「【巡検】東大地理部・初の書籍!見どころを聞いてみた!【行こうぜ】」のサムネイル画像

【巡検】東大地理部・初の書籍!見どころを聞いてみた!【行こうぜ】

2024.04.26

先日、駒場書籍部に行ってみると、このような本を発見しました。

発見! 学べるウォーキング 東大地理部の『地図深読み』散歩」…?

東大のサークルが本を出版…!?これは話を聞いてみるっきゃない!
というわけで、さっそく地理部の方に直撃してみました!

本日は、こちらの地理部の3人の方にお越しいただきました!

学生証
  1. お名前:高畑さん(左)
  2. 所属:地理部73期(現2年)、現新歓長・渉外
  3. 好きな街:横浜

学生証
  1. お名前:水谷さん(中央)
  2. 所属:地理部72期(現3年)、元部長
  3. 好きな街:渋谷

学生証
  1. お名前:原田さん(右)
  2. 所属:地理部72期(現3年)、元新歓長・渉外
  3. 好きな街:大塚(豊島区)

今回の本や地理部の魅力についてたくさん語ってもらいました!ぜひ最後までお読みください!

そもそも、地理部って?

筆者
筆者

地理部って、普段どんな活動をされてるんですか?

水谷
水谷

メインの活動だとまず、この本で紹介されている巡検がありますね。1、2人の様々な地理部員が、東京近郊の街での街歩きコースを企画して、他の地理部員と歩くというもので、地理的な視座から見識を深めながら、楽しんで歩くことができます。

水谷
水谷

長期休暇だと合宿(※宿泊を伴う旅行行事)を行いますね。またそれに付随するかたちで、地方都市での巡検を行うこともあります。あとは、オンラインで部員が好きな事について発表する「地理部で語る会」もあります。

水谷
水谷

それともう一つ、週に一回ぐらいの頻度でやっているのが、地図作業ですね。立体日本地図というものがありまして、これを毎年五月祭・駒場祭で展示しています。これを作るというプロジェクトが2008年に始まって、8年をかけて完成したんですが、その補修をしたりだとか、東京近辺でより縮尺の小さい地図も作ったりしているのが地図作業ですね。

高畑
高畑

今年は新たに立体地図を作り直すプロジェクトが始まっていて、今北海道を作っているところです!

五月祭の立体地図の展示の様子。実際に見ると迫力がすごいです…!

[広告]

3人が地理部に入った理由

筆者
筆者

地理部って、普段どんな活動をされてるんですか?

水谷
水谷

巡検に感動したからですね。もともと自分は街歩きが好きだったのですが、新歓で巡検に参加したときに、とても専門的でクオリティが高くて楽しかったし、そんな巡検が何回も行われているという規模の大きさに感動して、そのまま入部したという感じです。

筆者
筆者

僕も新歓で巡検に行ったことがありますけど、すごいですよね。こんなにも地理に詳しい人がいるんだー、という。

水谷
水谷

そうそう。

原田
原田

僕も近しい理由ですね。地理部の存在は高校の先輩に前々から聞いていたのですが、新歓に行って、いろいろ面白いことをやっているなと感じて、入部した形です。

高畑
高畑

私も、もともと結構歩くのが好きなんですが、地理部を知った経緯というのが、知り合いが地理部員だったことなんですね。新歓期にいろいろサークルに入ったんですけど、結局地理部の居心地が良くて残ってるって感じですね(笑)

筆者
筆者

いいですね(笑)

書籍出版は、偶然がきっかけ

筆者
筆者

書籍出版に至った経緯をお聞きしたいです!

水谷
水谷

この書籍を企画してくださった編集者の方が地理部の外にいらっしゃるのですが、その方が以前、五月祭で地理部の地図展示にいらして、感動してくださったらしくて。その際に地理部の人から巡検などほかの活動も聞いて、ぜひこのおもしろい人たちを書籍にまとめたいなと思ってくださったそうなんです。

筆者
筆者

地理部がはじめ企画したわけではないんですね!

