【瀧本哲史インタビュー】法学部から官僚になるのは「バカな」選択なのか?

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この記事は、UmeeTライターの大野が瀧本哲史氏にインタビューした内容をまとめたものです。大野は瀧本氏が顧問を務める東京瀧本ゼミ政策分析パートのゼミ生でもあります。

※東京瀧本ゼミ政策分析パート:日本において未だ注目されていない社会問題を取り上げ、その解決に向けて科学的根拠や定量的なデータに基づいた政策を立案し実現させるゼミ。

以前の瀧本氏へのインタビュー、【瀧本哲史インタビュー】流されるままの東大:消化試合としての人生【瀧本哲史インタビュー】地方大学東大:高値掴みする東大生 【瀧本哲史インタビュー】革命抑止大学東大:革命、起こしませんかも併せてお読みください。

 

☞学生証

  1. お名前:瀧本哲史さん
  2. 所属:京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授
  3. 経歴:東大法学部卒。東大大学院助手、Mckinsey&companyを経て京都大学にて教鞭をとる。「起業論」や「意思決定論」などの講義を担当した。その講義は立ち見する学生が続出し、さらに医学部生の約半数が受講していたという。現在はエンジェル投資家として活躍する傍ら、東京瀧本ゼミ企業分析パート、政策分析パート、NPO法人日本政策創造基盤、京都瀧本ゼミの顧問を務めている。

     

 

法学部から官僚になりたかった僕はバカですか?

 

大野:今日はよろしくお願いいたします。今回のインタビュー内容は、「政策」がメインということになっています。

 

瀧本:そうですね。今までの私のインタビューでは、あまり政策に触れてこなかったので、今回メインにすることにしました。

 

 

大野:僕も政策立案にはとても興味があって、一時期は、法学部に進学して官僚になることも考えていました。しかし、その気持ちもすっかり萎えてしまいました。というのも、霞ヶ関の不祥事が明らかになったり、OBやOGの方々のお話を聞いていると官庁が想像以上にダメな組織に思えてきたりしたからです。法学部から官僚になろうとしていた僕はバカだったのではないかと思いました。

 

瀧本:なるほど。その選択肢は決してバカなものではないと思いますが、明確な目標もなく官僚になろうとしているのなら、あなたは思考停止していると思いますよ。

 

えっ

 

大野:それはどういうことですか?

 

瀧本:明確な目標もなく、周りが官僚志望だからという理由で官僚になろうとするのは、自分で意思決定できていない証拠ですよ。「官僚になってやりたいことは大学で学びながら見つけたいです。」とか言う東大生多いんですけど、こんな受動的な姿勢ではダメです。で、逆に霞ヶ関の問題点が次々と出てきたら、逆に官僚は辞める。これは一番最近目にした方法にそもまま反応している点で、周りに流されているところは変わらないんですよ。

 

どんなキャリアを選択にしても、直近に接した情報だけで判断したら、周りに振り回されるだけの人生になってしまいます。自分の人生を自分で決めていくためには、自分で問題発見をしてそれを解いていくことが大切になります。そんな受動的な姿勢のままの東大生は、どこに行っても、これからありとあらゆるところで起きそうな突発的な危機、答えが簡単に見つからない問題に遭遇したら濁流に呑み込まれてどうにもできない人生になってしまいます。

 

刺さる……

 

大野;すごい言われようですね……でも、官僚になってできることって官庁に入らないと分からないのではないですか?大学のうちからこれやりたいと絞るのもどうかと思いますが

 

瀧本:それは、「大学に入らないと大学のことは解らないので今は受験に専念しよう」と考え、いざ、大学に入ったら一見スカスカだったので立ち尽くすという、同じ失敗を繰り替えしかねない、言い訳になってしまいます。実は官僚になろうとする人は、政策担当者に必要なスキルという点では、むしろ、大学での勉強不足の方が問題だと思っています。ありがちな官僚批判として「勉強ばかりで社会がわかっていない」というのがありますが、むしろ官僚は「勉強していないから社会がわからない」んですよ。

 

大野:それはどういうことでしょう?

 

瀧本:1年ほど前に、経済産業省の若手官僚達が「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」というレポートを発表しました。あれは官庁の資料ながら100万ダウンロードを突破するなど、とても注目を集めました。

 

※不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜:経済産業省の若手官僚達が集まって日本の危機について論じたレポート。東京大学との意見交換も行なっており、五神真総長も参加するなど、官民の1大プロジェクトとなっている。

 

しかし、あのレポートも問題設定や結論が漠然としていて何が何だかわからない。その原因は官僚の勉強不足にあると私は思います。 例えば、あのレポートでは根本的な問題提起の第一として、「終身雇用的な昭和型人生すごろくは終わった」と書いてありますが、これ自体、事実とは反しています。実際、彼らはこのレポートを書いた後に、それぞれの専門家にボコボコに批判されていて、反省を余儀なくされているぐらいです。http://sciencebook.blog110.fc2.com/blog-entry-2740.htmlを見てください。

 

「正社員になり定年まで勤めあげる」という生き方をする人は、1950年代生まれでも34%しかいなかったんです。典型的な人生だと思っていた数字が、どう計算してもそれ以上にはならない。ショックでした。 とあります。

 

瀧本:事実を確認して、分析するという社会科学の極めて当たり前なことを、経産省の中堅クラスの官僚すらやってなかったというのは、「国家機密」(笑)といっても良いほど、酷い実態が明らかになったと思っています。

 

国家機密(笑)

 

偏った自分の経験や思いつきに基づく意思決定から、多面的に問題設定をし、客観的なエビデンスとロジックに基づいて国の方針を決めていかないといけない。去年の一橋大学の文化祭でこのプロジェクトのメンバーとシンポジウムを行なったのですが、政策大学院を修了したメンバーもいたのにこの状態というのは本当に驚きました。

 

大野:それではどうしたら良いのでしょうか?

 

新たな政策決定方法 EBPMとは一体!?

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