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「だからアフリカはやめられない」UCバークレー留学中の東大生が、最果ての大地で発見したもの

2016.04.07

 こんにちは。昨年11月にカリフォルニア大学バークレー校での留学体験記を寄稿させていただいた法学部3年の川溿晃平です。
 
 
今回は留学のきっかけの一つにもなったアフリカへの傾倒について書かせていただきます。たくさんの写真を織り交ぜながら、実際に現地に行って感じたアフリカの魅力を、等身大のまま皆様にお届けできたらと思っております。

 

アフリカでの経験

 
(滞在中訪れた首都近郊の町の学校で。子供の可愛らしさは世界共通ですね。)
 
 
僕が初めてアフリカに行ったのは、もう2年も前のこと。
 
当時一年生だった僕は、MPJユースという、「アフリカを学び、発信すること」をテーマにした団体のアフリカ研修メンバーとして、人生初めてのアフリカ大陸に飛んだ。
 
 
(ウガンダの位置。)


 
そこはウガンダという小さな国。赤道直下の内陸国である。
 
赤い土埃の舞い上がる道では大型のバンと無数のバイクが途切れなく交錯し、その傍らでは靴やTシャツを売る商人たちが軒を並べる。「途上国」への渡航が初めてだった僕は、そんな首都カンパラの活気に圧倒された。車窓から眺める何もかもが新鮮で、その全てを今でもはっきりと思い出せる。
 
 
 
(首都カンパラ)
 
中でも忘れられないのは、片田舎の村ルヒーラにホームステイした時のこと。
 
ルヒーラ村はなだらかな丘がバナナの木に覆われている穏やかな村だ。
 
 
実はこのルヒーラ村、アメリカ発のNGOの援助による援助プログラム真っ只中の、言わば「開発の最先端」である。
 
アフリカの各国から一つほど村を選び出し、その村を他の地域の開発のモデルにするこのプロジェクトによって、ルヒーラ村では井戸や病院などの整備が進み、公衆衛生は劇的に改善された。
 
 
 
(ルヒーラ、バナナ畑に囲まれた小さな美しい村)
 
 
ただし、最先端とは言っても、この村の周囲数キロには街灯というものが存在しない
 
電気インフラの整備は水・衛生環境などと比べると優先順位が下がるからだろう。おかげでこの村では宵闇が訪れたと思えば、それもつかの間、空はまさに絵の具のような漆黒に染まる。
 
自分と周囲の境界さえ判別不能にするその暗闇は、星空を映し出す天然のプラネタリウムでもある。
 
人類の故郷でもあるアフリカの広い大地で、祖先達も時折見上げただろうその星空を見た時は、思わず息を呑んだ。
 
 
同時にふとある考えを思い浮かべた。
 
「開発」の手はいずれこの星空を奪ってしまうかのではないか。
 
一度街灯が立ち並べば、この星空は二度と見られなくなるだろう。利便性と引き換えに、こんなにも美しい星空を失うなんて。それまで疑いもしなかった「開発」に疑問を覚えた瞬間だった。
 
 
(ルヒーラの星空。写真でも十分美しいが、実物には微塵もおよばない)
 
 
 

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MPJユースとは

 
繰り返しになるが、このようなかけがえのない経験を得た僕のウガンダへの渡航は、MPJユースのアフリカ研修を通じたものであった。ここでMPJユースと、そのアフリカ研修について簡単に紹介したい。
 
 
MPJユースは「アフリカを学び、発信する」ことを目的とした団体である。今年で創設7年目になり、東大、東京外大、明治大、津田塾大などいろいろな大学から40名ほどの個性的なメンバーが集まっている。
 
 
この団体の目的は、アフリカを通して世界について考え、学び、発信する中でメンバーと切磋琢磨し、将来アフリカの課題(それは、実質この世界全体の課題にほかならない)の解決に貢献することである。よく間違えられるので予め断っておくと、ボランティア団体ではない。
 
基本的な活動は、「学び」に関わる2週に1〜2回の勉強会や年に一度のアフリカ研修、「発信」に関わるネットでのアフリカコラムの配信や学園祭での著名人による講演会開催、さらには留学生交流会などのイベント開催で成り立っている。
 
