「有村架純と結婚できる代わりに、東大をやめてくれ」
と言われたら、喜んで私は東大をやめるだろう。
じゃあこう言われたら?
「有村架純と結婚できる代わりに、今やってる部活をやめてくれ」
ごめんな架純…お前を以てしても部活だけはやめらんねえんだ…
それほどまでに私の心をつかんで離さないスポーツ、ヒントはトップ画像にあるが、ご存じだろうか。
あーあの宇宙要塞の…
それはマクロスや。
あ、あれでしょ?野菜のすっぱいやつ…
うん、ピクルスねそれ。
わかった!あの巨人の外国人の…
マイコラスな、うん。今年も頑張ってほしいね。
…残念ながら、ラクロスの知名度はそんなものだ、というのが実情である。
そこで私たちの愛するこのラクロス、そして男子ラクロス部という団体そのものについて、少しでも知ってもらおうと思い、こうした記事を書かせていただいている次第である。
あーはいはい部活の宣伝ね…とブラウザを閉じかけてるそこの君。ちょっとだけパズドラを我慢して、読んでいってほしい
“事物を愛する心を他者と共有したいという願望は、人間の最も根源的な欲求の一つである。”
という格言をご存じだろうか。
知っていたらすごい。
だって今俺が考えたんだから。
あ待って待って、怒んないで!ごめんって。ブラウザ閉じないで!!
…とにかく、私のこの根源的な欲求に応えて、記事を読んでいってくれたなら幸いである。
初対面の人や久しぶりに会う人との会話で、大学ではラクロスをやっていますと言うと、65%くらいの確率(筆者調べ)で
「あーあの猫の恩返しで主人公がやってるやつ!」
と返される。
「そうです。よく知ってますね!」
俺の答えは決まっている。次に言われる言葉も知ってる。
「でもラクロスって女の子が可愛くやってるイメージだから意外~!」
ほれ来た。女の子のイメージ。
「ですよね~^^でも男子のラクロス部も増えてるんですよ~^^」
ここで適当にヘラヘラして、会話を終了させるのがいつものパターンである。男子ラクロスの知名度のなさに、一抹の寂しさを覚えながら。
この決まりきったやり取りを、今まで200回はしてきたんじゃないかと思う。あんまりにも決まりきってるから、そろそろsiriの会話パターンに入れちゃっていんじゃないってレベル。
(注:女子ラクロスも魅力的です。ただ性質の異なるスポーツだということです。)
ではささやかながらの抵抗として、ここで誤解を解かせていただこう。
男子ラクロスは、決して可愛くない。
そもそも男子ラクロスのルールとは?
簡単に言ってしまえば、網のついた棒(クロス、という)でやるサッカーないしハンドボール。オフェンスはディフェンスを崩して約1.8メートル四方のゴールにボールを叩き込むことを狙う。だけど特殊なのは、ゴールの裏も使えちゃうこと!これはバスケやハンド、サッカーには見られない特徴で、ゴール裏の攻防もラクロスの醍醐味の一つである。
しかし、私が思う、見る人を魅了してやまないラクロス一番のウリは、その豪快さ、激しさである。
「地上最速の格闘球技」
なんてあだ名がついてしまうぐらいである。可愛さとは無縁であることが一発で分かるのではないだろうか?
