無意識に誰かを傷つけるシステムを変えて、無意識に誰かのプラスになることができたら、世界はもっとよくなる。
そんな当たり前のことをどうしたら実現できるのか、真剣に考えている東大女子が二人、運命に導かれるように出会いました。
私が「the bridge fes」のレポートを書かせていただいたとき、最後まで記事を読んで、さらにメッセージまで送って下さった貴重な方がいらっしゃいました。
その方こそ今回の対談のお相手、Mさんです。
Mさんは、「メロンパンでコンゴを救う」という活動をされており、ご自身はエシカルな消費というものに強い関心をお持ちで、その強すぎる思いから、メッセージをくださったのです。
「エシカル」とは、直訳すれば「倫理的な」と言う意味。「エシカルな消費」というと、私たちが何かを消費する時にそれが提供される背景や、その使い方で関係する誰かが泣いていないか、苦しんでいないか、ということに配慮した消費、といったところでしょうか。
Mさんと私の活動には「エシカル」というキーワードを通じて、共通点も多く見えたため、今回の対談を行う運びとなりました。
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Jessica(以下J)「あの〜、メロンパンコンゴって何ですか…。」
Mさん(以下M)「メロンパンを通じてコンゴ民主共和国を救おう、ということですね。現在は国内でメロンパンフェスティバルを開催して、収益の一部を現地で活動する団体に寄付しています。」
J「どうしてコンゴなんですか…?」
M「代表が偶然、YouTubeでコンゴの現状を伝える悲惨な動画を見て…コンゴでは鉱物資源を巡って悲惨な争いが起きているんです。
コンゴで争いのもととなっている紛争鉱物がスマートフォンなどの身近な電子機器に使われていることに衝撃を受けたそうです。」
紛争鉱物…、例えば「コルタン」。スマートフォンやパソコンのバッテリーを長持ちさせるために必要とされる鉱石の一種で、世界の埋蔵量のおよそ8割がコンゴに埋蔵されているとも言われる。
危険な鉱山で採掘されたコルタンは、武装勢力がそれを奪い合い、闇ルートを経て我々の手の中に今ある。
M「それからコンゴのための活動を1年間いろいろとやってみたものの、そこに参画してくださるのは“国際協力に関心のある人たち”ばかり。
でも電子機器って誰でも使うものですよね。だからもっとみんなを巻き込みたい。けどどうしたらいいかわからなくて…
しかも、コンゴの現状を伝えるうちにあまりの悲惨さに、無力感を覚えたりして…。
そんなネガティブな気持ちが大きくなって来た時に、苦しさと無力感でなにもできないでいるより、自分も楽しめる形でいいから、何かしよう、と。
みんなを巻き込むにも、みんなの好きなものなら喜んでくれるはず。
そこで、代表が『一番好きなメロンパンで、一番なんとかしたいコンゴを救う』というコンセプトで活動を始めました。」
これまでに2回開催されたメロンパンフェスティバルでは、累計1000人を動員し、経費を除いた全収益をコンゴでの人材育成に活動する日本人医療技師、石田勝子さんに寄付してきました。
メロンパンとコンゴって、結局繋がってないんかいって思ったあなた。実はこれ、すごく考えられた作戦なんです。
私がファッションリテラシーを高めたいといって活動しながら、なんとかしたいと思っているのは「服を作って輸出している国」です。労働環境が劣悪であっても、服を作る工場があって、輸出して、という産業があるんです。
一方、コンゴは実は資源が豊富な国なのですが、むしろそれを巡って争いが絶えずインフラはほぼ壊滅状態にあります。国内から発信できるまっとうな産業は、存在しません。
メロンパンでコンゴを救う。一見不合理に思われますが、「コンゴには何にもない、だからなんでもいいから好きなもので救う」という発想こそ、必要だったりするのです。
M「じゃあコンゴでメロンパンに活用できるもの何か作れないか、と考えたときに、バニラとかカカオが隣国のウガンダでは作られているので、可能性が十分にあるんじゃないかなと考えています。
バニラでもカカオでも、世界に輸出できる「プロダクト」を作れるようになれば、自立した産業が持てるようになれば、紛争鉱物に頼らない経済ができる。それが理想かな、と思っています。
今はまだ初期段階で、メロンパンフェスティバルの開催を通じて、国際協力に興味が無い方でも、メロンパンっていうめっちゃ身近なもの、好きなものを買って食べるというただそれだけで“いい消費”ができる、無意識に社会貢献に巻き込むことができるというサイクルを実践してみているところです。」
2016年5月5日、今年もメロンパンフェスティバルが開催されます。
詳しくはこちら☞http://melonpanfes.com/
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J「無意識に誰かのプラスに繋がることをしたいって、すごく共感します。かわいい服が欲しいってだけで、意図してないのについでに誰かを傷つけさせられてるなんて、怖いというか、嫌だなって思って。
かわいい服が着たいんですよ、純粋に。でもそのお気に入りのお洋服が誰かの涙の上で出来上がってたら心から好きになれない。だから自分でサプライチェーンを管理して、みんなにもこんな風に作ってるから安心して好きになっていいよって言えるようなかわいい服を作って着たいんです。(服のストーリーにも思いを馳せることをファッションリテラシーと名付けました)」
M「私たちも無意識に誰かを傷つけてしまっている現状をなんとかしたいという思いが活動動機になっています。紛争鉱物は、スマートフォンとかの電子機器に使われてるんですけど、電子機器って私たち使いたいし、いろんな人、いろんな世界と繋がれて、いい面もいっぱいある。
だけどそれを使うことで無意識に誰かを傷つけている。
そういう無意識に誰かを傷つけてしまう社会があるなら、無意識に誰かにとってのプラスになる社会も実現できるはずだと信じています。」
今回こうして出会えたことで、「あ、同じように考えている仲間がいるんだ」と知ることができました。
でも実は「自分が好きなもの」という共通する入り口ですが、「自分が好きなもの・みんなが好きなものを買うことが、マイナスになってほしくない」という私と、「問題にまったく興味のない人を、知らないうちに巻き込みたい」という感覚が強いMさん。
似ているけれど、エシカルファッションは直接問題に絡んでいて、メロンパンコンゴはあえてまったく絡んでいない。
やり方なんて、いくらでもあるんです。想いがあれば、考え抜く力になるし、それが行動に繋がる。
そんなことも実感しました。
漠然とでも、もっといい世界にしたい、と思う人が一人でも増えたらきっと世界は変わる。そう思っている私にとって何より嬉しい出会いでした。
無意識に誰かを傷つけるようなシステムを無くすまで、私たちは挑戦し続けます。
「私もなにかしたいけど、何ができるか、何から始めるのか見当もつかない」
そう思って下さったあなた。私なんてもっと何も知らなかったんです。女子大生が意識高い系イベントに潜入してきた記事とかこんなんがもう一歩踏み出すきっかけになれば…。