取材当日(2024/12/24)はお日柄もよく、なんとクリスマスイブである。あなたにとってクリスマスイブといえば、どんな日だろうか?
子供ならば、プレゼントをもらう日であろう。わたしも小さい頃はサンタさんに料理酒や砂糖、塩、酢、醤油、味噌などをおねだりしたものだ。
それより少し成長した人にとっては、翌日に控えるクリスマス非イブ同様、アベックたちが2人で過ごす日となろう。デートに行ったり、家で過ごしたり、雨は夜更けすぎに雪へと変わったりするのだ。
では、わたしのように恋人がいない者は、この日をどう過ごすだろうか?答えはもちろん…
バスだけで本郷から駒場に行きますよね!
このよくわからない企画は、わたしが抱いた「バスだけで本郷・駒場間を移動したらどういうルートになり、何時間かかるのか?」という素朴かつ人類最大の疑問に端を発する。(そもそも、ほぼすべての東大生が本郷・駒場間の移動に電車を利用しており、バスで行くというのは聞いたことがない。電車だと所要時間はだいたい50分から1時間だ。)
X(旧・Twitter)でその旨をポスト(旧・ツイート)したところ、有識者の方から2通りのルート(旧・道のり)を提案していただいた。まさかルートを考えてくれるとは!と思い、面白そうなので実際にやってみることにした。
「2限が終わってすぐに移動する」という設定のもと、12:10(105分授業だと2限は10:25~12:10)ごろに、私が毎週授業を受けている本郷キャンパスの法文2号館を出発して、駒場までバスと徒歩だけで移動する。設定上&バスのダイヤ上、平日に取材をしたいのだが、授業の入れ方の都合で火曜日以外は無理だったので、日にちは12月24日(火)となった。25日には授業とバイトが入っており、残念ながらできなかった。サンタさんはわたしにほほえまなかったのだ。
2つのルートのうち、今回採用しなかったのは東大正門前→東京駅→赤羽橋駅→渋谷駅→東大裏というルート。赤羽橋という微妙によくわからない地を経由するという点で面白いルートだったのだが、乗る本数が多く面倒だったので、もう1つのルート(を改善したもの)でいくことにした。
バス好きの方は、どのようなルートをたどっていくのか予想しながらご覧いただきたい。(本郷→駒場という時点でもうわかった!という方の中から、抽選で5名様にUmeeT編集部特製海苔佃煮を差し上げません。)
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いよいよ出発。法文2号館から東大正門前…ではなく、本郷三丁目駅前のバス停に向かう。
これから旅に出るわたしの胸は夢と希望とワクワクとドキドキとぬめぬめとプヨプヨとピョコピョコに満ち溢れていた。
ここで懐徳門という小さな門から出て、本郷キャンパスをあとにする。かなり目立たない場所にあるため、地図がないとたどり着けないかもしれない。
左(南)の方に出て、停留所を目指す。本郷三丁目駅前のバスのりばは複数あるが、今回は大江戸線本郷三丁目駅5番出口の隣の4番乗り場。横断歩道を1つ渡った先にある。
そして、12:20ごろ、本郷三丁目駅前バス停に到着!すでに10分かかっているが、果たして何限に間に合うだろうか?(3限は確実に無理だろう)
1本目のバスは上69系統。上野公園と小滝橋車庫前(高田馬場の近く)を結ぶ路線だ。世界体操大会で前人未踏の5連続後転を成し遂げ、フエラムネの大食い大会で反則負けになったことでも有名な小滝橋車庫男(こたきばし しゃこお)さんもよく利用しているという。
12:25 定刻通りに上69 小滝橋車庫前行きが到着。立ち客はおらず、わたしも座ることができた。
バスは遅くも早くもないほどよい速度でまずは春日駅を目指す。東京ドームシティが見え、車窓を眺めているだけでも楽しい。
12:30 春日駅前停留所に到着。大江戸線と三田線の乗換駅で、丸の内線と南北線の後楽園駅にも徒歩で乗り換え可能。そして後楽園駅の近くにある「カレーの王様」のカレーがかなりうまいので個人的におすすめ。
春日駅前を出発後少ししてイベント発生。工事による迂回運転のため、大曲という同じバス停の2つの乗り場に停まるという。わたしにとって迂回運転は楽しいものなのでむしろラッキー。子供も迂回運転が鬼〇の刃や小島よ〇お並みに大好きだろう。迂回による時間のロスは少なく、最終的に次の乗り換えにも間に合った。
12:50 江戸川橋に到着。しかし江戸川区ではなく文京区にあるのだ。
その後、12:54 早稲田着で人がどっと増え、12:59 高田馬場二丁目到着。ここで乗り換える。
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次のバスが13:01ということで、ダッシュで乗り換え! 高田馬場二丁目の別の乗り場に向かい池86系統に乗り換える。横断歩道を渡らずに乗り換え可能だ。(詳しくは下の図を参照)