例えば、「地上最速」の名に恥じない、時に160km/hを超える豪快なシュート。
考えてみてほしい。160km/hと言ったら、あの大谷翔平のストレートばりである。しかも大谷翔平はキャッチャーミットめがけて投げてくれるし、一人しかいないが、ラクロスのオフェンスは6人でやるので、6人の大谷翔平が常に豪快なストレートを(ゴール内の)自分の投げたい思い思いの場所に投げてくるようなものである。その迫力、推して測るべし。
さらに、「格闘球技」と言われる所以はその激しい接触プレーにある。
ラクロスは、屈強な男たちが、体を、クロスを、文字通りぶつけ合うバリバリのコンタクトスポーツである。
しかし一方で華麗でもある。クロスを扱う技術を高めることで、屈強なDFをかわして得点に持ち込むことも可能である。
[広告]
泣いてるの俺らじゃん。
しつこい月9推し。男子ラクロスについて少しわかっていただけたところで、今度は東大ラクロス部の話を少ししよう。
皆さんは、私たちをキャンパス内外で見かけたことがおありだろうか。クロスをリュックにさした、ちょっと汗臭い男たち、あるいはなぜかやかんを持ってる、スウェットにパーカーの珍妙な女たち。こんなのを見かけたら、男子ラクロス部員である。トキワの森でピカチュウ見つけるくらいの珍しさかな。
そんな私たちの生活を紹介しようと思う。
私たちが朝起きて練習に向かうのは、ホーホーホッホーと変な鳥(キジバトというらしい)が鳴き出す頃であり、深夜練を終えたダンスサークルの人がスタジオからゾロゾロと出てくる頃であり、オール明けの大学生たちが千鳥足で駅前をふらつく頃でもある。何が言いたいかというと、お分かりだろうが非常に朝が早いですよ、ということ。
早起きをするべきだとか、ましてやした方が偉いとか、そういうことではない。だけど、早起きした結果としての「1日が長い」ことの喜びは考えてみてほしい。
例えば、私の大好きな1日の過ごし方がある。
4:40に起きて、6:20頃グラウンドに着く。練習が11:00に終わったら、部活の仲間と本郷の食堂で飯を食う。
11:30には御殿下のジムが開くので、開館と同時に駆け込んで筋トレをする。13:30には筋トレを終え、工学部のスターバックスでアイスコーヒーを買う。店員さんが(有村架純ほどでないにしろ)可愛らしく、しかも話しかけてくれるのでコーヒーの旨さも倍増だ。そのあと図書館でその日の練習映像を見て、反省をしてノートに書き留める。これが終わってだいたい15:00。これだけたくさんのことをして、まだ15:00である。
この後は、自分の好きなことをする。勉強をする日もあれば、さらにラクロスの自主練をしに行く日もあり、友達と飲みに行く日もある。 もちろんこれは長期休暇や土日の例で、授業のある時はまた別なのだが、基本は変わらない。
確かに、早起きはつらいしダラダラしてしまいたい日はある。だけど、好きなことを好きなだけやって、たくさん物を考え、たくさん行動する1日の充実感は、何物にも代えがたい。そうした充実感を得たとき、私はラクロス部で良かった、と思えるのである。
めげずに月9推し。ちなみにドラマ撮りためて部活のない日に消化している、なんていう部員は結構いる。
さて、次は私の大切な部活の仲間たちを紹介したいと思う。
非常に人選には悩んだが、今回は3人だけ。
他にもたくさん魅力的な人がいるので、是非御殿下グラウンドで生身の彼らを見てみてください。
ラクロスって激しいし、どうせみんなすごい運動歴のある人ばかりでしょ…?
ノンノンそんなことないんだなこれが。今でこそディフェンスの一員として立派に活躍するが、NAOYAはなんと高校時代は将棋部。曰く、相手のボールを落とすのは穴熊囲いと同じ要領なんだとか。
おいおい、最強か。
ラクロスばっかりに時間をとられて、勉強が疎かになるんじゃ…
それは自分次第だな、うん。うちの部員でもいろいろいる。勉強はそこそこ最低限で済ます奴、そしてこのTEFUみたいに、勉強にも精を出す奴。TEFUのすごいところは、理系の大変な学科で課題に追われながら、ラクロスで結果を出しているところ。2年生のうちからリーグ戦出場メンバーに選ばれ(100人から選ばれる26人に2年生で入るすごさを想像してみてほしい)、4年の今はチームのエースとも言うべき存在である。
そんなTEFUの大好きな息抜きは、アニメ鑑賞。
2014年度をもって引退した、OBのWOODYさん。ゴーリーという、サッカーでいうゴールキーパーのポジションなのだが、なんと、ラクロス日本代表の一員である。
え、日本代表…?
安心してください。聞き間違いではありませんよ。まぎれもない事実。そう、事実。毎日うまくなるべく鍛錬を積んだ結果である。その道程は当然厳しいものであったはずだが、そのWOODYさんとて、高校からラクロスをやっていたわけではない。大学に入って、まっさらな状態から上り詰めたのである。言い換えれば、誰にだってそのチャンスはあるということだ。こうやって、ゼロから始めてトッププレーヤーに上り詰める余地があるのも、ラクロスの大きな魅力の一つである。(ちなみに、WOODYさんのほかにも東大ラクロス部から日本代表を過去数人輩出している。)君も早起きして日本代表を目指そう!!
