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東大5年生の僕がtype就活編集長に『就活やめました宣言』した結果

2016.05.18

最近、後輩たちの就活が本格化したのを横目に見ながら、思い出してつらくなってきてます。編集長の杉山です。

何がつらかったかって、全然内定をもらえなくてつらかったんですが、むしろおかげさまでやりたいことに突き進む踏ん切りがついて、今となってはめっちゃ楽しいです。その結果もう就活してません。する予定もないです。

でもこれがあまり理解されず、数回に渡り公共の電波でも拡散され「就活失敗芸人」化してたり……。

そんな僕が、今回あえて、ホントにあえて、インタビューさせていただくのは、「『就職』の本質を考える」がテーマの雑誌『type就活』(※2016年4月より『就活type』から媒体名を変更したそうです)の編集長、伊藤健吾さんです。

就活を考え抜いたプロであるtype就活の編集長さん。この就活やめちゃった僕に一体どんな手厳しいダメだしが来るのか……。

内心ビクビクしながら、まずは僕の現状と決断を話してみました。

ざっくりまとめると、「就活で行きたいところに受からず悩んだ挙句に休学し、自分のやりたいことがはっきりしてきたので、それで生活していけないか挑戦している」ということです。

伊藤さんの圧倒的インタビュー力。「あれっ? 取材してんのどっちでしたっけ?」ってくらいしゃべってしまいました。

反応は「なるほど、良いと思いますよ」でした。

最悪「就活しろよ社会なめてんじゃねぇぞ」みたいな感じで、ガチ説教されるのもありえると思ってたんですが意外にも好反応。

僕らだって正しい就活がなんなのかなんて分からない。分からないからこそいろんな人の考え方を知りたいっていうのが『type就活』だし、だからこそ就職の本質とは何かを一緒に考えるというのが媒体テーマなです

なるほど。こうすればいい! ってアドバイスを押し付けるのではなく、一緒に探求していこうというスタンスなんですね。安心しました……。

胸をなでおろすの図

「やっぱり人の数だけ就活の形があります。感じることも考えていることも違う。そういう意味では、就活を通り過ぎた人が、何か分かったような口ぶりで決め付けるのってナンセンスだと思うんですよね」

ほんとにそうですね。人によって悩みは違ってしかるべき。決め付けたアドバイスって、善意だと分かりつつも辛いものがあります……。

就活の難しさとは何なのか

就活の形はさまざま。とはいえ、かなりの人に共通するのが、なんらかの痛みを伴うってことじゃないでしょうか? 僕もそうでしたけどなんとなく目が死んでる人多いと思うんですよ。

「みんな何かしら考えさせられるタイミングになりますよね」

就活の辛さって何なんでしょう?

「就活というシステムで、確実に不条理だと思うのは、期間が決められているところだと思います」

1年とか、場合によってはたった数ヶ月で、決めなきゃいけないことになってますもんね。

就活で問われる『働くって何だ?』というテーマって、一生考えなきゃいけない問いなんだと思うんです。いい機会ではあると思いますが、日本のように一律で制限時間が設定されているような雰囲気は辛いですよね」

まぁそんなの自分で延ばそうと思えば延ばせたりするんですけど、金銭的な問題とか、周りの目とかがありますからね。新卒でどこか入るのが「全うな人生」、みたいな。

僕は力強く踏み外したわけですけど。

就活真っ只中の取材陣

「それと、就職してから実際にどんな仕事ができるのかって、学生が事前に知ることができることは、どうしても限られています

インターンとかOB訪問とかでも、どちらかというとお客さん扱いされちゃうことも多くて、本当の姿は分からなかったりしますよね。

「なりふり構わず、就活のルート上にない方法も使うべきだと思いますよ。バイトとして潜入してもいいし、人づてにひたすら辿っていってもいいわけですから」

本当の姿を知りたいのなら、分からないなりに動くしかないってことですね。

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自分の好きなことに突っ走るタイミングはいつ?

