こんにちは、ライターのチロルです。
突然ですが皆さん、受験で志望大学が不合格になったら、一体どうしますか?
まさにその状況になった僕の場合は、地元の予備校に通い、1年の浪人期間を経て東京大学に合格することができました。
しかし、そんな「王道」の浪人生活を送らなかった東大生もいます。
今回は、2年以上の浪人生活を送った「多浪交流会」、他の大学で学生生活を送りながら東大を受験した「仮面交流会」、予備校に通わず自宅で浪人生活を送った「宅浪交流会」の皆さんの座談会に密着してきました。
仮面を含めて4浪した東大生、
フリーター生活を経て入学した東大生、
多浪・仮面・宅浪交流会に全て所属する東大生
など、10名の浪人経験者による座談会をお楽しみください。
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多浪している身からすると他の団体の方の浪人生活がどのようだったのか気になります。
宅浪している方はどのようにメンタルを保っていたんでしょうか?
実は僕はゴールデンウィーク前くらいまでは予備校に通っていたんです。でも、そこで病んでしまったので、それ以降は宅浪になりました。
自分の場合は昼食や夜食を自分で作るとか、家事をやっていたのがリフレッシュになりましたね。
家事がリフレッシュになるんですね。
僕は社会に適応した生活を送ってなかったので、4時に寝て11時に起きたりしていました。起きてから勉強を始めるんですが、僕は効率廚だったので6時間くらいで勉強は切り上げてました。
それからあとの時間は何をしてたんですか?
昔好きだった女の子の写真を見てその子に話しかけたりしていましたね。
それってもう大分メンタルやられてませんか…?
僕はその写真から返事がくるところまではいっていないので大丈夫だと思います。そういうのが癒しになってました。
それ本当は病んでたんじゃない?
確かに、夏ぐらいに「自分はなんのために勉強しているんだ」と思うようになって、3週間くらい寝込んだことがありました。
そこで親から駿台に行けと言われたんですが、授業がつまらなかったので、親には駿台に行っていると嘘をつき、駿台にはオンラインで勉強してると嘘をつき、実際には図書館で勉強していました。リアル三枚舌外交です。
病んでますね。
靴をうまく履けたときに、「俺は靴を履く界の理三だ」と自己暗示をかけたりもしました。
私は途中まで本職フリーターみたいな感じだったので、それまでは職場の人と話していました。ただ仕事をやめてからは、一人暮らしだということもあって、本当に誰とも話さなかったですね。
全く誰とも話さなかったんですか?
本当に誰ともです。
そうなってくると当然病みますよね。1週間くらいベッドから出ないというときもありました。全く何もしない日と12時間くらい勉強する日を繰り返しながらなんとか2月にたどり着いたという感じです。
予想以上に皆さんメンタルやられているんですね…
逆に多浪の方の精神状態ってどんな感じなんですか?
僕の場合は1浪目の入試のときに、ここで失敗したらこの生活をもう1年続けることになるのかと考えてしまって、ずっとソワソワしてしまったんですけど、2年目以降になるとそういった感覚も無くなってくるんですか?
個人的には2浪目から3浪目に入るときに、最後の割っては行けないラインを割ってしまった感覚になりました。1浪目に受かった大学を全て蹴っていたので、東大しか行けない状況になっていて、退路が断たれていたというのも大きいです。
これまでは緊張してうまく力を発揮できなかったので、今年の入試は友達と一緒に空き時間をふざけて過ごすようにしていましたね。4年目ともなれば顔を見れば誰が受かるか分かるようになっているので、周りの受験生を見て誰が受かるか当て合いをしていました。
いらない能力を手に入れている……
僕の場合は1浪から2浪の壁が厚くて、2浪するなら家から出て行けと親に言われたので、とりあえず仮面浪人をしました。
受けるときの気持ちはどうでした?
