【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【後編】

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進学選択で生き残るためには・・

そして、進学選択で生き残るための真理が、ここまで読んでいただいた大仏な皆さんには、もう察せられたと思います。

結局のところ、その方法とは、努力し、正直に生きていくこと。

こう言われてしまうと、進学選択で生き残るのに何か特別な裏技を期待していた人の中には、少しガッカリだな、と思った人もいるかもしれません。

進学選択で生き残るためにこんな装備はいりません

でも、裏技などというものはなくて、自分が志望する順番通りに正直に志望を出すことが最適になるということこそが、この受入保留アルゴリズムの魅力なのです。

つまり、受入保留アルゴリズムの下では、自分の点数がよくなくて第一志望にいけそうにないと思い、自分だけ希望順を変えて登録しても、それによってある学部に行ける可能性は絶対上がりません。

しかし、自分が知らないだけで周りも点数が悪い場合には、点数がよくなくても、志望順に登録すれば第一志望に行けるかもしれない。

ここで志望順に嘘をついてしまえば、本来希望しないところに内定が決まってしまい、自分の行きたい学部に行くことがなくなる「いらない可能性」が出てきてしまうのです。

嘘をついて困るのは自分です

確かに、少年イのようにしたたかなところはあってもいいかもしれません。でもそれは、他人に迷惑をかけない時だけ。

少年エのような前途有望な人々が、周りを顧みずにめざとく利をかっさらっていく人によるしわ寄せを受ける。そんな世の中は、いつまでも良くならない。

逆に、少年エが、「一時的な賢さ」の餌食になることなく、誠実に、真っ当に生きて気分良く生きられる世の中なら、きっと良くなるのではないでしょうか?

受入保留アルゴリズムは、そんな理想的な世に変えていくためのシステムを支える、重要な一柱であるに違いありません。

ここまで読んじゃったら、もっと詳しく知るしかなくない?

……さて、以上で、このアルゴリズムがどんな風に問題解決し、またこのアルゴリズムのどの点が良いと言えるかを、概ねでも分かっていただけたでしょうか。

「全く分からない」なんて言わせない!

補足として、これまで考えてきた進学先決定の問題での「受入保留アルゴリズム」は、学生の志望に沿って展開されており、学生側に最適、有利と言えるが、受入側、つまり学科側にとって最適とは言えない、ということにお気づきでしょうか。

当たり前の話ですが、学科側は、各々の志望がどうであれ、成績の優秀な学生に来て欲しいに決まっているのです。今までつらつらと見てきたものは「学生側提案の受入保留アルゴリズム」と言えます。

では、「受入側提案の受入保留アルゴリズム」はどのように展開されるのか。マッチングの結果を以下に記すので、何故こうなるのかを、今までの議論を参考に考えてみて欲しいですね。

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

……と、そこの、今までの議論に物足りなさを感じているあなたっ!!!!!(本当にいるのかは、誰も知らない)

「進学選択に使われてるのはもう分かったから、実際に社会で何に使われているのか教えてくれ」?

な、なんという探究心っ! 変態だっ!?

知的好奇心の塊だっ!?

そんな人以上人外未満な方々に、この度は、社会の制度設計における受入保留アルゴリズムの応用事例をもう一つご紹介します。

研修医マッチングって?

医者になるには、医学部卒業後2年以上の臨床研修を受ける必要がある

研修医っていう単語を聞くと、小学生の頃読んでた「医龍」という漫画を思い出すのですが、おぼろげな記憶から内容をたどってみると、

「あれって小学生が読んで分かるやつじゃないよな」

と今になってしみじみと感慨にふけるんですよね。 何で読んでたのかなー。

あれかなー、息子に医者を目指させるための、母親による方針決定劇の、氷山の一角。

しかし、「経済学で世界を塗り替える」と思い立ち、結局中二の頃、そっち方面に舵を切っちゃいましたけどね。

ほら、あれですよ、この時期誰もがかかるあの病が原動力になって、僕は東大経済学部まで来ちゃったんですよ。

後悔はないですけどね。

誰もが罹るあの病

そんな余談は置いといて。

皆さんの中には「受入保留アルゴリズムって進学選択以外関係ないわ〜」と思った方もいらっしゃったかもしれません。

しかし、受入保留アルゴリズムを代表とするマッチングの理論は、進学選択に限らず、あなたの卒業後の進路決定、そして人生にも関わってくるかもしれないんですよ。

今回は、その一つ、医学部生にはお馴染みの「研修医マッチング」と、そこから派生する「男女のカップリング問題」を紹介します。

(※以下の内容は、アルビン・E・ロス (著) 櫻井 祐子 (訳) (2016) 『Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学』*1 を参考に作成しました。)

医学部生が医師免許を取得する際には、研修医として一定期間指導を受けながら実務を積む必要があり、この「研修医」と「受入先病院」から成る「研修医市場」において、マッチングの理論が用いられています。

「優秀な研修医いないかな〜♪」

現在世界各地で導入されている「研修医マッチング」は、アメリカで1950年代から使われている方式がベースとなっており、アメリカで初めて臨床研修医制度が導入された1900年頃以降、研修医市場における「市場の失敗」への直面とその克服を繰り返しながら確立されてきました。

「研修医マッチング」は、GaleとShapleyにより受入保留アルゴリズムが常に安定マッチングを生み出すことを証明される十年前、医師たちの試行錯誤の末に考案されたものです。

先ほど出た「市場の失敗」という言葉に関わることですが、この研修医マッチングは具体的にどのような社会的要請のもと考案されるに至ったのでしょうか?

次ページ:受入保留アルゴリズムがリア充を救う!?

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UTEA

UTEA(The University of Tokyo Economics Association)は、高校生や進学選択前の駒場生に経済学の面白さを知ってもらう機会を提供する東京大学公認の学生団体です。現在、東京大学経済学部3, 4年生が中心となって運営に携わっています。 経済学に関心を持つ学生を増やすことで、東京大学経済学部をよりアカデミックな魅力溢れる場にすることを目指すとともに、社会における経済学のプレゼンス向上にも貢献すべく活動しています。

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