皆さんは生協書籍部で本を買ったことはありますか?
日々入り浸っている方もいれば、教科書を買うときくらいしか使わない……という方もいるかと思いますが、実は生協組合員証を見せると10%引きで本(なんと漫画も!)が買えるという学生の味方、生協書籍部。
そして生協書籍部といえば、近所の書店でもたまに見かける、「東大生協で一番売れた!」と書かれた帯。
これがあると「東大生が一番買ってるのか!」と、なんだか説得力が増す気がします。
ということで、
私たちも1位を取りたい!!!
申し遅れました。UmeeT編集部のわかなです。
このたび、UmeeTのエッセイ連載『宇宙を泳ぐひと』(著/久保勇貴)が、太田出版のウェブメディア・OHTABOOKSTANDでの連載と合わせて、本になりました!
著者の久保さんには、素敵な連載を書いていただいていたほか、クリスマスに呼びつけてしょうもないネタ記事に参加していただいたり(東大博士の無駄遣い!)と、いつもお世話になっています。
ということで、そんな久保さんの素敵な本に、UmeeTの力で「東大生協で一番売れた!」の帯をつけてみたい!!我々は立ち上がりました。
そうと決まれば話は早い。来ちゃいました。東大生協本郷書籍部。
早速、ここ本郷書籍部のことを最もよく知っているであろう店長の竹原昌樹さんに突撃して、1位のコツを聞いていきます!
こんにちは!
突然なんですが、我々、ここ本郷書籍部で売上1位を取りたいんです。実際どれくらい売れれば1位を取れるものなんでしょうか?
えっとですね…正直そんなに多くないですよ。
ランキングは月ごと・ジャンル別で出しています。冊数としては、月にもよりますけど、少ない時だと20冊ぐらいでも1位になったりします。
20!?(思ったよりずっと少なかった…)
年間で見れば100冊以上とかになってきますけど、ひと月だとなかなかね…。
正直言うと、教科書でもなかなか100冊売れないくらいなんです。本郷キャンパスは上級生校舎なので、駒場のように全員が必修で買うものとかはなくて。法学部や法科大学院だと司法試験を目指されてる学生さんが多いから教科書の売上も高いですが、他の学部のものだと教科書でも100冊売れるものはほぼないですね。
意外と売れないものなんですね。
要因として、マーケットとして大きくないというのはありますね。
東大という土地柄、観光客とかも来ますが、観光で来て本を買って行かれる方は多くないですから、顧客は基本学生さんです。その時点で数が限られてますし、その中で読書する人、さらに興味を持ってそのジャンルの本を買う人、となってくるとそのくらいになってしまうというのが現実です。
もっと多く買ってくれたらこちらもありがたいんですがね(笑)
全ジャンルを合わせたら、月どれくらい売れるものなんですか?
教科書シーズンでなければ、額で言うと月1000万円を超えるかどうかくらいですね。他の書店に比べればより専門的な書籍が売れるので、単価は高い傾向にあって、1000〜2000円くらい。単価2000円として計算すると…月5000冊くらいですかね。
全体としての売上は結構あるんですね。
本って、おにぎりみたいに数個だけの中から選ぶというようなものじゃなくて、このジャンルの本の中でもこの先生のこの本じゃないとダメ、というのが各自にあると思うんです。同じ民法の本でも、この先生の民法の本が良くて、他の先生のものがあっても買わない。
そうすると幅広くいろんなものが必要なので、一つ一つの売上冊数はどうしても少なくなってしまうんですよね。
なるほど。おにぎりだったら5種類もあれば十分ですもんね。
そういうわけで、売り上げが少ないジャンルかつ少ない時期だと、実は数冊で1位が取れるレベルということもあって…何冊で1位になれるんですかと聞かれると言いづらいんですよね。
めっちゃ赤裸々に教えてくださってますけどね(笑)
マーケットが特殊な分、よその本屋と比べると違うところに山があるんですかね?
