日中学生会議(英:Japan China Student Conference 通称JCSC)は、
日中両国の大学生たちが毎年夏の約2週間の共同生活や学術議論を通して日中両国の学生の相互理解を深め、両国の友好を目指す団体です。
1978年に第一回が開催されて以来、天安門事件なども乗り越え現在に至り、2018年は第37回目開催で、北京、西安、南京、上海にて開催します。
星の数ほどある国際交流団体、そのなかでもなぜ日中学生会議なのか、
日中学生会議の魅力を探るべく、去年の参加者であり、今年の副実行委員長を務める野島久嗣さんと対談をしてきました!
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小澤:今日は東大生からみた日中学生会議の魅力に迫っていきます!早速ですが、去年参加したきっかけは何でしたか。
野島:東大生と言われても、普通の大学生なので、特別なことはありません。
崇高な目標があったわけでもないですし。むしろ、他大学の参加者の応募動機を聞いて正直焦ったくらいです。強いて言えば、やっと長い受験生活が終わったし新たな世界に飛び込んで自分を変えたいなと思ったからですかね。
小澤:具体的にどんな自分になりたかったのですか?
野島:色々な価値観を持った人間になりたかったのです。
僕が卒業した高校は、同級生のほとんどが東大を目指して勉強する進学校でした。ですから必然的に価値観が偏ってしまいます。これはあまりにもったいないと感じていたので、どの大学にも属していないこの団体に大きな魅力を感じました。
実際、活動の中で色々な「発見」があり、視野が広がり、受験勉強だけでは得られない多様な視点に触れることができました。
小澤:色々な「発見」には私も同感です。人生の中で最高に濃い夏だったなと感じています。
留学経験ない野島さんにとっては特に体験豊富な夏になったと思います。実際に参加されてどんな「発見」がありましたか?また、その「発見」は野島さんにとってどんな変化をもたらしましたか?
野島:参加者の「多様性」には驚かされました。
高校卒業後一旦就職してから大学に入り直した人や学生身分を利用して日本中、世界中を旅行している人、その他僕の想像をはるかに超える色々な経験をしてきた人との出会い・・・。
何の冒険もせずにきた僕とは違い、人生のスケールの大きい仲間との出会いはとても刺激となり、興味はありつつ躊躇していた海外への留学に対しての決心がつきました。
小澤:これからの学生生活、さらなる挑戦をするきっかけとなるかけがえのない体験ができたのですね。日中学生会議だからこその「発見」はズバリ何ですか?
野島:やはり中国人学生との認識の違いです。これは分科会活動(分科会とは議論するグループ)の中で顕著にみられます。
僕は「格差分科会」に所属し、教育格差と賃金格差について議論をしたのですが、「格差」の認識に差異があり、議題が本題に入るところから論争となり、なかなか本題に進めず困りました。
日本側は「格差」というものを、「どんどん拡大していくもの」と認識していたのに対し、中国側は、「もともと存在しているもの」と捉えていたのです。
この認識の違いが生じる理由は、中国に存在する戸籍制度を例にとるとわかりやすいと思います。中国には都市戸籍と農村戸籍の二つが存在しています。この戸籍は出生時に決まり、以後その種類を変更することは大変難しくなっています。
しかし、実際には、都市の方が稼げるという思いから、多くの農村労働者は都市へ出稼ぎに出ます(彼らは農民工と呼ばれています)。
ここで問題なのは、戸籍の種類によって受けられる社会保障が決まっていることです。農村戸籍所有者は都市において社会保障が受けられないのです。
加えて、彼らの給与は都市労働者に比べて低いです。
一方で、日本には、こうした出生時から決まっている圧倒的な格差は存在しません。成長していく過程の諸々の要素(教育水準や機会など)が重なって、結果的に人々の間に格差が生じているように感じます。
私たちの議論では、結論として何か打開策を上げることを目標にしていたため、この認識の違いは是非とも埋めたいものでした。
結局このずれには決着がつかなかったため、日本の事象について議論する場合は日本側の認識を、中国の事象の場合は中国側の認識を取り入れて議論を進めました。
正直「そこ?」と思いましたが、こうした認識の違いに四苦八苦することも日中学生会議の醍醐味です。
この分科会活動が日中学生会議の特徴であり、「発見」に至る魅力ではないでしょうか。
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小澤: 大学生だからこそできることって多いと感じませんか?
私は小学校4年生から中学卒業まで北京の現地校に通っていたのですが、日中関係に関するセンシティブな話題に関しては話したことがありませんでした。
野島:確かに、社会人ではない、何の柵もない学生は、比較的自由な意見を言える立場ではありますよね。
政治的な柵がなく、今までに皆各々が机上で勉強してきたことと経験してきたことを材料に、自分の思いを躊躇することなく意見し本音で語り合うことができるのは学生の特権です。
特に、日中学生会議では、中国人学生と約3週間寝食を共にするため、互いに自由な発言を引き出しやすい環境ができているように感じます。
さらに日中学生会議は、議論だけでなく開催国での観光においても相互理解を深めるので、その場だけでは終わらない深い交流の場が生まれます。毎年のことですが、深い交流故に日中間の参加者同士でカップルが成立することもあるとか?
小澤:最後に今年の副実行委員長としての意気込みと、参加を考えている方に一言お願いします。
野島:参加者が楽しめるうえ、日中間の相互交流、相互理解を約束します。
今年は運営側も新しい一歩を踏み出し、日中学生会議史上最長期間(20日)で、中国の四都市(政治都市の北京、歴史情緒溢れる西安、南京事件で有名な南京、経済都市の上海)を回り、
六つの分科会(歴史、経済、太平洋アジア安全保障、メディア、教育、ジェンダー)での討論を通して
主体的に今日の日中関係と真正面から向き合います。団体として初めての試みが多く、色々な意味で期待が大きいです。
中国に興味のある方はもちろん、第二外国語で中国語を履修している方、全く縁のなかった方も是非、隣国である中国にちょっと寄り添ってみませんか?
お隣の国、中国で、本場の美味しい中華料理を食べながら、お互いの国のことをトコトン語り合い、お互いの国のより良い理解者となり、これからの日中交流の今までにない素敵な架け橋になりましょう。皆様の応募をお待ちしております。
興味を持たれた方は、是非4月16日、17日に東大国際系サークルの新歓のブースに足を運んでみてください、お会いできることを楽しみにしております!
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