皆さん、「Limerick(リメリック)」という東京大学のアカペラバンドを知っていますか?
知らないという方がいれば、とりあえずこれ聴いてみてください。
ヤバくないですか!!!???
綺麗な高音が織りなす心地よいハーモニー!ただでさえ難しい洋楽をここまで歌いこなすアカペラバンドは日本にほとんどいないのではないかと思います。
今年の頭に初めて聴いたときから個人的にファンです、はい。
そしてこのリメリック、この度なんと
大手レコード会社のユニバーサルミュージックから楽曲をリリースされます!
ヤバくないですか!!!???(2回目)現役の東大生が大手レコード会社から曲を出したことってこれまであったんですかね?
今回配信される4曲の洋楽カバー、これがまたすごいんですよ。素人ながらプロの現場で作るものの違いを感じました。
各種音楽ストリーミングサービスから聴くことができるので是非聴いてみてほしいです。
そして今回なんと、そんなリメリックにインタビューしてきました!
ユニバーサルミュージックから曲を出すことになった経緯やリメリックの結成秘話、今後の活動について、たっぷりお話いただいています。
配信する楽曲の魅力にも迫ります!是非最後までお読みください!
リード・コーラスのMonaさんは以前UmeeTにエッセイを書いてくれています。こちらも是非チェックしてみてください!
どういった経緯でユニバーサルミュージックから曲を出すことになったんですか?
今年の2月、リメリックがフジテレビさんの「ハモネプリーグ」に出演したんですが、そこで3位の成績を修めることができたのをユニバーサルミュージックの担当者さんが見てくださっていて、連絡をいただきました。
そこで「楽曲を出さないか」というお話をいただいて、「是非やりたいです」と。
テレビ出演をきっかけに大学在学中にメジャーデビューって、夢がありますね。
そのときはどんな気持ちでしたか?
本当に信じられなくて。「まさか」と思いました。
こんなすごいことなんてもう今後の人生で二度とないと思って大興奮して。
本当にありがたくて貴重なお話だと感じたので、是非挑戦させていただきたいと感じました。
リメリックというバンドが結成された経緯を教えてください。
元々は駒場祭のステージライブに出すという目的でバンドを結成しました。ただ、そのあとでコロナが流行してしまったので、対外的に立ったステージは駒場祭だけですね。
元々このバンドを結成したのは私なんです。私たちは東大のアカペラサークル「LaVoce」のメンバーなんですけど、これまで一緒に歌ったことのなかったちょくと一緒に歌いたいと思ったのがきっかけです。
そのあとにこれまで洋楽のカバーをよく一緒にしていたさかりなや、たっちー、しんしんを誘ってバンドを作りました。
おそらくアカペラサークルの中では皆さんバンドを掛け持ちしていると思うんですけど、その中でリメリックとしての活動に力を入れることになっていくきっかけはあったんですか?
一番最初に歌ったときに、みんな私の想像を超えてうまくて、楽しかったのが理由のひとつです。洋楽を歌っている人はサークルにあまりいないので、もっと本格的に活動していきたいと思いました。
サークルの合宿があったんですけど、そこでもいい感じで、ちゃんと5人でやってみたいと思ったんです。他のメンバーの気持ちも一緒だったので、ハモネプに出るという目標を立てて活動することになりました。
確かに、演奏される皆さんの様子を見ると本当に息がぴったりだと思います。
ハモネプを目指すのはアカペラをやっている人の中では一般的なんですか?
ハモネプに憧れてアカペラを始める人も多いと思います。実はハモネプの放送はしばらく止まっていたんですけど、タイミングよく大会が開かれることになったので応募しました。
メンバーの皆さんがそれぞれアカペラを始められた経緯についてもお聞きしたいです。
僕も小さい頃からハモネプを見ていて、アカペラに憧れを持っていました。小学校のときから合唱隊に入っていて、歌うのは好きだったんですけど、高校まではテニスに力を入れていました。ただ大学に入ってからは、サークルという環境がある大学だからこそできるアカペラに、より重心を移したという感じです。
昔から本格的に歌い続けていたわけではないんですね!あんなに上手いのに!
