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東大生、無印良品のバウムを全味食べる

2023.04.28

みなさんは、何かを集めたいという欲に駆られたことはありますか?私はしょっちゅうあります。同じボールペンの赤と黒が入っている筆箱を見ながら、「せっかくなら全色(20色ぐらい)揃えたいな」と、ふと思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ほかにも、全都道府県に足を踏み入れたい、神社に行く予定もないのに気づいたら財布が五円玉だらけになっている……など、私の人生は「収集」によって彩られていると言っても過言ではありません。

しかし、この収集癖を満足させるにも、ひとつ都合の悪い事態があります。それは、私は継続が苦手だということです。みなさんは継続は得意ですか?大事なことなので二回言いますが、私は苦手です。この「継続が苦手」という、コレクション欲にとって致命的とも言える欠点によって、私は数々のコンプリートを逃し続けて来ました。Duolingo(語学学習アプリ)のStreak(連続ログインのようなもの)や、その他一日一回行うと良いと言われているものなど――運動とか――が、どうにも続かないのです。ただの怠慢と言ってしまえばそれまでなのですが、始めてしまえば辛くもなんともないものに至っても、挫折が常に伴います。「育成ゲーム」や「放置ゲーム」でうまく行った試しがありません。

さて、そんな私にも、数少ない継続できているものがあります。数えること7年弱、およそ2400日にわたって、ほぼ毎日触れているものがあります。

そう、Twitterです。

テスト前でも風邪を引いても、青い鳥と触れ合うことは苦痛を伴いません。その「手軽さ」ゆえなのか、タイムラインをスクロールする指は毎日元気に私のスマートフォンを上下しています。

そこで私は思いつきました。「継続したいもの」をすべてインターネットの海に放流すれば、Twitter中毒というどうしようもない状態を最大限利用できるのでは?と。幸か不幸か、私のアカウントには少なくはないフォロワー、いわば監視の目があります。逃げ道を断ちつつ、確実に自分が継続できるものを利用する。これ以上の発見はありません。

さて、前置きが長くなりました。上述のような思いを抱えたことすら忘れかけていた私は、こんなツイートをします(ここから先の怒涛のツイート引用のために、「Twitter中毒者は脳がツイートボタンに直結しているので、思ったことがすぐにツイートとして表出してしまう悲しい生き物」という前提をみなさんと共有しておきます)。

みなさんも一度ぐらい、無印良品の一角に勢ぞろいするバウムに、一種の憧れ、あるいは畏怖の念を抱いたことはありませんか?人によってはカレーかもしれませんね。はじめに述べたような収集癖が大いに刺激されることは想像に難くありません。

このツイートから一週間後、私は全味制覇の宣言をしてしまいます。

実行に踏み切ったのには3つのポイントがありました。

1.無印良品の店舗に確実に置いてあり、かつ店舗自体が(少なくとも首都圏には)それなりの密度で立地している

計画遂行のためには、「入手の手軽さ」を忘れてはいけません。少なくとも「一級河川の河口」よりは行きやすい店舗がほとんどでしょう。幸いにも駒場キャンパスから徒歩15分ほどの場所に渋谷店もあります。

2.総数が多すぎず、かつ単価が安い

達成までがあまりにも険しい道のりの場合、かなりの割合で挫折を招いてしまいます。その点、30~35種類という数は多すぎず、かつ少なすぎないちょうどよい数字です。また、ひとつ150円と手頃です。

3.おいしい

重要です。150円で食べられるバウムの中ではかなりおいしいと思っています。

さて、背景を説明したところで簡単にルールを設定します。

【ルール】

・入手可能な「不揃いバウム」(1個150円)全味を食べる

・その時点で入手できるすべての味を食べた時点で達成とする

・食べたらその旨をツイートする

それでは、開始ー

最初はなんとなく馴染みがあったバナナバウムにしました。150円のバウムには「プレーン」がないので(999円のめちゃくちゃ大きいものにはいわゆるプレーン味があります)、無印バウムの「顔」と言える味は何かと考えた結果バナナが選ばれました。

全部の味を紹介するとこの記事が私のツイート紹介記事になってしまうので、省略しつつ進みます。

3ヶ月で15個。いいペースです。ちなみにひとつでもかなりお腹がいっぱいになります。

運転免許を取ってもバウム。小麦に小麦、みたいな変なことを言っていますが、基本的に食べているときは「おいしい」ぐらいしか考えていません。

ところで、厄介なことに、無印のバウムは常に同じラインナップなわけではありません。季節限定の味や、気づいたら姿を消している味があります。前者に関しては一年待てば食べられるものが多いのですが、後者はもう手に入らない「幻のバウム」です。「私がこの取り組みを始めたときにはあったのに、いざそれを食べようとしたらもうなくなっていた」パターンがこれにあてはまります。

血眼になって探しました。どうにも見つからなくて悔しい限りです。

そうこうしているうちにゴールが近づいてきました。無印のサイトなどを参考にし、これでラストということにします。

34本目はさつまいもバウムでした。ちなみにさつまいもバウムとは別に紫さつまいもバウムもあります(https://twitter.com/ryoanji1450/status/1329702960926900225)。

ということで、見事に34種類の味のバウムを食べることができました。大成功です。半年弱で「人生の目標」を達成することができてしまいました。上述した通りバウムはどれもおいしく(ちなみに一番強烈な味がしたのはジンジャーバウムでした)、私の食欲を半年にわたって満たしてくれました。

ちなみに、全味を制覇してからなんと1年3か月後に白桃バウムにめぐりあいました。

感動の対面です。一度制覇しておくと細かい変化に気づきやすくなり、無印良品のバウム棚を見る目が変わる、これも収集を果たした人間にのみ許される楽しみ方です。

さて、ここまでこの記事を読んできたみなさんの中には、こんな疑問をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

「一気に34種類買ってしまえば食べるだけなのでは?」

その通りです。なんなら、無印良品にはオンラインショップまであります(https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S3000201)。これを使えば、無印良品の店舗に赴くことなく34種類のバウムを食べ尽くすことができます。挫折のおそれもほとんどありません。

しかしながら、それではあまりにも「美しさ」がありません。一度に買うのは多くても2~3種類程度にとどめて、次なる味に思いを馳せることが、何よりも収集欲を満足させる行為なのではないでしょうか。自分の普段の生活から外れない程度に、人生の目標として無印良品がそばにいる、という感覚が芽生えてくるように思います。

ただし、私を含め、継続が苦手な方にとって、この美しさを維持するのは少し難しい場合もあるかもしれません。そんなときは、是非 Twitter で実況しながらやってみてください。きっと、 Twitter も継続できることでしょう。

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