こんにちは。8月頃に免許をとったのにそれ以降ほとんど運転していない栗と申します。仮免試験の学科に何故か落ちたのがどうもネックです。
うーん車のセンスないんだよなあ…
ないのはセンスではなく教本を覚える努力だけど、苦手意識ばかりはどうしようもない。
ですが僕は紛れもない車好きで、小学生の頃から車の雑誌を狂ったように見ていて、メジャーな車種は馬力や価格帯まで全て暗記していました。
そんな頃、インタビュー依頼が来ました。
車に関する団体のインタビューあるけどやる?
どんな団体さんなんですか?
なんでも「海外ヒストリックラリー」の参加を目指しているらしい。
団体名は「Team 一心」さん。
海外ヒストリックラリー……
活動内容の名前からしてカッコ良さそうですね。やりましょう。
Team 一心の皆様、本日はよろしくお願いします。
まず、「海外ヒストリックラリー」という名前だけで既に要素がてんこ盛りですね。どんな活動をしているんですか?
よろしくお願いします。
そうですね…活動内容としては、古い車のレストアと、ラリー車への改造を行い、海外で開催されるヒストリックラリーに参戦して、完走させようとしています。
(注)
レストア:老朽化などの理由で劣化した車体を復活させること。
ラリー:公道でのタイムアタックを行う競技。一般的にはスピードを競うものだと思われがちだが、走行の正確さを競うものなどもある。
ヒストリックラリー:ラリーのうち、ヒストリックカー(レストアされた旧車)を使って行われるものを指す。代表的なラリーには、Team一心も出場を目指すラリーモンテカルロヒストリックがある。
簡単にいうと、海外のヒストリックラリーの大会に出場することを目指す団体です。
創造的ものづくりプロジェクトという東大の授業の一環で、ホンダ学園関東校と協力して行っています。
授業なんですか!?めちゃめちゃ楽しそう。
はい、授業です。学部3年生と修士1年生を主なターゲットとしています。ただ、学部や学年に関係なく参加できますし、実際に参加しています。
なるほど。みなさんはどのような経緯で参加したんですか?
まず、海外ヒストリックラリーって、「海外」・「ヒストリック」・「ラリー」の3つの要素に分類できると思うんですよね。
主戦場が海外、クラシックな車を取り扱う、自動車でラリーを行う、という3つです。
だから、クラシックカーの歴史性や美術性を好きになる人もいますし、この団体の掲げる「海外」という要素に惹かれる人もいると思います。もちろんクルマそれ自体が好きな人もいます。
いろんな人を惹きつけられる幅の広さがあると思います。
だとすると、人によって参加した理由はかなり違う、ということもありそうですね。
私はヒストリックカーという箇所を見ていいな、と思って参加しましたね。
自分は海外という所ですかね……海外という要素だけでもうちの団体の活動はかなり活発で、例えばラリーに参加する際に、終わった後のパーティーみたいなものがあります。
その時に国際化教育ということで、日本代表として日本文化を披露しよう、みたいな試みが例年あるのですが、その際、着物の着付けから教わったりするんです。結構本気ですよね!
先ほどおっしゃっていたように、できることの幅が本当に広いんですね!
自分はレースと言う点に興味がありました。もともと選手としてモータースポーツに関わっていたので。
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レースというと、みなさんの出場するラリーはどのようなルールで運用されているのですか?
例年出場を目指すラリーモンテカルロヒストリックというラリーでは、決められたルートを決められたタイムにできるだけ近いタイムで走行することを競います。今日は何時にあの地点に着くように、的な感じです。
ただ、今年はスピード勝負のラリーに主に出場しています。
なるほど。タイム管理とか難しそうですね。
そうですね。大会本番の時は、僕らはサポートスタッフとして戦術をメインにカバーするので、(タイム管理などの)重圧はかなり負います。
お話を伺っていると、活動内容は基本的に、「車の改造」と「ラリー」という二つの過程に分かれているようですね。ラリーではみなさんはどのような活動をするんですか?
そうですね…このプロジェクトでの活動は改造メインではあるのですが、ラリーでも修理・メンテナンスはかなりやりますね。
運転はやらないんですか?
そうですね、基本的には運転はプロの方にお任せ、と言う感じでしょうか。特に過去のチームが最終的に目指すラリーモンテカルロヒストリックなどの重要度の高い大会ではそうですね。
イメージで言うと、競馬はプロの騎手の方が実際には乗馬して、馬自体は牧場で育ちますよね。僕らはその牧場パートを主に担う感じです。
なるほど。車体に関わる立場と言うことですね。
修理というのは、よくテレビでメカニックの人が急いでタイヤ交換とかするアレですか?
はい。ラリーの始まる前、途中、終わった後の決められた時間に整備・点検、また必要ならば修理を行っています。
ではみなさんは、車体を改良する役割を担っている、ということですね。
ちなみに今お話して頂いた東さんは実はかなりすごい方で、この前のラリーの全日本選手権に選手として参加されて、同じクラスの中で優勝し日本一になっているんです!
