どうも皆さんこんにちは。最近UmeeTでの露出が高めのメアです。
駒場キャンパスの銀杏も散り、秋も深まってきたこの季節。
といえば!
駒場祭ですね。秋といえば駒場祭みたいな書き方をしてしまいましたが、何しろ筆者は東京大学1年生。
初めての駒場祭は、全力で楽しみたいという気持ちで一杯なのです。
出店で食べ歩きするのはもちろんだけれど、
何か東京大学らしい企画にも行ってみたい!
そう、学術企画に行きたい!でも、どこに行けばいいんだろう…。
そんな筆者に耳寄りな情報が!
「観客が参加できて」「時事的な問題を考えることができる」「学術企画」があるそうなんです。
その名も!
川人ゼミ模擬裁判
(強そう。こんな私でも参加できるような企画なんでしょうか…。)
曰く、その模擬裁判は「法と社会と人権ゼミ」が主催しているらしい。どうにかして、企画の主催者にお話を聞きに行ってみたい。
というわけで、調査しに行って参りました!
練習場所に到着すると、緊張した雰囲気が扉の外にまで伝わってきていました。
おそるおそる扉を開けるとそこには…
まるで、裁判所の傍聴席!
筆者は心の中で大声で叫んでしまいました(裁判所行ったことないけど)。
ただ声を張り上げているだけではなく、台詞に感情がのっている。
原告、被告はもちろんのこと弁護士役の方たちもそれぞれ話し方や抑揚に差があり、パーソナリティを感じられる。
こんなに全力で演技をしているキャストの皆さん、すごくないですか?(語彙力)
同世代の人がここまで「裁判」に熱くなれるなんてヤバい。(いい意味で)
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そもそも、この模擬裁判を企画している「法と社会と人権ゼミ」ゼミとは何ぞや?と思う方も多いでしょう。
川人ゼミは、東京大学法学部出身の川人弁護士の「東大生は現場を知らなさすぎる」という思いから設立され、現場、当事者から社会問題を学ぶという理念に基づいた自主ゼミナールです。
今年のSセメスターでは、受講者数なんと150人超!
受講者が多い理由、それはまさに当事者から学べるということ。
Sセメスターでは、高橋まつりさん(電通の過労死事件で亡くなった東京大学出身の方)のご遺族や「夜回り先生」の呼称で親しまれる児童福祉運動家の水谷修さんなど、社会問題に関わる方々を講義にお招きし、お話を伺ったそうです。
そんな川人ゼミが20年以上毎年続けて行っているのがこの駒場祭での模擬裁判企画。なんとキャストは全員1年生!
そして今年の模擬裁判のテーマは…
あらすじ:
2017年6月、東京大学3年生桜田遼真及び他大生数人による詐欺事件が発生。桜田らは学生団体を組織し、大手クラウドファンディングサイトで寄付を募っていた。メディアやSNSを通じたアピールによって5000万円の資金を集めることに成功。しかし、学生団体のプロジェクトは頓挫し資金を持ち逃げする。
憤った支援者たちは警察に被害を訴え、桜田らは逮捕される。事件後、週刊誌「週刊文冬」の記者が桜田遼真に関する密着記事を掲載。記事の内容は、桜田の家庭環境、Twitter、そしてセクシュアリティにまで及んだ。
このような記事掲載はプライバシー侵害に当たるとして、桜田は出版社、そして記者を相手取り訴訟を起こす。
その訴訟の様子を模擬裁判では見ることができます。
最近話題になっている週刊誌報道(センテンススプリングとかね)、それからTwitterなどのSNSでのプライバシー、そしてLGBTという時事的なテーマを盛り込んだ作品になっています。
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川人ゼミのOBには、リディラバの安部敏樹さん(UmeeT掲載記事)や、鈴木悠平さんなどもいらっしゃいます。
前述したように川人ゼミの講義では、社会問題を多く扱っています。
扱うのは労働問題や拉致問題にはじまり、地方創生や子どもの人権まで!
