東大・東大院を卒業してアイドルに。
『さんま御殿』や『ネプリーグ』に出演するなど今話題の東大卒アイドル・雲丹うにさんは、「明日死んでもいいと思えるくらい今が楽しい」と言います。
東大を出てアイドルになる、その選択の原点には、東大生なら誰しも抱えたことがあるような悩みがありました。
雲丹さんの言葉に勇気をもらえる、そんなインタビューをぜひ最後までお楽しみください!
──早速ですが、アイドルとの出会いを教えてください。大学に入る前からアイドルなどの活動に興味はあったんですか?
いや、東大に入るまでは何もなかったです。中高一貫でちょっと厳しい学校だったのでそういうのとは全然縁がなくて、メイクもしたことありませんでした。ただただ勉強して東大に入った感じです。
──一般的な東大生って感じですね。
大学1年の時は全然サークルに入ってなくて。
最初は友達を作りたくて一瞬だけテニスサークルに入ったんですが、入ってみたらみんなめっちゃ真面目にテニスしてて、私はテニスがしたくて入ったわけじゃないので、ラケットも買わずに2ヶ月でやめちゃいました(笑)
そこからサークルには入ってなかったんですけど、私は中高でも部活に入ってなくてずっと帰宅部だったので、このままいったら人生であんまりネタがないまま終わるなと思って。
──ネタ。
人と話すときって大抵、部活何してたの?とかサークル何やってるの?みたいな感じで始まるじゃないですか。私はいつも「何もしてない」で会話が終わっちゃうから、何かやろうと思って。それで入ったのが東大娘。(編注:東大のアイドルコピーダンスサークル)だったんです。
東大娘を選んだ理由は、女の子がいっぱいいるからとか、あんまり強制力なさそうで大変すぎなさそうだから、とか。私運動めっちゃ苦手なんですけど、可愛いアイドルの曲を踊るのなら楽しくやれるかなと思って。軽い気持ちでした。
──最初からアイドルがやりたくて東大娘。を選んだわけではないんですね。
全然!趣味の一環みたいな感じです。自分には勉強以外何もないなと思って、人に話せるおもろいこと作ろー、って。
──「勉強以外何もない」、東大生の悩みあるあるですね。
そうそう。勉強は東大生みんなにあるから、他の東大生との差別化が自分にはないなって。本当に最初はアイドルになるなんて思ってませんでした。
東大娘。の同期の中澤莉佳子にある日、一緒にアイドルやろうよって誘われて、それで以前所属していたグループに入りました。1回やったらハマっちゃって、抜け出せなくなった感じです(笑)
元々、東大娘。で活動する中で、ステージが年に2回の学祭だけしかないのは寂しいな、もっとステージいっぱい立てたらいいのにな、とは思ってました。
でもアイドルなんて、一般の人からしたらどうやってなるのって感じじゃないですか。わざわざオーディション受けに行くってなったらなかなか決断力が必要だし。
私は莉佳子にここでアイドルやろうよ、って言われて、事務所とかももう決まってたから、「すぐできるならやろうかな」ってお試しみたいな感じで始めました。
──そうしたら、ハマっちゃった。
やってみたらめっちゃ楽しくて。
そのグループはすぐ終わってしまったんですが、これが最後のアイドルってもったいないなと思って。
せっかくアイドルを経験できて、めっちゃ良かったけど、いつか「昔アイドルやってたんだよね」って言う時にこういう終わり方はちょっと渋いなと思って、今のグループのオーディションを受けました。
──自分からアイドル目指してきたというよりは、偶然も大きかったんですね。
そう!本当に巡り合わせって感じです。
莉佳子がいなかったら絶対アイドルにならなかったし、そのあと今のグループのオーディションを紹介してくれた人がいなかったら今頃社会人やってたかもしれないし。
たまたまが重なって、今ここでアイドルをやってます。
──前のグループにいた頃は、大学院に通いながらの活動でしたよね。
そうですね。就活する自分はちょっと想像つかないな、まだ学生やってたいなと思って大学院に入りました。
大学院に入ってからも、就職はしなきゃいけないんだろうなって漠然とは思いながら、就活してる人を横目にアイドルやってて。
──結局就活はしなかったんですか?
1ヶ月ぐらいだけしました。でちょっとだけ就職したんですが、アイドルをやりながら最初の3ヶ月ぐらいだけ勤めてすぐやめちゃいました。両立できなくて…。
そうなったら普通はみんな社会人の方を選ぶんだろうなと思うけど、私はあっさり会社やめました。
──アイドルが楽しいから、ですか?
そうです。楽しいから!
私、東大生だからいつでも就職できるとか甘いことは全く思っていなくて。東大生の就職って意外と、世間の人が思ってるほど簡単じゃないとはめっちゃ感じました。でも、楽しい方に行ってみてもいいかと思って。
[広告]
──会社をやめてアイドルを選ぶのは勇気ある決断だと思いますが、何かきっかけがあったんですか?性格的なものでしょうか?
