東大生姉弟が起業して、LGBT就活サイトを作った理由・前編【誰もが自分らしく働けるように】




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「LGBTの人たち」ではなく、個人の就活を応援する「ichoose」

ー 「JobRainbow」は企業の口コミや企業インタビューなどを載せている、仕事情報サイトとのことでした。

先ほどおっしゃっていた求人サイト「ichoose」は、「JobRainbow」とは何が違うのでしょうか?

賢人さん:まず「ichoose」を始めた経緯から話すと、今の時代、「LGBTでも分け隔てなく採用します!」って構えている会社は結構多いです。

でも、具体的にここまでこうやりますよ!って責任を持って発信している企業はあんまりなくて。LGBT当事者が本当に安心して就活に臨める、就職できる感じではないんですね。

だから、当事者が自分らしく働ける会社を探せるサイトとして、「ichoose」を去年の6月に立ち上げました。

 

真梨子さん:「ichoose」は「JobRainbow」の一歩先のサービスで、

「JobRainbow」で情報を得て、働きたいと思える企業が見つかったら、「ichoose」で実際にその企業にエントリーできる、というものです。

ー 自分のセクシュアリティを記入して企業に応募できるんですか?

 

賢人さん:というよりも、セクシュアリティとかを申告したい方は申告できるっていう感じですねうちは別にカミングアウトを推奨しているわけではないので。

 

でも申告しておけば、例えばトランスジェンダーの方とかは、平日に治療やカウンセリングに行かなければならなくなった時に休みがおりやすかったり配慮してもらったりとか、ライフプランを入社する前から人事の方と話し合える環境にしやすくなります。

また、「人事の人にだけ自分のセクシュアリティについて知らせてほしい」「一緒に働くグループの人にだけ知らせてほしい」など、細かく選択することができます

 

ーカミングアウトの相手を選べるんですか!考えてみれば必要な機能だけど、そこまで配慮しているサービスって少ない気がします。

 

真梨子さん:ちなみに「ichoose」っていう名前にもすごくこだわりがあって、「I choose」、つまり「自分が選ぶ」っていうところを強調しています。

「LGBTの人」としてではなく、そういう「LGBT」っていう特徴を自分の1個性として持った「個人」、「i」のためのサイトにしたいという思いを込めて。

実は「ichoose」だけではなく会社全体としても、この「個人」「i」っていうのをすごく大切にしていて。これ会社の新しいロゴなんですけど。

 

ー かっこいい!!

 

真梨子さん:レインボーフラッグって、LGBTみんなで集まって、声を上げるっていうコンセプトじゃないですか。

それはもちろん必要な行動なんですけど、いつまでのその段階にとどまっていると、LGBTという分類ではくくれない個人がないがしろにされてしまう。

このロゴは、「LGBTの人たち」じゃなくて1人ひとりにフォーカスしたい、もっと1人ひとりを尊重したい、という意味を込めて、フラッグじゃなくて、1つずつ独立したクリスタルが並んでいるデザインにしました。

クリスタルの形も「i」を示しているんですよ。

 

賢人さん:あと、原石を示してもいて。これから磨けば光るよって。就活サイトでもあるので。

 

ー えっ、めっちゃいい、めっちゃすごい!!!!!どなたのアイディアなんですか?

 

真梨子さん:友人のデザイナーと一緒に作りました。

LGBTて言うと虹、虹って言われますよね。

もちろんみんなが集まると虹になるわけですけど、でも、1人1人に本当は違った個性、カラーがある

虹色の人がいっぱいいるわけじゃなくて、ピンクの人、水色の人、いろんな人がいて、集まって、LGBT、虹になるっていう。

それを表したいなと思って、こういうデザインにしました。

これはもちろん、うちの会社で働いている人たちも例外じゃなくて。

うちの会社には「LGBT」のくくりに入る人だけでなくて、ストレートの人も活躍してるし、LGBTに入っていない「Xジェンダー」の人もいます。

LGBT就活サイトやってますって言うと、「LGBT当事者の人が集まってやってる」って思われがちなんですよね。

もちろん当事者の人もいるんですけど、でもそうではない人もいて、1パーソンとしてやっているんだよ、っていうメッセージが込められています。

1パーソンとして。

Xジェンダーとは?

Xジェンダーとは「男女典型的な性別に当てはまらないアイデンティティを持つ人達」のことを指す日本独自の言葉です。英語圏ではXジェンダーに対応する言葉としてgenderqueer(ジェンダークィア、既存の男女とは異なるアイデンティティを持つ人々)、bigender(バイジェンダー、男女両性のアイデンティティを持つ人々)、agender(アジェンダー、自分には性別はないとする人々)などの単語があります。

一口に「男女典型的な性別に当てはまらないアイデンティティを持つ人達」と言っても色々な人がいます。

たとえば、自分は男女の中間の性別だと思う人(中性)、自分には性別がないと思う人(無性)、自分は男女両方の性別の要素を持っていると思う人(両性)様々です。

中には「身体とは反対の性別に近い感覚だけれど、完全に身体と正反対の性別とは言い切れない」と言うかなりトランスジェンダーに近いタイプの人や、「性自認(自分はこの性別だという自覚)が短期間で様々に変わる(不定性)」と言う人もいます。」

Xジェンダー憩いの場より引用。

ビジネスとして持続させるための戦略

ー 「ichoose」に実際に載っている求人を見ると、キースヘリングの美術館とかかなり珍しいものもあるんですけど、載せる企業はどうやって声をかけていらっしゃるんですか?

キースヘリングとは?

