GRABAって何?
「GRABA」って知ってますか?ちなみにグラバではなくグラーバと読みます。
フランス語で勝利を表す「grandir (成長する)」とバドミントンの「バ」をかけたものです。そう、バドミントン。
GRABAは、東京大学運動会バドミントン部と融合型のボランティア組織です!!!
こちらがGRABAのホームページです。
ホームページを開くと…
一言で言うと、
「バドミントン部の部員が、子供たちにボランティアでバドミントンを教えるという活動」ですね。
でもなんで運動部がボランティア活動をしているのでしょうか。
いざ活動に潜入…の前に!
現在、GRABAの3代目代表を務める古橋郁一さんにインタビューしてみました。
今日はよろしくお願いします!
まず、GRABAってどんな組織なんですか?
基本的に東大バドミントン部のメンバーで構成されているボランティア組織です。現在バド部の人数は50人です。その中で有志の20人弱がGRABAのメンバーとして活動しています。主な活動は、週末や長期休みにさまざまな場所に行って小中学生向けの講習会を行うことです。講習会のためのミーティングは、授業や部活、それぞれの用事の合間をぬってやるので、早朝や深夜にzoomでやることが多いです。実は今日も朝8時から9時までミーティングをしていたんですよ。
なるほど!バド部の中の有志のメンバーたちが活動しているんですね。
でも今聞いただけでも勉強、部活、ボランティア活動…とかなり忙しそう。ただでさえ忙しい東大生、しかも運動部でしっかり練習もしている人たちがどうして子供たちにボランティアをしているんですか?
始まりは4年前なんですけど、バドミントン部の外部コーチが初めて東大に練習を見にきた時に、「東大生ってすごく練習を考えながらやってるし、練習内容もみんなで話し合って決めていて、やっぱ東大生がやってる練習って質が高くていいよね。」って思ってくださったそうで。それで、「東大生がバドミントンの講習会とかやったらすごいことができるんじゃないか」って思ったらしく、その時の部員がコーチと一緒に石川県に講習会に行って、ワークショップみたいなことをやったんですね。それがすごくウケが良くて、じゃあちゃんとした活動として東大生が小中学生に教える活動をしてみよう、ってなったのが始まりです。年に1回だった講習会を、今では年に6〜8回開催しています。
もともと部活の一部だったボランティア活動が活発になり、団体のようになってできたのがGRABAなんですね!
講習会について教えてください!
はい。開催地は群馬県が多くて、八王子や、小平などでもやっています。今まではコーチのツテを使うとか、一度開いたことがある場所で再度開催するとかだったんですど、今年からは新しい場所で開いてみようっていう試みがあって。茨城とか群馬とかでもやろうって感じになってきてます。最初に「こういう活動をやっています」っていうことを自治体やバドミントン協会の人にプレゼンするんですけど、反応も結構良くて、「いいですね、やりましょう」っていう感じで快く受けてくださることが多いです。
各地で講習会を開いているんですね。
活動の理念のようなものはありますか?
はい。私が思うGRABAの持つ価値とは、講習会を通して子供たちが「考えることって楽しいな」とか、「バドミントンってこういうふうな楽しみ方もあるんだ」っていうのを気付けることであると思います。でも同時に東大生側にとってもすごく価値があるなと思っていて、小中学生に対してゼロから講習会を作って教えるということはなかなかできない経験だし、「全然子供達に伝わらない」とか、「子供たちを楽しませるにはどうしたらいいか」とか考えるのは、すごくためになると思っています。運動部として「試合に勝つこと」以外に子供への指導について必死に考えることで、自分たちの練習の根本的な意味や効果を考えることにもつながっています。
子供たちに教えることが、自分たちの練習を問い直すことにもつながっているんですね!
講習会は「ボランティア」ということですが、活動にかかる費用はどうされているんですか?
ヨネックスのスポーツ振興財団から助成金をいただいているので講習会は無料でやっています。
あのヨネックスから支援を受けているんですか!?すごい。
(4年前に始まり、部活の枠には収まり切らず組織化したGRABA。つまり、今、ノリに乗っている活動なのです!!東大の面白さや隠れた魅力を発信するUmeeTのライターとして、GRABAの躍進を見逃すわけにはいかないのでは…!?)
よし、活動に潜入させてください!
もちろんです!!!
GRABAの活動に潜入してみた!