水谷
水谷

そうなんです。それがコロナ禍前で、コロナ禍でしばらく休止状態だったんですが、今年にようやくするすると話が進んで出版できたという感じですね。地理部に感銘を受けて入部した身としては、こういう外部に発信する活動をやっていくべきだと思っていたので、出版に参加できてうれしく思います。またこういう貴重な機会をくださった編集者の方には感謝ですね。

筆者
筆者

運に恵まれたという感じだったんですね。

原田
原田

いやあ、本当に良かった(笑)

水谷
水谷

立派な地図を作ってくださった先人たちにも感謝です(笑)

筆者
筆者

個人的にはここ最近持ち上がった話かと思っていたので、5年前とかに話があったことには驚きです。

[広告]

本のコンセプトは、巡検の追体験

筆者
筆者

本自体のコンセプトはどういったものですか?

水谷
水谷

一般の方にも読みやすい、街歩きガイドブック的なものを作ることですね。そのうえで念頭にあったのが地理部の巡検です。つまりは、みなさんが地理部の巡検を追体験できるような本を目指しました。

筆者
筆者

なるほど。誰でも巡検を体験できるんですね…!

筆者
筆者

この本にはどれぐらいの地理部員の方が携わっているのですか?

原田
原田

巻末に載っている、この本に載っている巡検を企画してくれたのが20人ぐらいで、ほか校閲とかの人も含めて30人ぐらいかな?

水谷
水谷

そうだね、巡検を企画した人がまずメインで内容を作って、そのあと、地理部の中で互いに校閲しあいました。巡検を企画する人の中にも、地質に詳しい人とか、歴史に詳しい人とか、詳しい分野がそれぞれあるので、その詳しい人同士で校閲しあう、っていう感じです。

筆者
筆者

いろんな方が携わって、オムニバス形式にまとめたんですね!

水谷
水谷

そうだね、そんな感じ。

地理部員の個性が詰まった本

筆者
筆者

さっそく、本の見どころを探っていきたいです!まず、僕がパッと見たところ、写真が多くて視覚的にわかりやすく感じたのですが。

水谷
水谷

そうですね。先ほども言ったように、地理部の巡検を追体験できるよう、紙面の多くを写真や地図など、視覚的なものに割きました。あと、写真とか地図とかが多くあることで、情報がぎっしり詰まったものにもなっていると思います!

水谷
水谷

さっきも言ったように、巡検企画者によって詳しい分野が違うので、各巡検は、各企画者の知識・個性が詰まったものになっています。

筆者
筆者

となると、それぞれ力点の置き方も違ったりするんですか?例えば、この巡検は企画者が歴史に詳しいので、歴史を多く解説している、とか…

水谷
水谷

そうですね!例えば、この本の駒場巡検・東久留米巡検を企画している人は、湧水が好きなので、その話が結構出てきたりします。

高畑
高畑

湧水巡りみたいな感じですね(笑)参加しましたけど、楽しかったですね。

水谷
水谷

あれすごくよかったよね(笑)

原田
原田

ただ、出版社さんの意向としては、「地質・地形に力点を置いて作ろう」というのがあったので、歴史よりかはそういうのをメインに書かれています。

水谷
水谷

この本には地形アイコンっていうのがあって、「河川」とか「台地」とかあるんですが、これが各巡検についていて、それぞれの巡検がどんな地形を見るものなのかがわかるようになっています。

筆者
筆者

そうなんですね!てっきり歴史の話あたりだけかと思っていました。地理ってあまり地学よりの話が少なかったような気がするので。

水谷
水谷

そうですね、歴史の話もたくさん入っているのですが、地形をもとに語られているっていう感じです。直接的に書かれてはいないですが、読んでいただけると地形→歴史・街の形成の流れがわかるところもあるのではないかなと思います。

わかりやすくジャンル分けされています!
筆者
筆者

他に一般の方にも読みやすく工夫されている点などありますか?