そうですね。例えば紀伊國屋さんとか見ても、メインとなる位置にある本って文芸書じゃないですか。
うちの店を見てみると明らかに割合が違って、文芸書もありますが、それより教養系の新書がメインになってる。
顧客の中心は学生さんや先生方だし、外から来られる方も意外とうちの店にそういうものを期待して来てくれるんですよね。それで意識的に色を変えています。他の店に比べれば専門書の割合は相当大きいと思います。
最近はネットで本を買う人が増えていますよね。
オンラインでおすすめされている本を買うときなんかは、リンクが貼ってあればそこから飛んでAmazonなどで買ってしまいがちです。
お金を気にしない人ならそうやってネットで買ってしまいますよね。うちは生協組合員であれば1割引になるので、そこを重視してうちに買いに来てくれる方もいると思います。
そうか、1割引になるんですね!専門書なんかは特に高いから、1割って大きいですよね。
そうですね、まあ200円くらいの差ではありますが。
ネットで在庫なんかも見られるので、そこから注文してもらえれば、大学に来る時に取りに来られますし。
授業のついでに受け取れるなら手間にもならないしいいですよね。東大生のみんな、生協で本を買おう!!
ネットで買う人も多い中で、「東大生協1位」のためにはここで買ってもらわないといけないわけですよね。ここで本を買う人の決め手って何なんでしょう。
何か目的があると言うより、来てうろうろした結果、興味があると思ったものを買うという人は一定数いると思いますね。それを楽しめる人が本屋さんに来るんだと思います。
一方で、本が何かで話題になってるんだろうなと思うことも多いです。
年配の方だとテレビとか新聞の書評を見て来られる方もいますし、若い方も若い方で、何かで情報を得てるんだろうなと思います。専門的な本でも、我々が気づかないような新刊に立て続けに注文が入って多めに発注する、ということがよくあって。
授業で先生が紹介したのかと思いきや、授業がないような時期にまで…どこで情報得られてるんでしょうかね。
書籍部の方でも把握できていない動きがあるんですね。インフルエンサーとか…なんでしょうか。
わからないですね…
今はコスパの時代なので、「外したくない」という思いが強くなっているのかもしれません。買ったはいいけどハズレだったらどうしよう、という不安があるので、誰かがおすすめしてくれないと買う勇気が出ないとか。
昔は店頭に大量に積んでおくとよく売れるというようなこともあったんですが、今はそれよりも信頼のおける何かで発信されたものが届くと買うんだろうなと思います。みんなが何を信頼しているのか、我々もなかなかわからないんですが…
本屋さんが流れをつくる時代じゃなくなってきてる、ということですかね。
なのかなと思います。
何かこちらで策を講じたからパッと確実に売れる、ということはなかなかないですね。
まあでも、順位とかには意外と反応して買ってくれることもありますし、こちらもなるべく色々やってみるようにはしています。
「東大1位」の帯をつけさせてくれって依頼はやっぱり多いですよ。事実1位だったらOKを出しています。それをつけることで内輪でも売れることは意外と多いですし、外向きにも、東大生協で売れた=東大生が買ってる、となって興味を引くのを狙っているんだと思います。
ただ、そういう帯も何にでもはつけないようにしています。「この本が本当に1位なの?」みたいなものが増えると、ランキング自体の信用がどんどんなくなってしまうので。(作為的に)まとめて買ってるなあ、というのはこちらでもわかりますし。
そうですよね。帯、ほしいです。なんとかたくさん売りさばく方法はないだろうか…
販促のために、一般の本屋さんではよく店を使って誰かゲストを呼んできてトークイベントをしたりしていますが、実はそういう企画をうちでもできたらいいなと思っているんです。
東大にはいろんな知識を持った人やいろんなことをしている人がいますし、そういう情報を店からも発信できたらいいなと。
うちはよその本屋さんのように、イベントに参加するには本を買ってください、というようなことはしていないんですが、無料参加にしておいてイベント当日に買ってくれた人にはサインするとか、色々やり方はあると思います。
よく本屋さんでやってるトークイベント!書籍部さんの方も意欲ありということなら、win-winでイベントを開催できそうな気がしてきました。勝ち筋が見えてきたぞ…?