講義に様々な専門家の方や関係者の方をお招きし、お話を聞くだけでなく、省庁や会社に赴き現地でお話を聞くこともあります。
今回は、原告桜田遼真がクラウドファンディングで得たお金をゲイバーで使い込んでいたところを週刊誌が報じます。
桜田自身が親しい友人にのみしか明かさなかったセクシュアリティを週刊誌が報ずる権利はあるのでしょうか。
また、いくらテレビで見知った顔だとしても、我々は知る権利を主張して彼のプライベートに踏み込めるのでしょうか。
そんなことを考えさせられる模擬裁判でした。
裁判、と聞くと殺人や強盗の裁判を想像する人が多いのではないでしょうか。
「そんな裁判を聞いてもなあ」と思っている方!川人ゼミ模擬裁判は違います。
先ほど書いたように「有罪か無罪か」ではなく「誰の主張を認めるべきか」を、私たちが考えることができる裁判なんです。
今回は模擬裁判企画の責任者の方にお話を伺ってきました。
現在東京大学2年生の総責任者飯田泰史さん、そして脚本責任者伊久間勇星さんにこの企画への熱い思いを語っていただきました。
――練習を拝見させていただきましたが、すごく臨場感あふれる裁判劇ですね。
伊:この模擬裁判はリアリティを追及しています。現役弁護士の方に監修していただき、裁判中のセリフは実際の裁判に基づいて作っているんですよ。
――なるほど、それであの迫真の演技が生まれていると?
伊:裁判内容だけでなく、役柄の細かいところまで作りこんでいるからこそですね。
例えば、裁判中話していないところでも「励ましの視線を送る」という演技があったりするんです。
飯:キャストのほとんどが演技未経験者で、脚本の執筆者も法律は学び始めたばかりの状況で頑張ってきました。
1年生も2年生も忙しいスケジュールを合わせてやっと空きコマに練習している感じです。
伊:ゼミ内の2年生で夏休み旅行に行ったんですけど、スタッフのみんなで集まれる機会がそれ以外にあまりなくて。
空港や飛行機内でパソコンを必死でカタカタしたのはいい思い出です(笑)。
飯:今回の模擬裁判は、キャストとスタッフ総勢40人以上と過去最大規模の人数が参加してくれています。
演技指導もゼミOBOGの方や弁護士の方からの助言がたくさん生きているのでぜひ見て頂きたいです。
――そんな劇の魅力を教えてください!
飯:「親しみやすさ」でしょうか。裁判、というと敷居が高く感じられる方も多くいらっしゃるでしょう。
今回の扱う事件は主人公が東大生、週刊誌ネタやクラウドファンディング、Twitterなどの話題になることの多いテーマをシナリオの軸に据えています。
だからこそ、普段裁判には縁がないと感じている方も含めてより多くの人に楽しんでもらえるものになっていると思います。
伊:10回以上書き直した執念の脚本、リアルを追及した証拠品、キャラクターの魂が乗り移ったかのような1年生の演技にはぜひ注目してほしいですね!
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判決シーンの練習がないなあ、なんて筆者が軽く思っていると…。
裁判長:結末は観客の方にアンケートで決めてもらうんです。
ん??アンケート?
裁判長:私も裁判の結果が分からないんです。観客の方が劇を見て、どんな判決がいいかアンケートに答える。それを集計して、初めて台本が渡される。だから、台本が25パターンもあって(苦笑)
そう、この模擬裁判は結末が観客の皆様に託されているのです。1日目と2日目で判決内容が変わる、なんてことも。
最後に、責任者の方たちからのメッセージをお届け!
テーマの「報道とプライバシー」については、簡単にバランスが取れるような答えが出るようなものではありません。
「報道の自由が保障されているからといってなんでも報じていいんだろうか?」「そもそも週刊誌の役割って?」
といったように、観客の方1人1人が考えを巡らせることができる、そんなきっかけとなればと思います。
そんな裁判劇、見に行きたくなりませんか?
さあ、手帳を開いて公演スケジュールのメモのご用意を!
公演スケジュール:11月25日(土) 13:30~16:00 / 11月26日(日) 10:30~13:00 (開場は30分前から)
場所:KOMCEE EAST K011 (B1F)
魅力的な脚本、キャストの皆さんの迫真の演技、そして観る私たちも参加できる!盛りだくさんの川人ゼミの企画にぜひ足を運んでみてください!