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忍者×声優!?東大卒忍者鈴木柚里絵さんの癖つよライフに迫る

2023.06.05

みなさんは大学を卒業後、どのような進路を取るでしょうか。

企業への就職、起業、大学院進学…

いやいやそんなありきたりな道じゃ面白くない。そんなことをお考えのそこの貴方!

忍者になるというのはいかがでしょう?

巻物をくわえた忍者のイラスト
にんにん

「東大を卒業したのに忍者ってどういうこと!?大体、今の世の中で忍者なんかになれるわけ…って!!!」

学生証
  1. お名前:鈴木柚里絵さん
  2. ご経歴:東京大学後期教養修士課程修了
  3. 進路:忍者&声優

そう、東大卒忍者は実在します!!!!

しかもこの忍者様、声優を生業にしてアニメ出演もこなし、在学中には武道コスプレを極め、ビジコン政策立案コンテストミスコンでも受賞しておられるという、スゴい経歴の持ち主らしいのです。分身の術で人生を歩んできたのではないかと疑ってしまうほどです。

でも「忍者」って本当に(本当に)どういうこと?というか現代に「忍者」というものが存在するの??「忍者」って普段どんなことしてるの?????

忍者ですから、やはりその生態は謎に包まれています。

これらの謎を解決すべく、私もUmeeTの忍者(取材班)として突撃してみました!

忍者って実際どんなことしてるの?

オフモードの忍者様

忍者らしくドロンと現れたわけではなく、ピンクの可愛らしい服を着て、ニコニコの笑顔で待ち合わせ場所のカフェまで来てくださった鈴木さん。

—早速お伺いしたいのですが、「忍者」って普段どんな活動をされてるんですか?

 忍者には、浅い方深い方の二つの仕事があるんですよ。浅い方は、イベントでパフォーマンスをしたり、日本の文化を紹介したりするお仕事。深い方の内容は、言っちゃダメなことが多いんですけど…都内に道場があって、そこで修行をしています。

—ええっ道場とか修行とかあるんですか!?ガチの忍者だ…っていうか内容言っちゃダメとかあるんですね(笑)

 そうなんですよ(笑)。修行では護身武術とか忍術とか、手裏剣の投げ方とかを習っています。でもどんな術が使えるかは、公表してはいけないことになってます。

—えええ本当に手裏剣投げたりするんですか(思ったよりガチの「忍者」で驚いている顔)。すごい世界に足を踏み入れられたんですね…

 忍者になったきっかけも結構適当で。2016年に「さんまの東大方程式」(※)に出た時、将来の夢を聞かれたんですね。私正直あの番組好きじゃなくて。初対面なのに夢とか聞いてくんなって話じゃないですか。だから適当に「くのいちになりたいです」とか言ってたら、忍者の団体からスカウトされちゃいました。

※「さんまの東大方程式」…おもしろい東大生を特集するテレビ番組の名前。

そうして修行の道を歩み始められた忍者様

—はええ忍者ってスカウトされるもんなんですか…じゃあ私が今から「忍者になりたいです!」とか言っても、簡単になれるわけではないんですかね…

 あ、いやなんかサイトに行ってポチポチっとやれば誰でも応募できますよ(笑)。最近はパフォーマンス系の忍者が足りてないみたいで。

—なんと!人手不足の煽りがこんなところまで…パフォーマンス系の忍者って、浅い方のお仕事の?

 そうです、イベントとかに出る系の。忍者の中にもいろんな階級とかジャンルがあるんですよ。忍者も多様性の時代なので。

—なるほど…じゃあ私も忍者に挑戦しようかな…

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声優のお仕事

—そういえば鈴木さんって、声優のお仕事もされてるんですよね。そのキャリアはどうやって築かれたんですか?

声優モードの忍者様

 そうです。私声優界の基準からすると結構トントン拍子で進んでて。声優になるためには、養成所入って練習期間数年やって、事務所所属になって数年また下積み、でやっとデビューみたいなのが普通なんですよ。

 でも私は1年の練習期間で初仕事をいただけて、そこから事務所の準所属になって、その後1年ぐらいで正式所属までいきました。周りの人は、例えば声優の専門学校とか行ってた人でも、養成所で2年ぐらいかかってやっと準所属になるみたいなのが、まだ良いパターンで…3年以上かかる人もいるし、事務所に入れない人もいる。

 そんな中で、私はアニメに出演したり、名前のある役もいただいたりして。どうやら監督が私のファンだったみたいなんですが、「そんな風に役がいただけるなんて!」って事務所が騒然としてて(笑)。どうやら忍者としての私のファンでいてくださったらしいんです!