(昨年の浅草での留学生交流会の様子。今年も4月に実施する。)
 
 
学ぶことはもちろんとして、アフリカを発信するということも極めて重要だ。アフリカは実質日本から「最も遠い大陸」と言っても過言ではない。
 
日本人の観光スポットとしても他地域に後塵を拝する。
 
日本人にとって悲劇的なニュース以外にアフリカを知る機会が少ない現状を踏まえるとそれも仕方ないが、ボコハラムやエボラ熱だけがアフリカの姿ではない。
 
 
もちろんアフリカが問題の多い地域であることは間違いないが、可能性を秘めた地域であることもまた否定できず、アフリカへの関心の推進自体が持つ意義は重要である。
 
(これに関して外務省がうまくまとめてくれているページがある。ぜひ参照されたい)
 
(ウガンダの首都カンパラ。思ったより発展していると思った方もいるかもしれない。)
 
 

「五感」で、「本気」で、アフリカを学ぶ

 
さて、そんな「学び」と「発信」の両方にとって欠かせないのが、アフリカ研修だ。
 
このアフリカ研修では、事前にその国について勉強する中で疑問に思ったことの答えを現地に求め、それを社会に向けて発信しようというスタンスを大事にする。実際アフリカに関する情報は日本には乏しく、行かなければ分からないことだらけなのだ。
 
 
「実際アフリカに行ってみないと始まらない!!」、そんな思いから始まったアフリカ研修は、今年で始動から実に6年が経ち、今までにガーナ、タンザニア、ルワンダ(×2)、マラウィ、ウガンダへの渡航を経て、団体を代表する一大事業に成長した。
 
半年以上をかけてゼロから自分達だけで作り上げるアフリカ研修は、紛れもなくMPJユースで最も重要な活動である。
 
五感で、本気で、アフリカを学ぶ二週間の研修は、現地機関訪問・ビレッジ訪問・学生会議の主に三つの柱から成り立っている。
 

 ①現地機関訪問

アフリカに渡航する前の事前勉強会で、各メンバーはその国の興味事項について調査を尽くす。そして、疑問に思ったことを現地に持っていくのだ。どこに話を聞きに行くのかを決めるところから、アポ取りまで全て自分たちでやる。
 
例えばある日は、政府系のコーヒー開発局を訪れた。ウガンダは実は世界有数のコーヒー生産地であるのにも関わらず、あまり目立っていない。その理由とそれを克服しようという政府の戦略に興味を持ったためだ。
 
またある日は、北部ウガンダで長らく続いた紛争で酷使された少年兵の現在に興味を持ち、UNICEFの事務所を訪れた。
 
 
ちなみに僕の個人的関心は渡航と同時期に施行された反同性愛法だったが、政府から弾圧を受ける彼らとコンタクトを図るのは難しく(多くの人が身を隠しながら生活しているため)、学生会議で各学生の同性愛への認識を問うことぐらいしかできなかった。
 
(コーヒー開発局での一枚。テイスティングなどを通して日夜ウガンダコーヒーの向上を目指す。)
 
 

②ビレッジ訪問

また先述の通り、開発の最先端の現場をホームステイを通して五感で感じ取ってきた。そしてそれぞれのメンバーが感じたことを基に議論もした。
 
開発途上であるにもかかわらず、村の人々の笑顔は活き活きと輝いており、「開発って必要なのだろうか?」「そもそも何のための開発なんだろう?」、そんな議論をせずにはいられなかったのだ。
 
僕自身、村の人々の輝く笑顔に彼らなりの「幸せ」を感じた。
 
 
ウガンダという国は、国際機関UNDPが発表する「人間開発指数」という指標の上では最底辺に位置するはずだ。日本とは違う時間の流れの中に、日本とは違う価値観があった。
 
そうして開発への疑問は自分の中で「幸せってなんだろう?」という疑問へと変わっていった。この議論はメンバー内で帰国後も続き、後日行われた研修の一般向け報告会でのテーマにもなった。
 