原田
原田

そうですね、東京周辺のいろいろな街をカバーしているので、人によっては住んでいたり、普段、通勤・通学していたりするなじみ深い街が巡検の舞台になっていて、地理にそこまで明るくない方でも親しみやすいところがあるのではないかと思いますね。

原田
原田

また、そうして読んでいただければ、毎日何気なく見ていた街がこんな感じでできているんだ、といった感じで、地理に対して新たに興味を持っていただけるのではないかと思います。

筆者
筆者

なるほど!見方が変わる、世界が広がる、といいますか…

原田
原田

そんな感じですね。いい言語化や(笑)

[広告]

3人のお気に入り巡検を聞いてみた

本郷巡検

筆者
筆者

な次に、皆さんそれぞれのお気に入り巡検について聞いていきたいです。

原田
原田

じゃあ、まず僕が制作に携わった本郷巡検について話そうと思います。東大にもかかわってるしね。

原田
原田

本郷は高低差のあるところで、低地には昔、夏目漱石や宮沢賢治が住んでいた下宿街があったので、東京の中でもすごく風情のある路地になっています。低地に下宿があったのは、東大の本郷キャンパスが前田家の屋敷のあった高台に建てられたからですね。また低地にあった川の流路が今はへび道というくねくねした道になっていたり、侵食によってできた大きな坂があったり、全体を通して地形的な面白みと文化的な面白みの両方を感じることができる巡検なのではないかなと思います。

筆者
筆者

なるほど。関東平野ってすごく平坦なイメージを持ちがちかもしれないけど、こういった高低差がちゃんとあって、それが街の形成に影響している、っていうのはおもしろいかも…

本郷巡検の一部。キャンパスの解説もバッチリ!
原田
原田

あと東大の本郷キャンパスの解説も詳しく載ってまして、普段何気なくキャンパスに通っている東大生にも新たな発見があるのではないかと思います。UmeeTを普段見てる方は東大生が多いんじゃないかと思いますのでね、ぜひ(笑)

筆者
筆者

「東大生必見!」ってことですね(笑)

根岸本牧巡検

筆者
筆者

水谷さんのおすすめ巡検は何ですか?

水谷
水谷

そうですねぇ…根岸本牧巡検とかですかね。これも自分が制作に関わったのですが…

高畑
高畑

その巡検、すごく楽しかったです。

水谷
水谷

ありがとう(笑)

水谷
水谷

本の111ページからですね。自分がもともとその地域に興味があったのと、たまたま本牧が地元の地理部員がいて…その2人で作りました。

水谷
水谷

この地域にも地形的な面白さと文化的な面白さがあります。地形的な面白さからいくと、谷戸地形っていう、川が深く削り込むことでできた高低差の激しい地形になっていて、歩いていてとても楽しい。また文化的な面白さで言えば、開港時、横浜に大量の外国人が流入してきて、中心地だけでは土地が足りなかったので、外国人向けの施設をここに移した経緯があり、その痕跡がたくさんあります。さらには終戦後この土地をGHQが接収したということもあり、異なる性質・時代の二つの外国の痕跡が見て取れるというおもしろさがあります。

水谷
水谷

だから、他の街では見られないような雰囲気があるんですよね。例えば、競馬場の跡があったり、米軍が建てたアメリカ風の消防署が残っていたりとか、明治時代のビール工場の跡があったりとか…

筆者
筆者

なるほど。日本と海外の交わりが感じられるという感じでしょうか?

水谷
水谷

あ~そうね、そんな感じですね。

水谷
水谷

あと、高低差が激しい地形なぶん、上から見る眺めがとてもきれいなんですよね。ランドマークタワーが遠くに見られたりもしますし、横浜の港町を横目に散歩出来ておすすめです!

筆者
筆者

なるほど…なんかもう行きたくなってきちゃったな。

一同
一同

www

根岸本牧巡検の一部。色別標高図で地形もわかりやすい…!