—そうなんですか!!!すごすぎます…鈴木さんて本当に明るくて元気が出るようなお声をしていらっしゃいますよね!声優はずっと以前からの夢だったんですか?

鈴木さんの自己紹介動画(ご本人のInstagramより)

 ありがとうございます!実は高校生の時、「声優になりたいから養成所に行く!大学には行かない!」と親に言ったことがあるんですが、めちゃめちゃ反対されて…その時は結局諦めて、東大を受験することにしました。

 でも「さんまの東大方程式」で声とか話し方が変って言われて、これは直さなきゃな…と。

—ここでも「さんまの東大方程式」が!(笑)

 そう、あんまり好きではない番組ですけれど、私の人生をいい意味で変えてくれた番組だと思っています。

 で、声優って、とてもなるのが難しい職業なんです。中学生ぐらいの時から養成所に通い始めて、何年も修練を積んでやっと役がもらえるようになるみたいなそんな世界なので、歳いってから目指し始めるってなかなか異例なことです。でも在学中に一緒に起業した仲間が、30代になってから声優の養成所に通い始めたんです。そういう人がいるなら、私もやらなきゃって思って。あとは普通に就活してたけど、やりたいことないなって思って。

—いや行動力がすごすぎますね…大学在学中も、コスプレや躰道、起業に政策立案コンテストといろいろ挑戦されてきたと聞きましたが、そのパワーってどうやったら出るんですか?

 自発的になんでもやってきた人のように見えるかもしれませんけど、私って結構受動的な人間なんですよね。

「受動的な」コスプレでビジコンまで出たらしい

—えええ本当ですか!?!?!?鈴木さんほどの人が受動的だったら、人類全員受動的になってしまうのでは…(笑)

 コスプレはまるきゅうプロジェクトというサークルで始めて、私の大学生活はほぼコスプレだったんですが、それも友達に誘われたからだし…コスプレ関連で起業や政策立案コンテストもやったのですが、友達に声をかけられて、じゃあその時どハマりしていたコスプレでいっちょやってみるかーぐらいの感じで始めたので。きっかけって意外と他者からもらえることが多いです。

 でも確かに、何でもやったみたがりな性格をしているので、チャンスが現れたら全てつかもうとしちゃいますね。そしたら、思い立ってから数年のうちには大体のことが実現できていますね…在学中にあれをやっておけばよかったみたいな後悔は全くないです。

大学生活を駆け抜けた後の笑顔

—おおおすごい…「やり残したことはない」って言ってみたいセリフだ…いやそれにしても鈴木さんから「私は受動的な人間だ」なんて言葉を聞くとは全く思ってませんでしたよ…

 私よく人に言われるのが、「二面性がある人だよね」っていう。あ、もちろん二重人格とかいう意味ではないです(笑)。

 なんか「弱い一方で、強い」とか「頭いい一方で、頭悪い」とか。東大に入るぐらいの学力はあるけど、あんまり考えなしにズバズバ行っちゃうこともあったり。自分の弱い部分もあるけど、それもうまく利用することでより強くなれるよね、みたいな。

—二面性ですか…めちゃ忍者感ありますね(笑)

 ありがとうございます!(笑)そう大体の人は私のことを知って「忍者って何?」みたいなことを言うんですけど、話したら「なるほど忍者だわ」って言います(笑)

—やっぱり忍者が天職なんじゃ…

 いえ忍者は職じゃないです!!!!ライフスタイルなので!!!!!

NO NINJA, NO LIFE

—いや「ライフスタイルは忍者です」って面白すぎるでしょ…(笑)本当にすごい人生を送っていらっしゃいますね…

 いろいろ関係ないことをたくさんやりまくっていて、いろんな回り道をしているように見えるかもしれませんが、私決めていることが2つあるんです。

 1つは、「やらない後悔よりやる後悔」。ちょっとでも心が惹かれるなら、やったほうがいい。やってからやめればいい。

 もう1つは、「通ってきた道が最善の道であること」。まあ、この2つ目のおかげで、やってもやらなくても後悔しないってことになってしまうんですけど(笑)。一見回り道に見えても、それが結局元々のゴールに繋がっていたり、どこか予想の斜め上を行く場所に繋がっていたり。

発言も行動もカッコ良すぎる

—なるほど。その考え方だと、何にでも足を踏み入れることができそうですね!今までの人生でも、結局は繋がってるんだなって思ったこととかあるんですか?

