もう〜 い〜くつ寝〜る〜と〜 お正月〜♪♪♪
もうすぐお正月ですね、皆さんは何をして三が日を過ごしますか?
凧を揚げて、駒を回したり。鞠をついて、追い羽根をついたり。人それぞれの楽しみ方があると思います。
ちなみに、毎日の勉強を欠かさず超模範的学生との呼び声高い筆者は、正月など関係なしに勉学に励みます。
今日も始めますか、Sleep Learning。
さて、そんな下らないジョークは置いておいて、本題に入ります。
正月の風物詩とも言える箱根駅伝に、東大生が出場するってご存知でしょうか?
そうです、あの箱根駅伝で東大生が走るんです!(もう大興奮!!!)
今様々な媒体でも取り上げられており、目や耳にした人も多いはず。いくら寝正月を過ごすとはいえ、箱根駅伝は毎年欠かさず観ている筆者。居ても立っても居られなくなり取材に行って参りました!
インタビューに入る前に、箱根駅伝の仕組みについて簡単に説明しておきます。
箱根駅伝を一文で表現すると、
1月2日・3日に開催される大学生による駅伝で、各区間20km程度を大学チーム単位で選抜された選手が駆け抜けます。
「そ〜んな〜の常識〜!おどるポンポコリン!」という方は、どうぞこの章を読み飛ばして下さって構いません。
やっぱり箱根駅伝なんて知らないというあなたは、まず箱根駅伝公式Webサイトで勉強をしてきましょう。
さて、箱根駅伝をご存知の方でも、
東大生が箱根駅伝を走るってどういうこと?
東京大学がチームとして出場するの?
と思われた方も多いはず。もちろんチームとして出場してくれればとも思うのですが、今回はそうではありません。「関東学生連合」の代表として、1人の東大生が選ばれて箱根を走ると言うことなんです。
関東学生連合とは、
前年大会でシード権を獲得した大学10校と予選会を通過した大学10校の計20校のほかに関東学生連合チームが出場する(2015年の第91回東京箱根間往復大学駅伝競走以降の編成)。2014年2月の関東学連代表委員総会において「関東学連選抜チーム」から「関東学生連合チーム」に名称が変更された。
・関東学生連合チームは1校から1名が選出される。
「東京箱根間往復大学駅伝競争」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2017年12月19日 (火) 11:44 UTC、URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/東京箱根間往復大学駅伝競走
・選出選手は10月に行われた予選会に出走し、かつ本大会出場回数が2回を超えないことが要件となっている(第91回大会から適用)。
・関東学生連合チームはオープン参加である。個人記録そのものは有効な記録であるが順位は付かず、チーム・個人ともに参考記録となる。
要するに、所属大学が箱根に出場することができなかったけれど、成績が優秀な選手が関東学生連合の枠で走る、ということです。所属にかかわらず、タイムで選ばれた個人が走るというわけなんですね。
では、インタビューに行ってみましょう!!!
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今回、関東学生連合のメンバーとして箱根を走るのは、東京大学運動会陸上部の近藤秀一選手。
12月12日(箱根直前!)の練習後に取材に応じてくださるということで、駒場キャンパスのイタトマに向かうと……
「今日はよろしくお願いします。」
穏やかな声の挨拶とともに近藤選手がいらっしゃいました。「好青年」とはまさにこういう人を言うのだろう、そう感じさせる人となりです。
店内に入ると早速、
「ご飯食べながらでもいいですか?」
そう言って大盛りパスタとアイスココアを注文する近藤選手。
(え、食事気にして無いの?箱根も近いのに?)
お名前:近藤秀一
学部:工学部化学生命工学科3年
所属:東京大学運動会陸上部 主将
出場チーム:関東学生連合 主将
記録:箱根駅伝予選会20位、東京マラソン準エリートの部優勝
本日は取材よろしくお願いします。
ーー こちらこそよろしくお願いします。
東大生が箱根駅伝に出場するのは実に13年ぶりにということですが、やはり取材の依頼はよく来るんですか?
ーー 来ますね。今週だけでも10件ほど取材があります(笑)
10件も!?せわしないですね。
普段はどのような生活を送られているのですか?
ーー 毎日学校で授業を受けて、毎日練習をしています。
練習で忙しいはずなのに筆者より学校に通っている。学科ではどのような勉強をされているのですか?
ーー 工学部化学生命工学科は、生命化学と有機化学の二本柱があって、僕は生命化学の方に興味があります。実験が週3回あったり実習もあったりするので、毎日本郷に通っています。
毎日授業があると、練習の時間は取れなそうですが……。練習の方も毎日されているんですよね?
ーー 部活が火曜と木曜と土曜の週3回あって、駒場キャンパスのグラウンドで2〜3時間練習しています。部活のない日も自主練習をしているので、練習しない日は無いことになりますね。
ハードな日々ですね。息抜きには何をしているんですか?