夏休み真っ盛りの8月27日。
筆者は茨城県八千代町にいました。
UmeeTでの筆者の初取材in八千代町
友達に予定を聞かれた時に説明するのがなんだか面白かったです。
朝6時半の電車に乗り、古河駅に向かいます。眠すぎて電車のドアに激突しました。腕が痛い。運動部の朝は早いのだ…!!!と痛感します。
7:45に古河駅集合、8:30に体育館着って、体育館は駅からかなり遠い模様。
古河駅に到着。
知らないおじさんからラインが来た。ワオ。
知らないおじさんが立っている。
いやでもGRABAって書いてある紙を持っているところからして、きっと私を迎えに来てくださっている方…なのでしょう。どきどき。
初めまして。今日GRABAさんの活動に潜入させていただきます!!よろしくお願いします。
お互いの自己紹介を経て、おじさんが古橋さんのお父様で、体育館まで車で送ってくださるということが判明しました。(おじさんって言ってすみません。)
駅から体育館までは車で40分!!道中は、古橋さんのお父様が八千代町を紹介してくれました。(八千代町は白菜の生産量が全国1位らしい!!!)
他のGRABAのメンバーは、この日の会場となる体育館のそばのキャンプ場に、前の日から泊まっているそうです。
今日の講習会に参加するGRABAのメンバーは5人。毎回、メンバーを募るらしいです。今回は経験豊富な人が多いとか。メモメモ。大学1年生が1人、3年生が3人、そして博士1年生が1人です!
ちなみに今回は、八千代町の職員である古橋さんのお父様が、八千代町で毎月開催されている子供教室の場で、講習会をやってくれないかとGRABAの代表である息子さんに依頼したそうです。
みんなで打ち合わせしつつ準備。
古橋さんに今日の意気込みを聞いてみます。
今回は今までにないくらい小学校低学年の子が多くて、緊張します!!小さい子たちと話すのは、何度やっても慣れないです。あと今日は、バドミントンをいっさいやらない講習会の内容になっています!
え、バドミントンやらないんですか!?
なんでも、クラブチームに行って講習会をやる時と今回のように地域の子供たちが集ってくる時では、講習会の内容を変えているそうです。
参加者は小学生8人・保護者の方2人と少なめです。この日は夏休み最後の週末。スポーツのクラブチームの大会と重なっていたり、家族で出かける子が多かったりするのかなとみなさん残念がっていました。宿題の追い込みもあるのかもしれませんね。
9:00ごろからポツポツ親子が訪れ始めました。
検温を済ませて、体育館へ。
小学生とGRABAのメンバーが話し始めます。
子供たちを壁に追い詰めてる…?
この微妙な距離感、大丈夫かなあ。
子供を送ってきたお母様にインタビューしてみました。
今日はどうして参加されたんですか?
本人がやりたい!と言ったので。好奇心旺盛なんですよねえ。
なるほど。今日はどんなことを楽しみにしていますか?
うーん。今日ってバドミントンをやるんですか?
東大生ということなので、頭を使った技を教えてくれるのかな〜と思います。
お答えいただきありがとうございます!
今の段階だと、何をやるんだろう?という感じなんですね。
そしてもう一人、講習会に参加予定のお父様にもインタビューしてみました。
今日はどうして参加されたんですか?
子供がバドミントンをやってみたいというので。
うんうん。そうですよね。(たしかバドミントンはやらないって言ってた気がする…)
今日はどんなことを楽しみにしていますか?
えっと、今日って何をやるんですか?
えっと、そうですね…私もわかりません!!!(汗)
観察していきましょう!(汗)
そして全員が集まり、開会式が始まりました。
今日は、東大生の皆さんが講習会に来てくれましたー!!!
お、GRABAではなく東大生として紹介されている。
果たして小学生に東大生ブランドは通用するのでしょうか。
代表の古橋さんが話し始めました。
GRABAのメンバーが一人一人自己紹介をします。
東京大学って知ってる人ー?
シーン。
…じゃあ大学って知ってる人ー?
大学って何ーーー!???
よし、頑張ろう。
確かに自分が小学生の頃、「大学」というものを理解していたかどうかって怪しいです。
小学生と大学生って、兄弟姉妹や家庭教師をのぞいたら、ほとんど関わりがないですよね。
古橋さんが子供たちに今日伝えたいことを話します。
目標を達成するために、練習だけひたすらやって上手くなるとは限りません!例えば、習い事やってる人ー??何の習い事やってるの?
空手!!
空手ね!じゃあ空手の突きを1日1000回毎日練習したら、空手が強くなりますか?
