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【博士課程はヨーロッパに行こう!】米国大学院学生会インタビュー(欧州大学院編)

2021.07.02

学部生の皆さんは卒業後の進路について考えていますか。

とりあえず周りの友達はだいたい就活or院進しているから自分もそうしようかな、という人も多いのではないでしょうか。

一方で、海外大学院へ進学し、学位を取得するという選択肢もあります。

今回は米国大学院学生会の方4名に海外大学留学院を考えたきっかけや魅力、実際の海外生活についてお話を聞いてみました!

(インタビューは(欧州大学院編)(米国大学院編)にわかれています)


学生証
  • 柴﨑祥太さん
  • ローザンヌ大学(スイス)博士課程3年
  • 研究分野:数理生物学
  • 数理モデルを用いて微生物の機能や進化などを解析している。
学生証
  • 馬場理絵さん
  • バーミンガム大学(イギリス)博士課程2年
  • 研究分野:英米文学
  • 歴史・文化的アプローチの視点からブロンテ文学における自然・動物表象の研究を行う

大変そうなイメージのある留学手続きや留学先の国による違い、コロナ禍での研究生活など、留学を考える上で気になる情報が盛りだくさんです。

博士留学を考え始めたのは修士課程から

筆者
筆者

海外大学院留学についていつ頃から考えていたのかまずお聞きしたいです。

柴﨑さん
柴﨑さん

修士の頃です。僕は修士で少し研究をするうちに博士に進みたいという気持ちが芽生えたのですが、指導教官がちょうど定年を迎えてしまうこともあって新しく教官を探さないといけなかったんですね。そこで博士を日本で取る必要はないことに気づいて、世界中の面白い研究をやっている教授を探し始めたのがきっかけですね。

馬場さん
馬場さん

私の場合も海外留学を意識し始めたのは修士の頃ですね。英文学専攻なので、研究のために研究作家の資料などが圧倒的に豊富な現地へ行きたいと思うようになりました。

バーミンガム大学の図書館

「留学先の教授とはしっかりアポを取ろう!」

筆者
筆者

博士留学といってもイメージがつきにくいのですが、具体的にどういう手続きが必要になるんでしょうか?

柴崎さん
柴崎さん

最初にやったことは、行きたいラボの教授にコンタクトを取るということですね。英米への留学だと「受験」という面が強いのですが、自分が進んだスイスやドイツの場合はほぼ「就活」です。Twitterや学会のメーリスに流れてくる募集に申し込んだり、僕のように直接留学先の教授にメールを送って実際にディスカッションした上で一緒に研究することを承諾してもらったりという感じです。

馬場さん
馬場さん

私の場合は、語学のスコアとか資金という面で大学の募集要項をクリアできるように準備をしました。あとは行きたい大学の教授とアポを取るにしても研究計画書を最初にしっかりと書くことが大事です。

筆者
筆者

馬場さんも試験はなかったんですか?

馬場さん
馬場さん

はい。私も机に向かう試験はなくて、書類を準備して応募して面接という手続きをひたすら踏む感じです。応募する書類の内容は大学に合わせて少し色を変えるというのが必要ですけどね。

柴﨑さん
柴﨑さん

研究計画に関していうと奨学金に申し込むときにも必要ですよね。

馬場さん
馬場さん

あー、そうですね。

柴﨑さん
柴﨑さん

日本の財団に申し込む場合と海外の財団に出す場合でも書く内容が違うはずです。外国の財団であれば「あなたの国にとって自分を採用するとこういういいことがありますよ」というのをしっかり伝える必要があります。