私も大学に入るまで歌を本格的にやってはいませんでした。ただ、中高でESSに入っていたので、そこで洋楽を聴いたりはしていたんですね。そこで友達から「Pentatonix」をオススメされたんですけど、「人間の声とは思えない!」と感動して、アカペラに興味を持つようになりました。
あるとき川崎のショッピングモールでPentatonixの無料ライブが行われることを知って、塾の授業をサボって参加したんです。CDよりも格段にすごい歌声に心動かされて、大学では迷いなくアカペラサークルに入ることを決めました。
マンガの主人公みたいな展開ですね。
私の人生は元々音楽中心で、4歳からピアノを弾いていたし、中学ではコーラス部に入っていました。
高校のときにさかりなと同じようにPentatonixに衝撃を受けてアカペラに関心を持ったんですけど、高校にはアカペラサークルがなかったので、オンラインの掲示板で人を募ってアカペラバンドを結成しました。少ない人数で色々な曲が歌えることが楽しくて、日本に来てからも絶対アカペラをしたいと思っていました。
高校のときから自主的にアカペラバンドを結成するって、すごい行動力ですね。
やりたいことがあれば行動する人間なんです。母からは「やってみなきゃわからないからやってみよう」と言われていました。
高校から始めたパイプオルガンも大学の同好会で続けていました。ただ、様々なスタイル・ジャンルの音楽を声だけで、それもソロではなくメンバーと一緒に作っていくアカペラが本当に楽しいと思えたので、今はアカペラに専念しています。
僕は高校のときに合唱部に入っていて、企画でアカペラをやってみようとなったときにジャンケンで負けたことをきっかけにボイパを始めました。それが楽しくて、大学ではアカペラサークルに絶対入ろうと思っていました。
え、ボイパを始めるきっかけが「ジャンケンで負けたこと」だったんですか⁉︎
僕もこのバンドではボイパをやってますけど、最初の第一希望パートはコーラスでしたね。パーカスは第二志望だったんですが、人数調整でパーカスに入ってしまって、やらざるを得なくなりました。そういう人は多いかもしれないです。
そんなたっちーさんはどういう経緯でアカペラを始められたんですか?
僕は高校以前に音楽経験はほぼゼロで、合唱コンクールでみんなと歌うくらいでした。ただ、大学生といえばハモネプというイメージが自分の中にあったのでサークルに入ることにしました。
ハモネプの影響力すごいですね。
「大学生ならハモネプをやるもの」という気持ちでしたね。
練習はどういった形でされるんですか?
練習方法というものが確立しているわけではないんですけど、ひとつの課題は選んだ曲をどうやってアレンジするかということですね。
僕たちの場合はもなが楽譜を書けるので、もなが楽譜を作ってます。そのあとにみんなで歌って調整していくという感じです。誰かが仕切っているわけではなく、一緒に歌う中で違和感を感じた人が指摘して音を作っていきます。
基本的にメンバーで集まって練習しているということですか?
そうですね。基本的に5人の予定を合わせて集まっています。やっぱり1人でも欠けると綺麗な和音にならないので。ただ、今はコロナ禍で集まるのが少し難しくなっているのもあって、それぞれ音源をとり、「GarageBand」とか音楽制作ソフトを使って、リモートで音を合成したりもしています。
リズムのおふたりはどのように練習していますか?
集まって練習するときの音の調整はコーラスの3人にお任せすることが多いです。パーカス担当の人はバンドによっては楽譜を作る人もいるんですけど、僕は割とその場の雰囲気でやるタイプなので、練習のたびに音が変わったりしています。
ライブ感を重視しているということですね。
まあ、よく言えばそうですね(笑)ボイパに関しては最初は何の音も出せないので、先輩に聴いてもらったり、YouTubeで上手い人の動画を観て練習したりしていました。
今でも新しい音を覚えたりすることはあるんですか?
