村岡紗綾。2018年度ミス東大ファイナリストNo.4。
DJ、ダンサー、そしてモデル。
サブカルチャーに造詣が深くどことなくミステリアスでアンニュイな雰囲気を漂わせる彼女ですが、実はサイバーエージェント子会社の社長というビジネスパーソンの一面も持っています。
ファッションリーダーとしての可憐で眩いばかりの魅力を放ちながらも、自分の美学と未来へのビジョンは誰よりも強く持っている。そんな彼女の奥深さに迫るために、お会いしてきました。
––––ちょっとこれは失礼かもしれないんですが、さあやさんって経歴とかやってることとかもそうなんですがどことなく人と違う雰囲気があるなって思ってて。その理由というか、背景にあるものが気になっていたんですよね。そこから聞いてみてもいいですか。
「そもそも人と違うことをするのが自分の価値だと思っているのが大きいですかね。
例えばこれは小学校時代に戻るんですが、地方出身だからってのもあるかもしれないけどやっぱり頭の良さとお洒落感度みたいなものって反比例するじゃないですか。それで周りの友達とかは基本勉強しない子が多かったから、『勉強したら差別化できるんじゃないか』って思って」
––––初っ端からぶっちゃけてきましたね笑
「もちろん馬鹿にするつもりとかは一切なくて。ただ自分がどこに属していて、どこで差別化してどこで価値を出していくかを考えるのって大事じゃない?
だから私の人生は逆張り*して自分をタグ付けしていくのが基本スタンスになるんだけど、そんな感じで上京して東大に入ると何が起こるかっていうと。」
*編集部注:元々は証券用語で、株価が下がっている時に買い、上がった時に売る投資方法のことで、そこから転じて世の中や人の流れに逆らって生きるスタンスを表す。簡単に言うとアマノジャク。
––––勉強じゃ差別化できなくなった?
「まさにそれです。周りがみんな勉強してるから、『私は違うことしとこ』って思って。それでDJやったりファッションライターやったり、どんどんカルチャー系の人間になっていったんですね」
——ルーツはそこなんですね。
「まあそもそもカルチャー系が好きになったっていうのは親の影響が大きいんですが、のめり込んだのは逆張りってモチベが大きいかもですね。ただここでも逆張りの人生は終わらなくて、小学生の頭の良さとお洒落感度の間にトレードオフがあるように、カルチャー志向とキャピタル志向の間にもトレードオフが存在するんですよ。」
——というと?
「カルチャー寄りの人間って結構お金を嫌うひとが多いんですよ。お金は汚いってイメージがあるのか、「金儲けなんてくだらねえ」って思考の人が多い印象で。だからこそZOZOの前澤さんとかは最近そこを打ち破っててかっこいいなって思ってるんですけど。
で、周りにそういう人が多くなってくると、また逆張りの習性が働いてきて『でもやっぱりお金も大事じゃない?』ってなって。私利私欲のためってより、今の社会を動かす力があるのはお金じゃないですか。それで就活とかもちゃんとやろうと思って・・・
経歴的にアンバランスって思われるかもしれないけど、ちゃんと一貫したコンセプトはあるんです笑」
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——ミスコンに出ようと思ったきっかけは?
「それも逆張りの延長なんですよね。逆張りっていうか自分を差別化できるものを探した先にあったもので。
今年東大を卒業するんですけど、学歴以外に自分をタグ付けするものとして東大から最後に得られるものって何かなって考えたら『ミスコンに出た』かなと思って。それにミスコン自体、なかなかできない経験だと思うし。」
——実際出てみてどうでした?
「結構ポジティブな変化を感じてるんですよ。一番は人当たりがまろやかになったことかな(笑)
これはまあ完全に反省点なんですが、今までは人とか話題への興味がはっきりしていて割とつっけんどんな態度をとってしまうことが多かったんですね。でもミスコンに出て、いろんな企画や撮影をしたりツイッターでフォロワーさんとコミュニケーションを取ったりする中できちんとしようと思うようになって。世界も広がるしね」
——さあやさんって、ダンスもDJも、さらには社長までやっていてバイタリティがすごいってずっと思っていたんですが、その源泉みたいなものを知りたいです。
「なんだろう、やっぱり全部好きなことだからかな、ありきたりだけど。
あとはちょっと大げさだけど、自分の美学に沿った行動をしたいっていうのがあって。まあ美学があるから色んなことをやってるのか色んなことをやってる中で徐々に美学ができてきたのかっていうのは微妙なんだけど・・・」
——卵が先か、ニワトリが先かみたいな話に通じそうですね。ちなみにその美学を教えていただいても・・・?