ーー 釣りが趣味なので、横浜の方に行って釣りをすることもあります。あと、自宅に仲間を集めて鍋をすることも多いですね。
いわゆる「鍋パ」ってやつですね🍲
先ほど自主練習とおっしゃってましたが、具体的には何をなさってるんですか?
ーー 毎日だいたい10〜30kmほど走っているのですが、これは一般的な駅伝選手に比べ少ないと思います。月700〜800km走るのが普通なんですが……、僕は月400〜500kmしか走らないんです。
いや、400〜500kmしか走らないと言われても、正直感覚が(笑)
ーー それはそうですね。要するに、一般的な駅伝選手の7割程度の走行量だと思います。
え、7割!? それでも実力がつくんですか?
ーー はい。駅伝界隈では、「走る距離がモノを言う」と言われていて、距離を走ることが重要であるとステレオタイプ化されています。例えば、今日は「とりあえず〇〇km走ろう!」とか。しかし突き詰めれば、走った距離自体は意味が無いんですよね。
球技とかって、戦略を練ったりと頭を使う要素も多いじゃないですか?一方、陸上競技は体一つで勝負するので、最終的に長く走れる体を作れればいいんですよね。体に刺激を与えて強くしていくことが重要なので、距離を走ることに取り憑かれちゃいけないなと思っています。
では、何を意識して練習されているんでしょうか?
ーー 1回1回の練習の目的意識をしっかり決める。目的のない練習はしない。これを意識しています。「とりあえず〇〇km走ろう!」ではなく、「〜な刺激を体に与えるにはどれぐらい走る必要があるのか?」と科学的裏付けを元に考えるんです。
受験勉強でも似たような話を聞きますね。具体的には、どういった指標を参考にされているのでしょうか?
ーー 自分のことを客観的な視点で知ることが重要だと思うので、LT(乳酸性作業閾値)という指標を参考にしています。ここからは専門的な話になってしまうのですが、LTというのは、筋グリコーゲンの消費を抑えながら走れるギリギリのラインです。筋グリコーゲンは筋肉を動かす重要なエネルギーなので、使いすぎると運動を続けられなくなります。この強度を知ることで、どのペースで走れば20kmやマラソンを走り切れるかがおおよそ分かります……(以下略)
筋グリコーゲン……???
つまり、どういうことでしょう?
ーー 長距離走は、ミトコンドリアで酸素を使ってどれだけエネルギーを生み出せるかが勝負になってきます。ミトコンドリアでエネルギーをたくさん生み出せれば、それだけ筋グリコーゲンを節約できます。そのため、LTという指標をバロメータに、筋グリコーゲンを節約しながら走れるレベルを徐々に上げていくということです。
僕はこのLTが長距離の絶対的指標なんじゃないかなと考えています。逆にLTさえ伸びていれば、たとえ記録が出なくても成長しているってことになるので、練習の成果を測るにはLTがもってこいだと。
ミトコンドリア……?まだ分からないけど、まぁいいや
なぜ、近藤選手は自分なりの練習方法を考えられたのでしょうか?
ーー 東大に入ったことがきっかけですね。東大という練習に充てられる時間が限られている環境の中で、他の強豪校の練習を真似しても勝てないと思ったんです。陸上に使える時間が決まっているので、強豪選手に競り勝つためにはプラスαで、工夫して勝たないといけないって。
他の強豪校では、寮生活の中で栄養や治療のサポートも充実していてるんですが、僕の場合は一人暮らしでアルバイトをしていて。そういう面もあって工夫していかなければと。
東大という環境の中で進化したんですね。まさに「東大生ランナー」ですね。
ちょっと気になっていたのですが、食事など生活習慣に気を遣っていないのですか?
ーー 全く気にしてないです!長距離選手って、「絶対にお菓子を食べない」など自分にルールを課すストイックな人も多いイメージがありますよね。しかし、練習をしたりちゃんと休んだりするのが大事なだけであって、何食べたのかって関係ないのかなって。そもそも、学科の勉強やレポートで生活リズム自体崩れやすいということもありますが。
アイスココアも注文されてましたもんね!
ーー はい、甘いものが大好きです!🍩
ここまで話を聞いていて、近藤選手に「型破り」な印象を覚えました。
ズバリ、近藤選手の強みとは一体何なのでしょうか?
ーー 変に気にしない、ステレオタイプにはまらない、これが僕の強みだと思います。大事なところは理詰めで考えて、緩めるところは緩めて、取捨選択をするようにしています。
当たり前にとらわれず、自分に合うようフィットさせていく。鋼の意志も重要ですが、しなるけど折れることはない日本刀のような意志が大切だと思っています。
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