「洋服は誰もが一生楽しめる趣味」ファッションブランドを立ち上げた東大生に話を聞いてきた

2020.10.27

編集部
編集部

在学中にファッションブランド立ち上げた珍しい東大生いるらしいよ、取材する?

筆者
筆者

え、東大生でファッションブランド!めっちゃ珍しい!行きます!!!

ファッションとは、奇人変人の巣窟、東大の中でも珍しいジャンルです。ランクで言うならSレア

筆者
筆者

少しブランドのサイトとか覗いてみるか…いやかわいい服多いなあ。

東大生が立ち上げたブランドの服。少なくともかわいさはSレアです。

ちょっと面白そうだな〜とインタビューに臨みましたが、そんな軽い気持ちを吹き飛ばすようなインパクトのある経験を赤裸々に語っていただきました。

学生証
  1. お名前:占部雄飛 (うらべ ゆうと)
  2. 所属:東京大学大学院生物科学専攻修士1年
  3. 職業 :ストリートブランド littermate
  4. その他:SNSがおしゃれ

ファッションブランド…なんで?

筆者
筆者

早速ですが、そもそもなぜファッションブランドを創ろうと思われたんですか?

占部さん率いるlittermateの服。ポップでかわいい。
占部
占部

単純に服が好きだったからです!在学前からファッションの世界には強い憧れがありました。

占部
占部

学科の友達に絵の上手い子がいたので、「一緒にブランド立ち上げよう」と提案し、2人で始めることにしました。

筆者
筆者

なるほど、シンプルな理由でいいですね。

筆者
筆者

そう思い立って在学中にブランドの立ち上げを本当にできる行動力は本当にすごい。どういうマインドセットでそう至ったのでしょうか?

占部
占部

ありがとうございます!
僕は大学で生活する中で、自分の専攻の勉強に加えて「グローバルに活躍したい」という思いと、「自分の好きなアートやファッションのオリジナリティを大切にしたい」という思いの二つを大事にしてきました。後者の二つが結果としてブランド立ち上げにつながったという感じですね。

筆者
筆者

グローバルに活躍と言いますと…?

占部
占部

実は僕は、「Central Saint Martins 」という、ファッション界では世界で3本の指に入るような大学に留学したんです。

筆者
筆者

ファッション界の東大か。

占部
占部

2年間で2回、海外留学する「GEfIL」という東大のプログラムでの留学でした。大多数の人がMITとか学問で有名な大学に申し込むんですけど、自分は独自性を大切にしてそこに行きました。2年生の終わりの春に、2ヶ月間です。

筆者
筆者

面白そう!そういう学校の授業ってどんな感じなんですか?

占部
占部

スタイル画の描き方やファッションエディトリアルの技術など、デザイナーやスタイリストがどのように世界観を作っているかということを学びました。 
ただ、2ヶ月のみでは触りしかできなかった実感があったので、日本帰国後にファッションの専門学校に1年間、ダブルスクールで通いました。週末行ってミシンをしたりスタイル画を描いたりする感じです。

筆者
筆者

伊藤塾(司法試験対策が中心の塾)とかのダブルスクール行ってる東大の友人はいますけど、東大生がファッション系のダブルスクールって素晴らしいですね。

アカデミアとファッションを繋げる

筆者
筆者

占部さんのブランド “littermate”の服は、ネズミの絵が描かれているものが多いですよね。何かテーマがおありなんですか?

S308 T-shirt Sand
占部
占部

はい。僕の専攻である生物系のアカデミックなカルチャーを服で表現しようとしています。ネズミは、実験用の変異マウスです。

筆者
筆者

なるほど!生物系のアカデミックカルチャーとは、どのようなものだと感じていますか?

