東大卒女芸人が、ホームレス支援と路上ギャグ師から考える「豊かな路上」




LINEで送る
Pocket

路上ギャグ夜の部:なんば

20時、大阪なんば。なんばグランド花月や漫才劇場が立つお笑いの聖地であり、飲食店はもちろんなんばパークスや高島屋など買い物も楽しめる、大阪随一の歓楽街である。

路上ギャグ夜の部開始時刻、高島屋前に行くと、他にも路上パフォーマーが観客を集めていた。奥の方でオモロ川さんも準備を始めており、すでに数人が彼を囲んでいた。

なんと、噂の、お金を貸していたおじさんは戻ってきていた!

その横には、優しそうで真面目そうな40代ぐらいの男性と、もう一人中年の女性がいる。


……ころころさんだ!お話を聞いていたのでちょっと感動してしまった。


観客インタビュー1人目:ころころさん

 

写真のとおり、優しそうな中年女性。結婚して仕事も続ける傍ら、ファン活動を続けているそう。彼女は、この取材のために、オモロ川さんの歴史をまとめたアルバムを持ってきてくれた。

二冊作って、一冊はオモロ川さんにプレゼントしたらしい。また、2015年オモロ川さんがイベンターになったのを受けて、何か手伝いたいと思い2015年4月~2016年3月の1年間よしもとクリエイティブカレッジ7期生として学んだこともあるそう。

「私がオモロ川さんに惹かれるのは、オモロ川さんから「真面目に人生生きてきた」ところが見えるからなんです。

オモロ川さんは芸人になる前は鳥取の工場で真面目に働いていた人。

私自身も若いころから「遊ぶ」ことが少なくて、何の面白みもない人生。自分と同じ価値観を持つオモロ川さんだからこそ、
4年間ずっと好きで居続けられるのではないかと思っております。」

お笑いファンとしての経歴を伺っていくと、「パープーズさん」「初鳴のりっぺさん」「ジャンゴのお姉ちゃんさん」といった、お笑いファンにはたまらないワードがどんどん飛び出す。オモロ川さんの活動してきた年月が、大阪のお笑いシーンの一部であるということが改めて感じられる。

商店街のパフォーマンスに加わるという形で、 24時間テレビのイベントに参加してしまったオモロ川さん

 

「さらにオモロ川さんを見に行くと、私の普段の生活では接することのない人たちと接することができたりします。

 路上で活動しているミュージシャンやマジシャン。
 何の仕事をしているかわからないおじさん。
 ナンパ師のお兄さん。こわいヤカラの男性。
 自分の不幸な身の上が本当か嘘かわからない女性。(あっ…!エピソードで聞いたやつや!)
 これもまた密かな楽しみでもあったりします。

 私自身、自慢できることが何もなくて 
 若いころから自分の夢なんて何一つなかった・・・

 そんな私にとっての今の夢は オモロ川さんが有名になって全国の人がその名を知る存在になってくれることなのです。」

最近は、会社員のおじさまもいつも来てくれるらしい。その眼鏡をかけた優しそうな男性も、オモロ川さんを見ると元気になると語ってくれた。

 


観客インタビュー2人目:友達連れの派手めお兄さん

 

次に話を聞いてみたのは、よくなんばに遊びにくるという、20歳前後の友人と二人連れだった男性。
少し派手そうな見た目だったが、気さくにインタビューに応じてくれた。

 ――最初に止めたときってどういうタイミングでした?

「ちょうど年明けで、住吉大社いこうとしてた時に足止めたんです。」

――足の止めやすさを左右してるのって?

「目立つか目立たないかですね…これは……目立っすやん笑」

ここでオモロ川さんの「ニャン足すニャンはニャンニャン」のギャグがうるさすぎてインタビューがさえぎられる…!観光客が集まってくる、、、。

(オモロ川さんに向かって)「そろそろイマイガワ連れてくるっスわ!」

※イマイガワさんは、以前オモロ川さんとギャグ勝負をした男性の友人らしい
オモロ川:私負けるんでやめてください!!笑

――その時どっちが勝ったんですか?
「両方微妙やったっすけどね笑」

――これからも足を止めようと思われますか?
止めようとおもいます。けっこう止めてるんで。
あー今日もおるなーって笑」

――時間使うだけの価値は?
「あるっすね!」

去り際に「相変わらずおもんないなあ笑」と言って微笑みながら友達と去っていった。

そのほか、「俺の姪っ子東大卒やで~」という謎情報を提供してくれたおじさん、

「暴れん坊将軍」のテーマを繰り返すギャグがつぼに入って笑いが止まらない就活女子、

そして冒頭の「サバ缶のカーニバル」で笑うまでリピートされ、逃げ場を失った会社帰りのサラリーマン、、、

やはり朝の京橋より「濃い」!!

