東大生姉弟が起業して、LGBT就活サイトを作った理由・前編【誰もが自分らしく働けるように】

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こんにちは、ライターのゆみです。

最近は就職活動をしていますが、気楽な大学生活の終了と自分で働かなければいけない責任感から不安で震えが止まらない毎日を送っています。

 

日本の過剰なサービス文化(「おもてなし」とも言う)が嫌で日本での就職活動から逃げていた私ですが、

今回は、そんな私の宿敵とも言える「就活サイト」を運営する会社を立ち上げた東大生にお話を伺ってきました。

でも、ただの就活サイトの会社ではありません。

その名も「JobRainbow」

Rainbowという言葉が示唆するように、「すべてのLGBTが自分らしく働ける職場に出会えること」を目指して立ち上げられた会社です。

※LGBT…レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)を指す言葉。セクシュアルマイノリティの基礎知識については、この記事に詳しく書いてあります

 

就活を経験した者として、就活はどんな学生にとっても大変だと思います。

「自分のやりたいことはなんだろう」とかもっとシンプルに「働きたくない…」とか悩むはずです。

悩まない人は…それはすごいねって思います。おめでとう。

 

が、LGBTの学生は、それらに加えてさらに、

「自分を差別する人はいないだろうか」

「カミングアウトするべきか、そもそもできるような環境なのか」

など、LGBT特有の悩みも出てくると思います。

 

そうしたLGBT求職者への情報提供サービス、求人サービスを運営する「JobRainbow」。

LGBTの学生も、そうじゃない学生も、熱い信念と賢い戦略を兼ね備えた、「JobRainbow」さんのお話を聞いていってください。

☞学生証

  1. お名前:星賢人さん
  2. 経歴:東京大学情報学環教育部特別研究生2年。2016年1月に「JobRainbow」を立ち上げ、3月にウェブサイト運営を開始。多数のメディアに取り上げられる。

☞学生証

  1. お名前:星真梨子さん
  2. 経歴:東京大学法科大学院。弟の星賢人さんとともに「JobRainbow」を立ち上げ、取締役を務める。

☞学生証

  1. お名前:本荘 悠亜さん
  2. 経歴:東京大学文学部4年。東大のセクシュアルマイノリティサークルtoposの運営も行う。「JobRainbow」ではインターンとして星姉弟とともに活躍。なんとピアニスト。

 

トランスジェンダーの友達は就活を諦めた

ーこんにちは、今日はよろしくお願いします!

さっそくですが、星さんが「JobRainbow」を立ち上げたきっかけを教えていただけますか?

 

賢人さん:よろしくお願いします!

賢人さん:私自身ゲイの男性なのですが、私は中学生くらいの時から「自分はちゃんとした職業に就いた大人になれるのかな」というところにすごく不安を感じていました。

同性を好きになる人っていうのは、テレビとかではオカマとかオネエとか馬鹿にされたり笑われる対象でした。だからロールモデルというのがあまりいなくて。

 

でも、そんな時にインターネットに出会いました。

そこでLGBTっていう言葉や、世界にはLGBTでかつ活躍している大人もたくさんいるってことを知って、

別にタレントとかじゃなくてもいいんだって、職業にも普通に就けるんだって、未来に初めてすごい希望を持てたんですね

 

で、大学は立教に通って、セクシュアルマイノリティサークルの代表をやったりしていました。

そこでトランスジェンダーの友達ができたんですね。彼女は高校までは男性として過ごしたけど、そのあとに一年間浪人して性別適合手術を受けて、女性として大学に入っていました。

彼女は大学生活を女性としてすごく謳歌していたんですけど、就職活動っていうのが大学3年の終わりから始まりました。

「トランスジェンダーはいらない」

賢人さん:彼女が就活をしていく中で、エントリーシートの性別欄に男女どちらに丸をつければいいのか、とか、スーツも男性と女性とはっきり分かれているから自分らしい格好ができなかったりとか、困ったことが結構あったみたいで。

いいなあと思っていた企業に面接をしに行って、トランスジェンダーであることを説明したら、「うちではあなたみたいな人いないんで」と言われて、すぐに帰らされてしまったこともあったそうです。

 

ー えっ…

 

賢人さん:そういうことが積み重なり、彼女は就職活動を続けられなくなってしまって、大学も辞めてしまいました。

その当時彼女はホルモン治療とかをしていたんですけど、そういう治療や手術って保険がきかないことが殆どで、すごくお金がかかるんですね。その費用を捻出するために、彼女はセックスワーカーとして働いていたんです。

大学を出たら会社で正社員として働きたいと思ってたけど、結局仕事がないならということで風俗を続けることにしました。大学を卒業しても正社員になれないのなら、学費が勿体ないということで大学を辞めたんです。

そういうのを私は間近で見ていて、もちろんセックスワーカーもちゃんとした仕事だけど、就きたい仕事にトランスジェンダーであることが理由で就けないっていうのはすごく問題だなって思いました

 

ー 星さん自身も就活をなさっていたんですよね?