まだ全然ありますね。音の数的には無限にあって、まだできない技もあります。
逆に僕は楽譜通りに歌えるように練習していますね。ちょっとした歌い方の違いで曲の印象が変わってくるので、自分で録音した音源を何度も聴いて確認しています。
東大生としてアカペラをすることについて、何か感じたりすることはありますか?
たまたま入ったのが東大のアカペラサークルだったというだけで、東大生であることが何かアカペラに関わってくると感じることはないですね。
ただ、サークルの運営に関しては「頭の切れる人が多いな」と感じます。細かい部分を突き詰めて色々なことを配慮しながら運営に参加するうちに学べることは多いです。
私は広報班に所属しているんですけど、企業との交渉とかもあって、人との接し方を知ることができました。
学業との両立についてはどうですか?
大変なときはありますね。僕は工学部の都市工学科に所属しているんですけど、作成した模型の発表の日が運営を務めていたアカペラサークルのライブの準備の日とかぶってしまって、2つの場を行き来することになりました。
私は正直なところ、コロナ前に週4、5のペースでアカペラをしていたので、学業が疎かになっていましたね。そのツケが今回ってきています……(笑)
頑張ってください……(笑)
大学生のアカペラというと邦楽が多いと思うんですが、リメリックの皆さんは洋楽のカバーをメインにされています。これには理由があるんですか?
私はシンガポールのイングリッシュスピーキングファミリーで育ったこともあって、元々主に洋楽を聴いていました。
ただ、アカペラサークルに入るとみんな思ったよりも洋楽を聴いていなくて、それがショックだったんです。それで私は洋楽を広めたいという思いもあって、サークルではリメリックを結成する前から洋楽メインで活動していました。
このリメリックというバンドは、私が一緒に洋楽を歌いたい人を誘って結成しました。
それでは、他の4人の方も元々洋楽を聴いたり歌ったりしていたんですか?
うーん。でもみんなバックグラウンドが国際的で、例えばさかりなはアメリカとかイギリスのテレビショーとかをよく観てるし…
観てない観てない(笑)
え、観てるって言ったじゃん!
あでもネットフリックスとかはよく観てます。それと洋楽は好きで、中学のときからスティーヴィー・ワンダーとかマイケル・ジャクソンとかブルーノ・マーズにハマって、よく聴いていました。
ただサークルでは主に邦楽をカバーしていて、自分の好きな洋楽をメインにカバーするバンドも組みたいなと思っていたので、誘ってもらえてよかったです。それとメンバー全員Pentatonixが好きなので、それがカバーできるのも嬉しいです。
共通の好みがあるのは大きそうですね。
国際的なバックグラウンドってことで言うと、たっちーは6年くらいアメリカに住んでて……
単純な帰国子女ですね。もなとかさかりなほどではないですけど、自然と洋楽を耳にすることはあったと思います。サークルに入ってからも洋楽をやりたいという思いはあって、ちょこちょこカバーしたりはしていたんですけど、洋楽メインでやるのはリメリックが初めてですね。
僕は1年間台湾に留学していたことがあって、海外の人が洋楽をめちゃくちゃオススメしてくるので、そこで聴くようになりました。
あとこれは僕の意見なんですけど、もなは洋楽を歌わせると本当にすごいんですよ!だからそれまで組んだことはなかったんですけど、もなと一緒のバンドで洋楽をやりたいという思いがありました。
え、嬉しい……(笑)
メンバーに関しては洋楽を好きそうな人、歌ってくれそうな人を選びました。しんしんもこのバンドを組む前にもなと一緒に洋楽を歌ったことがあったんだよね?
はい。新人ライブで1年生のときに洋楽を歌う機会があって、そこでもなさんに教えていただいたという縁で誘っていただきました。僕は元々洋楽に詳しいわけではなかったんですけど、リメリックに入ってから色々な曲を聴くようになりました。
そしたら、リメリックはもなさんとちょくさんが洋楽を歌ってくれそうなメンバーを集めて結成したバンドだということですよね?
