現役東大生で猟師をやっている人がいる
そんな噂を聞きました。
東大で勉強しながら猟師?え、本当にそんな人いるの??って感じですよね。
実は本当にそんな方がいるんです。
しかもなんと、その方は一年半ほど前にUmeeTで、「三鷹寮で昆虫を食べる人」として一度取り上げていた方なのです!
そう、彼は「何があっても生き残る」をモットーに、
東大の三鷹寮で野菜を栽培し、セミを食べ、猟師を目指していた、東大きってのツワモノ、小林義信さん。
今回は、一風変わった学生生活を送る、猟師東大生、小林さんに話を伺って来ました!
──前の記事では、最後に網猟免許を取っていましたよね?あの後すぐ狩猟生活を始めたんですか?
小林:多分その記事に載っていると思うんですけど、あの時はまだ狩猟はしていなくて、狩猟をやるために師匠を探していたんですよ。
で、なかなか師匠見つからねーなってなってた時に、自分が入ってたもう一つの部活、東大うどん部の名誉顧問やっている方が、猟師工房っていう狩猟会社の代表の猟師さんとお知り合いだったんですね。
──うどん部に入ってらっしゃるんですね〜、そんなところから繋がるのか
小林:で、ひょんなことから、2016年の10月29日に飯能にある猟師工房のお店に直接行って「教えてください!」って言って、その猟師さんにみんなで弟子入りを許可してもらって、、みたいな感じで猟師生活が始まりました。
その時に、一緒に弟子入りした人たちと「東大狩人の会」というサークルも設立しました。
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──猟師生活というと、具体的には何をしてらっしゃるんですか?
小林:罠でイノシシとか鹿を狩ったりですかね。最初は狩猟者登録とかしてなかったので、巻き狩りとか罠猟の同行とかしてました。
──巻き狩り猟ってどんな猟なんですか?
小林:巻き狩り猟ってのは、犬を連れて動物を追い込む猟ですね。こう、山の中の林道を歩いていると、獣道(けものみち)ってのがあるんですよ。
動物たちの通り道で、足跡とかで道が荒れてて草が生えにくく茶色くなってるところがあるんです。それをよく見れば、動物が山を登っているか降っているかよくわかるんですね。
動物が山を登ったあと戻ってきている足跡がなければ、近くに動物がいるってことなので、その辺りをみんなで囲むんですよ。そこで、勢子(セコ)って呼ばれる人が犬を連れて、山を登っていくんです。
犬が動物の匂いを感じたらワンワン鳴くので、そこで犬を放てば、犬が動物を探して、追い込んで行くんですよ。で、その動物を待ち構えている人をタツっていうんですけど、タツの人のところまできたら銃でバンって打つっていう、そういう猟法で。
──先ほど、猟師生活の始まりとともに「東大狩人の会」を立ち上げたっとおっしゃってましたけど、どうして東大狩人の会を設立したんでしょうか?
小林:もっといろんな人に狩猟に興味を持ってもらって、実際に狩猟の世界に参入して欲しいと思ったからですね。
小林:最近は、鹿やイノシシによる農作物被害もあって、離農する人が増えてるんですよ。実際、地方の中山間地域に行くと、イノシシに作物を食べられて、農作物が取れないから農業やめるって方がいっぱいいたりして。
──地方とかだと、最近獣害が多いってよくニュースとかでやってますね。
小林:離農した人が都市に流出すると、その農地は耕作放棄地になって草の背丈が伸びて藪になったりするんですね。
そういう場所って鹿とかイノシシとかに取っては絶好の住処で、さらにそういう野生動物が増える原因になるんですよ。そうするともっと農作物被害も増えて、もっと離農する人がでるみたいな。
──はえ〜〜、、そんな深刻な悪循環があるんですね…。
小林:こういうサイクルを断ち切るためには、増えすぎた鹿とかイノシシの、適切な個体群の管理をする必要があって、全国の狩猟団体とかがそのために狩猟活性化に努めているんですよ。
でも、現状の狩猟界がすごく高齢化が進んでいるっていうのもあって、あんまりうまくいってないことが多いんですね。だから若い世代に狩猟や獣害問題に興味を持ってもらう必要があって。それで、2016年にサークルを作りました。
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──狩人の会ってのは、どんな活動をされているんでしょうか?
小林:今は40人くらいで狩猟とかそれに付随するような活動をしていますね。
実際に狩猟できる期間は11月15日から2月15日までって決まっているので、その期間は泊まり込み、「罠合宿」って言って房総半島に20日間くらい泊まり込んで、罠仕掛けて見回って鹿やイノシシなどの野生生物を狩りますね。
──罠合宿のネーミングセンスが凄い笑 それ以外の時期は何してるんですか??
小林:それ以外の期間は、狩猟できない期間なので、スカルトロフィー(鹿の頭骨などの展示)を作ったり、いろんな高校とかに、獣害問題だとか、解体についての指導を行ったり、文化祭でジビエ料理出したりしてますね。
あとはまあ自分たちは、刃物というものをすごく大切にしていて、自分たちで、こう、研いで、ピカピカにしないといけないので、刃物研ぎ講習って言って研ぎ職人の方をお呼びして、研ぎの指導をしていただたりしています。
話を聞いているうちに、実際に東大狩人の会に参加してみたくなった筆者。
──東大狩人の会、めっちゃ興味出てきたんですけど、実際に連れて行ってもらうことは可能でしょうか?
小林:そうですね、今度「解体新歓」というのがあるので、そこに来てもらえれば、体験できますよ。
──(いやいや「解体新歓」ってなんや?しかも指定された持ち物はナイフとカッパ。一体何をするんだ??)
小林:よかったら来てみます?
<以下の写真には閲覧注意のものを含みますので、お気を付けください。>
当日。やって来たのは、西武池袋線、武蔵横手駅。埼玉県の日高市にある自然豊かな駅。
その日はなんと、イノシシの解体をするという。
先に断っておきますが、狩人の会の皆さんは、動物に敬意を持って接していますし、動物のことが大好きな方々です。
まず、こんな感じで、他の猟師さんが先日狩ってきたイノシシが台の上に置かれます。
次に小林さんが、ナイフの使い方、毛皮の剥ぎ取り方法を説明し、
みんなで、イノシシの皮を剥ぎ取り、肉を解体する。
「ここが筋肉」「ここが腱」と小林さんが丁寧に説明してくださり、綺麗に解体していきます。
小林さんはすでに数十頭解体をしたことがあるそうで、器用な手さばきでどんどん解体していきました。
新歓なので新入生ももちろんいるわけですが、みんなビビることなく、黙々と解体に取り組んでいました。
──(…いや、てか皆さん冷静になってくださいよ…大学3年生で、鹿イノシシ捌いたり、そもそも鉄砲持って動物を捕まえてるっておかしくないか…?この人ほんとに東大生??)
なんてこと考えながら、筆者も皮剥ぎをやらせていただきました。完全に高校の解剖実験を思い出してました。
自分たちで解体したイノシシを食べることは衛生的にできませんでしたが、そのあとは、他の猟師さんにいただいた鹿肉、イノシシ肉でバーベキューをしたり、
猟犬を連れて実際に、山でアニマルトラッキングをしたり、
とても充実した1日でした!!(完)
次ページ:小林さんのルーツに迫る!!