馬場さん
馬場さん

うん、そういう意味でも研究計画書を書くのが最初の準備かもしれないですね。

柴﨑さん
柴﨑さん

ただ、分野によるかもしれないですけど前もって留学先の教授とディスカッションするというのも良いかもしれないです。

馬場さん
馬場さん

確かに。「出願しようと思うんだけど、いろいろと書類を書くにあたってアドバイスいただけませんか?」という感じで受け入れ先の教授に相談している友人はいましたね。

柴﨑さん
柴﨑さん

はい。自分がやりたい研究テーマと教授がやりたいテーマをすり合わせて、何ができそうか考えるということもできます。

資金確保がたいへん

筆者
筆者

さきほどの奨学金の話なども含めて、留学準備で大変だったことなどあれば教えていただきたいです。

柴﨑さん
柴﨑さん

日本で博士課程に進学する場合も言えることですが、資金の確保が大変です。大陸ヨーロッパの場合は受け入れ先さえ決まればあとは結局お金の問題なので、日本と比べてという話だと大変さは変わらないと思います。

馬場さん
馬場さん

お金の確保は難しいですよね。文系の場合は学費が日本に在籍していた方が格段に安く済みますが、留学となるとかなり資金が必要になります。あとは時間の確保という点も大変かなと思います。海外で3年間研究するというのは大きな決断ですし、英米文学科の場合だと日本の博士課程で少しトレーニングを積んでから留学するというのが一般的なので、その分また時間がかかるんですよね。

柴﨑さん
柴﨑さん

自分の場合、学費は半期で80スイスフラン(1万円くらい)で、他の大陸ヨーロッパの大学はどこもそんな感じです。

馬場さん
馬場さん

えっ、安い!私は正確な数字でいうと授業料が年間17040ポンドなので、250万円くらいです。

筆者
筆者

そんなにかかるんですね。

馬場さん
馬場さん

はい、すごい大変なんですよ。お金がだいぶかかるので、留学先大学も「この学生は本当に授業料を払えるのか」ということを心配しています(笑)。なので、出願のときに「お金の心配はないよ」ということを言えるようにしておくことが重要です。

柴﨑さん
柴﨑さん

そうですね。僕の場合は逆に教授に「お金あるならきてもいいよ」と言わせる作戦でしたね。受け入れ側の推薦があると奨学金も出しやすいです。

筆者
筆者

奨学金を取る上でも色々と工夫が必要なんですね。

馬場さん
馬場さん

奨学金については、授業料支援のものから生活費援助のものまで本当に色々あります。これから留学を考えている方は奨学金の情報収集をして、自分の条件にあったものを利用できればいいと思います。

実際の留学生活について

筆者
筆者

留学前はいろいろと不安な点もあったのではないでしょうか?

柴﨑さん
柴﨑さん

研究はちゃんとできるだろうと思っていたので、特に不安はなかったです。ただ、現地での生活が大変という点を過小評価していましたね。研究は英語なので問題ありませんが、現地語のひとつであるフランス語があまりできないので病院へいくときなどはやはり不安を感じていました。

馬場さん
馬場さん

私の場合は特に英語力や健康面について不安がありました。ただ、現地ではアカデミックイングリッシュのサポートがあるなど留学生に対するケアが手厚いし、実際に生活していくなかで色々現地の人と情報交換できるので、特に問題なく過ごせています。研究については、教官の他に色々とアドバイスをしてくれるメンターがついてくれる制度があります。

筆者
筆者

なるほど、意外となんとかなるという感じですかね。普段はどのような研究生活を送っているのでしょうか?

柴﨑さん
柴﨑さん

大学か自宅で論文読んだり数値解析をしたりという感じです。そこは日本の博士生活とは変わりはないと思います。僕は理論の研究をしているのでラボでみんなで実験をするという感じではないですけど、ボスや同僚とのディスカッションは頻繁に行っていますね。あとは週1のラボミーティングがあって全体報告をするという感じです。

馬場さん
馬場さん

私の場合は月1回の面談指導に向けて準備をするのが基本です。面談指導では研究状況の報告をしたり、自分が1ヶ月の間に執筆したものをチェックしてもらったりしています。そのために文献を読んで情報をまとめたり、セミナーや読書会に参加したりしています。日本の修士課程は授業にたくさん出る必要がありましたが、こちらでは自分のペースで研究に打ち込めています。

筆者
筆者

現地の生活で、日本と違うなと感じることはありますか?

