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【体張りすぎ】東大出身ギャグ漫画家「東大生は心の穴まみれ!」【限定漫画つき】

2016.06.06

「何をやっても心の穴は埋まらない!」

心にぽっかり穴があいたふしぎなキャラクターが、自らの心の穴を埋めるべく奮闘するギャグ漫画『心の穴太郎』。1月に発売されて以降「穴太郎、何者なんだ」と話題沸騰中の本作品の作者ハミ山クリニカさん、じつは東大の卒業生なのです!

先に言っておきますがこの方、ツッコミどころ満載です。果たしてハミ山ワールドについて来られるでしょうか・・・・

ハミ山さんのファンキーな半生をなぞりながら、東大生が抱える心の穴にも迫ります。そして最後には限定書き下ろしの4コマ漫画つき!

Amazonリンク:http://www.amazon.co.jp/dp/4865810382/ref=cm_sw_r_tw_dp_dU3hxb17FKVP5

連載:https://www.careertrek.com/daily/anataro01/

学生証
  1. お名前:ハミ山クリニカ
  2. 経歴:東京大学理学部生物学科人類学コース
  3. 進路:高校卒業後、東京藝術大学美術学部に入学。中退後、東京大学理科2類に入学し、理学部生物学科人類学コースに進学。卒業後は出版社で編集者として働きながらイラストなどの製作をしている。2016年1月にギャグ漫画『心の穴太郎』出版。

東京藝大から東京大学に

高校を卒業した後、第一志望の東京藝大美術学部に現役で合格し、キャンパスライフを楽しんでいたハミ山さん。ところが、なんと1年で中途退学し、東大に入学します。

―え、なんで芸大から東大に!?

当時私は、「生物学をモチーフにした作品がつくりたい!」と思っていました。でも生物学のことを何も知らなかったので、まずは専門的な勉強をするために東大に行こうと思って。

今思えば、藝大に在学しながらでも生物の勉強はできたのですが、思いついたら止まらないので勢いで東大生になってしまった……。

―勢いのスケールが大きめですね……芸大でのキャンパスライフはどうだったんですか?

同級生みんな、芸術の才能があって尊敬できる人ばかりでした。私はと言えば、蛍光ペンで塗った食パンをサラリーマンに食べさせたり、根元にわさびチューブを刺したイチゴでロケットごっこをしていました。

ー早くも謎がインフレしてきてますね……でも芸大から東大ってもともと勉強もできたってことですか?

受験決めてからがんばって勉強しましたよ! 受験生時代は、家に机がなかったので、布団を折り曲げて机代わりにしていたことが思い出深いです……。

—(布団が机……?)

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東大入ってさらに迷走

―そして東大に入学したと。

やることなすことうまくいかず、入学早々に方向性を見失いましたね。不器用なので重い授業ばっかり履修してしまって大変でだったり……。

その後は迷走して、目についたものを手当たり次第にやってみました。漁船に乗ったり狩猟の手伝いをしたり、野宿とか。いかにも怪しそうな集まりとかバイトにもどんどん行きました。

―さらっと言いましたけど訳わかんない経験の目白押しですね……。

でも何をやってもダメ(笑)。漁船では船酔い体質と判明し、狩猟は大型犬が苦手だから猟犬がこわいし、野宿では公園に生えてたキノコをかじったら食べちゃいけない味が。

ーやってみるのも凄いけど、ことごとく向いて無さ過ぎるのも凄いですね……

そうやって落ち着きなく過ごしていたので、知り合いは多いけど友達はいなくて孤独でした。私、高校3年生のころ、自分で自分にメールを送って、1人2役でやり取りしていた時期があったんですが、大学2年生でそれが再燃した(笑)。

―うーーん? なぜそんな愉快なことを??

友達がいないからメールが来ないんですよ! 絵文字とか駆使してメール作成して。高校の頃はガラケーだから、センター問い合わせして「おっ、メールだ」って……。自分で送ったやつだけど。スマートフォンで同じことをしたら、送信した瞬間にメールが来て、ますます虚しい。修羅の道ですよ!

―方向性を見失いながらも、進学振り分けでは当初の予定通り生物系に進まれたんですね。

はい。後期課程では勉強も研究も、苦労しながらも楽しく取り組むことができました。そこで腰を落ち着けてみて気がついたのは、外部から体験や感動を得ても、自分に何かが欠けているせいで、まるで定着しないということでした。

―そんなにアグレッシブにいろいろやってるのに、あんまり心に刺さらないんですか?

そう、何を経験してもこぼれ落ちていって、あんまり残らない。そこで自分の内面を見つめてみると、つねに虚しくて心に穴があいていた。この心の穴が気になって前に進めない。どうしたらいいのかと悩みましたが、人の内面なんてすぐには変わりません。ゆっくり解決していこうと思い、成果をあせるのをやめました。

現実を生き延びるメソッド

―そして2013年に大学を卒業したのですね。

社会人になると、お金も時間も学生時代より自由になった。それでも、心の穴が埋まることはありませんでした。むしろ、生活が安定したことによって、自身の心の穴に目が向くことが増えました。

―今年出版された『心の穴太郎』はそこから生まれたのですか?

じつは去年1月に引っ越しをして、十数年ぶりに机を手に入れたんです。それで、机があるのがうれしくて小学校以来で漫画を描いてみたのが『心の穴太郎』。心の穴から生まれたから「心の穴太郎」なんですけど、最初はチラシの裏とかに描きなぐっていました。

―それが、あっという間に書籍化しちゃったんですね!?