占部
占部

まず、生物学はサイエンスの一環で、複雑な世界の中にある何かしらの原理原則を探っている、という前提があります。

占部
占部

実験動物を扱うからか、生物系ってマッドサイエンティストのイメージがどうしても付き纏うんですね。遺伝子いじって喜んでるとか、そういうイメージを持っている人も少なくない。

映画 「Amazing Spider Man 」で博士が恐竜になっていたのを思い出しました。
占部
占部

実際、確かに生物の変異体を作成したり遺伝子をいじって変化を見たりもしますけど、あくまでそれは副次的なものです。

占部
占部

僕たちのブランド “littermate” の変異マウスのモチーフは、「おデブなマウスがいて面白いよね」というデザイン的な側面もありつつ、「人間の病気の仕組みを理解するためにこうしたマウスが作られた」ということも物語らせているんです。

筆者
筆者

サイトに載っていたネズミの柄、とてもポップですよね。

占部
占部

お、よかった。第一印象を大切にしているんです。

というのも、littermateの服を見た時、ストリートが好きな人はネズミの柄が面白いから買うと思うんですよね。でもそこで終わらせたくないわけです。そのネズミが何を表象するのか、生物学的な情報をメッセージカードみたいにして同封しています。

筆者
筆者

ストリート好きにも生物を伝える思いがある、と。

占部
占部

はい。その際にはできる限り専門用語を使わないで、生物学的なストーリーが色々な人に伝わりやすいようにしています。

筆者
筆者

それは素晴らしいですね。とするとストリート好きな人とかがターゲット層なんですか?

占部
占部

そうですね、でもそいう人に限るわけではないですよ。
まずは、生物系の研究に興味がある人をはじめとした学問に興味がある人。そういう人たちってあまりファッションに興味がなかったりするので、僕たちのブランドを通じて彼らにファッションを好きになってもらえたらな、と思っています。
もう一つは逆に、ファッションが好きな人。特に、おっしゃる通りストリートスタイルが好きな10、20代の若者ですね。

筆者
筆者

普段は全然住んでる世界が違いそうな2集団ですね。

占部
占部

違った方向から攻めることで、アカデミックな人たちは服を知れて、ストリート系のファッション好きな人たちは生物学に興味を持ってくれる、そういう展開を目指しています。

筆者
筆者

両方のバックグランドを持つ占部さんならではの独自性ですね。

S401 Long Sleeve T-shirt
筆者
筆者

ちなみにブランド名のlittermateとはどんな意味なんですか?

占部
占部

littermateは生物学の専門用語です。意味は(マウスなどの)同腹子。遺伝実験とかでよく使われますね。同じ親から生まれた子供たちでも遺伝子の組み合わせによっていろんな変異体が生まれてくることを表現したくて。

筆者
筆者

なるほど、そういう面白い意味が込められているんですね。

占部
占部

変異マウスが柄の主体ですが、もっと実験手法とか他の生き物とか、そういう柄のレパートリーを増やしているところです。

筆者
筆者

生物学全体へと枠を広げるんですね。

占部
占部

結局、僕らlittermateが伝えたいのはアカデミックカルチャー全般で、生物系に限るわけではない。回り続ける世の中を、サイエンスが見えないところから支えていて、そこに携わる人たちがどんな視点を持っているのかを伝えたいわけです。だから理系全体、物理とかにも範囲を広げていきたいと思っています。

筆者
筆者

なるほど、さらなるlittermateさんの拡大に期待してしまいますね。

ブランドの進展は?

筆者
筆者

ブランドとしての現在の活動は、どういった状態ですか?

占部
占部

そもそも僕らのブランドはまだ会社にはなっていなくて、個人としてやっている状態です。今は(2020、7月時点)、1つの型が30着くらい売れていて、その売れ行きに応じて次の型を作っているといった感じです。
もちろんそれでは物足りないと感じていて、それでUmeeTさんのインタビューを受けているわけですけど(笑)。メッセージカードを入れたりマウスのステッカーを送ったりなどの地道な活動で、消費者との繋がりを大切にしています。

占部
占部

その結果、リピート率は結構高くて、一度買ってくれた人は5、6回買ってくれたりしています。

筆者
筆者

そのリピート率は驚異的ですね!駆け出しのブランドとは思えない。

占部
占部

はい、顧客のリピート率に関してはかなり自信があります(笑)。ただオンラインだけでやっているのもあって知名度がどうしても足りなくて、、。実際僕たち二人はマーケティングに詳しいわけではないので、これからはそういったところにも力を入れていきたいです。

筆者
筆者

2020年現在、コロナウイルスの流行で、アパレル業界は結構需給のバランスが荒れているかと思います。littermateさんはオンライン一本での活動をされていますが、何か変化を感じるということはありましたか?