柴﨑さん
柴﨑さん

日本と違うと感じたのはきっちり休むという点です。平日の9時から5時の間は研究に集中しますが、休日は剣道をしたり、ワイン畑にハイキングに行ったり。バカンスとしてまとめて2週間以上休みをとるのも義務になっていて、ちゃんと休まないと怒られるんですよ。

ラボのメンバーと登山に行ったときの様子
(左列の手前から2番目が柴崎さん)
筆者
筆者

バカンスとかあるんですか?

柴﨑さん
柴﨑さん

はい、大学と雇用契約を結んでいますからね。年金制度にも加入しているので、65歳になったら一時金という形でスイスから年金がもらえます(笑)。ちなみに去年のバカンスはスイスの南の方に行って日光浴してました。

筆者
筆者

そういうのを聞くと日本の博士にいくより海外の方がいい気がしちゃいますね。

柴﨑さん
柴﨑さん

ヨーロッパはとてもワークライフバランスがいいと思います。

ヨーロッパに行きましょう(笑)!

スイスの良さを熱弁してくれた柴﨑さん
馬場さん
馬場さん

確かにイギリスでもちゃんと休めって言われますね。日本ではそんなこと言われないですね。こっちでは寮生活が一般的で、「寮生活イコール学校」となってしまうので、「週末だけは休む時間をしっかり確保せねば!」という意識がある気がしますね。だから、金曜日になるとみんな音楽を大音量でかけて一気に騒いでいます。

柴﨑さん
柴﨑さん

食文化という話になると日本の方がいいと思います。例えば、スイスは淡水魚しかとれないし、魚は冷凍のものを食べるのが基本です。日本人コミュニティで寿司は食べれますが日本の方が圧倒的に美味しいです。

馬場さん
馬場さん

シャリも全然違いますよね。寿司などに限らず、手軽で安価に食べれるもののクオリティが全然違うと私は感じます。知り合いはいつもファミチキが食べたいと連呼してます(笑)。

コロナ禍で留学生活はどう変わったのか?

筆者
筆者

ただ、ここ1年はコロナ禍で色々と大変だったのではないでしょうか?

柴﨑さん
柴﨑さん

最初は現地語でしかコロナの情報が入ってこないので、情報収集にちょっと時間がかかりました。あとはいきなり「大学閉めます。大学に来ないで」と通知が来たり、スーパーがしまって買い占めが起こったりというのは困りましたね。

馬場さん
馬場さん

私のところでもトイレットペーパーがすぐに売り切れましたね。あとはみんながこもっていろんなものを作り出すので、小麦粉とかもなくなりました。

柴﨑さん
柴﨑さん

ヨーロッパの人はみんなパン作り出しますよね(笑)。

馬場さん
馬場さん

文化の違いという点で言うと、みんなマスクしないし、集団礼拝する地域とかだと特に感染が広まっちゃって。私の住んでるバーミンガムは一番感染が多かったので、すごく怖い思いをしましたね。大学での行動パターンも変わって、図書館は利用制限がかかったし、オンサイトの授業を気軽に聴講したりできなくなりました。

柴﨑さん
柴﨑さん

スポーツ施設とか美術館が閉まって、研究以外のアクティビティが制限されて他にコミットするものがなくなったのはしんどかったですね。研究でつまづくと全面的に辛くなる。友達と話す機会も減りますしね。

馬場さん
馬場さん

カフェで話したり、1週間に1回の言語交換会をしたりというのができなくなって、現地にいる良さをいかせないっていうもどかしさはありましたね。

柴﨑さん
柴﨑さん

もはや現地にいる良さは時差がないことだけでしたね。あとは「夏は日が長くていいなー」みたいな。

馬場さん
馬場さん

前より小さな喜びを見つけやすくなったという面もありますけどね。スーパーはずっと営業してたので、「スーパーを探検している!」と言う知り合いもいて、そういうちょっと特殊な楽しみ方をするようになりました。

研究に関していうと、人と会う機会が減ったということを指導教官も配慮してくれて面談の機会を2週間に1回に増やしてくれたり、私の方でも教官やメンターへの質問の頻度を増やして積極的にコミュニケーションを取るようにしたりみんな色々と工夫するようにしていると思います。

筆者
筆者

なるほど。そうなると、例えば来年から留学するっていうのは難しいんですかね?

