【世界を「創る」】僕が熱中する人工世界という芸術形態について




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世界の「創作」

なぜ人工世界を作ろうと思ったか

僕は人工世界を何年もかけて作っているわけですが、まずはどうしてこんな特殊なジャンルを選択したのかについて触れたいと思います。

①トールキンその他ファンタジー作家の影響

僕は小学生時代に『ハリー・ポッター』『ロード・オヴ・ザ・リング』を観て興味を持ち、小学5年の時に小説を書き始めました。初期は『ハリー・ポッター』の影響が非常に強かったです。

この時点では普通のファンタジー小説で、「呪文」と称して使っていたのも、既存の言語を混ぜ合わせたものでした。この呪文はあとになって人工言語による呪文と総取替することになり、苦労しました……。

小学五年生の時に書き始めた小説の原本。とてもお見せできるような内容ではありませんが、なんとなくこういう感じということで……。

数々のファンタジー作家、とりわけトールキンには強い影響を受けています。

『指輪物語』やその映画版の『ロード・オヴ・ザ・リング』に触れたのは少し後になってからで、彼の世界観の設定の細かさに驚き、程なくこれと同じかこれ以上に精密なファンタジー設定を作ろうと考えるようになりました。

②神話・伝説の愛好

ギリシア神話・ケルト神話・北欧神話などにはもともと興味がありました。大学に入ってからもケルト神話を題材とした交響詩を書くなどしています。

解説サイト:https://sites.google.com/view/symphonic-poem-cuchulainn/home

9/15にめぐろパーシモンホールで演奏会があったりします(超小声)。

神話というものは、数百年・数千年の時を経て磨き続けられてきた物語たちです。別の言い方をすれば、それだけ長い「時間の審査」とでも言えるようなものを通過して、現在の我々に届けられているのです。

神話は神々や人間の争いと平和・愛を、独特の重々しい仕方で語ってくれます。どこの国の神話であっても、僕に多大なインスピレーションを与えてくれるのです。

トールキンは僕が人工世界と言っているようなものを神話体系 legendariumと呼びましたが、僕も人工世界には神話があるとよいと考えています。

逆に、神話を創作して、それを物語のプロットに息づかせるためには、人工世界の形式がとても有用だともいえます。

先述の通り僕は小説を書いていますが、僕の書いたものがいずれ世に出てあなたがそれを手にとって読んだ時に、英雄叙事詩を読んでいるようだと感じたのであれば、それは多分僕が触れてきた『ベオウルフ』や『トーイン・ボー・クアルンゲ』など数々の神話作品が僕に与えてきた影響の表れと言えるでしょう。

③今のファンタジーに物足りなさを感じたから

少々コントロヴァーシャルな内容かもしれませんが、僕の創作の根本に関わる問題なのであえて触れようと思います。

僕の個人的な意見としては、今の、特に日本のゲームなどにおいては、様々な地域の神話・伝説を題材として、いわば「2次創作」に陥っていると感じます。これが特段悪いとは言いませんが、完全に新しいものを生み出したことにはならないのではないかと僕は思います。

また、神話・伝説からキャラクターやアイテムだけをとってきて使っている例も多くあり、神話が好きな人間としては違和感があるため、素直に楽しめません。

意味のある引用なら効果的といえますが、名前を借りているだけの例が多いのです。

 

例えば、「クー・フーリン」「ラグナロク」などの人名・単語は知られてはいるものの、実態が何を指すのかをきちんと説明できる人は少ないですよね。

また、「ミスリル」というタームは様々なゲームで使われていますが、本来はトールキンが生み出した人工言語「シンダール語」で mithril「灰色の輝き」であることを知る人は極少数です。そしてトールキンの設定からは全く離れて使われている例が非常に多いのです。

このような単語の一人歩きは往々にして起こっており、元ネタを知るものとしては常々納得のいかない思いをしています。

 

このように現在のファンタジー文化に行き詰まりを感じた結果、人工世界というファンタジーの下位ジャンルの中で「真に新しいもの」を創造したいという意欲が生まれました。

 

神話・文化などが好きだからこそ、自分の手で新しい世界・文化を設定し、また音楽、美術、詩作など様々な方面で創作をする中で、その全てを人工世界の創造に役立てたいと思ったのです。

次ページ:実際に人工世界を創作するプロセス

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ABOUTこの記事をかいた人

東大2年文科Ⅲ類TLPフランス語→教養学部教養学科超域文化科学分科学際言語科学コース。趣味は小説執筆/人工世界創作/語学全般/人工言語/音楽演奏・作曲(YoutubeでTormis Narnoで検索)/ダンス/絵画/木工など。東京大学室内楽副会長、自作曲「交響詩『クー・ヒュルン』」を演奏。映画製作スピカ1895のミュージカル映画『めくるとき』の音楽担当。人工世界と現実世界の関係を描いた『世界のあいだ』を制作予定。言語等創作に興味のある方は、ツイッターの創作アカウント@Firraksnarre_TN をどうぞ。

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