 

賢人さん:そうですね。

私自身も就活をしていた時に、情報収集においてすごく不便だなあと思うことが多かったです。

まず、企業がLGBTフレンドリーであるかの情報って、どこにもまとまってなかったんですね。

いちいち気になった企業の採用ページを開いて、「ダイバーシティ」の欄があったらそれを開いて、「LGBT」とか「性的志向と性自認を差別しない」とかそういう文言を探したりして。

 

ー うわ、大変すぎる…

 

賢人さん:あと、インターンに参加したりしていたんですけど、そうするとただ採用ページの文言だけではわからない、職場に入ってみないとわからないことが結構あることに気づいて。

例えば社員の方に「星君、彼女いないの?」とか聞かれて、「いないです」って言うと、「え、じゃあ最近別れたの?」ってなって。

「今までいたことないです」って言うと、「え、もしかして同性愛者か…?」みたいになって。

 

だったらもう「最初からカミングアウトをしたらいい」と思って面接でゲイだということを言ってみると、嫌な顔をされるところもあれば、めっちゃウェルカムみたいなところもあって。

 

でもそういうのが、実際に受けてみないとわからない。情報が出回ってないから。

 

ー 確かにそれは大変ですね…。初めからLGBTを受け入れないようなところだって分かっていればそもそも受けないですもんね。

調べようにも情報なくて行ってみないとわからないって怖いですね。

 

賢人さん:そうですね。

実際、非LGBT学生が就活に困難を感じているのが6%であるのに比べて、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの学生だと40%、トランスジェンダーの人だと70%という研究データ(注)もあります。

※注…Nijiiro Diversity, Center for Gender Studies at ICU 2016 より

 

こういう差が生じるのは、やっぱり情報不足だっていうのが大きいと思うんですね、

私も例えばMicrosoftでインターンをしていたんですけど、そこはすごいLGBTフレンドリーで、福利厚生がしっかりしていたり、LGBTのサークルがあったり。でもそういうのは実際に中で働くまでわからなかった。

もっとこういう細かなLGBT関連の情報を、LGBT当事者に共有したいと思い、会社を立ち上げました。

「ichoose」に掲載されている日本マイクロソフトのインタビュー記事。

会社の口コミサイト「JobRainbow」

ー 具体的にJobRainbowさんはどういった事業を展開されているのでしょうか?

 

賢人さん:今は、仕事情報サイト「JobRainbow」、求人サイト「ichoose」、そして企業さんをLGBTフレンドリーにするための研修やコンサルティングを行っています。あと、LGBT学生向けのキャリアイベントを開いたりもしています。

JobRainbowは情報のプラットフォームみたいな感じで、いろんな人が自分の働いた経験をもとに、会社の口コミを載せることができます。

今は250社くらいの情報が載っていて、ユーザーは全体で5万人、そのうち学生が1.5万人です。

 

ー 5万人!?すごい…。でも会社にとって悪い口コミとかもありますよね?

 

真梨子さん:そうですね。「会社はLGBTフレンドリーて言ってるけど、社内は全くそういう雰囲気じゃありません、とてもじゃないけどカミングアウトできません!」みたいな口コミもあります。

でも、「ここにこういった口コミが載っていたんですけど、お話を詳しく聞かせてもらいませんか」とむしろ会社側から問い合わせがあったものもありました

すごく大きな会社だったので超びびったんですけど、会社を訪問したら、

「これから本当に、LGBTの方々が働きやすい職場づくりをしたいと思っています。

このような口コミがあったことを踏まえて我々も変わっていきたいと思うので、相談させてほしい」

と。

 

ー すごい、口コミが企業側の改善にも繋がったんですね。

 

賢人さん:あれはめっちゃびっくりしたよね〜。

 

真梨子さん:うん。でも、そうやって、当事者が声を上げれば変わっていくこともあるんだ、企業が変わろうとすることもあるんだって改めて感じましたね。

賢人さん:JobRainbowには企業インタビューも載せているんですが、そこでもかなり深掘りするようにしています。

LGBT当事者側の目線からすると、きれいごとだけ書かれていても、それじゃあほかの就活サイトと変わらないってなってしまうので。

 

例えば、LGBTフレンドリーで有名な企業の社員の方を取材した時とか、「(LGBT的に)職場内で、ひっかかるような言葉がないわけではない」とぶっちゃけてくれました。

会社はLGBTフレンドリーであることをアピールしているので、そのブランディングには反するわけですが、学生にとってはすごく重要な情報ですよね。

どんな話でも、「ここはどうしても就活生のために載せたいんです、カットしたくないんです」って、企業にすごいお願いしています(笑)

スターバックスジャパンのインタビュー記事も。

あとは、普通、LGBTの就業の話って、ゲイの男性の声が大きくなりがちなんですよね。それは単純に男性に働いている人が多いっていうのもあるし。

でも、私たちは意識してトランスジェンダーとか、レズビアンの女性たちの声も載せるようにしています。

 

次ページ:「いろんな色の個人が集まって虹になる」

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ABOUTこの記事をかいた人

ゆみ

駒場5年生。しゅうしょくさきは未定。エストニアに住みたいなあと夢みてます。計画性のないブログもやってるのでよかったら覗いてみてください〜(Websiteってとこから飛べます)

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