突然だが、あなたはユータスくんをご存知だろうか。
ユータスくんの知名度を調査するため、この記事の執筆者1人にアンケートをとったところ、以下のような結果になった。
なんと!1人中1人が知っている、つまり知名度100%という結果になったのである!このアンケートの回答者は人間であるため、「ユータスくんを知っている回答者は人間」つまり「人間であればユータスくんを知っている」ということになるのだ。
冗談はさておき、東大の数あるマスコットキャラクターのなかでも、ユータスくんは実際かなりの知名度を誇っていると考えられる。いちょうくんやハラにゃん、Miyoちゃん、ほんごろう、物性犬、ヘリウムくんとチッソちゃん、のうとくん、メメムーなどを知らなくても、「めいちゃんとこまっけろ、こまとちゃん、イチ公、ユータスくんだけは知っている」という人は多いだろう。
しかし、である。はたしてユータスくんを知っている人のなかで、本日のユータスくんを毎日チェックしている人はどのくらいいるだろうか?(https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/utasukun/)
本日のユータスくんとは、なんと週6でユータスくんの日常を描いたイラストと文章が更新されているという、全東大生、というか全脊椎動物必見のページである。ところが、X(旧Twitter)を見ていても、本日のユータスくんを話題にしている人はほぼ見かけない。実際、昔Xでアンケートをとったときも、「毎日見ている」という人はごく少数、「見たことない」「ほぼ見ない」人が多数という結果になってしまった。
さらに、である。はたして本日のユータスくんを見ている人のなかで、ページ下部に書かれている「ユータスくん人形」を作ったことがある人はどのくらいいるだろうか?
手引きに「根気が必要」と書かれていて気が引けるし、そもそも手芸をやらない人も多いだろうから、おそらくこれを作ったことがある人は両手で、いや両腎臓で数えるほどもいないのではないかと推察される。
そろそろ両腎臓が腐ってきたので(UmeeTでユータスくん人形関連の記事を書いていると腎臓にダメージを受けるという言い伝えが私の故郷の村にはある)、本題に入ろう。今回はなんと、この「ユータスくん人形」を実際に4人で作ってみたのである(作ったのは3つだが)。
ユータスくんファンの私はかねてからずっと、ユータスくん人形が欲しいと思っていた。しかし、材料を用意することからして面倒だし、手先も不器用なうえ、根気もちょっと大きめのトノサマバッタのそれ程度しかないので、なかなか作れずにいたというか一生作れないかと思っていた。
ところが突然編集部のすりーむーん氏から「ユータスくん人形を作る記事を書いてみないか」という矢文が届いたのである。こうなればしめたもの。いくら面倒でも、記事化するとなればなんとしてでも作らんとするだろう。さらに、材料のフェルト等は全てすりーむーん氏が用意してくれるという。というわけで私は2ミリ秒後に即「やらせてください」という矢文を飛ばし、11月某日、私とすりーむーん氏のほかに2人(わかな氏、どらぽん氏)が一堂に会してユータスくん人形作り会が開かれたのであった。これは古事記に載るレベルの歴史的出来事であろうから、この記事を読んでいるそこらへんの稗田阿礼さんは今すぐ、199X年に刊行予定という「古事記Ⅱ 夏のたそがれパニック!?」にこの会の模様を収録するように。
型紙を含めた材料は、すべてすりーむーん氏が用意してくれた(左上のカービィは窓から突如入ってきて居ついてしまったのである)。「かわいくつくってね!」にプレッシャーを感じつつも、いよいよ作成にとりかかる。
ここからは、今回作った3体のなかでも、私とすりーむーん氏が共同で作った通常サイズのユータスくん人形を中心に作成の模様をお届けする。まずは、型紙どおりにパーツを切り抜く作業だ。
「おにぎり」と呼ばれる胴体の部分だが、いきなり切り抜くのに失敗した。こんなカクカクでは、ユータスくんのかわいさを醸成している丸っこいボディを再現できない。地下1階から1階へ飛び降りて詫びなければならない。
さっそく切り抜き直した。まあこれで及第点だろう。これならお詫びとしてパイナップルケーキを所定の位置におさめなくて済む。
なんとか全てのパーツを切り抜くのに成功した(画像にはうつっていないものもある)が、ここまでで45分くらいかかった。さすが「根気が必要」と書いているだけある。この時点で結構疲れたのだが、果たして…
ちなみに、とさかとおっぽのギザギザは縫い付けてから入れることになっているのだが、あらかじめ入れておいてしまった。
まずは、2枚の胴体パーツを縫い付ける作業。あらかじめとさかのパーツを挟み込んである。
がんばって裏返して、とさかと胴体が完成。この写真を見て違和感を感じたあなたは鋭い。鋭すぎて脾臓をケガしそうである。
こんもりと盛られた綿。私に綿を渡してください!
疲れたので、綿を詰める作業はすりーむーん氏にやってもらう。その間、私はコサックダンスとフラメンコを同時に踊ってすりーむーん氏を鼓舞していた。
胴体に綿を詰めた。『「これでもか!」というくらいぎゅうぎゅうに詰めるのがコツです』と書いてあったのでその通りにしてもらったところ、綿がはみ出て不格好になってしまった。
手のパーツを作り綿を詰める。これもすりーむーん氏にやってもらう。
本日のユータスくんではユータスくんが飛んでいるイラストもまれに描かれるのだが、本当に「羽」ではなく「手」と呼ぶのだろうか?