ならなぁい!
そう!なりません。練習すれば上手くなるんじゃなくて、意味のある練習をするから上手くなります。コーチや先生がどういうことを言っているのかということを、会話やコミュニケーションを通して理解することで上手くなることができます。
ちょっと難しいお話だけど、どのくらい伝わっているんだろう?
そして、いよいよ講習会本編が始まりました。
一つ目のゲームは、「たくみの里」
4人チームになって、一人一人に位置情報が書かれた紙が渡されます。
その紙をお互いに見せることは禁止。読み上げることで情報を共有し、情報を結集させて一枚の紙に地図を完成させるゲームです。
私は説明を聞いてルールを理解するのにちょっと苦労しました。
子供にわかりやすい説明と大人にわかりやすい説明とではまた少し違うのかもしれないな。
1つのグループに1人以上の大学生が入ります。私も参加。
自分の情報を一方的に捲し立てる子と話せずにモジモジする子にハッキリ分かれる。
GRABAのメンバーが、上手く情報を整理していきます。
〇〇君によると、このお家がここにあるってことだね。じゃあ、このお家の右隣のお家について、何か情報を持っている人いる?お、△△ちゃん、じゃあみんなに教えてくれる?
紙に書かれた情報の中には、「東西南北」などの言葉も。地図を作るんですもんね。
小学2年生の女の子が、
東って何ーー??
すると小学3年生の男の子が
東が右で西が左!!!!
続けて小学4年生の男の子が、
東と右を合わせると『ひがしみぎ』で5文字、西と左を合わせると『にしひだり』で5文字!!!!
ふむふむ。ゲームを通して、学年が違う子同士教え合うこともできるのですね!
地図が完成していきます。
ちなみに古橋さんのお父さんと木瀬さん、保護者の方2人で構成された大人チームも参戦。
地図が完成し、チーム間でお互いの地図を見比べます。
古橋さんがゲームをまとめます。
小学生チームは完成に10分以上かかってしまったけど、大人チームは大体5分で完成しました。これは、大人は協力するコツを知っているからです!
コミュニケーションをうまく取ることで、ゲームを早く完成することができるということがわかったと思います。今日は、この後のゲームを通してみんなのコミュニケーションをレベルアップさせていきましょう!
小学生にこのお話がどのくらい伝わっているのだろうか・・・。
抽象的な話を自分の経験と絡めて実感として理解する、っていう作業は大人になっても難しいなあと感じることが多々あります。
GRABAさんがやろうとしていること、子供たちに伝えようとしていることって、すごく難しいことだなあと感じました。
次のゲームは、「アイマスク体操」です。
2人一組になって1人がアイマスクをつけます。GRABAメンバーがお題として見せる動きを、アイマスクをつけていない方がつけている方に言葉だけで伝える、というゲームです。
筆者も小学3年生の男の子と2人組になって挑戦しました!!
楽しい。
言葉だけで動作を伝えるって難しい…と痛感。
その後、子供たちだけでアイマスク体操は続きます。
今度は、全員アイマスクをつけて、「誕生日の月が若い順に並んでみよう!!」というお題。
子供たちはまず口々に自分の誕生日を叫びます。
しかし今回のお題を達成するためには、「それぞれの誕生日」という情報を自分たちでまとめていかないといけません。目が見えない状態で、誰かがリーダーシップをとって整理していく必要がありそうだけど…。
近くで見ていても、子供たちのイライラむずむずする様子が伝わってきます。
わかんなーーい
11月ってどこー?
視界が真っ暗なことで不安も増しているのでしょう。雰囲気が怪しくなってきた…。
見かねたGRABAメンバーが、
じゃあ身長が低い順に並んでみよう!!
とお題を変えました!
ふむふむ。身長順。
近くにいる人と頭をくっつけて適当に背比べをする子たち(もちろん見えてはいません)、「俺小さいよ!!」と前方に行くまあまあ小さくない男の子…。
うーん。難しそうだなあ。
よーーし、じゃあ一列に並んでみよう!!
お題チェンジきました!
さすが子供たちの様子を見て臨機応変にゲームを変えていく対応力!
勉強になります。
しかも、怪しくなってきた雰囲気を吹き飛ばすように明るく楽しそうな声!
