編集部注:この記事は、昨年公開した記事を再編集し再掲載したものです。(2019年10月14日)
どうも、今回の記事を書くことになったひろむといいます。
唐突なネタバラシをしますが、今回は東京大学教養学部教養教育高度化機構と博報堂ブランド・イノベーションデザインが主催する大学生のためのブランドデザインコンテスト、BranCo! 2020の告知記事になっています。
…とここまでかいたはいいものの、ブランドデザインってなんぞ?という話ですよね。記事を書くことになった僕にもわかりません。
ということで、「ブランドデザインって何だ?」ということを、現役の博報堂社員さんに直接聞いてみました!それではどうぞ!
ー ということで、よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
ー 自己紹介を見て思ったんですけど、元々建築学科だったんですね!一見広告業界とは関係なさそうに見えるのですが….
そうですね、学生の頃は全く広告に行く予定はなくて、建築家になろうと思ってました。幼稚園の頃の夢も大工さんとかでしたし。
でも、卒業設計の時に一つ大きな分岐点にぶち当たったんですよね。
ーこれは何ですか…?
これは僕が当時提案した「個浴場」というやつで。
かつて人間は狩猟採集をしていた時代から、群れて生活してきました。それは群れなければ生きることが難しかったからです。
でも現代はそうじゃない。家族で生活する必要は究極的にはないですし、生命としては一人で生きていくことができるわけです。それでも僕らは誰かと生活を共にします。ときにそのギャップが不和を生むと僕は考えています。
そんなときに、家庭とも職場とも繋がっていない状態になれる場所があったらいいんじゃないかなと思って、それが個浴場だったんです。
これが全く就活でウケなかった。「君がやっていることは建築じゃない」とまで言われてしまったんです。
実務の建築は建築物を作ることが大前提というか、鉄とコンクリートと木・ガラスといった物質を建築物として綺麗にまとめられるかどうかが前提としてあるのを痛感しました。
僕の場合はそうじゃなかった。
言ってしまえばこのお風呂場が現実に生まれる必要はないと思っていました。僕はこの個浴場が提唱されることで、家庭とも職場とも繋がっていない状態が認識されればそれでいいと思っていたんです。建築物より、どちらかというと社会的概念に偏重した考え方でした。
結局建築設計の就活は決まらず、建築以外の世界を見るために大学院を休学しながらデザインファームでインターンをしていました。
大学院卒業後にそういったデザインファームへアプライしようと思っていたのですが、知り合いの博報堂社員から「新卒カードを使わないのは勿体無いし、うちの会社受けて見なよ。」と言われて受けてみようかなと。その後無事受かり、博報堂に就職しました。
ー一見建築と広告って全く別物に見えるんですけど、共通している部分はありますか?
入ってつくづく思うのは、建築出身の人が多いなということです。
建築学科での授業では、リサーチをして、建築物を想像して、描いて、プレゼンすることをひたすら訓練します。
これってものづくりやデザインというよりも、企画の修行に近いと思います。
日常の本質を洞察して、それをより良くする施策を考え、プレゼンするという一連の能力は広告と非常に親和性が高いと思います。
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ーブランドって何なんですか?
そもそも、ブランドの語源は「牛に焼印を押す=burned」なんです。
昔って牧場に大量に同じような牛がいたわけです。その中の一つの牛に、飼い主が「これは俺の牛!」と意味を定義してあげることがそもそもの由来だそうなんですね。
それって結構僕の考えていた建築と同じで。僕も学生の頃は家庭・職場・あらゆる社会的所属を取り払った無垢な状態に名前をつけたいと思っていました。
そう言った、今まで認識されていなかった意味の輪郭を定義して名前をつけてあげることがブランドなのだと僕は思います。
ただのコップひとつでも「これはどこどこのお店のものです」と名前をつけてあげることで、ブランドになるんです。
そういった、今まで定義されてなかった意味をブランドとしてつくりあげ、新しい商品やサービスを作り出すことがブランドデザインコンテストの目的です。
ー新しいブランドを作る上で大切なことはなんですか?
まずはビッグマウスに「世界に今までなかった何かを生み出したい!」と思うことが大事だと思います。
その上で、普通の人にも「すごい!」と思わせることが大事だと思います。
ブランドデザインは、あらゆる人に評価されるということを念頭に置く必要があります。理解できる人だけにわかってもらえればそれでいい、というアイデアでは戦えません。
世の中はデザインやブランドに興味のある人より、そういったことに興味のない人が多いと思います。そういった人にも「すごい!」と思わせられるかどうかが大事だと思います。
昔、あるデザイナーの方に、「アートとデザインの違いは何ですか?」と質問したことがあります。
そこで言われたのは「アートは自分を守る・デザインは世界を変える」ということです。
デザインは自分が主体となって世界を変えるために作るもの、アートは世界に流されず、自分を守るために作るものだと。これを踏まえるとブランドデザインというものは、世界に与える実際の影響によりフォーカスした、デザインの王道だと思うんです。
僕の所属しているブランド・イノベーションデザイン局でも「ブランドとは?」「イノベーションとは?」という議論がされます。
僕の個人的な解釈としては、
・ブランドとはこれからも変わらないもの
・イノベーションとはこれまでは変われなかったもの
というものがあります。
これらを両立させて、今までになかった新しい「変わらないもの」を作り出そうとすること、そうして世界を変えよう!と思うこと、これがBranCo!で求められているのだと思います。
ーこれいいブランドだなというのはありますか?
例えばテクノロジーよりの話になってしまいますが、IoTをブランドデザインのような切り口で見ることができると思います。
僕の個人的な見解としては、IoTはまず大きく二つに分けられると思います。
一つ目は、既存の機能を延長するもの。
例えば家電であれば、IoTでない従来の家電としての機能というものがそれぞれにあります。IoT化された家電では、その家電の操作を遠隔で行えるとか、その操作に対してリアルタイムな情報を提示するとか、既存の機能を延長するものがあります。
僕がブランドデザイン的な観点で良いと思うのは二つ目で、隠された需要を発掘してそれを解決する機能を提供するものです。これは一つ目の既存の機能の延長とは大きく異なると思います。
例えば様々な物理ボタンにアタッチしてあらゆる既存の家電をIoT化する汎用的なアドオンとか。これは既存の機能の延長とは異なり、漠然とした需要の中から今まで誰も気づかなかった括りを見つけ出し、その解決策として新しい機能の括り=家電IoT化アドオンという固有性を生み出した例と捉えることができます。
このように捉えると、これもまた良いブランドデザインのヒントになるのではないかと思います。
実際の生活の利用シーンを考え、その結果長く残るものはブランドになります。
そういった未来の生活を考えることが大事だと思いますね。
お話を伺う前は、「ブランド」というと服のブランドなどをイメージしていた僕でしたが、お話を伺ってこんな「ブランド」の解釈の仕方もあるんだなと驚きを隠せませんでした。
この記事を読んでブランドデザインに少しでも興味が湧いた方は、ぜひ10月19日(土)開催のブランドデザインレクチャーby BranCo!にご参加ください!
博報堂社員によるレクチャーや体験セッションを通じて、実務でも用いられる発想法や思考法を学べる場になっています。
また、すぐに取り組みたい!と思われた方はBranCo!2020のマイページ登録もお願いします。
「ブランドデザインを体験したい」「考えるのが好きだ」「広告業界に少し興味がある」「自分のアイデアにフィードバックが欲しい」という方は、ぜひご参加ください!
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