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駒場の超大型・ビジネススクール形式ゼミに迫る!

2020.09.29

突然ですがみなさん、宇野ゼミというゼミをご存知ですか?

宇野ゼミは、大和総研の副部長であり、海外大学院でのMBA(*注釈後述)取得経験のある宇野健司先生を講師に、全学自由研究ゼミナールとして開講されています。

水曜2、3、4、6限に開講され、現在在籍メンバーは160人余り(!)という宇野ゼミ。実は私も所属しています。

今回は、宇野ゼミのことをよく知らないUmeeT編集部と一緒に、宇野先生にインタビューしてみました。留学やMBA取得の体験談、東大生に必要なメンタリティなどについて聞いています。

果たして、どんな秘義が明かされるのか…?!

(*MBAとは…Master of Business Administrationの略称。日本では経営学修士と言われ、経営に必要な高度な知識を持っているとして企業の採用や昇進において高い評価が得られます。欧米ではCEOの約4割がMBAを取得していると言われており、まさにビジネスエリートの登竜門とも言える称号なのだ。

参考:https://www.business-paradigm.com/column/mba.html

それではさっそく聞いていきましょう!

Zoomでのインタビュー。爽やかな笑顔の宇野先生。

宇野ゼミとは?

筆者
筆者

本日はよろしくお願いします!

まず、宇野ゼミとは一言でいうとどのようなゼミで、どんなことをするのでしょうか?

宇野先生
宇野先生

毎週異なるケース教材(*)を読んで、ディスカッションをするというのが基本的な活動だね。

*ケース教材…実際に起きた事例を元にして作られたストーリー教材。この教材を通し、自分が社長や課長等、当事者の立場であったときにどのように対処すべきかを考えていきます。ケースメソッドを採用しているビジネススクールでも、同様の教材を用いて議論をする中で学びを深めていきます。

2020年Sセメスターのゼミでは、コンビニエンスストアで起きた現金違算の問題に店長の立場から対処するという身近なテーマから始まり、課長や部長の立場に立って社員の意欲低下・支社の意見が本社に反映されない問題を解決するというテーマ等を経て、最終的には楽天・三木谷社長の立場に立ち楽天の今後の見通しを考察するというテーマで議論をしました。

宇野先生
宇野先生

3人くらいに分かれて事前にディスカッションしたあと、授業当日に学生が司会を務めて、グループ全体でディスカッションする。学生自身が議論の良かった点・改善点のフィードバックをして、発言や態度などに光るものがあった人を「本日のMVP」として選出して盛り上がる。

編集部
編集部

宇野先生は何をされているんですか?

宇野先生
宇野先生

私は最後の20分だけ自分の考えや当該回のケースから学べる教訓などを話して、学生に知的刺激を与えているよ。色んな人と話して仲良くなれるように、事前ディスカッションのメンバーを毎回シャッフルしながら、この基本の流れを毎週繰り返すことで、いつの間にか宇野ゼミファミリーとして仲間意識や一体感が高まっているという感じだね。

全員が挙手して笑顔で語り合えるような雰囲気になる。そういう知的コミュニティです。

編集部
編集部

!!

学生間の交流もあるんですね。

宇野先生
宇野先生

イメージは「入ーれーて!いーいーよ!」という感じの「東大の砂場」

単位が付かなくて良いなら、いつでも誰でも無条件に受け入れていて、参加するハードルが低い。組織なんてなく全員フラットでゼミ長さえいない。

全体ディスカッション以外でも、学生が読書会などの色々な企画をSlackを使って立ち上げ、遊び仲間としての一体感を意識して無心に遊んでいる。指示やルールは最小限にし、自主性を最大限に尊重する。失敗しても痛くなく、みんな笑顔で許してくれる(笑)。先ほど言ったような毎週共通の基本動作や目的があるから、会話が弾み、自然にコミュニケーション力が身につく、そんなゼミです。

筆者
筆者

遊び心が90%、みたいな人もいますね。

ゼミ生作成のロゴ
編集部
編集部

ゼミ生が160人くらいいる感想はいかがですか?

宇野先生
宇野先生

凄く楽しいよね。ほぼ全員の名前を覚えた。呼んで欲しいあだ名を自己紹介動画で伝えてもらっているから、それで呼ぶと親近感が増すんだよね。個人的には、メンバーは宇野ゼミファミリーで、息子や娘だと思っている。

編集部
編集部

宇野ゼミは硬いイメージだったのですが、実際はとてもアットホームな雰囲気なんですね!

