東大生が難問を次々と解き、見る者を圧倒するクイズ番組・東大王。
普段よく見ているという方も多いのではないでしょうか。
今回、東大王の出演メンバーの1人、紀野紗良さんをUmeeT編集部が初取材!すると、紀野さんの閃きのプロセスを教えていただけただけでなく、テレビでは見られない一面まで見せていただくことができました。
お名前:紀野紗良さん
所属:東京大学農学部3年
備考:東大王出演
紀野さん、今日はよろしくお願いいたします!
よろしくお願いします!
紀野さんと言えば、「閃きのスペシャリスト」と呼ばれるほど、閃き力に定評があります。どうしたらそんなに閃けるのでしょうか?
確かに、番組の中でそういうあだ名で通ってますね。
私が閃き力を鍛えられたのには、私がAnotherVision(注1)に所属していることが関係していると思います。
自分は「閃きの運」がいいだけだと思っていて、運ってどうしようもないじゃないですか。
でも、運に左右されてばかりなのもいけないので、閃き力について考えてみたのですが、閃き力は「潜在的な運」と「経験」から成っていると思うんですよね。
私が所属しているAnotherVisionでは友達と一緒に謎解きを作ったり、謎解きのイベントに行ったりするので、経験は多い方なのかなと思います。
(注1)AnotherVision
東京大学の謎解き制作集団
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閃き力は運と経験からなっている、か・・。でも、実際閃きに至るまでのプロセスはどんな感じなんでしょう?
経験、ということは、過去の問題と同じような問題が出てくることがあるということですか?
そうですね。いくつか解いていくと問題のパターンをある程度把握できるんですよね。
例えば、数字が並んでいる問題があったとします。
まずは直感で解いてみます。でももし直感で解けなかったら、その数字の並びがただの数学的な数列なのか、何かの日付なのか、それとも文字の画数なのか、など様々な角度から考えます。
そういうありえそうなパターンをいくつか頭に浮かべておいて、一つずつ当てはまるかどうか調べて考えます。
謎解きはAnotherVisionに入る前からお好きだったのですか?
大学に入学してたまたまAnotherVisionの新歓に行った時に、謎解きイベントをやっていて、私が本格的に謎解きを始めたのはその時からです。
東大王に限らず、いろんなクイズ番組を見るのが中高生の頃から好きだったのですが、その新歓のイベントに行くまでは、クイズ番組の問題を解くくらいでした。
やっぱり、番組で出題されている問題は解けていたのでしょうか?
そうですね。そういう番組の中での謎解きでは出演者よりも割と早く解けたりしていたので、もしかしたら運がいいのかな、とは思っていました(笑)
東大王では、ひらめき系以外にも知識系のクイズも出題されますよね。そういう知識系のクイズにはどのように対策されているのでしょうか。
高校時代にクイズ研究会に入っていた人達に比べると、自分は全然知識がない方だったので、もともと知識系は苦手なジャンルだったんです。
難読オセロ対策としては、魚の名前や食べ物の名前など、ジャンルごとに難読漢字をパソコンやノートにまとめた資料を作ってそれを覚えています。
出演されて、ご家族など周りの反応はどうでしたか?
喜んでいましたね。母と父は、自分が初めて出る日に私が出ていることを知っていたんですけど、弟だけには何も知らせていなかったんです。
えっ、、
初回放送の時に弟が自習室で勉強していたら、弟の友人から「お姉ちゃんが(東大王に)出ている」と連絡が来ていたそうでびっくりしたそうです。
いや、それは普通にびっくりしますよ!!
紀野さんはご出身が北海道ですよね。東京にいる紀野さんの姿がテレビで見られるのはご家族にとっても嬉しいと思います。
そうですね笑
紀野さんは去年の4月から東大王に出演されていますよね。出演されてみていかがでしたか?
最初の頃はかなり緊張しがちで、問題に答えるのに必死だったのですが、最近はさすがに出演し始めてから1年経ったので、精神的には大分落ち着いた状態でやれています。
来年には正規メンバーが何人か卒業するので、「自分が引っ張っていく存在になっていかないと」と思っています。
少し気になっていたのですが、東大王の出演と大学での勉強は両立できるものなのですか?とても忙しかったんじゃないかと思うのですが・・。
試験前は本当に大変でしたね。試験前でも、私は東大王と大学の勉強の両立をすると決めていたので、試験前日に番組の収録があることもありました。
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紀野さんは読書がお好きだとお聞きしました。
幼少期の頃から本が好きだったと思うんですよね。
私の母親が結構読み聞かせをしてくれたりとか、公文に通っていたのですが、公文に小さい図書室があって、そこで本を読んでいるうちにどんどん読書が好きになりました。
本を早く読むコツとかはあるのでしょうか?
普段の速度はそんなに早くないと思うのですが、入試とかでどうしても早く読まないといけない時は、斜めに読んでいます。
・・・。斜めに読む・・?それってどういうことでしょうか。
2、3行くらい一気に読むんですよね。受験生の時に、模擬テストのなかで身につけました。でも早く読むことを意識すると内容がおろそかになっちゃうなと思うので、普段は割と丁寧に読みます。
紀野さんがどんな風に勉強をされてきたのかぜひお聞きしたいです。
まず、紀野さんの得意科目は何ですか?
