『東大美女図鑑』から『プリズマ』へ　～新しく生まれ変わる東大美女図鑑〜

医学部健康総合科学科看護科学専修3年のUです。

実習と授業に追われててんてこ舞いです。

文学部社会学専修4年の荒木英佳です。

現在は休学をして『プリズマ』を作っています！

1年生でこの団体に入ってから、『東大美女図鑑』という名称が持つ問題をずっと気にしていました。

この名称を掲げることによって、本当に伝えたい対象の高校生に手にとってもらえないことは実感していました。例えば母校に『東大美女図鑑』を置いてもらおうと訪ねたことがあるのですが、名称が壁となり断られたこともあって……。

ただ高校生に東大を身近に感じてもらいたい、この雑誌を読んでなにかポジティブな気持ちになってほしいという思いで、名称を変える決断をしました。

雑誌は「題名」がその雑誌を表す顔だと思うので、「東大美女図鑑」では、私たちが本当に伝えたい “東大に通う女子学生のリアル” が伝えられないのではないかという問題意識を常に持っていましたね。

「プリズマ」というのは「プリズム」のラテン語表記です。世間には「東大女子」に対して一つの固まったイメージのようなものがあると思うのですが、実際はいろんな人がいるんだよということを伝えたいというのが我々の理念です。

そして、プリズムを通すことで、一色に見えた光は様々な色を持つことがわかります。私たちもそのような存在になれたらという想いをこめています。

7, 8年間『東大美女図鑑』は続いてきて、それを変えるのに葛藤がある部員もいました。現に今までの編集部でも名称変更についての議論は行われてきましたが、なかなか踏み切れずにいました。

ですが今号の制作に関わった部員の多くは名称変更に賛成で、私も今やるべきだと思って踏み切りました。

雑誌を通して東大の女子学生のリアルを知ってもらい、ロールモデルを見つけてほしいという理念は大きく変わっていないのですが、その「リアル」と「ロールモデル」という言葉の意味を再考しました。

まず、「リアル」について、今まではスタジオなどで撮影していたこともあるのですが、今回はよりキャンパスでのリアルを伝える内容にしました。そのうえで、これまでは女子学生一人を撮影していましたが、人と人との関係性や場所との関係性などを映し出すように撮影をしました。なので、今回は男子学生も誌面に登場します。もちろん男女比率8:2という現実はまだ無視できないものなので、紹介するのは女子学生中心になりますが……。

キャンパスで女子ばかりが集まっている場所はほぼ無いじゃないですか笑

どこかで絶対男子学生と繋がりはあるので、その方がより東大のリアルが伝わるのではないかなと思いました。

そうですね。一人の女子学生だけを映すのではなく、今回は複数人での写真やピントを顔からずらした写真を多く撮影して、容姿よりもその人の中身を映し出すようにしました。顔が写っていない人もいますし、その人自身の魅力を引き出す形になっています。

また「ロールモデル」については色々あるのですが、一つ挙げると、これまでターゲットは女子高生としていたところをジェンダーを問わない「高校生」としました。憧れる対象に性別は関係ないと考えています。

まずカメラマンは苦労していましたね……。容姿をメインに映し出さない分、後ろ姿などの表情がみえないショットも多かったので、その人の良さやその人の雰囲気を写真で表すのがとても難しかったと思います。「どうすれば良い？」ってDMが飛んできました笑

そうですね。表情やスタイルではないところからその人の魅力を写真で伝えるのは大変でした。

ただ、私たちはその人の魅力が「内面」だけにあるわけではないというスタンスもとっています。これまでの『東大美女図鑑』に出ていただいたモデルさんの企画で今回そのテーマを取り扱っているので、ご興味があればぜひ見ていただきたいですね。ここで話すには長いので笑

『東大美女図鑑』には問題点も多くあり、だからこそリニューアルに踏み切ったわけですが、その名称から誤解されることも多くありました。

『東大美女図鑑』に載って下さったモデルさんには、容姿に留まらない様々な魅力があることをお伝えしたいという思いも、この企画にはこめています。

壮大な目標なのですが、いつかみんながジェンダーというフィルターを通さずに、その人を、その人として見られるようになってほしいなと思っています。

やはり現在でも東大に通う女子学生は、女性としてジェンダーのフィルターがかかったまま見られることがあります。

その現実を変えるために、7, 8年前『東大美女図鑑』として東大女子への偏見をある意味新たに生産した編集部から続くこの団体が、能動的に動く必要があると思っています。

東大に通う女子学生のリアルを伝えることで、東大女子や東大に対しての偏見をなくしていきたいと思っています。

偏見は概して無知から生まれますが、実際東大にいれば、一人一人が各々の輝きを持っていて、一人の普通の人間として悩んだり努力したりしていることがわかります。

リアルを知ることで、「東大なんて自分には無理だ」、逆に「東大に行かなければ自分に価値はない」といった極端な考えから選択肢を狭めてしまう高校生が一人でも減ってほしいと思っています。

まずは表紙です。表紙に女性を入れないことで、雑誌全体に容姿やジェンダーのフィルターがかからないようにしました。

そして裏表紙は手前のプリズムではなく奥の空にピントをあわせた写真になっています。これは『プリズマ』を読んで、その先にある大きく広がる未来に気持ちを向けてほしいという思いを込めています。時間的にも青空から夕焼けに進んでいて……。こういうのは実際にページを一枚一枚めくる紙の雑誌だからこそできることで、個人的にとても気に入っています。

あとは今号の大きな特徴として、取材対象がみんな編集部員の友人なんです。初対面ではないおかげで、一歩踏み込んだ話もできて、その人の魅力をさらに引き出すことができています。ランチ会のようなインタビューでした笑

私は受験生の頃、東大の広報誌を何度も読んでやる気を出していたので、『プリズマ』も高校生にとってそんな存在になりたいと思っています。

世間や自分がなんとなく作った東大女子像ではない、『プリズマ』が描く女子学生たちの姿をみて、東大に入る・入らない関係なく、自分の人生を自分で決められたらいいなと思っています。

偏見のために機会を失ってほしくないので、『プリズマ』を通して東大について知っていただくお手伝いをしたいと思っています！

高校生が初対面の東大生から得られるような情報とはまた違った、東大生自身が内部から発信した生の情報をお届けできると思います。ぜひお手に取ってみてください！