大学院生による大学院生のための異分野交流コミュニティ RICへの招待状

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第一回RICサロン「ついに聞こえた宇宙の声!100年越しに解かれたアインシュタイン最後の宿題、重力波!」

初回イベントの登壇者は理学系研究科物理学専攻博士課程で重力波、量子光学の研究をする小森健太郎さん。

2016年に初めて観測され、研究者から注目の集まる重力波についての講演です。なお、講演の内容は過去のUmeeTの記事にもまとめられています。

重力波とは?

重力波はアインシュタインの最後の宿題と呼ばれていました。

アインシュタインは約100年前に予言していたんですが、すごく技術的に検出するのが難しいもので、100年間ずっと検出できていなかったんですけど、

去年の2月にアメリカのLIGOというチームがついに初観測したということで、それで発表して全世界を沸かせました。

 

現在宇宙観測で遠くを見る時には、光を捉えて写真を撮ることが一般的でした。

しかし宇宙が誕生したと言われる138億年前から最初の38万年の間は光がまっすぐに進めないという謎の状況でした。物質の密度が高すぎて光さえもものにぶつかってしまうほどだったんです。

つまりその前に発せられた光の情報は失われ、私たちの元へは届きません。そのため光では最初の38万年間を知ることはできないんです。

そこで光の代わりに宇宙の最初期について明らかにするために利用されるのが今回のテーマ、重力波です。

地球のような質量の大きな物体の周りでは時空が歪む。

重力波とは、簡単に言えば大きな質量を持ったものの周囲にできる時空の歪みが波として空間を伝わっていくものです。

重力波は真空中でも伝わり、速さは1秒に約30万キロメートル、光と同じです。これはアインシュタインが100年前に予言したものです。

アインシュタインは相対性理論の中でいくつもの予言をしていて、ことごとくそれらの存在が証明されてきましたが、重力波だけは実証されていませんでした。そのため最後の宿題と呼ばれていたんです。

 

なぜ存在を証明することが難しかったのか?

音は空気の振動を鼓膜で感じ取りますが、その振動は約10のマイナス8乗メートルのスケールです。

典型的な重力波がやってくると、空間はどれくらい動くかというと、部屋全体で10のマイナス20乗メートル圧倒的に小さいです。

重力波でブラックホールを「見る」

とにかく小さい重力波。

この信号を検出するためには、できるだけ質量の大きなものに狙いを定める必要があります。大きな質量のものが速く動くと大きな重力波が発せられるからです。

そこで有望な重力波源として考えられてきたのが、連星、特に連星ブラックホールの合体です。

連星の両者がブラックホールだった場合は、大きな質量を持つブラックホールがお互いの周りを回って重力波を発し、最終的に合体します。この時に発生した重力波を捉えることでどんなブラックホールだったかがわかるとされています。

二つのブラックホールがお互いの周りを回転すると、大きな重力波が出る。

重力波を捉えるため、いろいろな大型の観測器が世界各地で開発されていますが、その中のアメリカのLIGO[1]というチームがいち早く観測計画をスタートさせています。

日本もKAGRAという観測器を現在開発中で、イタリアでも観測器が2017年5月に観測を開始しました。

 

重力波を研究する僕らも初観測はいずれ来るだろうとは思っていたんですが、きっとノイズに埋もれた非常に小さいシグナルを一生懸命データ処理した上で見つけられる程度だろうと思っていました。

ところが観測してみると簡単な下処理だけで理論とぴったり一致するような波形が得られたことには、研究チームもテンション爆上がりでしたね。

理論的に予測していた重力波信号と実際に観測された信号が驚くほど一致した。

ここからとてもたくさんのことがわかるんですが、

まず連星ブラックホールだったということ、そしてそれらの質量がそれぞれ太陽の36倍と29倍という非常に大きいブラックホールで、合体してできたブラックホールは太陽の62倍もの質量をもっていたということです。

これも驚きで、今まで見つかっていたブラックホールはせいぜい太陽の10倍程度でした。

参加者:元のブラックホールが36倍29倍、できたブラックホールが太陽の62倍の質量って、あと太陽3つ分の質量はどうなったんですか?

 

いい質問ですね。

それは、この太陽3つ分の質量が重力波として放出されたんです

重力波はエネルギーを持っていて、エネルギーと質量は交換可能ですので。これもすごいですよね。

コンマ数秒の間に太陽3個分の質量がすべてエネルギーに変換されたというと、これは全宇宙の星が放出しているエネルギーの総量を上回っているとされています。

参加者:どうやって重力波を使ってブラックホールの質量や地球からの距離を計算するんですか?

 

まず波形から質量がわかります。重いブラックホールほど合体直前の重力波の周波数が低いんです。それによって振幅が計算できるので、振幅の減衰の仕方から地球からの距離を求めることができます。

重力波を用いて超巨大ブラックホールやビッグバンの謎に迫る重力波天文学の幕開けが近づいています。

さらに地上の観測機だけでなく、人工衛星を使った宇宙空間からの観測も計画が進んでいます。

[1]https://www.ligo.caltech.edu


初回イベントの参加者は所属は理学系研究科、農学系研究科、工学系研究科、情報学環・学際情報学府などから全14名と多岐に渡りました。

次回イベント
「仕事観の変遷−人々は仕事についてどう考えてきたのか、どう考えているのか、どう考えていけばよいのか」
日時:7/26(水)19:00-21:00
場所:本郷LabCafe(http://lab-cafe.net/site/access.html)
www.facebook.com/events/1330180120429161

こちらも主催者ともども今から楽しみです。ぜひご参加ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

Tak Jin

理学系研究科地球惑星科学専攻/情報学環教育部 気象学と音楽と漬物で地球が回る

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