東大卒女芸人が、ホームレス支援と路上ギャグ師から考える「豊かな路上」

2017.07.04
@balenoptere

♪サバ缶のなか~みはカーニバル サバ缶のなか~みはカーニバル サバ缶のなか~みはカーニバル 

サバ缶捨てて……カーニバーール!!! ワン、ツー、ワンツースリー!!サバ缶のなか~みは……

4月下旬、大阪なんば、21時。リピートされる「サバ缶の中身はカーニバル」。

一緒に振付を踊る中年の女性、無理やり踊らされる飲み会帰りのサラリーマン。写真を撮って爆笑する中国人観光客。

あれ?わたし…ホームレス支援雑誌をきっかけに路上の問題を考える記事の取材してたんやけどな……

このカーニバルを繰り返す人こそ、路上ギャグ師「オモロ川だいすけ」である。

今回、東大卒女芸人である、わたくし「スイミーのゆうこ」がインタビューすることになった。

大阪のライブで芸人活動をしている者で、去年の3月に東大法学部を卒業し、今は京大でアフリカ現代美術について研究している。

昨年書かせていただいた自己紹介記事

そんな私があるきっかけから「路上」の問題を考えたいと思い、その際ぜひとも詳しく知りたいと思ったのが、大阪の路上ギャグ師、オモロ川さんの活動だった。

  1. お名前:オモロ川だいすけ
  2. 経歴:NSC32期生。ボクサーを経てうつ病を乗り越え、よしもとのピン芸人として活動を始める。2013年、罰ゲームをきっかけとして、路上ライブを始め、ギャグ大会を主催するなど勢力的に活動。2014年ギャグ大会のチラシ配りの最中に、阪神タイガースの優勝を祝って道頓堀に飛び込む騒ぎに巻き込まれ、自らも飛び込む。その様子がニュースゼロに映ってしまったことがきっかけとなり、よしもとをクビに。その後イベンターを目指すが挫折し、現在路上ギャグ師として活動。一日2~3回程度の路上ギャグのみで生計を立てる。 R-1グランプリでは、所属事務所を示す欄に、(通常事務所に所属しない芸人はフリーまたはアマチュアと表示される)2016年より二年連続で「路上ギャグ師」と表記され、大阪のお笑い界では公式に認知された存在となった。

記事を書くきっかけ

在学中、本郷三丁目駅から本郷キャンパスに向かって歩きながら、一番大きな交差点を通りすぎるとき、いつも気になっていたことがあった。
Big Issueというホームレス自立支援雑誌を売っているホームレスのおじさんに、多くの人が足をとめない。

もちろん、雑誌について知らない人もいるだろうし、足をとめない自由は各人にある。

でも、社会貢献とか、多様な価値の実現とか、チャリティとか、多くの学生が口に、行動に移し、意欲的な人は海外にまで出かけていく、この東京大学のすぐ近くで、この現状はどういうことだろう??

多様な価値観とか言うてる人、全員東大前駅から通学してんのかな??
東大生のきれいごと言うてる人らどこ行ったんやろ??

……みたいなことを言うのは個人的に得意なのだが、それだけで終わるのも違う気がしてきた。

……たとえば、本郷じゃなくて池袋や渋谷なら、路上での商売やパフォーマンスに足を止める人ももう少し多い気がする。
そういえば、大阪のなんばなんて、「ギャグ」を路上で売ってる人がいたけど、人が足を止めているのを見た気がする!
あの人はどうやって路上での活動を成功させているのだろう、、、?
こうして、頭にうんこをかぶった路上ギャグ師「オモロ川だいすけ」さんを取材することにしたのである。 

*『Big Issue』を知らない方のために

https://www.bigissue.jp/common/img/top_main.jpg
ビッグイシューはホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業
定価350円の雑誌『ビッグイシュー日本版』をホームレスである販売者が路上で売り、180円が彼らの収入に。(http://bigissue.jp/about/index.html より)住所がない路上生活の状態ではそもそも就職活動に参加できず、再び社会に望んでいる形で活動する機会を掴めない、という問題に根本的に取り組んでいる。たとえば、第1ステップとして、一日20~25冊売ると、 簡易宿泊所(1泊千円前後)などに泊まり路上生活から脱出が可能になる。
http://bigissue.jp/sell/system.html より)

豊かな路上への誘い

オモロ川さんインタビューに入る前に、「豊かな路上」について少し東大卒っぽい話をしたい。
興味ねーよという方々は次のページへ

路上で生活したり、何かの活動をすることに対しては、さまざまな立場がある。

そして、路上活動への態度は、結果として、社会の周縁にいる人々への向き合い方と、重なる部分がある。

ホームレス問題との関連でいえば、昨年、渋谷にできた公共の造形が、いわゆる「排除アート」(路上生活者の寝泊まりを妨げるためのパブリックアート)ではないかと話題になった。
設置にそのような意図があったかは確定できないし、ここには住まないでくださいとの行政指導はもちろん必要な場合がある。

しかし、追い出すだけでなく、ホームレス問題に対して雇用面から根本的解決に取り組む必要も行政にはあるといえるだろう。

海外では、クレームによって排除アートを撤去することもあったという一例(http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/10897601より)


 私が大学院で学んでいるアフリカでは、商業・流通部門において、
インフォーマル・セクター(政府による規制を受けず、捕捉されない経済部門)が重要な構成要素としてとらえられている。

いわゆる露天商のような形で商業を営むそれらの中には、日本人でも見かけるので想像しやすい、食品を売ったり靴を磨いたりする「サービス・セクター」から、靴や家具まで作ってしまうものまである。

小川さやかさんはタンザニアの主に路上で活動する商人の人類学でサントリー学芸賞を受賞した

そうしたインフォーマルな製造業は、外貨を稼ぐことができ、特に工業部門への投資が進まないアフリカにおいて、経済発展のエンジンともなりうるのだ。

都市開発政策の是非はおいておくとしても、単純に排除してしまうにはもったいない、学問的にも実務的にも興味深い、魅力的なかかわりがそこにはある。

そう、制度としてよくデザインされ、きれいに整った路上も美しいけれど、

自発的な関係が絡み合う、豊かな路上には、可能性があるのだ。

次ページ:オモロ川さんにインタビュー!

この記事を書いた人
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はじめまして! @balenoptereです。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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