性格なのかもしれない…。私、精神年齢が結構低いなと思っていて、自分がやりたいことに関して頑固なんですよね。
周りの意見を聞きたくないとかではないけど、自分でやりたいとまで思っていることを曲げたくはない。
親や周りにどれだけ反対されても、自分はこれがやりたいと思ったら一旦やってみて、せっかくなら自分がやめたいと思うまでやっとこう、というタイプです。自分で成長して納得したらやめればいい。
──かっこいい。
私、元々自分でやりたいと思うことが人生であんまりなくて。
東大生あるあるかもしれないけど夢とかなくて、東大入ったからあとはどうでもいいや、みたいな。
でも東大娘。に入ってアイドルをやって、これはちょっとやりたいかもってせっかく思ったから、せっかくなら続けてみようかなって思ったんです。
──(フォトグラファー:)ちょうど僕も進路に迷っていたところなので、心に響きますね……。
──人との巡り合わせで今があると仰ってましたが、いい人と巡り会うコツって何かありますか?結局は運なんでしょうか。
コツかぁ……。これまでの出会いは自分の力とは思えなかったけど……ただ、先が想像できなくてもとりあえずやってみてたのは大きかったかもしれないです。
SNSとかでも、いつでも自分が資料になれるように、アイドルとして自撮りや容姿を積極的に載せるようにしてたし、莉佳子からアイドルに誘われた時も、有名な事務所じゃないし怖かったけど、断らずに行ってみました。
そのグループにいたから今の事務所の人たちとも出会えて、芋づる式でそこから今めちゃめちゃいい結果に繋がってるなと思う。
何が自分の人生のチャンスとかきっかけになってるかってその時の自分には全然わからなくて、でも後から見たらこの時のこの決断が今の自分に繋がってるなと思うことがいっぱいあると思います。それを全部なるべく逃さずに自分からいけたのが良かったのかなって。
だからいい出会いのコツは、物怖じせずにやってみることですかね。
──すごく行動力がありますよね。昔からあったんですか?
いや、なかったですね。ずっと表に立つような人間じゃなかったし、人を引っ張るようなこともなかったし。
大学に入って自分で「行動力つけなきゃ」って思って頑張ってつけたと思ってます。
中高の時は絵を描くのが好きでイラストレーターになりたいなと思ってたし、楽器とか音楽も好きで、新しい楽器始めたいなと思ったりはしてたんですが、特に行動してきませんでした。
ネットにイラストを上げたりせず一人で描いてるだけだし、バイオリンやりたいと思っても、買うのもなーと思ってやめちゃったり。
でもまあまあ大人になって、お金もバイトすれば手に入るようになって、自分でやろうと思えばできないこともないようになったから、できる限りのことを行動に移してみようと思って。
──それで東大娘。に入ったと。
そう。小さなことだけどあの頃の自分にとってはめちゃくちゃデカかったです。
2年生からサークルに入るのも緊張したし、サークルに入る前に面接があってそれもめっちゃ嫌だったし、怖い女の子いるかも、とかもちょっとだけ怖かったけど、変わんなきゃ!と思って行ってみたら、ちょっとだけ変われた。
最初はステージにも立ちたくない、表になんて出れないよって感じだったけど、立ってみたら楽しかった。
やってみたら楽しくなるな、人生、って思えました。
──「勉強だけの東大生」の状態から自分で変わった雲丹さんの言葉だから、説得力があります。
[広告]
──雲丹さんは「東大卒アイドル」であることをあまり押し出していないようですが、アイドル活動をする上で、東大卒であることがプラスになる場面は多いですか?
自分的には元々、別に東大を主張したかったわけではなかったんです。
そもそも、SNSで自分の写真を上げるのも「東大生にしては可愛いよね」みたいに言われるのを一旦やめたいなと思って始めたことなんですよね。元々は東大なんて肩書は使わずに有名になりたいと思ってた。
それに、私は東大の中でも頭いいわけじゃないし、自分が東大卒って名乗って東大に迷惑かけたらやだな、こんなんで東大生とか申し訳ない〜!って思いもあって。
実際、東大を卒業しましたってツイートするまでは全く表に出してませんでした。あのツイートで私のファンの人も「えっ東大だったの!?」って。
でも気づいたら東大に頼っちゃってますね。東大って言ったら面白がって人がやって来るじゃないですか。
東大生じゃなかったらこんなにみんなに名前知ってもらってなかった。東大っていうのがみんな意外と好きなんだなって。
最近は、東大って肩書も自分の努力の結果だしまあいっか!って思うようになりました。ありがとう東大!
──最近だと『さんま御殿』や『ネプリーグ』等の番組に東大卒アイドルとして出演されていましたね。
ね!あれなんて東大卒じゃなかったら出られてないですから。
──普段の歌って踊るアイドルの仕事とテレビの仕事って全然違うと思いますが、テレビに出るようになってどうですか?