占部
占部

うーん…正直オフラインオンラインに関係なく、アパレルは打撃を受けていると思います。コロナの流行初期ってみんな家に閉じこもる傾向が強かったから、服の需要はそれだけ変化がありましたね。単純に着る機会が激減しましたからね。

筆者
筆者

なるほど、具体的にはどのような影響を?

占部
占部

売り上げの数字として感じることもありましたし、本来コロナウイルスの流行がなければ東大の五月祭の物販に合わせて打ち出そうとしていた商品も「今出したら売れないだろうな、、、」と思い、少し状況が落ち着いてから発売しました。

筆者
筆者

難しい状況ですね。そんな中でも負けずにご活躍されることを願っています。

S201 T-shirt

最後に、服を語ろう

筆者
筆者

littermateは現在ストリートブランドですが、これは占部さんがストリートファッションがお好き、ということでしょうか?

占部
占部

いや、自分は割と色々なジャンルの服が好きです。

占部
占部

フォーマルな服を着たらピシッとした気持ちになるとか、逆にストリート系の服を着たらカジュアルでオープンな気持ちになったりとか、服のそういう気持ちや態度の変化をもたらしてくれるところが好きなんですよね。周りからの見られ方も実際に変わってきますし。だからストリートも好きですけどモード系というか、フォーマルな格好も結構しますよ。

筆者
筆者

となると、将来的にはストリート系以外にも進出する予定があったりしますか?

占部
占部

本来は、パターンとかに拘ったデザイナーズブランドの立ち上げも視野に入れていましたが、ファッションの学校に通う過程で、そうしたブランドは立ち上げるのにお金や経験がもっと必要だと思いました。

占部
占部

とりあえず今できる範囲でファッション業界に飛び込んで、経験を積んでいきたい、学生のうちから自分の作品を届けたいという思いから、ストリートを選んだのかもしれません。ですから将来的には、総合的なブランドを立ち上げたいと思っています!

筆者
筆者

なるほど、期待してます!

占部
占部

ブランドとしては、うちのテーマである「生物×ストリート」って中々なくて、オリジナリティの塊だと思うんですね。

占部
占部

将来の発展のためにも、littermateをもっともっと日本の中で周知できればなと思っています!

筆者
筆者

志が素晴らしい。

S401 Hoodie
筆者
筆者

実際にブランドを立ち上げてみて、如何でしたか?

占部
占部

始める前に思っていたよりも何倍も難しいなと感じています。ブランド運営って洋服をデザインするだけじゃ勿論ダメで、かなり多角的なスキルが必要だったんですよね。

占部
占部

でも一方で、そういった苦労を積み重ねる中で、littermateのチームとしての成長を日々感じています。インフルエンサーを通じたウェブマーケティング等、今時ならではの服の販売も模索しています。

最後に

筆者
筆者

最後に、東大生へのメッセージをお願いしていいでしょうか?

占部
占部

そうですね、どうしても「東大生はファッションがダサい」と言う価値観が世の中にはありますよね。

でも、そもそもすべての東大生がそうじゃないですし、単純に洋服に興味のない東大生が多い、ってだけの話だと思うんです。で、僕はそれをダサい・おもろくないとは思いません。他のところに力を割いているというだけです。

筆者
筆者

(あっこの人は俺たちの味方だ)

占部
占部

僕のメッセージは、「ファッションって面白いから、興味のない人でも一回飛び込んでみるといいと思う!」というような感じです。
持論ですが、洋服は誰もが一生楽しめる趣味だと思うんですね。先ほども言ったように着る服のスタイルによってその日の自分って大きく変わります。見え方とか気分とか。
自分は興味ないしどうせ似合わない…といったネガティブな気持ちは捨てて、ポジティブにファッションの世界を楽しんでくれる東大生が増えてくれたら嬉しいですし、自分たちのlittermateのブランドがその手助けになれば最高です!

筆者
筆者

ありがとうございます。ファッションに踏み出していく東大生がどしどし増えていくといいですね。

終わりに

インタビューから数日後。我が家にlittermateさんから荷物が届いた。

ポップなTシャツがきた!

littermateさん、ありがとうございます!!

確かに、服のテイストだけで人って変わるんですね!洋服は誰もが一生楽しめる趣味。色々な服をこれから着てみようと思いました。改めて占部さん、貴重な機会を頂き、どうもありがとうございました!

この記事を書いた人
芸術の三要素 : オリーブオイル、トマト、にんにく。
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