柴﨑さん
柴﨑さん

ワクチンの効果が良ければ、来年くらいには前の生活に近いものになるのかなという雰囲気があります。ワクチン摂取がヨーロッパでは進んでいて、僕もすでに1回受けていて来月に2回目を受けます。

馬場さん
馬場さん

私も受けました。

ワクチン接種をするともらえるシールを見せてくれた馬場さん
柴﨑さん
柴﨑さん

ただ、ワクチン次第ということであんまり簡単なことはいえないです。あとはそもそも死亡者数と感染者数が日本とは段違いですからね。

馬場さん
馬場さん

そうですね。特に、慎重な人にとっては不安な状況だと思います。

大学では対面での授業が増えたり、博物館に行って観光したりとか、現地にいることをだんだん活かせるようにはなってきていると思います。ワクチン制度も整っているし、今年度から留学している人も結構いるので十分楽しめるんじゃないかな。

柴﨑さん
柴﨑さん

去年留学した人に比べたら確実にいいはずです。またロックダウンになってもなんというか要領はわかっているので、混乱は少ないと思います。

馬場さん
馬場さん

はい、いろんなところで対応の仕方はシステム化されてきていると感じますね。

今後、留学する人へ

柴﨑さん
柴﨑さん

僕の場合はモチベーションというか、ただ研究が面白いからやっているという感じですね。一見すると合理的でない生物現象が数理モデルを介してみると、すっきりするのがいいんですよね。そこに僕は魅力を感じています。それが見たいがために数式を必死にいじくりまわしているところがあります。

馬場さん
馬場さん

研究自体が楽しいという面もありますけど、うまくいかないときは研究がストレスになるんですよね。私の場合はありきたりですが、これまで応援してくれた家族、恩師、関わった人たちに恩返ししたいなという気持ちもモチベーションになりますね。留学先の人間関係というか、メンターの先生とか指導教官からの献身的なサポートに応えたいと思いながらやってます。

筆者
筆者

院留学を考える学生に向けて最後に一言メッセージをお願いしたいです。

柴﨑さん
柴﨑さん

博士に進学するんだったら、ヨーロッパに来ることを気軽に考えてもらたらいいなと思います。僕は給料の一部をスイスからもらっているということもあるので、「スイスで Ph.D. をやるのはいいぞ!」というところを強く伝えたいです。

馬場さん
馬場さん

留学準備は何かと時間と労力がかかるので大変ですが、例えば研究計画書を書く過程では、「自分が留学先で研究しているイメージ」がどんどん明確になり、喜びやワクワク感を感じられる瞬間がたくさんあると思います。、、

そういうところも楽しみながら、留学の夢をぜひ無事に叶えて欲しいなと思います!

筆者
筆者

柴﨑さん、馬場さん、貴重なお話をありがとうございました!

(米国大学院編)の記事はこちら!


海外大学院留学説明会のご案内

今回インタビューさせていただいたお二人は来たる7月11日(日)に開催される大学院留学説明会@東京大学にご登壇されます!

説明会では様々な観点から大学院留学というキャリアに関する情報提供が行われる予定です。留学経験を持つ先輩方に色々と質問をすることもできます!

今回の記事を読んで大学院留学に少しでも興味を持ったという方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

説明会の詳細はこちら

主催: UT-OSAC, 米国大学院学生会
共催: 東京大学社会連携本部卒業生担当
後援: 船井情報科学振興財団

日時: 2021年7月11日(日)13:00-15:00(懇親会 14:40-15:00)
会場: オンライン(Zoomリンク:当日が近づいたら事前登録したメールアドレスにお伝えします)
参加費:無料

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