 そうそう。例えば、高校卒業後すぐには声優への道を歩み始められなかったけど、忍者としての知名度やコンテンツ力があったおかげで、声優としてスピード出世できてるのかも、と思います。そういう意味で、今まで私がやってきたことって無駄じゃなかったんだなあと。

 あと私毎日日記をつけてて、時々読み返すんです。3-4年前の自分が書いた日記を読み返して、「私の人生、過去の自分が考えているよりはるかに面白くなってるな〜予想の斜め上を行ってるな〜」「過去の私の想像力って大したことないな〜」って思います(笑)。

—いや本当にカッコ良すぎますね…私も過去の自分に「想像力が大したことない」とか言ってみたい〜〜〜!忍者と声優としての生き方、周りの人もさぞビックリしておられるのでは?

 私の家族や親戚はほとんど医者なので、私の生き方がそんなに理解されている訳ではないです。声優になりたいと言った時も大反対されましたし…今も親は「そんな不安定な職で大丈夫なの?」ってよく言ってきますね。それ聞いて、「確かに〜来月仕事あるかわからないし〜」みたいな(笑)

「私の人生は私が決める」と言わんばかりの手刀

—えええメンタル強すぎません??

 でも、親の人生じゃなくて私の人生なので、私が楽しいことをやりたいじゃないですか。

—確かに…勇気もらえました!!

忍者が語る未来

—そういえばインスタで見たのですが、今度から海外に行かれるのですか?

 そうなんです、明後日から。

大凧の術をする忍者のイラスト
海を越える忍者

— 明後日!?今日取材できて本当によかったです!!!ちなみにどこに何をしに行かれるんでしょう!?

 フィリピンです!語学学校のPRと、語学の勉強をしに!本当はカナダのバンクーバーに、演技の勉強をしに行きたいんです…日本の声優界って、やっぱり歳とってから活動してくのって難しくて。1回海外の業界を覗いたら、「まあ海外もそんなもんか!日本で頑張ろ!」って思えるかもしれないし、海外で花咲くかもしれないし(笑)

 それに、私は日本の声優界で成功してもそんなに満足しないと思うんです。日本の声優界はのしあがるのが難しいし、ナンバーワンを目指すのではなくオリジナリティをもっと出していきたいので、ゴールはそこにはないと感じてます。

—確かに…?でも今回はバンクーバーではなくて、まずフィリピンに行かれるんですね?

 まあ流石にいきなり年単位で今の仕事を放置するのはまずいかなと思って…今回はその1ステップ目です。語学は好きなので、空いた時間にタガログ語(※)でも勉強しよっかなと思ってます。

※タガログ語…フィリピンの公用語の一つ。

フィリピンの海岸でもバク宙とかしててほしい

—うおおなんとニッチな!!!!(笑)ということは今後海外進出もどんどん進めて行く感じなんですか?

 そうですそうです!海外進出は、忍者の仕事としての側面が強いですね。今こうやってすぐに海外に飛んだりできるのも、声優だけでなく忍者としてのお仕事があるおかげです。

 それと私は日本語の他に英語、フランス語、スペイン語、中国語、インドネシア語を話せるので、海外向けの投稿もしています。今一番アツいのは中南米ですね〜最近はインスタで日本の文化や製品を、海外のフォロワー向けに紹介しています!

 私PRってすごい好きで。企業は自社のプロダクトを宣伝できて嬉しいし、見ている人は新しい日本の製品や文化を知れて嬉しい。それで私は収入を得られて嬉しい。みんながハッピーになれますよね。こういう活動ができるのも、忍者になってよかったことの一つです。

—いやー、現代の忍者ってそういう活動をしていらっしゃるのですね。思ったよりグローバルで楽しそう!

 そう、私はSNSでのアプローチがメインです。私のインスタのアカウントが2つあって、1つは日本語でも投稿したりしている方で、もう1つがスペイン語で運用してるアカウントです!このスペイン語の方の伸びがすごくて…なんか私のスペイン語の喋り方とか声が面白くてウケてるっぽいです。昨日がフォロワー21万人ちょいだったのに、今見たら22万人ぐらいになってて…なかなか急成長してるんです。(※編集中に27万人を突破されたそうです!すごすぎます!)