でもそうやって動いてみても、「本当にここでいいのか」ってなかなか自信が出ない。自己分析で「自分の本当に好きなものってなんだろう」とか考え始めると、深く掘ろうとするほど、何も見つからないんじゃないかと怖くなったり。

「就活が始まるときに、誰もがやりたいことをはっきり持っているわけじゃないですからね」

好きだと思うことがあっても、それが仕事にできるような自信なんて誰にもないと思うんです。それでも好きなことを始めるのは、早いほうがいいんでしょうか。

すでにあるのなら、絶対早いほうがいいです。やってみるしかない」

でも、「やりたいこと」の種類によっては、それに気づいてしまったせいでむしろ辛くなっちゃう、みたいなこともありえませんか? 普通に就活してできそうな仕事との全然違う「やりたいこと」、例えば売れないバンドマンとか。

これから長く働き続ける上で大切なのは、やりたいことを自分でうまく、売れる形にする力じゃないでしょうかこれは、かつて取材をさせてもらったDeNA創業者・南場智子さんのお言葉ですが、若いうちに『事を成す』経験を積むのが大事なんだと。つまり、仕事をしてその対価を得るまでのPDCAサイクルを、早い段階で一通り回してみる経験が肝なんです」

確かに好きなことでお金を稼ごうと思うと、それを元にしながらも、売るために差別化したり、別のフィールドに移ったりと工夫する必要がある気がしています。そのためには経験こそが力になると。

「あるいは、すでにその業界で稼げている人のところで一緒にやらせてもらうという手もあります。まずはその世界になんとか入り込むということです。

実は僕も本当に就活で悩んだんです。僕の場合もやりたいことはかなりはっきりしていて、サッカージャーナリストになりたかったんです。サッカーが好きで、書くのも好きで」

そうだったんですね。

「でも、サッカーを扱っている出版社はほとんどが中途採用ばかりで、応募してもことごとく落ちてしまい……結果、大学卒業後の半年間はフリーターをしてました。食べるだけならバイトでも十分お金は稼げる。正直、このままでいいかもなと思ってしまったときもありました

これは驚きの事実です。就活を扱う編集長さんにこれほど苦戦していた過去があったとは。

「そんな中、面倒見のいい先輩が、『サッカーじゃなきゃダメとか贅沢言わずに、どこでもいいから出版社に入ってみろ』とアドバイスしてくれたんです。それで、たまたまアルバイトを募集していたのが、のちに『type就活』を創刊したキャリアデザインセンターの編集部だったんです」

まずは編集の世界に入り込もう、というきっかけだったんですね。

「やりたいことから少しずらしてでも、飛び込んでみることが必要です。自分がやっていきたい世界で、『ちゃんと稼いでいる人』と一緒に働いて分かることはとても多いんです。

サッカーにこだわる前に、まずは有能なライターさんや有能な編集者の仕事を実際の現場で見る必要がありました。この転換が無かったら、あのままずっと、ぼんやりと夢だけ描いて何も行動できていなかったんじゃないかと思います。

そういう意味で、できるだけやりたいことに近くて、いい人がいる現場に行くべきです

東大生の「メインストリーム中毒」

それではいい現場ってどんなところなんでしょうか。例えば東大生の多くの人は、「有名な大企業に行かなきゃいけない!」という切迫感を持っている気がします。「せっかく東大まで来て、選ぶ贅沢が許されているんだから、誰もがうらやむところに行かなきゃ」みたいな。

「高学歴だからこその悩みってあるはずですよね」

周りからの期待もありますし、プライドもあります。選べる気がするからこそより悩むし、見栄が邪魔したり。なかなか理解されない辛さを抱えているんじゃないかと思うんです。僕も地元のおじいちゃんに「なんで就職せんのや!」ってめっちゃ残念がられてますからね。

「人によって、目的によって、合っている企業が違うというのが前提ですが、社格の高い会社に行ける能力があるのなら、とりあえずそこを目指すのはありだと思うんです。

大手でしかできない規模の仕事は実際あります。また大手から中小には行けても逆が難しいのが実情です。

就職時に配属先まで選べる人はそう多くありませんが、そういう勝ち癖のついている人たちと一緒に働くチャンスが得られそうならば自分にも勝ち癖をつける最高の場になります。何をするかも大事ですが、誰とやるかが一番大事なんじゃないかと思います」

「何をするかも大事ですが、誰とやるかが一番大事なんじゃないかと思います。出会いがあってこそ、結局僕はこの『type就活』で働き続けているわけです」

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「組織に染められる恐怖」

でもそれって組織に染められてるってことにもなりませんか? だってサッカーへの情熱はどこにおいて行っちゃったんですか!