机を買ったおかげです。机って偉大ですよ! 平らだし。今うちに4つも机あります。

―(机への評価がとにかく過大だなぁ……絶対4つ要らないよね……)

ー『心の穴太郎』はどんな人に向けて描いたのですか?

最初は同世代に向けたギャグ漫画のつもりでした。だけど意外にも、女子高生から中高年男性まで読んでくれてるらしい。「アホすぎて笑った」という人もいれば「哲学書だった」「泣いた」という人もいて謎です。新政府総理大臣の坂口恭平さんに「わかるよ」って帯を書いてもらったのですが、人それぞれ何かを感じてるのかも。

―読者それぞれが共感ポイントを発見できるのですね。どんなことを考えて描いてるんですか?

マイナスのことの中に、いかに笑いどころを見つけるかです。「本当につらかったけど、後になったら笑い話」ってよくあるでしょう。私が学生時代、自分で自分にメールしてたのも、そのときは半泣きでやってたけど、少し経ってから客観的に振り返ると、だいぶマヌケで笑える。

―つらいときのことを思い返して、あえて笑えるところを探すんですね。

はい。みんなそうだと思うんですけど、現実をきちんと生き延びていくのって、けっこう大変ですよね。だけど、その大変さの中に、笑いどころが隠れていることもあります。そこを見つけ出せると、つらい気持ちが薄まったり、客観的な気持ちで考え直したりできるかもしれない。

よく、「シャレにならない」って言うじゃないですか。たしかに世の中、シャレにならないことがたくさんあります。すべて真正面から受け止め続けたら、現実をサバイバルすることはできません。だったらその分、シャレにできることはシャレにしちゃって、ダメージを減らしておいたほうがよいのではないでしょうか。

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東大生は心の穴まみれ

―東大生にも、心の穴ってあるんでしょうか?

東大生は心の穴まみれですよ! 「優秀」な人が多いけど、その中にも、あらゆる種類のヒエラルキーがある。

必死で勉強して合格して、授業についていくのが精一杯のイカ東(「いかにも東大生」)もいれば、けっこう遊んでいるのに要領よく単位をとる、他大のかわいい彼女持ちのイケメンもいる。

―わかります……同じ東大生なのになぜなんだ……。

格差を感じますよね。本当は、それぞれ良いところも悪いところもあるのに。自分より相手のほうが優れているポイントだけで比較しちゃって、劣等感でひねくれてしまう人がたくさんいる。

自称、穴太郎のコスプレがついに完成。作者が言うんだから、まぁしょうがないですよね・・・

―「誰かと比べてダメな自分」に悩むことって、誰にでもありますよね。

入学したての東大生は、多かれ少なかれ希望に燃えています。中には「優秀な自分」のイメージに酔ってる人もいる。聞かれてもいないのに大学名を言ったり、いつまでもセンター試験の点数を競ってたり。だけど、身1つでは何もできない自分に気がつくと、心が折れる。人間関係や就活で挫折を経験することもあるでしょう。

それでも、世間、地元の人たち、親戚は、ときに「優秀」のレッテルを貼りつづけます。「東大生なのになんでつらいの!?」とか言われたら、もうどうしようもない。

イメージと現実のズレに悩み、自尊心と劣等感が混ざって混乱する。その結果、自己肯定感がなくなってしまう。うまくいかないこともある自分でいい、と思えるまでの道のりは長いです。

穴があってもいいんだよ

―心の穴持ちの東大生たちにアドバイスはありますか。

「心に穴があってもいいんだよ」でしょうか(笑)。

あとは「自分の心の穴の正体を考える」。私も、自分の心の穴に悩んだときがありました。だけど、自分が感じていた虚無感は何だったのか、自分の心の穴が何なのかを考察し続けた結果、「自分は心に穴があってこそ自分なのだ」と納得することができました。

―心に穴がある自分や他人を受け入れられる余裕が欲しいです。

もちろん、「充実! 心に穴あいてない!」って人は、幸せです。でも正直、どこかに足りないものがある人のほうが、私は愛着を感じます。

「心の穴を埋めたい」というのは当然の欲求です。だけど埋まらなかったからといって、ダメ人間なわけではない。穴のぶんだけ心の表面積が増えてるかもしれないし、穴によって風通しがよくなってるかも。心の穴が生み出す虚無感は、人を優しくしてくれると思います。私なんて、だいぶ優しいですよ(笑)。

あと、つらいときは「これ後で絶対、笑える話になる」と妄想することです。

そして、落ち込んだら漫画を読むといいですよ!『心の穴太郎』、生協書籍部でも売っていますからね!


『心の穴太郎』には「がんばって穴を埋めようと奮闘するけど、何か穴埋めを妨げること(クスッと笑えること)が起きて結局埋まらない」と言うエピソードが多いです。

本のタイトルだけ見ると少しネガティブな内容をイメージしますが、いざ手にとって読んでみると、「自分にも心の穴があることを受け入れて、それを笑いに変えてしまう」穴太郎に自分を重ね合わせて、気付いたら勇気づけられていることもある。

心の穴太郎は、異色の経歴を持つハミ山さんだからこそ生み出せたキャラクターというわけではなく、実は読者の皆さんのすぐ側にいるのかもしれません。

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最後に:東大生向け書き下ろしの限定作品を掲載しちゃいます!

思わず心の穴の存在を再確認してしまう東大生も多いのでは・・・

心の穴太郎はつらいと心の穴が広がるんです

もっと知りたくなったあなたはこちら!

作者クリニカさんのtwitter   心の穴太郎のtwitter

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杉山大樹
初代編集長です。今でも執筆記事数が1位という老害ぶりですが、PV人気記事は大体他の人が書いてます。昔のも今のも、見てみてくださいな。。。!
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