宇野先生
宇野先生

このゼミは僕が色々指示を出すのではなくて、複数の学生が主導権を持って新しいことを提案し、リーダーシップを発揮して動いてくれるの。行き過ぎた時は止めるけど、基本は放っておくし主体性を奨励している。

みんな刺激的に動いてくれて、LINEやSlackで各自の活動が見える化されるから、他の学生も刺激されて自分も動きたくなり、学期が終わる頃には主体的に動くマインドセットが自分の中に生まれるようになっているの。失敗しても「ドンマイ」って言って、明るく接してくれる安心感があるからみんな動き回ってくれる。

編集部
編集部

コミュニティに重きを置いているのですか?

宇野先生
宇野先生

そう、コミュニティを作るのが半分くらい。でもゼミだから、事前にケースを読んで、ディスカッションして授業に出て、教訓を学ぶという真面目な部分もある。

ケースでは、新入社員、中堅社員、大企業の社長というように、組織の上から下までの立場を疑似体験するのね。そうして会社に入った時にどのようなことに気をつければいいのかなどを授業で学びつつ、ディスカッションのスキルを身につける。授業は学生が司会して、発言してというように、基本的に学生が回し、僕は最後の20分くらいに出てくるだけ。東大生は優秀だから触発されるよね。

筆者
筆者

ある問題に対して、様々な切り口からの意見が出てくるのでとても面白いですね。

宇野先生
宇野先生

あと、極論や体験談を推奨しているの。極論も相手を罵倒する感じではなく、初めから最後までニコニコ明るく喋るということを徹底して言っている。極論があると「そんなことないでしょ」って議論が逆の方向に振れるから、議論が活性化するよね。

ガイダンスで用いた資料

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現在までの道のり

筆者
筆者

では次に、宇野先生の経歴とビジネススクール・留学の体験談をお聞かせください。

宇野先生
宇野先生

大学時代は普通の学生だったけれど行動力はあった。早稲田を卒業し、最初住友電工っていう会社に入ったんだけど、そこは1年半しかもたなかった。

理由は沢山あって、一つは会社に黙ってトルコに行ったこと。本当は言うべきだったんだけど、会社に言うと「発展途上国に行けるんだったら」ということで、ナイジェリアとかイランに行かされるのが怖かったので言わなかったの。そうしたら帰りにパキスタン航空がオーバーブッキングして帰りの便に乗れなくて、旅行がバレちゃったわけ。ああこれでもう終わったなと。

それで住友電工を辞めて三菱プレシジョンという会社に入ったけれど、そこも2年半しか続かなかった。それで会社を辞めて、アルバイトと留学の準備をして、再来年の年の9月に、親から600万円の借金をして、ニューヨーク市立大学に当時の彼女と一緒にMBAを取りに行ったという感じ。そこを修了後、29歳でシンクタンク大手の大和総研に入社し、57歳の現在に至っている。

筆者
筆者

(行動が型破りすぎる)

編集部
編集部

どのようなきっかけで留学を決めたのですか?

宇野先生
宇野先生

ロンドンに短期留学した彼女が「そんなに鬱々としてるならMBA取りに行ったらいいんじゃないの」って言って、その時ちょうど中学校の同級生がMBAを取りに行くことになって、いらなくなったMBAのガイドブックを家にポンって置いて帰っていったのね。何の気もなしにパラパラそれを読んでいたらムラムラっと挑戦したくなってきて、じゃあ勝負に行くか、みたいな。

あと海外でもなんとかやっていけるっていう自信もあって、もし失敗してもインドと日本の橋渡しをすれば食っていけるんじゃないかなみたいな自信があった。あと若かったから、何も考えてなかったんじゃないかな(笑)。あとは、数年間の社会人生活があまりにも不幸だったので諦めもついた、みたいな感じ。

筆者
筆者

すごい。守るものがなかったということですか?

宇野先生
宇野先生

そう、守るものがなかった。

東大生は守るものがいっぱいあるでしょ。受験にかなり人生を賭けてきたから、守らざるを得なくてリスクが取れなくなっちゃうんだよね。でも本当は20才、22才が何を守るのっていう感じで、守るべきものは無いんだよね。

みなさんから見たら例えば小学校6年生がいくら優秀でも、守るべきものってなくて、これからなんだからって思うよね。それと同じで、東大生もこれからの人生なんだからリスクではなくてチャンスしかないし、ここで小さくまとまったら何でもないただの東大生で終わっちゃうんじゃないって思うけどね。

東大生はその辺のプライドが高かったり、リスクテイクのマインドが弱すぎるなって。僕は失うものが何もないし追い込まれていたから留学が転機になって、人生が変わったという感じがする。

筆者
筆者

ニューヨーク市立大学での学びはいかがでしたか?