英語ですかね。もともと得意な方でした。
私の幼少期から英語が得意な母が教えてくれていました。
小学校低学年の頃は英会話教室に通っていたのですが、英会話教室ってあまり文法をちゃんと習わないじゃないですか。文法は、中学2年まではなんとなくでずっと解いていました。
でも受験ってそんな甘くないので、中3から塾で1個年上の人達のクラスに入って、3年間文法を習いました。英語に関しては高2までに完成させて、高3の時はたまに勉強するという感じでしたね。
英語は長文読解と和訳を大事にしていました。
長文読解は、精読をするようにしていました。文節で区切って、「ここはWhat節だ」という風に、文法的に文章を分解して読んでいくようにしましたね。
和訳は、直訳で硬い日本語を作るよりも、より日本語らしい表現になるように気をつけていました。
英単語を覚えるのは、自分の中では割と苦手な方でした。単語と日本語が1対1になってるのが、どうしても覚えられなくて、難しかったのですが、私は”DUO”という英単語帳を愛用していました。
その単語帳だけは文章で単語を覚える作りになっているので、私のように、単語と日本語が1対1になっているのが覚えにくいという方にはおすすめです。
なるほど、ありがとうございます!
少し気になったのですが、紀野さんって苦手科目あるんですか・・?
物理が苦手でした。
紀野さんにも苦手科目あったんだ・・!!(筆者心の声)
なぜかというと、大学物理のように根本から習わなかったからだと思います。公式を1つ1つ覚えて、それを適応させるというやり方でやっていたので、原理を理解せずに問題を解いていたのだと思います。
どうやって対策されたのでしょうか。
酷い点にはならないようにはしていました。定期テストとか、比較的易しめの試験ではちゃんといい点を取れるように基礎的な問題を使って対策しました。
なるほど!基礎的な問題を解いて、最低限のレベルにまでは引き上げていたということですね。
そうですね!
あと、Twitterで紀野さんのノートが話題になっていましたね。
Twitterに載せていたのは学校や塾のノートだったのですが、自分で見返したときに授業を頭の中で思い浮かべられるようにしました。
あと、ノートをまとめている時に覚えるようにすることをとても大切にしていました。
結局は、自分が覚えやすいものを作るようにしていましたね。汚くてもそれで覚えられるのであればそれでいいと思うし、ノートをそもそも取らない人もいると思うので、そこは人それぞれだと思っています。
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紀野さんはどの様な受験生時代を過ごされたのでしょうか。
結構受験を楽しんでいた方だと思います。
高2までは高3で焦らないように継続的に勉強することを大切にしていたので、他の人が遊んでいる中自分は勉強しているという状況で、遊びたい自分もいて心の中で葛藤していました。
しかし、おかげで高3は精神的に穏やかに、割と楽しく過ごせたかなと思います。物理は本当にずっと悩みの種で、どうしようもないものだったのですが・・・。
今受験生にアドバイスするならば、秋は出題傾向を掴むために過去問に手をつける時期だと思います。それと共に、苦手分野をひとつひとつ潰していき、穴がないようにすると合格へ更に近づくのではないでしょうか。受験生の皆さんが志望校に合格することを願っています!
東大王出演以外に学生時代にやってみたいことはありますか?
「大学4年生までにこれをやりたい」と具体的に思っていることはありませんが、自分が修士課程に行った時に、留学はしてみたいなと思います。
修士課程か博士課程で1年くらい留学できたらいいなと思っていて、自分の研究したい分野の学びを深めるのと同時に、人脈を広げておきたいですね。
受験が終わってからあまり英語の勉強ができていないなとは感じているので、留学をきっかけに自分の英語力を取り戻すきっかけにしたいです。
あと、紀野さんのコスプレが話題になっていましたね。
2年生の時に、コスプレを着て踊るサークルに入りました。元々は体を動かさないとこのままじゃダメだという思いで始めましたね。
2年生の夏学期は授業が少なく時間があったので、今のうちにダンス系のサークルに入っておこうと思いました。
東大王や自分の勉強との兼ね合いもあるので、練習が任意参加で、ちゃんと踊れるのなら家で個人練習しても良いサークルに入りました。結果的にコスプレをすることになったのですが、自分の知らないアニメを知ったりするいい機会になりましたね。
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紀野さんが将来どのような道に進みたいと思われているのか教えてください。
とりあえず大学院に行って、修士号、博士号をとりたいと思っています。その後は大学に残って研究をしたいなと思っています。
結局、コロナの影響で、まだ実験ができていないんですよね。自分が研究職に合っているのかわからない状況なので、自分が本当に研究者の道に進むかどうか断言はできないですが、今はそういう気持ちです。
現時点では研究者を考えておられるのですね。紀野さんが研究者になったらかっこいいだろうなあ・・!紀野さん、ありがとうございました!
紀野さんを含めた、東大王に出演している東大生メンバーは、東大に通う私から見ても超人的な雰囲気がありました。
もちろん、彼らには生まれ持った才能があるのだと思います。しかし、今回のインタビューを通して、紀野さんのテレビの活躍の裏には紀野さんの着実な努力があることがわかり、これまでとは違う尊敬の念を抱くようになりました。
また、個人的な感想なのですが、紀野さんの謙虚で落ち着いた話し方から、紀野さんの知的な雰囲気がひしひしと感じられ、とても素敵でした。私も、紀野さんみたいな知的な雰囲気を身に付けたいと思いました!(笑)
最後に、お忙しい中取材を引き受けてくださった紀野さん、そしてここまで読んでくださった方々に感謝申し上げます。