 


…夜のなんば高島屋前は、路上パフォーマーであふれていた。一番の集客を誇っていたのは、横断歩道の横でライブ中だったイケメンミュージシャンであったが、他にもいろんなパフォーマーが!

パフォーマー1:マジシャン志望の高校生 HIDEさん


――通行人足を止めるか止めないかに左右しているのはパフォーマンスの技術ですか?

「技術っていうか、「止める技術」ですね。
まあトークの技術であったり、恰好とか。」

――あなたなりの止めるコツはなんですか?

歩いてくる人にトランプマジックを見せながら、とか。

さっきみたいに音楽かけたりとか。手振ってみたりとか。コミュニケーションチックに。」

――オモロ川さんたくさんお客さん集めてはりますよね?

「まあ、、止まってる量は他のパフォーマーとそんな変わんないです。
歌は、毎回来るファンがいますね。お客さんの集団の、後ろの方は、信号の横でやってるから、信号待ちで2,3秒で流れていく人が多いんですよ。前の方はずっとライブ中とどまってるファンがいる。だからずっと人がたくさん集まってる状態なんですよね。
マジックやと、一人ひとりしっかりとめて、5分ぐらいやって、流れていく。」

屋内でもマジックをやるが、将来のため、クロースのスキルアップとアピールを兼ねてやっているとのこと。

――オモロ川さん、あれで食べてるらしいからすごいですよね 
あれと、マクドナルドのバイトです。」

――よくご存じですね 
仲はいいんで笑」

――屋外でのパフォーマンスって大変だなという話をオモロ川さんとしてたのですが

「冬の方が大変です。
やってたらわかると思うんですけど、まず、お客さんの歩くスピードが違います。
あと、風が吹きます。それだけで、トランプがとびよります。
ほぼこのマジックで止めてるんで。風強いのはしんどかったりとか。
やらしい話単価も下がります」

足をとめる客量の話の時など、オモロ川さんやミュージシャンへの対抗心のようなものがうっすら感じられるような気がした。
なんばの路上は、彼らにとっては真剣なパフォーマンスの戦場であるのであろうか。


パフォーマー2:絵葉書を売っている男性


オモロ川さんとは長い付き合いで、かつてオモロ川さんの主催するギャグ大会に出たことがあるそう!

 

「舞台にあがったんですけど、とびぬけてしまって……」

――とびぬけるってどういうことですか??

「一回舞台立ったんですけど、ギャグできなくて、すいませんでしたっていって舞台袖に逃げて。

もう僕、ぶるぶるふるえて、こんな緊張するとは思わなかった!どうしようどうしよう!って。全然できひんかったって半泣きになりながら、、、」

――それはそれでおもろいですよね笑

「出演者の方が、それでも全くの未経験の素人が、立っただけどもものすごい勇気やって声をかけてくれました。。」

――オモロ川さん、いつもあれぐらいの客量ですか

「けっこうオモロ川くんて有名やから。長いことここでもやってるし。まあよしもとの元芸人っていう知名度もあるかな。」

――オモロ川さんのギャグ好きですか?

「好きですよ。足止める人がいるのもわかりますね。キャラクターがすごいインパクトあるじゃないですか。

たまにまたオモロ川くんに、ギャグしてって声かけられたりもするね。」

夜のなんばでは、オモロ川さんをより毎日のたのしみや人間関係の一部として(ときには競合相手・ライバルとして!)組み込む人々の姿が見られた。
オモロ川さんを中心とした人間関係が構築され、ものやお金のやりとりまであると聞いたときは驚いたが、
もっと長い期間にわたる、感情や時間のやりとりがあること、相手のために心をくだき時間をかけるという関係がしっかり根付いていることが印象深かった。

あわせて読みたい


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Optionally add an image (JPEG only)

ABOUTこの記事をかいた人

去年東大法学部を卒業しました。今はキンシャサの現代美術を研究してます。 ピン芸人。

この記事に感想を送る▼

メールアドレス (必須)

メッセージ