じゃあコドライバーがチームにいるんですか!
いやあ、その1戦では1位だったんですが、シリーズ全体では3位とかだったので……
本当の実力者は謙虚なのだなあ(しみじみ)
学生大会とかも基本なくて、その点において生涯スポーツかもしれません。資金的な敷居の高さはありますが。
ちなみに皆さんは運転は上手なんですか?自分は恐ろしいほど下手なんですけど、よろしければコツなんかを…
なんならメンバーのうちマニュアル車免許を持ってるのは当初は一人とかじゃなかったっけ?自分も最近本格的に乗り出したばっかりです。難しいですよね(笑)
あーーやっぱり難しいですよね!よかった、自分だけじゃなくて…
(この後しばらく運転についての愚痴が交わされました。)
改造パートだと、どの車体をどうやって改造するんですか?
2年前のプロジェクトですと、「スピットファイア」という名前の車を改造してラリーに挑みました。
車種が古いこともあり、ディーラーとかからは改造用の部品なんて基本的に出ていないので、自分たちで試行錯誤して部品レベルから作る必要があります。そうした自分たち主体のものづくりの過程がすごく楽しいですね。
なるほど。一から手作りという訳ですね。
一からものづくり、ということに関してですが、本当に何から何まで一から作ることを意識しています。
毎年毎年のチームの間には引き継ぎがないんです。そのため、各チームがそれぞれの名前やロゴなどを作り、自分たちで全てを成し遂げる必要があるんです!
バーニングマンみたいだな。
(注)バーニングマンとはアメリカの砂漠で行われる世界最大級のお祭りで、何もない砂漠に一週間で思い思いに街を作り、一週間後に無に返し立ち去る、といった趣旨のイベント。チケットの価値が非常に高い。
先ほど名前が出たスピットファイアのような車は、どのようにして入手するんですか?
基本的には、この授業を担当していらっしゃる工学部の教員の先生の知り合いの方に、車両を提供していただくことが多いですね。
改造して、返すみたいな感じです
今年レストアしているダイハツのシャレードは、中々魅力のある車ですよ。
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新型コロナウイルスの流行は、Team 一心さんにどのような影響を与えましたか?
2020年4月からしばらく、大学には入構できなかったですよね。僕らは例年なら5月ごろから車をいじっているのですが、今年はキャンパスに入れない以上、夏学期に本来していたことは何もできませんでした。そのため、代わりにオンラインで何ができるかに集中していました。
例年は8月にある企業の方が整備合宿のようなものを提供して頂くことが多いのですが、それも第二波の影響で潰れました。
それは大変でしたね!
9月からようやく大学から対面の許可が出たので、改造を始めました。
最終的には海外には行かない決断をしましたが、この時点では海外ラリーの参加を諦めずに目指していました。
海外のラリーに出場するには車を船で輸送する必要があるんですが、それにはタイムリミットがありまして、基本11月末までとなっています。で、その前に改造を終わらせて、テスト走行として国内ラリーに出場します。10月末あたりに国内のラリーがあるので、2ヶ月ほどしか改造期間がなかったと言えます。
大変だ…結局うまく行きましたか?
なんとか間に合わせました。危うかったですが、気合いで頑張りました。
それはよかった!
最後に、UmeeT読者に伝えたいことや、団体としての意気込みをお願いします。
今までラリーの大会に出場することがゴールだったのですが、新しく自分たちにできることは何かないかなと模索する日々が続いています。
Twitterなども積極的(精力的)に動かしていて、自分たちの活動を発信することで、誰かが面白いなあって思っていただけたらとても嬉しいです。
今コロナの影響で東大生はあまり何も活動ができない状況ですよね。残念ですが、僕は来年もこの状況に大差はないかもしれないと見ています。そんな中で、「何かできることがあるよ」ということを東大生に対して発信したいですね。
ちなみに、理系男子ばかりという印象を持たれがちな弊団体ですが、確かに女性の方や文系の方などは過去にはちらほらいらっしゃった位かな…というのが正直な実感です。
ですが、この活動はあまりそういったバックグラウンドに関わらず楽しめると思うので、是非来年以降に多様な方が参加してくれることを期待しています。
クルマは日本の主要産業ですよね。最近は移動する鉄の箱みたいな感じに扱われることも多いですが、自分はクルマの魅力を伝えたいなあと思っています!
皆さんそれぞれ熱い思いを持っていらっしゃるんですね。本日はどうもありがとうございました!
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2020年度はやはり新型コロナウイルスの流行の影響で、今回取材させていただいたTeam 一心様のような、多くの団体の方が活動に支障をきたしていたようです。そのような中でも諦めず、団体として今何をできるかと言うことを常に試行錯誤し続けるTeam 一心の素晴らしい姿勢には、自分も見習うことがあると感じ、インタビューの期間中は襟を正される気分でした。海外ラリーへの参戦の可否などの難しい状況が続くかもしれませんが、次の代・次の次の代のチームの活動も是非応援していきたいです!