そう!全然違うから本当に大変です。
アイドルの仕事は、ステージで歌って踊るっていう、自分がベースで覚えてることをどれだけ発揮するか、プラスでファンの人とどれだけ楽しく交流するか、って感じ。
自分のことを好きな人だけが見にきてくれて、みんなが私のこと好きだからめっちゃ楽しいんですよ。みんなキラキラした目で私のことを見てくれる。
でもテレビは、全然知らない環境で、私より経験が多い知らない人たちに囲まれる環境。それに、臨機応変に最適なことをパッと言うというのはアイドルの活動の中では全然ないから、本当に大変です。テレビの見方が変わりました。芸人さんとか、本当にすごいなって。
──テレビでの仕事は今後もしていきたいですか?
したいですね!
アイドルは年齢的に限りがあります。どれだけ多く見積もってもあと10年以内には終わっちゃうから、その後セカンドキャリアとして何をするかってなったら難しい。
それを考えると、今運良くいただけてるテレビの仕事を続けられたら、次のキャリアを見越した活動もできるかなと。できることならテレビの仕事でもうちょっと上に行けたらなと思ってるので頑張りたいです。
自分のグループが有名になって欲しいなって思いもあります。自分が所属してて、すごくいいグループだなと思ってるので、自分がテレビで頑張ればそれがきっかけになって、他のメンバーにも今の何倍もファンがついて、グループも何倍も大きくできるんじゃないかって。
──今がチャンスですね!
そう!せっかくいろんな偶然が重なって、願ったり叶ったりな仕事が来てるから、今このチャンスを逃さないようにしないと、って。
1年前までは自分がテレビ出てるなんて全く思わなかったから、なんで急にこうなったんだろうってびっくりしてるんですけど。
人生何が起こるかわからないし、せっかくなら頑張るか、って。
──今後の展望を教えてください。
個人としては、アイドルとしてもタレントとしても有名になって、街でも誰でも知ってるような人になるのが目標です。
今まで応援してくれてる方々にここまでずっと見てきて良かったって思ってもらえるような、応援しがいがあったなと思ってもらえるような結果をこの世に残せたらなと思います!
──応援します!!雲丹さんの素敵な考え方がこの記事で少しでも伝えられたら嬉しいです。
[広告]
──周りの東大生とは違う、アイドルという道を選んだからこそ見えてきたことってありますか?
人生意外と生きていけるな、ってことかな。
みんな、小さい頃から絶対何かしら夢があるけど、ほとんどの人は叶えずに、それでも東大を出たからいい会社に入って一般の人よりもいい暮らしをしてる。
一方で私は、誰でも知ってる乃木坂とかみたいな地上アイドルじゃなくてライブアイドルとして活動してて、周りからしたら、えっ大丈夫なの?って思うじゃないですか。私も他の人だったら思ってると思う。
でもなんだかんだ、ありがたいことにこういうメディアとかにも露出ができて。人生意外といろんなことが重なって、自分の思ってないところがきっかけでいい結果に繋がったりもするんだなって。
アイドルは不安定な仕事だから、今はすごくよくてももしかしたら2年後3年後、職なしとかになってる可能性もあるけど、毎日をがむしゃらに生きて、極論今が楽しければなんとかなるなって思いました。
──今、楽しいですか?
楽しいです!(笑)
私、まじで明日死んでもいいなって思いながら生きてるんです。とか言って明日死んだらちょっと笑っちゃうけど。
でもそういう感じで生きてる人って意外と少ないなと思ってて。
もしかしたら今後、自分が思ってもいないようなお仕事をいただけることがあるかもしれないけど、それは自分が人生でやると思ってなかったことだから、それはできなくてもしょうがないか、みたいな。
自分が人生でやるだろうなって想像の範囲内で思ったことは全部できてるから、この取材のあとそこの道路で轢かれても全然後悔しないって思いながら生きてます。
──今を楽しんで生きる、口では言ってみてもなかなかできない人が多いと思います。東大生にもきっと刺さるはず…
──最後に、悩める東大生へのメッセージをお願いします!
何者になるかは自分が決めることです。自分で行動して、自分の意思で何かになっていくしかない。
だから、自分のやりたいことの片鱗がちょっとでも見つかったなら、それを信じてみて、そっちに向かってできる範囲で手を伸ばしてみてもいいんじゃないかなって。人生短いし。
いつ死ぬかわからないから、自分がやりたいって思ったことは絶対に今やった方がいいと思います。既定路線にとらわれず、やりたいことをやってみてください!
──ありがとうございました!
実は高1の頃に東大娘。時代の雲丹さんを知ってから6年来のファンだった筆者ですが、実際に話してみると、テレビ等ではわからない雲丹さんの考え方や生き方に触れることができて、すごく勇気をもらえました。
毎日をがむしゃらに生きて、今を楽しむ。アイドルという時間的な限りのある仕事を選んだ雲丹さんが言うからこそ、言葉に重みがありました。
自分は何をやりたいのか、何者になれるのか。悩む人も多いと思いますが、自分のやりたいこと、好きなことを見つけ、「明日死んでもいい」と言えるような人生を送りたいですね。
今後のご活躍も応援しています!
X(Twitter):@MM____uni
Instagram:@hirune_nyan
Tik Tok:@hirune_nyauni