最初の経緯はそうだったと思います。
実はこのバンドは最初は6人にしたかったんです。でも、洋楽やる人が本当にいなくて、全然人が集まりませんでした……(笑)
ここにきて新しい情報が(笑)
元々、たっちーがコーラスで、しんしんがパーカスの予定だったんです。ベースが集まらなくて焦っていたところに、しんしんが「俺ベースいけます」って言ってくれて、何とかなりました。
はい。それまでボイパしかやってこなかったんですが、ベースやってみたいなって思って。
えっ……じゃあベースをやるのはリメリックが初めてってことですか?
そうですね。
衝撃です……
コーラスに比べると、ベースをやっている人って本当に少なくて。名乗り出てくれて、本当にありがとうございます!(笑)
しんしんがベースやってくれなかったら、何もできなかったから。
ね、終わってた(笑)
まあ最初は駒場祭の企画のノリだったから名乗り出れたという感じですね。
今回のアルバムのこだわりはありますか?
ユニバーサルミュージックさんと話し合って、自分たちも好きで思い入れがある曲だし、よく知られている曲、「Peaches」「bad guy」「good 4 u」「Leave The Door Open」の4曲をカバーさせていただくことになりました。
私ともなとちょくがコーラスなんですけど、全員がリードをとっているところがあります。それぞれの歌い方も違うので、そこに注目して欲しいです。例えば、ちょくは男性なんですけど力強く綺麗な高い声で、もなは女性だけど低い声で、洋楽ならではのフェイクもすごく上手です。
Peachesの最初の部分は五声で、普段はボイパとして活躍しているたっちーがコーラスで参加していて見どころです。「Peaches」はR&B風のアレンジ、「bad guy」はジャズ風のアレンジを入れて、原曲のエッセンスを残しつつ、原曲と違った味をだせているのではないかと思います。
曲を聴かせていただいたんですが、「Peaches」のイントロの重厚感で一気に引き込まれました。
ブルーノ・マーズはさかりなが好きなアーティストだということもあって、さかりながメインで歌っています。美しい歌声にも注目してほしいです。
あと、私たちが普段YouTubeで出している音源とは違って、プロの方にミックスやマスタリングをしていただいているので、全体的に聴きやすいのはもちろん、それぞれの声や細かい部分もよく聴こえるようになっています。
確かに、素人ながらプロの手が入るとこんなにも印象が変わるものなのかと驚きました。すべて人の声でやっているということに改めて感動するアルバムでした。
最後に、今後のリメリックの活動について教えてください!
まだ5人でしっかり今後について話し合ってはいないんですけど、大学にいるうちに色々なことが経験できたらいいなと思っています。
僕らの楽曲を通じてアカペラ好きな人が洋楽を聴くようになってくれたり、逆にアカペラに関心を持ってもらえるようになったら嬉しいです。僕たちがどのような影響を与えられるかは分かりませんが、与えられた機会を存分に生かして自分たちで活動していきたいです。大学を卒業するメンバーもいますが、リメリックとしてずっと活動していきたいという思いは、きっとみんな持っていると思います。
今回プロの世界を見させていただいて、夢が広がりました。こういう機会がもしまたあれば、挑戦させていただきたいと思っています。
日本の大学生の立場で夢のような話だけれども、アカペラを通じて洋楽を世界や日本に発信していきたいです。
大学生でこんなすごい経験できるとは夢にも思っていませんでした。素敵な曲がたくさんあるので、これからも洋楽のカバーを発信し続けていきたいです。
いかがでしたか?
リメリックのみなさんの魅力や、和気あいあいとした雰囲気が伝われば幸いです。
まさか最後まで記事を読んだのに曲を聴いてない、なんてことはないですよね?
配信された楽曲や公式Youtubeの動画を是非チェックしてみてください。
インタビューに応えてくださったリメリックのみなさん、そして最後まで記事を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。