答えのある問題ではないが、間違いなくこれからも続けていくべき議論である。
 
(屈強なトヨタ製のトラックですら脱輪するほどの悪路の先にある村。とにかく美しい。)
(ルヒーラ村のホームステイ先の子供達と僕)
 
 

③学生会議

そして、日本とアフリカの関係を考えるというテーマのもと、現地の学生と会議を開いた。
 
ウガンダはもちろん隣国タンザニア、ルワンダからも学生が集まった。
 
昼食休憩中にマトケと呼ばれる食用バナナを食べながら、「日本が敗戦から破竹の勢いで成長できた理由って何?」と聞かれて一瞬言葉に詰まってしまった苦い記憶は忘れない。
 
 
ウガンダを始め、アフリカについて学びたいという期待を持っていた僕は、逆に日本のことを知りたいという期待に答えることができなかった。質問してきた彼はルワンダ人だったが、今思えば虐殺からの「奇跡の復興」を遂げたルワンダにとって、日本はロールモデルだったのかも知れない。実に大きな期待を裏切ってしまった。
 
 
(学生会議の様子、話し合った内容はしっかり文書にもまとめる。僕が渡航した翌年のマラウィ研修から)

(各班の議論内容発表時の一枚)

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だからアフリカはやめられない!

 
二週間をかけて行われるこの研修はかなりタフである。しかし、現地で得られるものは本当にかけがえないものだ。
 
不思議なのは、日本で分からなかった答えを探しに行ったはずの現地で、思いがけずさらに大きな疑問に出くわすことがあるということ。現地で実際に見て、初めて気づくことがそれだけ多いということでもある。百聞は一見に如かずとはよく言ったものだ。
 
もちろん、先ほど取り上げた「幸せとは?」という疑問など、それらの形はメンバーそれぞれに多様である。下のリンクから研修報告書を見ていただければ、それぞれが違った視点でアフリカを切り取っている様子がわかっていただけるだろう
 
そして、それはアフリカが知的好奇心をくすぐる「発見」の宝庫である証だと思う。
 
 
(帰国後作った研修報告書。 )
 
 
 
そう、その「発見」こそ我々メンバーがアフリカに求めているものであり、アフリカを愛してしまう所以なのだろうと思う。
 
OBOG達が国連、大学院、省庁、JICA、商社などいろんな場所でアフリカと関わることのできる進路を選ぶ人が多いのは、皆それぞれがそれぞれの「発見」を追い求め続けているからかもしれない。
 
 
 
五感全てを駆使して、本気で取り組む二週間の研修、その先には必ずあなたならではの「発見」が待っている。
 
 
「アフリカ、、、ちょっと行ってみたい」そんな気持ちがもし少しでも沸いたのなら、ぜひ行動に移して欲しい。
 
僕がウガンダで星を見上げた時のように、
 
息を呑むような素晴らしい体験があなたを待っている。
 
 
(ウガンダ研修メンバー)
 
 
MPJユースは年間通していつでも新メンバーを募集している。必要なのは、アフリカを「学んでみたい」、「行ってみたい」という熱意だけ。学年、学部、学校は一切問わない。
 
活動見学だけでもいいので是非連絡してもらえれば幸いである。(MPJユースの団体ホームページやフェイスブックページへのリンクは以下に掲載)
 
 
最後に、僕のアフリカへの熱意をぶつける場を提供してくれたUmeeTの皆様と、ここまでお付き合いいただいた読者の皆様への感謝を記したいと思う。本当にありがとうございました。
 

【 ホームページ、連絡先など】
 
2016年度アフリカ研修のガイドブックも近日公開予定!興味のある人はFacebookページに「いいね!」をして情報を逃さないようにしてください!
 
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↑団体ホームページ。過去のアフリカ研修報告書にもアクセスできます!
 
mpj.youth.2009@gmail.com
↑団体のメールアドレス。見学希望、質問、コラボイベントの希望などなんでも構いません。多くの人からの連絡お待ちしています。
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はじめまして! MPJユースです。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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