こんにちは、HCAP東京大学委員会です。
今回は、冬休み期間に2回にわたって駒場キャンパスで開催される
そんなイベントのご案内をさせていただけたらなと思います。イベントの内容について詳しく知りたい方は
をご確認ください。もちろん、この記事の最後でもご説明いたします。
突然ですが、このスマホ画面を見て何か気づくことはありませんか?
普段から注意深く見ていた方ならお分かりかもしれません。
そうです、「連絡先」のアイコンが変わったんです。
今までは男性1人のイラストであったのに対し、アップデートされ男女2人組のイラストへと変わりました。
この話を聞いて、皆さんはどう感じましたか?
これって、正直どうでもいいと思われる方も多いでしょう。
しかしこの例に、今回私たちが扱うテーマが凝縮されています。
私たちが今回の学生会議で扱うのはまさにこの話です。身近なジェンダーの話。
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まず簡単に「ジェンダー」という概念の説明をさせていただきます。
ジェンダー(gender)とは社会的性差のことで、生物的性差であるセックス(sex)に対する概念です。
オス・メスといった先天的・身体的・動物的な性別に対し、ジェンダーは社会的・文化的に形成された性別を言います。いわゆる「男らしさ」や「女らしさ」の問題がジェンダーに該当し、産休や育休を始めとする男女の働き方の問題が含まれます。
そして、このジェンダーという考え方は現代の我々の生活に深く関わってきます。「女性は子どもを産む性別なのだから、家事をした方が良い」など、生物的性差の文脈でジェンダーが語られた意見をよく耳にします。確かに原始時代まで遡ればこの理屈は通用するかもしれません。
しかし、現代社会においてはどうでしょうか。生活を懸けて共働きをする女性もいれば、力仕事をする女性もいます。逆に、専業主夫を選択する男性もいます。現代社会において、いくら生物的性差だからと固執しても、働き方が生物的性差から解放され多様化しつつあるのが実情です。
そんな私たちの働き方から目を背け、現代の働き方にあったシステムを考えていく責任を軽んじる訳にはいかないでしょう。この意味で、ジェンダーについて理解を深めていくことは必要不可欠だと言えます。
つまるところ、現代社会に合わせた男女の役割を考えていく上で、ジェンダーは欠かせない観点であると言えます。
以上、簡単にジェンダーという概念の説明をさせていただきました。しかしながら、ジェンダーと聞くと、何か難しい話だと考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
確かに働き方の問題など社会規模のものも多く、何か自分とは関係のないものだと感じてしまうかもしれません。さらに、生まれ育った環境など文化的背景に応じて見解が十人十色に異なり、議論にあたってある程度の学問的蓄積が求められるため、距離を感じてしまう人も多いという現実もあります。
しかし、本来ジェンダーの問題は我々の生活に関わる身の周りの問題なのです。ジェンダーとの正しい距離感を取り戻すために、私たちはジェンダーの種類を2つに分けて説明しています。
まず一つ目は、社会規模のジェンダー。「男は外で働いて、女性は家庭を守る」といった男女の働き方の問題など、制度的・構造的要因をはらんでいるために個人での解決は難しく、社会の構成員全体の課題:社会問題として扱われます。
こうした社会規模のジェンダーの課題に取り組んでいくためには、社会の構成員一人一人が問題意識を持って全体の議論に参加する必要があります。が、規模が社会であるために、政治家や専門家が取り組んでいて、アクセスしづらいのも事実です。
もう一つは、今回の学生会議で扱う身近なジェンダー。日常生活で、身の回りで見かけるジェンダーの問題です。例えば、男女間の「奢る?奢らない?」の問題など。個々人の感覚が尊重されるので、誰でも容易に声を上げることができます。ジェンダーの話題になると社会規模のジェンダーをイメージしがちですが、身近なジェンダーの問題も世には溢れています。
どうでしょうか?身近なジェンダーであれば、ハードルを感じることなく話し合いに参加できそうですよね。私たちは、誰でも議論に参加できる身近なジェンダーの問題を突破口とすれば、ジェンダーの問題に関心を持っていただきやすいのではないかと思い、身近なジェンダーをテーマに設定しました。
また、ジェンダーという文脈では、女性の問題が中心に語られることも多いかもしれません。「連絡先」のアイコンの例もそうですし、男女の働き方についてもそうです。女性の生活の質の向上、フェミニズムとジェンダーが重なって見えるかもしれません。
社会が男性優位に設計されていることもあり、女性にまつわる課題が多いのも事実です。しかし、ジェンダーは女性に限った話ではなく、男性に関わるイシューも多く存在します。
例えば、ファッション。男性が「女性らしい」見た目をすると、何か変わった人を見るような目を向けられます。
しかし、それはそもそも変な話で、性別がファッションを限定していいはずがありません。男性だって人の目を気にせず、思うままに髪を伸ばしたり、スカートやワンピースを身につけたり、化粧をしたりしても良いはずです。
そして、近年話題になっているのは女性限定の飲食店の問題。「男性は入っちゃいけないってどういうこと?」そう感じた男性の方も多いのではないでしょうか?
東大について言えば、「東大美女図鑑」は存在しますが「東大美男図鑑」は存在しないですよね。別にあってもいいとは思いませんか?
気づかないところで、男性も「男性だから」「女性ではないから」という考え方に縛られているとも言えます。
などなど、ジェンダーは男性・女性に関わらずすべての性別の社会構成員が取り組むべき問題なのです。
ジェンダーは身近な話でもあることを説明しました。しかし実際、ジェンダーはどこかとっつきにくい問題でもありますよね。
それぞれの価値観が影響していることも多いためか、ジェンダーの問題はセンシティブな話題のように思え、日常会話でジェンダーの話は正直しづらい人も多いのではないでしょうか?先ほどの例で言えば、男性が化粧をしたいと思っても、そもそも打ち明けづらいですし、打ち明けるタイミングもわかりません。
私たちはここにも問題があると思っています。ここで少しジェンダーへの見方を変えてみてください。
身近なジェンダーはちょっとした心遣いの問題。
困っている人がいたら助ける。それと同じです。
電車で席を譲る、ポイ捨てをしない、歩きタバコをやめる。身近なジェンダーもこれらの心遣いと何ら変わりありません。そして、無理に意見を交わさなくとも、意見を聞くだけでも、心に留めておくだけでも構わないのです。こう考えたら少しはジェンダーについて、話しやすくはなりませんか?
「なんで男性は口紅を塗らないんだろう?」
「女性限定の飲食店はおかしいんじゃないか」
別に前向きな話でなくとも、ふとした疑問でも、愚痴という形であっても良いと思います。男性・女性それぞれが、「こうなったら便利かな?」「ここがなんか不便だぞ?」そう思いを巡らし、お互いに考えを伝え会うことが何よりも大事なことなのです。
そんな意味で、身近な学びから考えるという意味で、「身近なジェンダー」をテーマとした意見交換の場を設けようと思いました。
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