宇野先生
宇野先生

ビジネススクールでの学びは、勉強もキツかったけど、それ以上に世界中から集まってくるヤル気満々の若者たちに触発されて、「自分の足で人生・キャリアを切り拓くんだ!」というマインドセットを獲得できたのが大きかった。ニューヨークのど真ん中で、刺激的でテンションの高い環境も、メチャクチャ面白くて、楽しかった。大変でもあったけれど、ホントに充実していた!この体験が人生の転換点となった。

自分の考え方が変わったのは授業によってじゃないんだよ。極論を言うと、本質的に授業は東大と変わらない。

えっ…東大と変わらないですって…?
宇野先生
宇野先生

世界中からやる気のある人が集まってくるのね。「俺は自分の足で立って自分で自分の人生を切り開くんだ、世の中のために何かやるんだ」みたいなテンションの人が集まっていて、それが伝染するの。

そんなマインドセットは自分の中に元からあったんだけど、明示的に確認できた。命さえ失わなければいいか、やりたいことやるんだっていうマインドセットを海外で学んだし、あとは自分のことは自分でやらないといけないから自立心を学んで帰ってきた。

編集部
編集部

(想像以上のアツさだ)

宇野先生
宇野先生

だから学生にも、どんな形でもいいから海外へ出て行くことを薦めて、強く背中を押している。よく「目的も曖昧なまま海外に行くのはいかがなもの?」と言う人もいるけど、個人的には全然そうは思わない。目的なんかなくても、刺激的な環境に自分から飛び込んで、未知なる世界に揉まれているうちに「人は成長する!」と経験的に確信しているから。

あとは外見的なことなんだけど、MBAを持っていると社会や会社からの見られ方が少し違って、「あいつMBA持っているんだから新しいプロジェクトに入れよう」みたいに、チャンスをもらえるの。実際に私は、副社長に直訴することで自分のチームを立ち上げてもらうことができた。。他の人と同じレベルなのに、MBAを持っているがゆえにチャンスをもらえたというわけ。

ゼミを始めた理由

筆者
筆者

それでは、なぜビジネススクール形式の授業を始めたのでしょうか?

宇野先生
宇野先生

知識詰め込み型の授業をこれ以上増やしても、大学生の学びの質は高まらないと思ったから。インプットだけでなく、「グループワーク」や「アウトプット」を取り入れて、留学で体験した世界の先端を行く大学教育を日本にも取り入れたいと思った。

日本の大学生は、「少人数で友好的にディスカッションした上で、大人数の前で堂々と意見を表明する経験」が、世界の大学生に比べて圧倒的に足りないと思う。やればできるのに、やってないだけ!

大学の先生は、基本的には研究者志向。でも大多数の大学生は、研究者ではなく、卒業後は一般社会に出て行く。それなのに社会に出てから必要な、自分の意見を持ち堂々と発言するといったスキルや実社会に関する知見を、大学教育では全然提供できていないと実感している。

シャイを克服せよ
宇野先生
宇野先生

だからそのような実践的な授業の選択肢を提供し、あとはアウトプット型が好きな学生も、座学・インプット型が好きな学生も、好きな学びの形態を自由に選択できるようにすることが必要だと考えた。そういえば先週の川人ゼミのセッション(*)の時も、インプット型・アウトプット型の授業が50:50の比率で提供されるのが望ましいと考える人が多かったよね。

そのような教育形態を取り入れるべきだと「他人事」のようにコメントするだけでなく、そのような社会経験や教育を受けた「自分自身」が実践しようと心に決めたのです。楽しみながらライフワークとして、100歳まで続けたい!今の学生の息子や娘の世代までも、宇野ゼミファミリーとして面倒見てあげたいのです(笑)。

筆者
筆者

東大の前期教養課程の教育についてどう思われますか?