ホッ。
先頭の子が「じゃあ俺先頭ね!」と名乗り出てくれるまでがなかなか大変そうでした。
子供たちはお互いの名前を十分に覚えているわけではないので、名前を呼ぶことができず、一列に並ぶだけでもかなり大変そう。
そして、こんな感じの列になりました。ちょっと怪しい。
でも本当に難しそうでした。
そして最後のゲームは、「ペーパータワー」です。
これがびっくりするくらい盛り上がりました。
1チームに3枚の紙が渡され、紙を丸めたり折ったりしてできるだけ高いタワーを作るようにするように、とのこと。ただし、そのタワーは完成したら1メートルほどの高さから落とされ、タワーの高さは落下後に計測されます。
つまり、もし倒れてしまったら記録はすごく小さくなってしまうのです!
高く、かつ倒れにくいタワーを作るということですね!!
子供たちの各々のアイディアをGRABAのメンバーが引き出し、時には大袈裟に
それ超いいね!!!〇〇ちゃんすごい!じゃあみんなでやってみよう!
などと声をかけていきます。
子供たちは出し合ったアイディアを実際に試していきます。とても嬉しそう。どんどんタワーを作っていきます。
そして15分の制限時間が終了。
各チームが工夫点を発表します。
こちらのチームは、タワーが倒れないように土台を工夫したと発表してくれました。
さて、計測です。
ここからタワーを落とします!!
どきどき。
立ちましたー!!!
あれ写真がない。
多分拍手をするのに必死で写真を撮り逃していました。
ライターとして大いに反省します。
タワーが立ったことを喜ぶ子供たちの様子で盛り上がりをお察しください。
他のタワーはこんな感じです。もう1個あったのですが、1人の子が気に入ってお持ち帰りしました。
ちなみに一番右は大人チームが作ったタワーです。ガチだ。
ペーパータワーで大盛り上がりして、今日のゲームは終わりです。
閉会式では、今日のまとめとして、「上手くコミュニケーションを取ることの難しさと大切さ」についてお話がありました。今後の生活にも活かしていきましょうという結びで講習会は終了。
講習会終了後に、もう一度先ほどの保護者の方にインタビューしてみました。
まずはお母様。
今日の講習会、見ていてどうでしたか?
お互いに知らない子供たちが集まって、一生懸命コミュニケーションを取り合う練習になったんじゃないかなと思います。
よかったあ。
そしてお父様。
実際に参加されていましたが、いかがでしたか?
意見を言わないとか、見ているだけ、じゃなくて全員が参加してしっかり意見を話していたので、子供たちにとってとてもよかったんじゃないかと思います。
お二人とも満足そう。
お答えいただきありがとうございました。
GRABAの皆さんと子供たちとの距離感が見違えるように近くなっているのを感じました。子供たち同士も仲良しになっていました。
そしてなぜか私が満足感に浸らせていただきました。
今日一日で、GRABAの皆さんが運動部でハードに練習をしながらボランティアまでこなす意味がわかった気がしました。
古橋さんに今日の感想をお聞きしました。
アイマスク体操の後半で、子供たちがうまく並べずにイライラしているときは、見ていてヒヤヒヤしました。なるべく小学生自身が考えて、ひらめきとか気づきを大切にしてあげるようにしてあげる、っていうことはできたんじゃないかと思います。今日も楽しかったです。
講習会が終わった後、
GRABAのみなさんと一緒にローカルな中華料理屋さんでお昼をご馳走になり(反省会に紛れ込んだ)、古橋さんのお家で取れたというメロンをいただき、今度は全員で古賀駅まで乗せていただきました。
本当にありがとうございました。すごい満足感と共に帰宅。
いい日だったなあ。
よそ者の私に暖かく仲間のように接してくれて、GRABAのメンバー(仮)って呼んでくださいました!!!
そんなみなさんのことが大好きになりました。
GRABA大好き!
参加してみて改めて、私が親だったら子供をぜひ講習会に参加させたいなあと思いました。ゲームを楽しむ中で、子供たち同士で必死に考える経験ってすごく貴重ですよね。
次回の開催は、11月26日に茨城県守谷市で行われます。
参加したいという方は、GRABAの公式HP、Instagram、Twitter (@graba_bad) からお問合せをすることができます!GRABAの講習会は、子供たちが自分の意見を話したりみんなの意見をまとめたりする方法を、一生懸命考えて練習することができる場所です。お子さんも保護者の方もぜひご参加ください!!!
GRABAのみなさんは、東大生にもっとGRABAを知って欲しいーー!!!と思っているそうです。私もそう思います。勢いに乗っているGRABAの活動を追わない手はありません!
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GRABAの皆さん、ありがとうございました!!