2分しか乗り換え時間がないはずだったが、池86が3分遅れの13:04に到着したので、余裕で間に合った。定刻通りであったら、ギリギリ間に合うか間に合わないか、というところだった(上69が1分でも遅れると詰み)。もっとも、次のバスが13:14にあるので、乗り遅れてもあまりダメージはないのだが…。
13:04 池86に乗車。立ち客が数人いる程度の混雑率だったが、2人席で知らない人の隣になら座ることができた。
池86は池袋駅東口から出発して東京メトロ副都心線に沿うように進み、渋谷駅西口・東口・宮下公園をぐるっと回って、また池袋駅東口に戻っていく路線だ。
副都心線沿線の駅がない場所に行きたい人や、副都心線には宗教上の理由で乗れない!でも池袋から新宿三丁目に行きたい!という人は、この路線を使おう。空飛ぶスパゲッティーモンスター教の分派である空飛ぶ有楽町線モンスター教の信者は、同じ車両を勝手に盗用し、小竹向原以北の線路にタダ乗りしている副都心線に乗ることを禁じられているのだ。
きゅうくつな2人掛けの椅子で知らない人と体が触れ合う中、バスは大都会副都心を結ぶ大道路を進んでいく。通路側の席だったので窓から写真を撮ることはできなかった。
バスは東新宿駅前を経て、13:18 新宿伊勢丹前(丸の内線・副都心線新宿三丁目駅との乗換停留所)に到着。ここで隣の人が降り、わたしは窓側へ。伊勢丹に化粧品やバッグ、アクセサリー、洋服、食料品、生きたニワトリ、二酸化炭素排出権など(※イメージです。売っていないものもあります)を買いに行かれる方はこちらでお降りください。
13:25に北参道に到着。ここも副都心線の乗換駅だ。このあたりから数分ほど車窓ではなくまぶたの裏を眺めながら過ごしていたので写真は撮れていないが、渋谷も近づいてきた。
13:30過ぎくらい、神南一丁目停留所の前で「このバスは池袋行きに代わります」のアナウンスで目覚め…いや、まぶた鑑賞を中止する。おや、渋谷には行かないのか!?とびっくりするが、渋谷のあたりで循環して折り返す都合上、「ここからループしてまた池袋行きになる」という話で、ちゃんと渋谷には行くのだった。なぜこのタイミングで!?とも思うが、まあ何かの事情があるのだろう。人生とはそういうものだ(人生はいつ突然池袋行きになってもおかしくない)。
そして13:36 渋谷駅西口に到着!
最後は渋谷駅西口から東大裏へ向かう。もう駒場はすぐそこ!私が3本目に選んだのは京王バスではなくハチ公バスという渋谷区のコミュニティバスだ。なんと運賃は100円!本数は少ないが井の頭線よりも40円安いので、定期がない人は渋谷からハチ公バスを使うのも割とアリ…かもしれない。
渋谷駅西口乗り場は、道路を挟んだ向かい側、横断歩道を渡ったすぐ先にある。
待つこと11分、13:47 ハチ公バスで渋谷駅西口を出発!乗客は多くなく、座ることができた。
出発してすぐ、車内に何やらやさしくあたたかい雰囲気の歌が流れ始める。「まだ見たことのない新しい世界に出会えるよ~♪」。童謡か何かか?と思い聴き入っていると、まさかの「ハチ公バスでワンワンワン♪」。ハチ公バスのテーマだった。専用のテーマ曲まであるとは、福井県福井市のコミュニティバス「すまいる」と同様に気合が入っている。車内にいたハチ公の霊も「ワンワンワン♪」にあわせて首を振りリズムをとっていた。
渋谷駅のあたりを謎にぐるっと一周し次の停留所に着いたあとテーマ曲は止み、バスは松濤(しょうとう)のおしゃれな通りを進んでいく。
意外に時間がかかったが、14:03 ついに東大裏に到着!
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「東大前」バス停も1つ前にあるが罠で、キャンパスまでわりと歩かなければならない。「東大裏」で降りれば、徒歩15秒くらいで裏門から入れる。目的の建物によっては東大前の方がいいのかもしれないが、キャンパスの敷地内にすぐ入れるという安心感はあるだろう。
かかった時間は…1時間53分!運賃は520円!でもメトロと井の頭線で行ったら50分くらい、運賃は350円!バスで行ったら4限(駒場では90分授業が主流で、15:10開始)に間に合ったが、地下鉄では3限(13:15開始)にも間に合う。ぶっちゃけバスで行く理由は何一つなく、せいぜい「景色が楽しめる」くらいのものだろう。乗り物での移動を楽しいと思えるわたしにとっては良い取材だったが、そうでなければただ面倒なだけだ。
しかし、よく考えてみてほしい。本郷から駒場にバスで行くことで、現代人が失った「なにか」に気づけるのではないだろうか。その「なにか」は、読者投稿フォームで募集しております。ともかく、変な移動をしたい方や時間の浪費がしたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!それでは、またよろしく~。
今回のルート:本郷キャンパス~(徒歩)~本郷三丁目駅前~(上69)~高田馬場二丁目~(池86)~渋谷駅西口~(ハチ公バス丘を越えてルート)~東大裏