宇野先生
宇野先生

川人ゼミの時に言ったけど、教養を一方通行で教えるだけだったら意味はないの。哲学とかはディスカッションをする格好の題材になるから、そういう意味で教養教育は最適であるけれど、ただ教えるだけのためのものではない。

インプットはとても大事なんだよ。海外の大学生にはreading assignmentという事前に専門書を読んでくる宿題があって、インプットを授業前に終わらせてくるの。その量が半端ないんだよね。一つの授業で何十ページも読まないといけないし、教科書と副読本が何冊かあって読んでこいって。それを済ませた上で授業ではディスカッションをするの。そして2週間に1回くらいレポートが出されるの。インプット、ディスカッション、プレゼンやレポートでのアウトプット、というサイクルで鍛えられていく

でも東大生はインプット以外全然鍛えられていないよ。

インプットもアウトプットも
宇野先生
宇野先生

最終的には自学自習ができるようになることが最終目的だと思う。そのために小中高と詰め込みの勉強をしてきて、でもだんだん詰め込みじゃなくて自学自習の比率が増えていって、そして社会に出る前に自分で本読んで資料まとめて、というように自分で学ぶスキルを身につけるのが理想。アメリカの学生はそれがよく身についていて、自分の意見を堂々と言う。でも東大生は全然堂々と意見を言わないよ。

海外は、意見がないと「自分がなくて赤ちゃんみたいだ」と馬鹿にされるの。あと、彼らの意見って失礼だけど結構稚拙で、でも堂々と言うの。傲慢じゃない程度に自分の意見も主張しつつ、他人の意見もちゃんと聞くのが大人で、つまらない意見でも他人を尊重しているから辛抱強く聞く。そういうカルチャーが日本に足りないなあと思って、今やっているような授業をするに至った。

筆者
筆者

日本では他人のことを受け入れるような寛容性も足りていないということでしょうか?

宇野先生
宇野先生

そうだね。この前新聞でも読んだけど「イラっとする」とか、「不安」という言葉が多く使われているそうだよね。でも、ああいう言葉を使っているんじゃダメで、もっと前向きに生きていってほしいなと思うけどね。

(*6月7日に東大川人ゼミによる日本の教育について議論するセッションに宇野ゼミ生も一部参加しました)

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大事にしていること

筆者
筆者

最後に、ゼミの中で大事にしていること、ゼミ以外でも全般的に大事だと考えていることを教えてください。

宇野先生
宇野先生

大所高所の崇高な教育理念よりも、学生の身近な存在として、「一人一人と話す機会」をとても大事にしているし、凄く楽しいとも個人的に感じている。

今までの社会経験から、「理念より、まずは現場」「形式より、まずは実態」を大切にしている。「抽象と具体」「論理と感情」「演繹法と帰納法」「思考と実践」の両者間を行ったり来たりしながら、程よい解決策を現実的に落とし込むのが私のスタイル。

ゼミでも、そのような刺激を学生に与えて、「言われたからやる」のではなく「主体的に動く」ための後押しを心がけている。そういうマインドセットが一生の財産になると自分の体験から感じるので!

主体的に動く
宇野先生
宇野先生

あとは「できるだけ笑顔で話すこと!」。「心と体」は密接につながっているから、笑顔で話すと自分自身もハッピーになる。そしてその笑顔は他人にも伝染して、みんながハッピーになると信じている。

最後に、「学生が実際に成長すること!」。教育の目的はそれに尽きると思う。だから「教育」は素晴らしい!

そして、そうやって育った人が、また次の世代に手間を惜しまず教える。そういった波及効果が「教育」のもっと素晴らしい点。大きく言うと、そうやって人類は世代を超えて綿々と「教育」を受け継いで生きてきているのだと思う。大きく言い過ぎでしょうが…(笑)

筆者
筆者

それでは、先生はこれから宇野ゼミをどのように発展させていきたいと考えていますか?

宇野先生
宇野先生

個人的に思っていることなんだけど、個人最適、団体最適、駒場全体最適という動き方がある。

自分で資格の勉強をしたりして、個人最適している人が一番多いよね。次に団体最適。例えば川人ゼミなどの所属団体のために頑張る人、これもいるよね。でも駒場全体最適を考えている人はいない。

だから、できれば宇野ゼミをオープンにして、いいコミュニティを駒場全体で作りたいという思いがある。先週宇野ゼミと川人ゼミとで合同セッションをして、現在も他の団体との合同企画がある。そういう風にして駒場全体で誇れるゼミ文化を作って、Spatial chat(注:オンラインでビデオチャットができるサービス)などで東大生が誰でも入ってこられる擬似駒場寮を作って、旧制一高みたいに将来のことを語ったり、恋愛を語ったりをしたいなって気持ち。

編集部
編集部

(新しい構想が出てきた…!)