「そう言えなくもないです。でも飛び込んだからこそ、編集という仕事それ自体の魅力を知ることができたんです」

うーん、「一度入ったらやめられないのではないか、染められてしまうのではないか」という怖さを、新卒入社を目指す就活生たちは抱いていると思うんですよね。

「でもそもそも、最初の志を持ち続けることが正しいとも言い切れません。動いていく中で、もっとやりたいことが見つかるかもしれない。組織に染まってしまって夢を忘れてしまったように見えるかもしれないけど、そこでこそ出会えたことかもしれません。

僕の場合、編集者としていろんな経験を積むうちに、せっかく何かを伝える仕事をやるなら人の人生にいいインパクトを与えたいと思うようになりました。だから今はむしろ就活をテーマに編集者として仕事ができることにやりがいを感じています

会社に入ることでいい影響を受けて変化するのなら、それはむしろ歓迎すべきことですもんね。そもそも「今やりたいこと」が今後ずっと変わらないのはむしろ珍しいのかもしれません。

「筋が通っていることが美しいと思われがちですが、たぶんそれって幻想で、後付けで出来上がってるものなんだと思います。迷いながら決めて、そこで頑張ったり、また迷ったりしながらっていう連続の中で、後から筋が通ってくる

まずは目の前の今、どうするかが大事で、それが後からつながってくると。

これはあるマラソン選手に取材した時に聞いたのですが、その方は42.195kmを走るとき先を考えると辛すぎるからゴール意識しないんだそうです。ひとまず次の電信柱まで必死に頑張ろうって気持ちで走っている。

就職も同じだと思います。こうしたいので今はこれをやります! と、そのときの思いを行動につなげていけばいいんだと思います」

考えることは、きっと幸せにつながる

こうやって未来のこととか、自分の中のことを考えるのって、それ自体結構辛かったりするじゃないですか。もういいかな、考えるのやめちゃおうかなって思ったりもすると思うんです。

そこで、最後に確認したいんです。何がしたいのかとか、自分って何なのかとか考えるのって、時間の無駄だっていう考え方もあると思うんです。いろいろ悩むのって、いいことでしょうか? 

いいことです。それは間違いないです。じゃなかったら『就職の本質を考える』なんて雑誌出さないです」

確かに。伊藤さんはその問いを深め続けているんですもんね。

ただ、悩みっぱなしで終わらず行動することも大切。仕事人生には、純度100%の幸せなんてない。何も考えていないよりはちょっとはよかったなと思えるかどうか。早いうちから悩んで、動こうとすることは、きっと後からつながってくるはずです。

恋愛と同じじゃないでしょうか? 好きになったらつらい。100%って言い切れないことのほうが多かったりもします。その中で、どれだけ100%に近づけられるか。そうやってもがいて生きていくんだと思います」


就活生のみなさんのもやもやに寄り添うように、「就活とは何か」を一緒に、丁寧に問うてくださいました。悩んでもいいんだ、このまま突き進んでいいんだ、と僕もなんだか気が楽になりました。

今回ご協力いただいたtype就活のみなさまが、就活を前に悩むみなさん向けに、5月23日(月)11:00~18:00に、豪華なイベントを主催するそうです!

各業界を代表する35社のサマーインターンシップ情報を一気に紹介する『typeキャリアビジョン インターンシップ・ラボ in 東京』

この記事を通して問うてきた『働く目的』をより深めつつ、“自分が望むキャリア”をイメージするために欠かせない『インターン情報』を一挙に収集できる、大チャンスになりそうです!

詳しいご案内とエントリーはこちらから!

この記事を書いた人
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杉山大樹
初代編集長です。今でも執筆記事数が1位という老害ぶりですが、PV人気記事は大体他の人が書いてます。昔のも今のも、見てみてくださいな。。。!
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