東久留米の川と水巡検

高畑
高畑

私は参加した者としての話になるんですが、東久留米の川と水巡検が好きです。先ほども話したように、これは湧水に詳しい部員が作ったので、がっつり湧水、という感じで、ずっと川に沿って歩くものになってます。この巡検が他の巡検と違うところは、遊び心があるということです。例えば、道中で水遊びがあったんですよ!私は参加してないけど(笑)

一同
一同

www

東久留米の川と水巡検の一部。川・水源に絞った解説。川遊びの様子の写真も!
高畑
高畑

私は受験で地理を使ってなくて、地理関連の知識ゼロで地理部に入ったのですが、それでも湧水について詳しくなれた・面白さを知れたな、って感じました。

筆者
筆者

地理に詳しくなくても巡検を楽しめたということですね。

高畑
高畑

そうですね。地理部の受け皿ってすごく広いなと思ってて、もちろん地理に詳しい人もたくさんいるんですが、私みたいなアマチュアでも巡検って楽しめるんですよね。

筆者
筆者

なるほど。となれば巡検をまとめたこの本も、地理に詳しくない方でも楽しめるようになっている、ってことでしょうか?

高畑
高畑

そうですね!そうだと思います。

これからの展望

筆者
筆者

これからの展望などありますか?新しい本を出すとか…

水谷
水谷

本に関しては今のところ、二冊目、三冊目も視野に入れています。企画者の方も割と乗り気でいらっしゃるみたいですし…もしまた出版化が実現したらぜひ読んでいただきたいなと思いますね!

高畑
高畑

五月祭は今年も立体地図を展示します。今年は大きな教室が使えることになったので、北海道を別枠に置いたりすることもなく、迫力のある立体地図を楽しんでいただけると思います!

水谷
水谷

五月祭ではLONGRUNという部誌も売っています。これは活動記録的な面が強いので、この本とは違って、企画者自身が書いた巡検についてより詳しい内容がお楽しみいただけると思います。

原田
原田

あとこの本は東京近辺の巡検の話だけですが、LONGRUNには全国各地での合宿についての話も載っているので、面白いかなと。

高畑
高畑

新入生向けに話をすると、新歓期は巡検を数多くやる予定で、平日・授業終わりにやるのもあるのでぜひ参加してほしいです。他には語る会だとか、地図作業もあります。そしてなんといっても目玉は山手線一周です。歩きで。

筆者
筆者

歩きで!?いったい何時間かかるんですか…?

高畑
高畑

15時間ぐらいですね(笑)。これは昼の場合で、夜に徹夜して一周するのもあって、その場合は16時間です。

筆者
筆者

大学生にしかできないことですね…(笑)

[広告]

締めのひとこと

筆者
筆者

最後に、本についてメッセージがあればお願いします!

原田
原田

多くの方に広く興味の持てる内容だと思うので、Amazonとか書店とかで手に取っていただけると嬉しいです。

水谷
水谷

ぜひ読んでいただいて、内容の質の高さに注目していただきたいのと、ぜひ実際に本を片手に街を歩いて欲しいです。もし興味をもった大学生の方がいれば、ぜひ地理部に入っていただけると嬉しいですね。

高畑
高畑

私は、そうですね…地理部最高!ってことで(笑)

いかがでしたか?

最後に改めて宣伝です!

地理部さんの初の著書「発見! 学べるウォーキング 東大地理部の『地図深読み』散歩」(税込1760円)、好評発売中です!

(紹介ページ:https://micromagazine.co.jp/book/?book_no=1651

Amazon(https://amzn.asia/d/3EFSBqS)などでお買い求めいただけるので、ぜひ手に取ってみてください!

では最後、地理部伝統の一丁締めで記事を締めくくりたいと思います。(地理部では巡検終わりに一丁締めをします)

イヨォ~ッ

パン!!!

ありがとうございました!!!

この記事を書いた人
筆者のアバター画像
あけ
ライター初心者です。
記事一覧へ

こんな記事も読まれてます