3Dプリンターでネイル…?コンゴ人エリートが東京で繋ぐ最先端ITビジネスとアフリカ




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DMM.Africaの幅広い事業

DMM.KenyaWebページより。

DMM.Africaがリリースするサービスの中で個人的に一番びっくりしたのは、「3Dプリンターを使ったネイル事業」。ケニアのナイロビを中心に展開されています。アプリで好きなデザインを選んですぐにプリントできるらしい。すごい。アフリカ大陸では、独自の伝統的なヘアアレンジや、このシリーズ第1回でも紹介した布など、美容やアパレルにまつわる細部へのこだわりが生きていますし、確かにこれに関わる市場は大きそう…

DMM.KenyaWebページより。

アフリカの才能に投資する

前述のとおり、IT革命の進むアフリカ大陸で、新しい才能を発見することにも余念がありません。

代表格が、ルワンダの「DMM.HeHe」。これはHeHe Labsというルワンダのベンチャー企業を、DMMが子会社化する形で誕生した会社で、日本側からも数人、経営に関わっています。ルワンダは政府がアフリカのIT先進国とする政策を掲げており、この会社はソフトウェアの開発や、コンサルタントなどを通じて国のIT基盤強化をリードしています。

例えばHeHe Businessという、小売業者に対してオンラインストア運営を請負うサービスは、オンラインストアの運営、顧客や支払いの管理、配送までを一貫してスムーズに行います。つまり、ルワンダのローカル市場のお店を、それぞれAmazonみたいに利用できる革新的なサービス!商品は、自宅または最寄りの配送所で受け取ることができます。

▲創業者が若い女性であることから、ルワンダの新時代の象徴として世界のメディアから注目されるDMM.HeHe

もう一つ、ルワンダで「電子マネー」を浸透させつつあるAC Group にもDMMは出資しています。これも国の後押しを受けて、特に公共交通機関での普及が急速に進んでいます。カメルーンでも導入が始まりました。
こうした才能は、東アフリカビジネスコンテストABICをDMM.Africaがスポンサーをすることで発掘しているそう。優秀だったビジネスとすぐに提携し、現在まで育てています。
DMM.Africaより、AC Groupの様子。

アフリカを広報する、広報活動

「ほかには…たとえば『DMM.make AKIBA Demo Day』では司会もしたかな。」

パトリックは、持ち前の明るい人柄を生かして、司会やテレビ出演など人前に出る仕事をすることも多いのです。広い意味でのPRとして活動することで、日本でアフリカ大陸全体、そしてコンゴについての認知を広めています。

ラジオパーソナリティ

アフリカフェスティバル実行委員略してAFECが主催するラジオ「How about AFEC?」で、パーソナリティをサコ・ランシネさん(コートジボワール出身・システムエンジニア)と、マンドゥモゥ・ギイ・ペロルさん(コートジボワール出身、外資系会計事務所勤務)と3人で努めていました。
Afecラジオでアフリカについて話す
番組HPによればこのラジオのコンセプトはこんな感じ!

アフリカと言えば?・・・サファリや砂漠?飢餓や貧困?
それって日本と言えば・・・「フジヤマ・ゲイシャでしょ。」と言ってる外国人と同じ。

「今!」のアフリカをわかっていないな~と言われてしまいます。

だったら、アフリカの今!をトコトン教えてあげましょう。

なんかこの連載とコンセプトが似てますね。AFEC自体は、アフリカ・フェスティバルやアフリカビジネスセミナーを開催するなど、楽しそうな活動から本気で開発・投資を促進する活動まで様々行っているそうです。

アフリカビジネスセミナーafecbiz

PK time!

EducationとEntertainmentの融合、”Edutainment” Showのイベント。
バイリンガル・コメディアンのKaoriさんと一緒に、楽しく社会問題を考える時間を持っています。同時に英語も学べる楽しいイベントです。

「これは全部、会社員としての僕のプロジェクトとしてやってるんだ。」

その他NHK BSの「NHK COOL JAPAN」という番組に出演したり、慶応義塾大学SFCなど大学において講演会のような仕事持ったりもしているそう。


▲番組に出演するパトリック。

しかし、エンタメやイベントだけをやっていればいい訳ではないのも事実。
DMMは「ビジネスマインドセット」が非常に強い組織なので、利益を生むことが常に求められます。
つまり、文化的価値がありそうだからという理由だけでスポンサーしたりは、できないそう。
しかし一見「制約」に見えるこの条件が、彼の活動で鍵となる特徴だと、私は気づきました。