ストリートアートの先駆者とも呼べる画家で、1980年代アメリカの代表的芸術家として知られる。シンプルな線と色とで構成された彼の絵は日本でも人気があり、キースの作品をプリントしたTシャツがユニクロスポルディング等から販売されることもあって広く知られている。」

Wikipediaより引用

なお、美術館の求人は現在終了しているそうです。残念!

賢人さん:キースへリングの美術館は、向こうからお声がけいただきました。

キースへリング自身がゲイの方で、HIVで亡くなってしまったんですけど。山梨に彼の美術館があって、ゲイの方が働いていて。それで日本のLGBTの就業状況に問題意識をもって向こうから連絡してくれた感じですね。

 

実は、うちから営業して載せている会社は今はほとんどなくて。

やっぱりLGBTの就業について問題意識を持った会社さんたちが連絡してきてくれることが多いです。

ー そうなんですね!じゃあかなりJobRainbowさんは企業の中では知れ渡ってるんでしょうか?

 

賢人さんそうですね。まず今LGBT向けの就活情報をやっているのが数社しかない上に、ウェブで求人を出すサービスをしているのはうちだけなので。

ウェブサービスに僕自身が詳しかったというのと、インターンしていた会社の人に初期の頃からSEOなどについてアドバイスをいただきながらサイト設計をしていたので、LGBT就活とか検索すると、大体1位か2位に出てくるんですね。

 

ー本当だ。

「lgbt 採用」で検索するとなんと上位4つがJobRainbowさんのサイトです!

賢人さん:だからそれで企業からもどんどん問い合わせが来るって感じです。

「人権問題」だけではないLGBTへの「イケてる」アプローチ

ー 立ち上げてからどれくらいで問い合わせとか来るようになったんですか?

 

真梨子さん:もう最初からだったよね?

2016年1月に会社を立ち上げて、3月からサイトをスタートさせて、その時点でワールドビジネスサテライトさんとかに取り上げてもらって。

真梨子さん:私たちはLGBTと職場っていう分野で、NPOとしてではなく、株式会社としてビジネスとしてやっているのが珍しいのと、それを学生がスタートアップでやっているというダブルで注目されたんだと思います。

私たちが活動を始める前はNPOの方々がすごく地道な活動をされていて、そのおかげでいろんな企業のLGBTへの意識が高まっていたところだったんです。

そこで私たちは株式会社としてサスティナブルに取り組んでいけるように、って、ちょっと別の角度から入ってみたんですよね。

真梨子さん:私たちの強みかなと思うところは、学生・若者がその若者の感覚を大事にしながら運営していること。ターゲットであるLGBTの就活生や新卒の子たちと、すごく近い距離感、近い感覚であることです。

だから、サイトとかもイケてる感を重視したりしていて。

サイトがダサくて、見てくれた子が「自分はLGBTだから、こういうダサいところしか行けないのかな」とか思ったりしたら嫌じゃないですか。だから、おしゃれであることをすごい意識しています。

 

本荘さん:東京レインボープライドに出店した時も、外装とか見た目にもこだわって。

フリーハグをやったりとか、あんまり堅苦しくならずに、学生の感覚を大切にして、親しんでもらえるようなブランドづくりにこだわっています

東京レインボープライドでのお写真。笑顔がはじけています眩しい。

真梨子さん:今までLGBTは、「人権問題」として扱われてきました

社会がそういう人たちをまず認めていなかったから、「その人たちを助けてあげないと」っていう人権的なアプローチが必要だった。

でも同時にだんだんLGBTの存在をみんなが知ったり、実際に友達にカミングアウトされたりする中で、非当事者の中でもLGBTを受け入れる雰囲気が強くなってきて、

しかも若い人の間では、「人と違うこと=かっこいい」っていう価値観が強いから、それが正しい方向性かはわからないけど、「LGBTってかっこよくない?」みたいにまでもなってきてる。

 

こういう風に状況が変化していく中で、今は、

「人権、人権」て固くアピールするよりも、もっとナチュラルにもっとポジティブに、自分の1つの個性として受け入れられる雰囲気づくりをしたいと考えて、固くなりすぎない、おしゃれなデザインにこだわっています。

もちろん、まだまだ根強い差別や偏見があること、教育や法制度の枠組みから外れていることも事実。こういった「LGBTがかっこいい」みたいな流れも逆差別を生み出しかねないセンシティブな問題です。人権的な目線を通して、今後もバランス感覚を持ちながら取り組みたいですね


 

確固たる信念がありながら、時代の波に乗ってビジネスを展開している「JobRainbow」の方々。

記事中にもありましたように、8/5にLGBTフレンドリー企業の合同説明会を開催されるそうです。

イベントの詳細はこちらから。事前申し込みが必要なのでお忘れなく!

また、JobRainbowさんではインターンを募集中です。インタビューした者として、心の奥底深くからおすすめできる会社です。興味を持った方ぜひ応募してみてください!

また、8/1公開の後編では、

「LGBTフレンドリーで有名なところって大企業ばかり。結局高学歴の人しか入れないのでは?」

「LGBTブームが終わったらどうなると思いますか?」

ともっと突っ込んだ内容になっているので、是非そちらも読んでみてくださいね。

東大生姉弟が起業して、LGBT就活サイトを作った理由・後編【ビジネスでLGBTの背中を押したい】

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(ライター:ゆみ、編集:りほ)

 

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ゆみ

2018年卒業しました。エストニアにいます。昔のブログは、Websiteってとこから飛べます。今もエストニアでぼちぼち書いてます。→http://estonian-mania.tokyo/

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