【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【前編】

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これが、受入保留アルゴリズムの概論だ…

「アルゴリズム」を理解したところで、先ほどの謎説明を本格的に解体していっちゃいます!

あ、すでに記憶の彼方だろうあの説明を、もう一度載せておきます。

「二つの集合の要素間のマッチングにおいて、安定かつ最適なマッチングを見出すことのできるアルゴリズム」

何度見ても謎ですね。

いくら見ても謎は深まるばかり

では、「そもそも、『安定かつ最適なマッチング』ってなんやねん!!??」というところから、経済学的に答えていきましょう。

「安定」とは?

「安定」とは、形勢が均衡したときの、そこから動かない状態のことです。

逆に言うと、「安定」なマッチングが成立すれば、そのマッチングが崩れることはありません

 

例えば、合コンの流れで男女のペアがいくつか決まったとしましょう。しかし、流れで決まったペアが必ずしも最高の相手とは限りません。

もし、お互い現在組んでる相手より惹かれ合うペア(ブロッキングペアと言う)が存在したらどうなるでしょうか?

そっちに流れてしまう可能性が高く、このマッチングは決して「安定」であるとは言えません。

マッチング失敗

このような事態を防ぐため、誰かが今と別の行動を取っても、利得が増えないあるいは損失しか被らない状態が、経済学的な「安定」なのです。イメージが掴めましたか?

進学選択における「安定」なマッチング状態では、マッチング結果が確立していく中でブロッキングペアが現れることはありません。

すべての学生にとって、「自分がマッチできる可能性のある学科の中で、ベストなパートナーとマッチしている」という状況が成立しているのです。

さらに、他にも満たしていると嬉しい性質があるので紹介します。

その①「耐戦略性」

まずは、耐戦略性があります。耐戦略性とは、嘘の志望順序を言ってもより良いペアに巡り会えない状況のことを言います。

つまり、自分一人だけが志望順序を偽って登録することで、ある学科に進学できる可能性が高まることはないんです。したがって耐戦略性があれば、自然と正直な志望順序を申請することになります。

嘘は使えません!!!

「ワンチャンあるっしょ!」と言って嘘をついても無駄ってことですね。戦略を練る暇があったら、成績を取ろうよって話で。

その②「最適」

次に、「最適」とは、誰も不幸にすることなく、少なくとも一人が幸せになることはもはやできないような状態を指します(提唱者の名前を取ってパレート最適といいます)。

つまり、経済学的な意味での「最適」とは、誰かをより幸せにするためには、必ず誰かをより不幸にしなければならない、「これ以上を望むことができない」状態なのです。

要するに、できるだけみんながハッピーな状態

「安定」なマッチング下では、先ほどお話した「自分がマッチできる可能性のある学科の中で、ベストなパートナーとマッチしている」という状況が成立しています。

これを裏返せば、ある一人の学生の利益のために「安定」したマッチングの結果から生まれたペアから他のペアへと変えると、少なくとも一人の学生は現状よりも損をする(=ベストなパートナーとマッチできない)ということになりますよね?

以上から、受入保留アルゴリズムを通じて出た「安定」なマッチング結果は、「最適」な状態にもあるのです。

つまり、「安定かつ最適なマッチング」が成立している状態とは、

  1. ブロッキングペアが存在せず、マッチングし得る最高のペアとマッチングしている
  2. 耐戦略性があり、嘘をついてもより良いペアとマッチングすることはない
  3. どこかのペアを崩せば、必ずどこかのペアが不幸になってしまう

ような状況ということになります。

実はすごい受入保留アルゴリズム

と、ここまで説明しましたが、

全員が幸せで安定しているマッチングなんて本当に存在するんかいな?

って皆さん大いに疑っていることでしょう。

甘い話には罠があるのでは?

 

実はある方法を使えば、これにかなり近いマッチングに必ずたどり着くことができるんです。

それが、受入保留アルゴリズム、というわけなんです。

 

「二つの集合の要素間のマッチングにおいて、安定かつ最適なマッチングを見出すことのできるアルゴリズム」

n回目の登場となるこの説明ですが、今の皆さんなら理解できるでしょう。

ちなみに、「二つの集合の要素間のマッチングにおいて」というのは、マッチングする集団が2つの場合(「学生」と「志望学科」)の場合のみ、受入保留アルゴリズムで理想的なマッチング状態を作れるよということ意味します。

 

そもそも「受入保留」とは”Deferred Acceptance”の訳語で、1962年にGaleとShapleyにより提案・分析されたもの。

2012年のRothとShapleyのノーベル経済学賞受賞理由「安定配分の理論とマーケットデザインの実践に対する顕著な功績」の一部にあたります。

そう、受入保留アルゴリズムはノーベル賞研究の一部なのです。

ちなみに、ノーベル経済学賞を受賞した日本人はまだいないそう

学問を志す東大生なら、反応しないわけにはいきませんよね??

ここらで、別の魅力的な記事に目移りし始めていた人。この続きを読む気になりましたか???(汚いやり口)

 

次ページ:進学選択の秘密がついに明らかに!!?

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ABOUTこの記事をかいた人

UTEA

UTEA(The University of Tokyo Economics Association)は、高校生や進学選択前の駒場生に経済学の面白さを知ってもらう機会を提供する東京大学公認の学生団体です。現在、東京大学経済学部3, 4年生が中心となって運営に携わっています。 経済学に関心を持つ学生を増やすことで、東京大学経済学部をよりアカデミックな魅力溢れる場にすることを目指すとともに、社会における経済学のプレゼンス向上にも貢献すべく活動しています。

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