「世界一かわいい音楽を作れる」東大OB作曲家、ヤマモトショウさんに会いに行った

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「ハードロックが好きでした」

ここからは、ヤマモトさんが日々音楽制作を行っているスタジオに移動し、音楽的な経歴について伺います。

ー基本的に音楽制作はすべてここで行っているのでしょうか。

ヤマモト作曲、編曲は基本的にここです。作詞は結構いろんなところでやりますね。作曲、編曲もそうですが、作詞についても完全にデジタルなので。まあみんなそうなんじゃないですかね、今は。たまにシンガーソングライターがSNSに譜面の写真あげて「制作中です!」とか書いたりしてるの見かけますけど本当に使ってるのかな。インスタ映えするからなんじゃないですか(笑)

ーなるほど(笑) 先ほどのお話では、作曲をはじめたのは大学に入ってからだということでしたが、楽器をはじめたのはいつ頃だったのでしょうか。

ヤマモトギターを中学2年のときに弾き始めましたね。最初はいわゆる初心者用の教則本に載っているような曲を弾いていて、そのうちハードロックとかを弾き始めました。

ーハードロック!今のヤマモトさんの音楽性を考えるとちょっとおもしろいですね(笑) ギターを弾き始めたことで、そういった音楽に憧れていったのでしょうか。

ヤマモト:いやあ今でもハードロック好きなんですけどね(笑) そのあたりの音楽が好きになったのは親の影響です。親が聴いていていたのが自分の耳にも入ってきて、「これを弾けるようになったらかっこいいな」と自然に思うようになりましたね。

 

「歌詞以外に考えられなかった」

ーそんなヤマモトさんが現在のような音楽を作り始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

ヤマモトオリジナル曲のバンドをはじめたとき、割と明確に考えていたのが、歌モノの音楽で作詞をすること、女性ボーカルであることの二つでした。

前者については、昔から音楽をやっていたわけではない自分がなにか新しいものを生み出せるとしたら、歌詞以外に考えられなかったんです。そうなると、必ず歌モノの音楽ということになる。後者については、自分がそれまで好きだった音楽はほとんど男性ボーカルだったんですね。それで、男性ボーカルの音楽をやるとその劣化版にしかならないだろうと思い、女性ボーカルの音楽をやろうと考えました。

ー「新しいものを生み出したい」という意識は、あらゆる創作活動の根幹だと思います。これまで音楽活動を10年くらい続けてきた中で、実際に「新しいもの」が生まれてきた実感はありますか。

ヤマモトあります。ただ、かんたんに言葉で説明するのがなかなか難しい部分でもありますね。

基本的には、「新しいもの」といっても、全く新しいそれまでになかったものが生まれることはありえないので、既存のものをどう組み合わせていくかということだと思っています。メタルとアイドルを組み合わせたBABY METALはその最もわかりやすい形の一つでしょうね。

 

 

BABY METALほど簡潔にキャッチーに説明できるものはなかなかありませんが、たとえばフィロソフィーのダンスも「80年代のR&Bやファンクのサウンドで、しかも哲学用語を散りばめた歌詞のアイドル」ということになる。

それから、若い女の子、とくに小さい頃からスマホやSNSに囲まれているような世代との仕事では、彼女たちが自分とはぜんぜん違う価値観を持っていることに気づくこともあります。彼女たちと、その価値観の違いに気づいている大人たちが一緒になって音楽を作ることで、新しいものが生まれるのではないかと考えたりもしていますね。

これに限らず、自分が新しいと思うこと、ワクワクすることを探して、追い求めていきたいという思いは、自分のすべての仕事に共通している部分です。

ーヤマモトさんご自身は、新しい組み合わせを考えていく上で、音楽性にこだわりはあるのでしょうか。たとえば、ハードロックやエレクトロが好きなヤマモトさんにとって、フィロソフィーのダンスがルーツとしているR&Bやファンクなどのブラックミュージックは、音楽的に必ずしも興味があるジャンルではないですよね。

ヤマモトそうですね、ブラックミュージックに対しては特に思い入れはなかったです。やってるうちに好きになりましたけどね。

音楽的なこだわりって、実はあんまりないんですよ。日々、いろんな種類の新しい音楽と出会っていて、たとえば今だったら、EDMでもトラップでも、「これいいな」と思ったり、新鮮に感じたりするものがたくさんあるんです。一緒に仕事をしている人の音楽性に影響を受けたりもしますしね。

もちろん原体験的なものは、ニュー・オーダーなどのニューウェーブや、先ほど話したハードロックにあったりするんですが、自分の音楽的な興味は日々アップデートされています。

 

次ページ:「僕は実は歌が下手なんですよ(笑)」

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ABOUTこの記事をかいた人

murata

文学部美学芸術学3年。ポップカルチャー全般。

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