宇野先生
宇野先生

そんな感じで素晴らしいコミュニティをつくって、それがあるから東大行きたいなってなるようにしたい。単に偏差値が高いからという理由だと、東大までの人ができてしまうんだよね。そうじゃなくて、東大に入って宇野ゼミに入りたいとか、川人ゼミに入りたいとか、こんな学生生活を送りたいという気持ちで受けるようになったら素晴らしいなと。そういうコミュニティを作ってあげないと、せっかく頑張って入った人に申し訳ないんじゃないかって。

筆者
筆者

5年後、10年後にはそんなコミュニティができていそうですね。

宇野先生
宇野先生

そう。あとそれをするには、オンラインで繋がれる今が絶好の機会なの。他のゼミとも合同できて、オフラインだと遅い時間で大変な6限のゼミも開催できて、地方からも繋がれて、LINEやSlackが活発になって。あと、オンラインだけど遠隔でなくリアルな感じがして、たまにハッと「オンライン上なんだ」と気づく。パソコンやipadの中からうわっと世界が広がる感じがあって、不思議な気持ちになるね。

筆者
筆者

あとオンラインだからこそ自分の本音を照れずに話しやすいという部分もありますね。

編集部
編集部

そういえば、東大生の人間関係は表面的になりがちでしょうか?

宇野先生
宇野先生

そうだね。世の中って論理と感情で動いているの。その中で東大生は論理の側面がが強くて感情が弱いよね。友達同士でも授業の情報共有とか、本の感想言い合うとか、論理ばかりで感情面のやりとりが薄いなと感じている。

実利的な情報交換だけとかも悲しい。心から信頼できる友達や恋人ができるカルチャーは駒場は弱いので、そういうものを育めればなあと。腹を見せ合って交流すれば一生の友達になれるよね。情報共有は会社に入ってからでもできるし、逆に会社に入ると利害関係があって遠慮がちになってしまう。利害関係のない豊かな関係がは育めるのは今だけなんだよと思うけどね。

筆者
筆者

そのように感情面で繋がった関係は社会に出てからも生きますよね。

宇野先生
宇野先生

将来は年に何回か集まって、会社では言ってくれないようなことを互いに言ったり、あとゼミ生が160人いたら将来は色々な分野に散っていくから、宇野ゼミ160人の中から首相を出したり、国会議員を出して(笑)、分野は違うけどお互い助け合ってそいつのことを応援し、権力を使い始めたらしっかりしろと叱る、みたいなものがあったらいいなあと。

世の中って一人じゃ変えられないけれど160人くらいが集まってみんなで変えようとなれば、世の中変わるかなって。私利私欲じゃなくて力を合わせて世の中のために何かやろうよっていう、真っ当なモチベーションを抱えた集団になってほしいなっていうのが夢だね。

筆者
筆者

先生の卒業されたニューヨーク市立大学など、海外の大学では腹を割って話すということは盛んですか?

宇野先生
宇野先生

そう、海外の大学は基本的には田舎にあるので寮生活なのね。なので寮で思っていることを色々語り合うんだけど、そこに学びがある。イギリスも、オックスフォードやケンブリッジはカレッジ(寮)がある。寮で寝食を共にし、全人教育を受けるのね。

だから本当は誰かお金や土地が余っている篤志家がいたら駒場のそばに寮を作っていただければ、僕が泊まり込んで無償で寮監をするから(笑)、宇野ゼミみたいなことをやりたいんだよ。お金がかかるしそう簡単じゃないから、Spatial chatなどのバーチャルな空間でそのような環境を整えられないかなあと思っているんだけどね。

終わりに

いかがでしたでしょうか?

宇野先生の持つ明るく発展的な考え方や、現状をより良くしようとする思考様式が全ての言葉から光のように放たれていましたね。

筆者は、このような思考や行動を実践することは、先が見通しにくい現在だからこそ今まで以上に大切だと感じました。

ここまで記事を読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

【宇野先生より告知】

単位が付かなくてもよいのであれば宇野ゼミはいつでも東大1・2年生を受け入れており、また水曜2限・4限・5限で開講するAセメスターのゼミ参加を今からでも受け付けています!(オンライン開催予定)

以下の宇野ゼミ公式LINEからお気軽にご連絡ください。

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よみ
はじめまして! よみです。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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