公式の順序とは違うが、先に顔のパーツを作った。
ボンドでとめる必要があるのだが…私「ボンドが出ない!」わかな氏「中栓があるんじゃないの?」私「これが東大生の知能!」
しかしこのボンド、出たはいいけど全然くっつかない。まるで全然くっつかないボンドのようにくっつかないのである。
手を胴体に縫い付ける。形になってきたぞ…!
何を思ったか、マニュアルを無視して「手は真ん中よりもちょっと上につけて!」と言ってしまったのでこうなったが、後から見返してみるとやっぱり手が上すぎて結構後悔している。まあ、バンザイしているユータスくんということで、ここはひとつ。
顔のパーツと「U」のマークをボンドで貼り付ける。これでほぼユータスくんになった!あとは、足を縫い付けるのみ…
しかし、不可説(2023)も論文中で指摘したように、このボンドが全然くっつかないので、何度もパーツがはがれて、結局新しいボンドを部屋の空気中のアルゴンから合成して使用したのであった。
足のパーツを「ばってんに縫いつけ」るところを適当に縫いつければ…完成!ユータスくん人形!
2時間22分で完成!(机が変わっているのは、思ったより時間がかかり、タイムリミットがきて使っていた部屋を追い出されてしまったからである)
しかし、さすがは「根気が必要」なだけあって、とても疲れた。疲れすぎて今すぐ冬眠したくなったが、そういえばもうクマではないのだった。
できあがった私の(といってもすりーむーん氏に半分くらい手伝ってもらったが)ユータスくん人形をうっとりと眺めていると、ある重大なミスに気づいた。
ここで、公式の完成予想図をご覧いただきたい。
私の作ったものと見比べていただければわかるだろう。私のはとさかがでかすぎるのである。これはひとえに、形が似ているとさかとおっぽのパーツを取り違えた事に由来するものである。わかりやすくたとえると、喉頭蓋破裂音と声門破裂音を聞き間違えたようなものである。
というわけで、あわててとさかを切って修正。さらには、すりーむーん氏が糸や綿がはみ出すぎていると言って緊急手術をしてくれた。
今度こそ完成!ユータスくん人形!
いやあ、感無量である。ユータスくんの化身がこの手に!ユータスくんファンにとっては、車を買ったのと同じくらいの喜びである。
というわけで、記事が長くなりすぎそうなので他の参加者の人形作りの過程は省いたが、これにてユータスくん人形3体完成である。
私は見た目はマニュアル通りに作ったが、他の参加者は表情を変えたり、くちばしとUと足の色をUmeeTカラーの赤に変えたりしていた。さすがである。現代社会を生き抜くにはこういう臨機応変さも必要なのだ(実際に、マニュアルには臨機応変さも必要と書いてある。表情を変えようといった意味ではないかもしれないが)。きっと左右の2体を作ったどらぽん氏とわかな氏は将来出世し、グアテマラから醤油・味噌・納豆を輸入する総合商社の社長としてバリバリ働くエリートビジネスパーソンになるに違いない。一方で私は、せいぜい茨城県から群馬県にマンゴーを輸送する会計事務所の提督どまりであろう。
さらにわかな氏は小物まで作っていた。ミニユータスくん亜種、名付けてユーミートくん用のマフラーとノートPCである。たしかにこれから寒くなってくるから、放出される熱で暖を取るためにノートPCが必要だし、仕事をするためには文字を書き入れることができる白いマフラーが必要だ。わかな氏はさらに「人間用のユータスくんマフラーを後で編むかもしれない」とおっしゃっていた。超手芸マスター世界びっくり仰天人間なのである。
というわけで、本日のユータスくん人形を作る会はこれにてお開き。参加者全員のユータスくん愛が深まり、いい時間だった。疲れたのだが、それ以上に楽しかった。みんなと話しながら作ったのもあるだろうが、一人で作ったとしても達成感はひとしおであることが予想される。
そんなわけで、この記事の読者のみなさまがたも、暇なときにユータスくん人形を作ってみてはいかがだろうか?100円ショップを使えば材料はおよそ1000円くらいで済む(65535円ショップだと655350円くらいになる)。時間も、個人差はあるだろうが2~3時間くらいしかかからないだろう(しか、である)。
最後に言っておきたいのだが、みなさま「本日のユータスくん」(https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/utasukun/)を毎日見ましょう。「うがい、手洗い、にんにく卵黄、本日のユータスくん」ということわざもあるくらいですからね。イラストがかわいいし文章も独特のユーモアがあって面白いです。
そして、ユータスくんLINEスタンプを買いましょう(https://store.line.me/stickershop/product/24940629/ja)。これを使えば、ユータスくんの魅力を世界中に発信することができるでしょう。ハリウッドセレブや政府要人がインスタに「本日のユータスくん」を掲載するのも時間の問題です。
それでは、良きユータスくんライフを!