ビジネスマンとしての展望

「今はこの中古スマホの販売に力を入れているよ」

コンゴ民主共和国を始め、アフリカ地域限定での中古iPhoneの販売事業。このプロジェクトが、彼が社員として今精力的に関わっているプロジェクトです。

ちなみに、コンゴ民主共和国はiPhoneにも使用される鉱物資源「コルタン」の埋蔵量の60~80%を所有しているといわれる一大生産地なのですが、コンゴ人の多くの人にとってiPhoneは高すぎて買えないという事実があり、これはしばしば搾取構造の問題として取り上げられます。このビジネスには、社会性や人道性もあると筆者は感じました。

社会課題に対する、持続可能で発展性のある取り組み方として、ビジネスというアプローチは、今後主流になるのかもしれません。

ビジネスパートナーとしてアフリカに関わる

▲オフィスを案内してくれるパトリック

常に結果を求められるDMMにあって、DMM.Africaも例外ではない。そんな中で、長期的には文化・エンタメ活動を進めつつ、短期的に結果を出すビジネスを動かすパトリック。どちらの活動においても、根底にはアフリカやコンゴへの思いが流れています。

「将来的にもっとちゃんとしたコンテンツを制作したいんだ。DMMはストリーミング配信するプラットフォームを自社で持っているから、番組や映画を作って配信するっていうこともできるし…」
「コンゴで電気へのアクセスが悪い若者たちに、ソーラーシステムを使った(2006年にソーラーシステムの仕事をコンゴで経験したことがあるそう)事業ができると思っていて。DMMにはソーラー発電の事業部もあるから、コラボして大プロジェクトができたらと思うよ。」
▲IT企業っぽい大テーブルの会議室

こうやってビジネスという視点から、アフリカのプレセンスを高める線を探っていくパトリック。最後に、現在大使館とも進めているプロジェクトがあることを教えてくれました。
「コンゴには資源が、日本には技術がある。新しい在日コンゴ大使には、観光や文化も含めて交流する事業について前向きに考えてもらえるよう話しているんです。」現在も、資源や製品の行き来はある二か国ですが、もっと平等でオープンな関係性が実現する未来も遠くないのかもしれません。

利益を生まなければいビジネスでは、支援やチャリティーに比べて始動や運営に「制約」が生まれます。しかし、利益がでるように工夫して設計するからこそ、アフリカと対等で双方向的な関係がつなげる。そして利益がでるからこそ「アフリカを支援したい」というモチベーションだけでは動かなかった相手を動かせる。従来のチャリティーではカバーできなかった規模で、そして継続的な活動ができるのです。

まとめ

 

▲DMMの会議室の廊下はジャングルをイメージしたメディアアートが施されている。使用中の会議室の前には、動物が立ち止まって在室を知らせてくれる。

パトリックという典型的なアフリカンエリートの物語。この連載のテーマである、「アフリカの新しい姿」と同時に、「新しい東京の姿」も見えてきたことと思います!日本の企業や国がアフリカンエリートを積極的に呼び寄せて、発展的な関係を築いていたんですね。

同時に彼が、あくまでビジネスマンという制約の中で、アフリカ文化に対する認識の変化、文化や政治といった領域まで広く活動を試みる姿には、学ぶものも多かったのではないでしょうか?めちゃめちゃ乱暴な言い方をすれば、「アフリカに行くといえばなんかボランティアとか」みたいなイメージさえまだあるといえばある、と感じています。私がアフリカ現代美術を研究する動機も、そしてこの連載のコンセプトも、そうしたイメージへのカウンターです。

そして実際に、アフリカは支援の対象から、ビジネスパートナーに、関係性の変化は確実に進んでいます。この記事でも、ルワンダの目覚ましい発展をご紹介しましたが、他にも例えば東アフリカ諸国で、「欧米からの古着」の寄付・輸入を自国の繊維産業を育てる動きが始まっています。

パトリックの物語は、アフリカとアジアの関係性の新しい時代の到来を先頭に立つものなのです。

次回は、美的なアプローチをしている老舗を紹介します!



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ABOUTこの記事をかいた人

去年東大法学部を卒業しました。今はキンシャサの現代美術を研究してます。 ピン芸人。

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