僕は受かるまで受け続けるつもりだったので、ここで落ちたら3浪、4浪になるのかなと考えて、緊張はしていました。
僕は1浪目が5点差だったので、多分受かるだろうという気持ちで、そんなに緊張はなかったですね。
生活リズムが変わらなくなってくるのが3浪目からなんで、進歩を感じられなくなりながら進む辛さはあると思います。「今度こそ」感が無くなってくるんですよね。
僕の場合は現役が70点差で落ちてるんですね。他の大学も全部落ちてて、精神的に一番辛い時期でした。逆に1浪目は他の大学が全て受かっていて、東大も0.3点差で落ちたので、「あと一歩のところまで来たのに」という気持ちが強くて、成長が止まっていることによる精神的負担はなかったです。
僕は1浪目は仮面で、大学も忙しかったのでダメもとで受けていました。
2浪目に突入するときは「やったー」という気持ちでしたね。
やったー?
大学を休学して、宅浪で自由にできる時間が与えられるので。
モラトリアムの延長ですよね。大喜びでした。
仮面浪人の方にお聞きしたいんですけど、大学の友達との交流と勉強の両立ってメンタルやられませんか?僕はそれがキツかったので、仮面をしている間は勉強しなかったんですけど。周りの人に東大を受けるってカミングアウトしましたか?
僕の場合はカミングアウトしませんでした。大学では他の学生と同じように授業を受けましたが、友達がいない講義では入試の勉強をしていましたね。
あと、図書館で勉強するときもあったんですけど、そこに友達が通りかかると「塾で教えてるから」とか言って誤魔化していました。
言いたくなったりはしなかったんですか?
落ちると思っていたので言えなかったですね。おそらく受験に落ちて、みんなと一緒に2年生になると思っていました。
僕は大学の友達に最初からカミングアウトしていました。理由は2つあって、1つ目は冬くらいに友達とは遊べなくなるので、どうせならバレる前に先に言っておこうと。
2つ目は、仮面って逃げ場があると思われがちだと思うんですけど、カミングアウトすることで逃げ場がなくなるんじゃないかと考えました。やっぱり受かるつもりで受けたいなと思ったので。
勉強は秋模試の2週間くらい前から始めたんですけど、それまでは友達と徹夜で遊んだり大学の授業を受けたりしていました。
テスト前になるとみんなから「頑張れよ」とかメッセージをもらったりして、プレッシャーはありましたね。
友達との関係は悪化したりしなかったんですか?
仮面することを認めてくれる友達だけ残ったという感じです。だからおそらく、向こうの大学で僕のことが嫌いな人も結構いると思います(笑)
去年はずっと授業がオンラインだったので、僕は実質課題をこなすだけの宅浪でしたね。ただ、友達もいなかったのでもし落ちたら大学生活どうなるんだろうというプレッシャーはありました。
仮面でこんなにつながりない人もいるんだ。すごいな……
僕は11月から実質宅浪みたいな生活を送るだけでキツかったんですけど、宅浪の人は「いけるだろう」みたいな気持ちで宅浪を始めたんですか?
絶対病むだろうとは思ってたんだけど、私の場合は経済的に宅浪するしかなくて、やむをえず宅浪ですね。
僕は駿台の教材が嫌いだったので、俺の頭の方が効率がいいだろうと思って宅浪を始めました。
僕は予備校生活で病んで宅浪を始めたので、また違うと思います。親との関係があまり悪くなかったのでなんとかなったのかなというのはあります。
僕、匿名希望さんの経歴がすごい気になるんですけど、社会人を1回経験して受験したということなんでしょうか?
まあ社会人というほどじゃないですけど、専業アルバイターだった時期もありました。
高校生のときはみんな当然のように大学を受けると思うんですけど、社会に出たあとだとわざわざ受けなくていい受験なわけなので、現役のときよりモチベーションはあったのかなと思います。
匿名希望さんはどういう経緯で東大を受験しようと思われたんですか?
人生に行き詰まってしまって…ここから人生を立て直すには宝くじを当てるか東大に受かるしかないというモチベーションでしたね。
リアルドラゴン桜ですね。
まあドラゴン桜は18歳とかなんで本当に人生逆転ですけど、私の場合は6年遅れなので、それで東大に行って意味あるのかなという迷いは常にありますね。こんなことやってないで正社員になるべきかもしれないとか、迷いながらやっていました。
仮面の人はどんなモチベーションで併願校を受けたんですか?