ご本人のスペイン語Instagramより

このアカウントです。まだ投稿数も少ないんですけど、万単位のいいねをコンスタントに取り続けていて、これめっちゃすごいことなんです。ソーシャルメディアの時代もいつかは終わるだろうけど、しばらくは続くはずなので、どんどん市場開拓していきたいです!

—すごいですね…海外ファンてどんな感じなんですか?

 もう、激アツですよ。そうそう、UmeeTさんが取材メールをくださったアドレスあるじゃないですか、あれのメールボックス見ますか…?(スマホを見せながら)

—どれどれ、失礼します…わ、すご!(笑)

メールボックスには海外ファンから大量のメールが

 このアドレス、Twitterのbioに貼ってあるんですけど、毎日ファンからのメールが何十通も届くんですよね、「ファンです、会おうよ!」みたいな(笑)でも怪しい人たちばかりでもないですよ、前はロシア人とウクライナ人のフォロワーにロシア語を習ったこともありますし、安全そうな人をピックアップして実際会ってみたり。

—すごい、いやでもそのフォロワーとの関わり方、鈴木さんらしいかも…

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忍者から東大生に、伝えたいこと

—鈴木さんって、本当にいろんなことに挑戦されてきたんですね…まじでかっこ良すぎます!東大を卒業して”忍者&声優”という変わったキャリアを歩まれてきたからこそ、見えてきたことってありますか?

 いろいろな人の価値観や人生を「知る」ことは、とても大事だと思います。知らないことによって暴言を吐いてしまう、誰かを傷つけてしまうことって、非常によくあることだと私は思っていて…

発言も武術も本当にカッコ良すぎる

—「知る」こと、ですか。

 東大生って、金持ちが多くて、中高一貫出身の人が多くて、でそういう人たちで固まるじゃないですか。違うバックグラウンドを持つ人と、あまり関わらない。で、金持ちじゃない人たちとか、違う生育環境で育ってきた人たちをマイノリティ視してしまう。でも、世の中のマジョリティって実は逆で…、みたいなことを知らないで生きている東大生って、結構多いと思います。で、お金が稼げないのはその人の責任だみたいな…私も在学中、そんな雰囲気のことを考えてる人多いなって感じてました。

 でも大人になっていろんな声優さんに会ったりして、「やっぱりそうじゃないんだ」って。金持ちは当たり前じゃないし、お金がないのも環境的に仕方ないよなって思いことも多いです。

 私は恵まれてたと思います。実家は医者一家で、お金のあるお家だったので…でも、そういうことに気づいていない東大生って、結構いると思うんですよね。

—確かに、私は地方から出てきたのでなんとなくマイノリティの意識は持ちがちですが、それでも私も恵まれていたからこうして東大で学べているんだと思います。真っ当な生き方ができて満足に勉強できている時点で、恵まれている。

 私の”忍者&声優”っていう生き方って、社会的地位もないし、クソダサいじゃんて言う東大生も一定数いると思うんです。まあ私がそう言われるのは問題ないんですけれども、私をディスると、同じような職をもつ人たちをいっぺんにディスることになってしまう。それは、その人たちがどんな価値を生み出しているか「知らない」ことが原因だと思います。まあ偏見って私含めて誰でも持ってるものだと思うんですけど、それを払拭するために、知り続けることは大切だなあと。

 そうそう、例えばこの曲ご存知ですか?

 アルゼンチンとかだと、美空ひばりの「川の流れのように」ぐらい有名な曲なんですけど、こういう曲って普通に知らない人も多いじゃないですか。

 逆に、中南米では忍者ってただ日本のものっていうことは知られてるけど、鮮明なイメージが持たれている訳ではない。だからこそ、私が伸び伸びやっても受け入れられやすいっていうのはあると思います!

 とりあえず、世の中には「知らない」けど良いものがたくさんあるってことです!この曲結構良い曲なのでぜひ聞いてください(笑)

—ありがとうございます!(笑)

東大卒”忍者”は本当に忍者だった

 「忍者」ってどういうこと!?と思っていましたが、ちゃんと修行も経て世界を舞台に活躍する、れっきとした忍者であることがわかりました…そして、自分の希望に従って生き、歳も関係なく声優への挑戦を選んだ鈴木さんの姿は、とても勇気がもらえるものでした。

今回お話しさせていただけてとても良かったです。ありがとうございました!海外での活躍も心よりお祈り申し上げます!

この記事を書いた人
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深草
はじめまして! 深草です。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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