漫画「ちはやふる」で一大ブームを巻き起こした競技かるた。
目にも留まらぬ速さで札を奪い合うその迫力に圧倒されたという人も多いのでは?
今回は、そんな競技かるたで東日本王者になった東大院生がいると聞き、お話をうかがってきました。
東大大学院理学系研究科・修士一年の坪井寛行さん。
2016年名人戦の東日本予選で見事を優勝を遂げ、その後も日本最高レベルの競技かるた選手として活躍されています。
例にもれず「ちはやふる」大好きな筆者(太一推し)。「リアルちはやふるじゃん!!!かるたならちょっとは知ってる!!!!」と意気込んでインタビューに向かったのですが……
甘かったです。
お話を伺うにつれ、「リアルちはやふる」なんて軽い言葉じゃ終わらせたくないほどに、奥深く、アツい競技かるたの世界が見えてきました。
一瞬に思いを込める競技かるたの魅力とは?
かるたに青春を捧げた坪井さんとともに、謎に満ちた競技かるたを徹底解剖します。
──今日はよろしくお願いします!!早速ですが、そもそも競技かるたの東日本王者ってどうすればなれるんですか?
うーん、それを説明するにはまず、大会の仕組みから知ってもらった方がいいかもですね。
まず、競技かるたにはA級〜D級があって、大会ではレベル別に対戦します。そこでの成績によってだんだん昇級していって、最終地点はA級。あとはその中で昇段していく感じです。
で、A級になるとやっと名人戦の予選に出れるようになるんですね。
この予選が西日本と東日本で分かれてトーナメント戦が行われて、僕はその東日本の方で優勝したんです。
その後はそれぞれの優勝者が挑戦者決定戦で対戦して、勝者が名人と対戦っていう流れになっています。
まあざっくりいうと、名人や挑戦者に次いで出場者全体で3位だったってことですね。
──ものすごいハイレベルな戦いをくぐり抜けた結果ということですね……。では、その東日本予選に至るまでの経緯について聞かせてください。
そもそも東日本予選での優勝は大学に入ってからずっと掲げてきた目標でした。
やっぱり名人になりたかったんで。
ただ高校を卒業して時点では、そんなにめっちゃ強くはなくて。まだ5段くらい……ランキングでいうと100位くらいですね。
──(十分すごくないですか……??)
そこから1年1年強くなっていったという感じです。ただ、それでも実力が足らなくて、色々工夫しましたね。
特に僕の場合、中学からかるたをやってたので、そろそろ伸び悩むんじゃないかという見方もありました。だから人より工夫が必要だったし、やれることは全部やりました。
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──練習って当時どれぐらいやられてたんですか?
実践形式でやる練習は、週4日くらいです。
でも、もっとやってた時期もあって、下積み時代には週5〜6。
ただ、練習しすぎも良くないんですよね。かるたを嫌々やるようになっちゃう。
本当にかるたをやりたくてしょうがない状態にしておくためには週3〜4が当時は最適でした。
──やみくもに練習すればいいってものでもないんですね。そういった練習を始めたのはいつぐらいからですか?
予選で優勝した年は、半年前から予選モードに入りました。
──半年前!?
普段はもっと遅かったんですよ。でもその年は、どういう大会に出てどういう結果を出していって、予選で優勝するかっていうビジョンをまず立てました。
──具体的にはどんな練習をしたんですか?
まず体力面でフィジカルトレーニングをしたり……。
──フィジカルトレーニング……?
かるたって結構タフな競技なんです。
まずは、1試合1時間〜1時間半の間ずっと動き続けなきゃいけないので、長丁場を乗り切る体力が必要です。
あとは、そもそも札を早く取るには瞬発力も筋力も鍛えなきゃいけない。
今の名人とかムキムキですよ。めっちゃガタイいい。
──ムキムキのかるた名人……意外ですね……。
あと、メンタルのコントロールも結構頑張りましたね。
──競技かるたってメンタルも大事なんですか?
そうですね。競技かるたは一瞬の反応が大事なので。
興奮してるとちょっと反応が遅れちゃったり、あとは弱気になってて敵陣に手が伸びなくなったりするんです。
一番大事なのは平常心ですね。特に、負けてても気持ちが落ちないっていうのがすごい大事で。
だから、まず毎日決まった時間に起きて、ご飯を食べて、おやつを食べて……って日常生活からルーティンを作ったり……。
あとは、あんまり効果なかったかもですけど、瞑想もやってました笑 朝、早起きしてまず瞑想をする。
──早起きして瞑想。
とにかくなんでもやりましたね笑
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