こちらも著者さんなどと関係を作っていきたいと思ってはいるんですが、人数が少ないものでなかなか忙しくて。
自分たち発信ではあまりできていませんが、場所貸しという形でならぜひ使ってほしいです。東大に関係がある方であればどなたでも!東大の本屋さんの中でイベントができるって、なかなかないと思うので。
めちゃくちゃいいじゃないですか!東大生も来やすいですしね。トークイベント、アリだな……
東大生協で本の売り上げを伸ばしたい東大関係者の方々、朗報ですよ!書籍部さん全面協力のもと、店内でイベントができます!
[広告]
5月24日、東大生協本郷書籍部にて、
ほんとにイベントやっちゃいました!!
今回の書籍の著者・久保さんに加え、航空宇宙工学専攻の中須賀真一先生をお呼びして、店内のスペースでトークショーを行いました。
中須賀先生は、超小型衛星をはじめとする宇宙システムの研究を専門とする宇宙工学の権威です。過去にUmeeTでも取材させていただいています!
イベント開催に当たっては、竹原さんをはじめとする生協書籍部の皆さんに多大なるご協力をいただきました。
会場は小さなスペースでしたが、それだけにお客さんとの距離が近く、登壇者のお二人の魅力がとてもよく伝わる素敵な会になりました!
生協1位を狙ってる方、そうでない方も、生協書籍部でのイベント、おすすめです!
トークイベントの様子は以下の動画でご覧になれます!
中須賀先生のお話が文系の筆者にも大変わかりやすく、エッセイ中の描写や表現を引き立てていました。イベントにお越しになれなかった方はぜひご覧ください。
「東大生協で1位を取りたい!」と勢いで書籍部に突撃してからトントン拍子に素敵なトークイベントを開くことができ、多くの方にご参加いただきました。
この月に狙いを定め、5月の1ヶ月間、UmeeT一同は全力で告知を行いました。
さて、文芸書ジャンルの5月ランキング、『ワンルームから宇宙をのぞく』は見事1位を取ることができたのか…?
運命の結果は……
ドキドキ……
_人人人人人人人人人_
> 1位 村上春樹 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
ちょっと…タイミングが悪かったようです。いや、あまりにも悪かったようです。村上春樹が新刊を出してしまいました。流石に春樹様は超えられないって…
でも村上春樹と本屋大賞に肩を並べての2位、凄くないですかね?太田出版の担当編集の方曰く、「ハルキに次いで2位は事実上1位」。ね、そうですよね!?!?
『街とその不確かな壁』(村上春樹)は、全国で2023年上半期のベストセラー1位(日販調べ)だそうです。よりにもよって……
1位を取ることは叶いませんでしたが、素敵なエッセイを本当に多くの方に読んでいただけて嬉しいです。
ご購入くださった方、イベントにご参加くださった方、ありがとうございました!!
…と、終わると思いましたか?
甘い!我々の挑戦はまだ終わっていません!
書籍部さんにご協力いただき(ありがとうございます!)、9月もレジ横にて展開していただくことになりました。
さらに!9月に本郷生協書籍部にて『ワンルームから宇宙をのぞく』をご購入いただいた方には、著者・久保勇貴さん書き下ろしのおまけエッセイをプレゼントいたします!!(※駒場書籍部では行っていませんのでご注意ください)
こちらのおまけエッセイが手に入るのは全国でここだけ、そして2023年9月の今だけです!!
これが最後の悪あがきです。どうかこの本に1位の称号をください!
こちらのリンクからご予約いただき、店頭に取り置きすることも可能です。
宣伝が長くなってしまいましたが、この本をぜひ多くの方に読んでもらいたいという気持ちゆえのことです。(UmeeTにお金は入らないのにこれだけおすすめしているんですから、わかってもらえますよね?)
ワンルームから壮大な宇宙を覗き見ながら、広大な世界の中のちっぽけな自分に目を向け、人生について、この世界について、考えさせられるような、そんな素敵なエッセイです。
UmeeTでも一部を試し読み可能です。ポチッと読んでみて、久保さんのやさしい言葉で紡ぎ出す世界を気に入った方は、ぜひこの機会にご購入を!