決めかねていますね。臨床医をやろうか、研究医をやろうかということも、まだ決められていません。
ただ、どうにかなるかな、とも思っているんです。
僕、結構行き当たりばったりなんで、進む道も出会いとふらっとした運だと思うんですよ。
──出会いと運?
はい。結局、人が自分自身で選べることってそんなにないですよね。
僕は自分の可能性をそんなに信じていなくて、時が進むに従って人生の選択肢っていうのはどんどん減っていくじゃないですか。
僕も、これまでの人生でいくつもの選択肢を落としてきてる。
そこで、最終的にどの道にするかっていうのは、自分の気持ちも確かに要因としてはありますけど、結局周りの環境が決めることかなと思うんです。
だからこそ、これしかないっていう生き方は苦労すると思うんです。それができないことや、違っていることもあると思うので。
今、僕は視点を広く持って、あれもあるしこれもあるし、って思いながら、人生に肯定的に生きています。
僕、肯定ペンギンなんで(笑)。
──肯定ペンギン(笑)。
確かに、学生はどうしても進路に迷う時期ですが、将来何をやっても大丈夫だぞ、というくらい悠長に構えるのも大切なことかもしれませんね。
食い詰めたらYoutuberでもやりますか(笑)!
──水上さんは、よく東大生としてメディアに出演されていますけど、東大生の代表のように見なされることについてはどう思っていますか。
面白い質問ですね。そもそも僕、東大生の番組って結構嫌いで。
──え、そうなんですか!?そんなこと言っちゃって大丈夫ですか?
確かに僕も東大生の番組に出てるので言いにくいんですけど(笑)。
ただ、僕の中では東大自体がすごい場所というよりも東大にすごい人がいるという認識なので、東大という肩書きを棍棒にして人を殴るのは好きではないですね。
だから東大生の番組というのもアイデアとしては好きではないです。
ただ、「東大王」に関しては東大の看板を背負って戦っているという意識はありますね。
確かに好きな看板ではないんですけど、実際に東大には卒業生も合わせたら10万人規模くらいの人が関わっていているので、そういう人たちに不幸な思いをさせたくないとは思っていて。
だからミスをしたときは、東大生が知識ないんじゃなくて俺が知識ないだけだということにしたいし、逆に活躍したときはとりあえず東大のおかげにしとこっか、とは思ってます(笑)。
──善良すぎますね。
実際、僕自身東大は素晴らしい学校だと思っているし、恩返ししなきゃいけないなあ、と思うことは多いですね。迷惑もたくさんかけているので。
──迷惑ってどういうことですか。
僕、提出物出さないこと多くて、大学の教務課の方にはいつも助けられています。
本当に自慢できないんですけど。
──現実的な迷惑かけてるんですね。
人間的に社会不適合だとは思うんですけど、実務的な面では僕は結構忘れがちなんですよ。
俺の学年で教務課に一番迷惑かけてるの俺ですからね。
──まさかのここで一番宣言。
最初に教務課にお世話になったのは、試験の時間帯を間違えてて追試を申し込みに行ったときで。
それが教務課の方たちとのファーストコミュニケーションだったんで、どうしようもないなこいつ、と思われてたと思います。
今まで生き延びることができて、教務課の方たちには本当に感謝しています。みなさんありがとうございます。
──そこにはアンテナはらないんですね。
僕も悪いとは思ってるんですけど、人にはできることとできないことがあると思うんです。
それに気づいてから、人は一人では生きていけないんだと思うようになりましたね。
──お話を伺っていると、水上さんは昔と今で他者に対する考え方が変わったのかなという印象を受けるんですけど、何かきっかけがあったんですか。
特別なきっかけがあったわけではないですね。考え方が変わったのも結構最近なんです。4年生のころあたりで。
頭脳王に最初に出た頃の僕には、当時の肩書きの「東大医学部の異端児」が似合っていたかなって思うんですよ。
当時は人のステージよりも自分を上に置いて、周りの人を俯瞰してみてしまうところがありました。それだとお互いにお互いを傷つけることはないじゃないですか。
だけど、結局我々一つの延長線上にいるんだなと考えるようになったんですよね。
滅多なことも言えなくなったし異端児も卒業かな(笑)。
──卒業ですか(笑)。
昔は生きていくの大変だなあ、と思っていて、精神をやった時期もあったんですけどね。人間も嫌いやなあ、と思ってましたし。
──今は人間好きですよね。
意外にね(笑)。
自分にできることってそんなに多くないし、お互いに助け合って生きていくしかねえかなあ、って思いますね。
そういう人の成長も面白いとことですよ。
──自分の成長ですよ(笑)。
自分の成長も面白いと思いませんか?
自分も一人の人間ですし、自分の成長を感じると、俺も成長したな!って。
──今の自分好きですか?
今の自分は割と嫌いじゃないです。
僕、肯定ペンギンですから、どんどん肯定していきますよー(笑)。今日も朝8時に起きれて偉い!ってね。
──日々の中で自分のよかったところを見つけていくのは大切ですよね。
水上さんって自分のこと天才だとは思わないんですか。
まさか!思わないです。
ただ、僕のことを天才と思ってくれている人がいるならある程度そいつらに夢みさせてやらねーとな、とは思いますけどね(笑)。
──最後になるんですが、今、自分で自分の肩書きを選ぶとしたら何にしますか。
「東大医学部の肯定ペンギン」ですかね。
──ぴったりです(笑)。
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メディアを通した水上さんは、超人的で、完璧な存在という印象だったのですが、実際にお会いしてみると、僕たちと同じように迷い悩まれるとても人間的な方でした。
この記事を読んで、テレビや本からでは知ることのできない水上さんの一面を知っていただけると幸いです。
インタビューに応じてくださった水上さん、本当にありがとうございました。
そして最後まで記事を読んでくださったみなさんに感謝申し上げます。