[広告]
高畑充希もかわいいよね。
まあでも、日本一かわいいのは有村架純なんだよね、俺的には。
そう、日本一
日本一って良い響きだよね。そう思わない?俺はそう思う。
例えば、
「東大生がスポーツで日本一になれたらカッコよくない??」
なんて思っちゃう。
勘が良い人は、もうお分かりかもしれない。
私たちは
東京大学運動会ラクロス部男子 通称Blue Bullets(ブルーブレッツ)は
本気で日本一を目指している。
またまた~
とか言われちゃうかもしれない。でも、大マジ。
Story2で語ったような私たちの日常はすべて、実はそこに繋がっている。
ちなみに
ここから急に熱くなるので、やけどに注意。
さて、“日本一”と言ったが、私は夢や絵空事を語っているわけではない。
Blue Bulletsは、学生選手権優勝を過去一度掴み取っているし、日本最強の学生ラクロスリーグである関東学生リーグの一部から一度も落ちたことがないばかりか、準決勝、決勝の常連として、毎年早慶や日本体育大学としのぎを削っている。
私たちの本気の一年間で、それは手に届くところにあるのだ。
日本一のために、先ほど紹介したような私たちの毎日の活動は捧げられている。部員の誰もが、日本一になるために何か忘れたことはないか?逃げたことはないか?考え抜き、行動し切った一日だったか?と自問して、毎日床に入る。私たちはどこまでも本気だ。
だけどそれはもちろん、周りの方、恵まれた環境の助けがあってのことだ。
私たちの活動に理解を示し、強固な組織で支えてくださるOBOG、家族会の方々、
最高の人工芝グラウンド、豊富なマシンを備えたジム、私たちの食生活を支えてくれるキャンパス周辺の飲食店の皆さま…挙げ始めれば、本当にキリがない。
そしてその中には、もちろん東大に関わる皆さんが含まれている。
「東大から日本へ貫く感動を巻き起こす集団でありたい」
私たちが掲げる言葉の一つである。
そうした集団であるためには、強い弱い以前に、心から応援するに足るチームでなくてはならない。ましてや、“日本へ貫く”などとぬかしながら、東大に関係する人々の理解さえ得られていなかったら、それは薄ら寒いジョークにしかならない。
だから私たちはひとつ誓いを立てている。
キャンパス内外での全ての行動がBlue Bulletsの印象を左右するという自覚を持ち、軽率な行動を慎み、その一つ一つに責任を負う、ということだ。私たちは、一人のラクロスプレイヤーである以前に一人のアスリートであり、一人の人間であることを忘れてはいけない。
そうした不断の努力の曉に、必ずや皆さんの認知を、理解を、勝ち取ってみせる。ラクロスという競技を通して、皆さんを魅了し、皆さんの心に何らかのムーヴメントを起こしてみせる。
だから、
2016年は
私たち東京大学運動会ラクロス部男子 BlueBulletsに
注目してみてほしい。
「リオオリンピックの年」ではなく、
「東大がラクロスで日本一になった年」
として、皆さんの目に私たちの姿を焼き付ける。そういう覚悟で臨む。
いつかこの部活を知らなかったことを後悔して、きっと泣いてしまう
なんてことのないように、お気をつけください。
この記事を書いていて、ラクロス部での私(たち)を省みて、なんとなく思ったこと。
散々魅力を書き立てておいてなんだが、別にラクロス部に入ることだけが正義ではない。大学生活どうするかは、それぞれが考えること。
とかくラクロス部をはじめとする運動会各部の部員(もちろん自分を含め)が陥りがちなのは、「俺らは毎日部活にしっかり打ち込んでる。テニサーの/ダンスサークルの/学生団体etcの奴らは毎日楽しく遊び暮らしていいよな~」という類の傲慢であるように思う。思い当たる節がある人もいるのではなかろうか。
だけど、大学生活どうするかの選択なんかに貴賤はなくて、ラクロス部も、ほかのどんな運動会の部活も、テニスサークルも、ダンスサークルも学生団体も、そこに入って好きなことをやってるという点で同列だ。
結果がうまく出ずへこんで、つい周りに当たりそうになったとき、私は自分に問うようにしている。
「あれ、俺はなんでラクロスやってるんだっけ?」
この答えが心の中で浮かんだ時、ふと楽になる。あ、俺が好きでやってるんだった。なに人に当たってんだ、頑張ろ。って。
そういう姿勢が、私たちの活動に理解をいただくための第一歩なのかもしれない。一部の運動会部員と、他の学生との間におそらくなんとなく存在していて、お互い漠然と認識はしている溝。出血を恐れず、敢えてその溝を言語化することを、まずするべきなのかもしれない。
そうした新しい視座を得られたという点で、今回執筆の機会をいただいた事は私自身にとって非常に幸せなことであった。UmeeTの運営の方々には感謝の念が尽きない。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。私のラクロスと有村架純への強い愛が少しでも伝わったなら、幸いである。