「たぶん人と違うことをするっていうのにも通じると思うんですが、
ですかね。特に上のニつが大きい気がします。あとは自分がかっこいいと思うことしかやらない、とかかな」
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——せっかくカルチャーの話を聞かせてもらったので、注目しているブランドとか聞いてみてもいいですか。
「結構ドメブラ*が好きで。TOGAとか、シアタープロダクツとか最近は着ますね」
*編集部注:日本人のデザイナーがてがける国内ブランド。エルメスやルイ・ヴィトンなどの海外ブランドはインポートブランドと呼ばれている。
(筆者、カメラマン)やばい、分からない・・・
「やっぱりドメブラってあんまり世に出ないものが多いので・・・でもそういう風にちゃんとこだわって服を買うと、大事にできるというか次のシーズンも着たいと思えるようになるので良いですね。
ただ最近は『何でも着れる人になりたい』って思うことが増えてきて。なんだかんだ自分はモード系に偏っちゃってて、結果的に自分の多面性が損なわれてしまっている気がするんですよね。いつも全身黒ばっかりみたいな。今日も黒い服ですし(笑)
だから普段着ないようなデザインの服をあえて着てみようかなって思ったりしています。」
(ファッションコーディネーター役として、東大生YouTuberもっちゃんとも共演。)
——将来の目標がスーパー経営者って聞いて意外だなって思ったんですよね。それこそ高等遊民とか自営業の自由人とかも似合いそうだって勝手に思ってしまって。
「最初の方に就活してたって言ったじゃないですか、私は元々広告代理店とか受けてて、それで紆余曲折を経て今の仕事に就いたって感じなんですが元々の動機が『好きなものを守れる力が欲しい』だったんですよね」
––––と、いうと?
カルチャーって、ファッションも音楽も映画もなんだけど産業構造的に制約が大きい世界で。既得権益も大きいから変えづらいんですよね。その中で、ブランディングの力、プランニングの力、アイディアの力があれば自分が好きなものが危ないってときにそれを守れるんじゃないかって思ったんですよね。広告しかり、スピーチしかり、何かを表現する力があれば世界を変えていけると思ってた。
でも経営に出会ったときに、何かプロダクトを作る、サービスを運営するってことができたら資本なり別の方向から世の中を変えていけるんじゃないかって思って」
——例えば・・・?
「マッチングサービスのpairsってわかりますか?あそこがこの前サマソニとコラボして、フェス会場で会員同士が会える場を作ったんですよね。それは音楽っていう既存のカルチャーの枠組みの中で男女の出会いという新しい体験を提供できている例ですごいなって思って。」
——それは知りませんでいた。スマホの中の世界と現実世界の融合みたいで面白いですね。
「ね、面白いでしょ。でそれ聞いたときに思ったのが、一つサービスとかプラットフォームを作れば、他の業界とコラボできるなって気づいて。だから経営ができるようになることが自分の目標を実現するための一番の近道かなって思ったんですよね。
あとやっぱり経営って一番変えられる対象のスケールが大きいなって思って。広告はきっと、ユーザー、消費者の行動しか変えられないんですよね。でも経営って、世の中まるごとというか社会の認識そのものも変えられるチャンスがあるんですよね。それがいいなって。
あ、ちなみに。私が今会社で開発してるのもマッチングアプリです。まだ具体的なことはコンフィデンシャルだから言えないんだけど、もうすぐリリースするから楽しみにしてもらえると!」
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——ミスコンにかける意気込みをお願いします!
「私を推す人は推せばいいし、『可愛い』ミスコンが好きな人だったらまあごめんなさいって感じでブロックしてもらえれば良いんだけど、私を推す人はセンスあるよ。
まあここまで言っちゃうと、逆に自分もセンス良くならないとなってなるよね笑。頑張るよ」