僕の場合は現役のときに東大専願にするつもりだったんですけど、親が勝手に一橋の後期に出したんです。東大に落ちたときは「俺は死ぬしかないんだ」と思って1日中部屋に引きこもっていたんですけど、高校同期である宅浪交流会のやまもとくんに連絡したら、「模試のつもりで一橋の入試もちゃんと受けたほうがいい」と言われたので、受けたら合格することができ、一橋に進学することになりました。
僕も一橋受けたんですけど、1浪の一橋と3浪の一橋があるので、1浪の一橋の話からしますね。
1浪のときは東大に落ちて塞ぎ込んでいたんですけど、こまつ君と全く同じで、模試を受けるつもりで一橋の後期を受けました。出来が悪かったんですけど、なぜか受かってました。その後の行動はこま君と逆で、受かったんだったら来年は東大に受かるだろうと思って蹴ってしまいました。
3浪目の一橋もほとんど同じ心境でした。ただ浪人が長すぎたので、勉強する環境を変えたら受かるんじゃないかと思い、今度は仮面先として一橋に進学することにしたという感じです。
浪人をしていると能力のカンストみたいなものを感じることはありませんか?
理三だったら別だと思うんですけど、他の科類受けてる人って致命的な苦手科目があることが多いと思うんです。
僕の場合は数学で、去年の入試も29点とかだったんですけど、伸び悩むラインがあまりに低かったので、むしろなんとか上げないといけないなと感じていました。数学の勉強をしているのになぜか国語の点数が上がったり。
そうですよね。多浪の人って伸び悩み方がひねくれると思います。僕も今年の理科がそれぞれ20点ずつくらいでしたし。
多浪の特性って根本的に素直じゃないことだと思います。でもだからこそ、浪人を楽しむことができるのかなって。
僕も素直じゃないからその環境を楽しめていたというのはあります。「どうだお前らはこんなバカなことができるか」と。
僕自身浪人生活はこの上なく楽しかったですね。そういうひねくれたところが普通の人とは違った伸び悩み方を見せるのかなと。
僕は数学と物理が苦手だったんですが、2浪目のときに物理の仕組みについて分かった感じがして、そのときにモチベーションが爆上がりしました。自分が苦手としているものがわかるようになったときにやる気が出るんじゃないでしょうか。
僕は現役のときに5点差で落ちたんですけど、東大ガチャ外したなくらいにしか思いませんでしたね。モチベーションは麻雀でした。
僕、仮面先の一橋と東大の授業や学生の雰囲気の違いにびっくりすることがあるんですけど、他の仮面の皆さんはありますか?
ありますね。
横国は授業中、半分より後ろの人はゲームをしているんですね。東大は逆で、うるさいんです。真面目にしている感はあるけど、実際は隣の人とぺちゃくちゃおしゃべりをしている印象です。
あと、東大のいちばんの欠点は話をするスペースがないことですね。会議スペースみたいなものがあまりないので、話をするために毎回カフェとかに行かなければいけないのが嫌なところだったりします。
早稲田と東大の一番の違いは、早稲田には内部進学生がいることですね。そこでかたまったりするので、なかなか入って行きにくいということがありました。それに比べると色々なところから来た人がいる東大は友達が作りやすい環境だと思います。
慶應は素晴らしい大学でしたね。慶應経済は、必修が東大よりもしっかりしてたなという印象です。充実した大学生活を送っていました。
慶應めちゃくちゃ褒めるね。
慶應は本当に素晴らしい大学です。今でも好きです。あわよくばもう一度ガチャを回して慶應医学部に行きたいです。
仮面先への愛は僕もありますね。やっぱりお世話になったし、面白い授業もたくさんあったので。この前も授業で横国に関するレポートを書きました。
わかります。一橋も素晴らしい大学です。
僕はなんとかして抜け出してやろうと思ってました。
僕もあまり一橋に思い入れはないですね。まさかここで意見が分かれると思いませんでした。
合格にはもちろん運もあるんですけど、何か自分のサイクルを見つけることが大事だと思うんですよね。
そうですね。宅浪にせよ、予備校にせよ、自分にスケジュールを何かしら管理する力は必要だと思います。
この記事を読んだ人は、受験はこうあるべきという考え方に囚われずに気楽に受験してほしいですね。